「ンナ…さん。ランナーさん。起きてください。」
「んっ…誰だよ…」
やあみんな、ランナーだ。いやあ…清々しい朝ですねぇ!!昨日はケルシー先生&ペットのMon3terと死闘を繰り広げ、相打ちにまで追い込むことが出来ました。ありがとうございました。
気絶したあと、誰かが自室に運んでくれたみたいだ。このベッドの感触は俺の物だとわかる。窓が空いているのか少し冷たさを含んだ風が通り抜けて、暖かい日差しが首元に差し掛かる。いい朝だなぁ…
…さて、現実逃避もここまでにして恐ろしい現実をお話しよう。
「うぎゃぁぁぁっっ!?!?フィリオォッッ!?」
「おはようございます、ランナーさん。よく眠れたようですね。」
「なんで俺の部屋にフィリオがいんだよ!任務はどうなってんだ任務は!」
この時間はいつも実験機材護送*1に行ってるはずじゃなかったのかよ、つーかなんでベットの中にいるんだ。出てけ。
「ドクターからランナーさんの様子を見に行ってくれとのミッションを受け取りました。」
「あぁ、ドクターか。全く…お人好しなやつだぜ。んで、お前は早くベットから出てけ。」
「ランナーさんの要望、却下します。次の選択肢までスキップ。」
「いやなんでだよ。」
「ランナーさんが望むのであれば今から全てのコマンドラインをじっこ「ランナーさん!倒れたって聞きましたが大丈夫です…か…?」」
「あ、おはよう。アルケット。」
勢いよくドアを開けてアルケットがつかつかと俺の方へと向かってくる。この人なんで何も話さないの…?oh…顔こっわ。
「ランナーさんから離れてください。見てください、彼の迷惑そうな顔を!」
「おっ…おう?」
「浅いですね、アルケットさん。フィリオプシスとランナーの中でのジョークというものです。至ってこのプロセスはランナーにとっては何の心配にも及びません。」
「いやまあ、それもよくわかんねえんだけど。」
2人の視線がぶつかり合い、何故か火花のようなものが舞っている。幻覚かな…目をこすってみても変わらず火花と、それに加え威圧的なオーラのようなものまで見えてきた。どうなってんだこりゃ。
「えっと、とりあえず落ち着こうぜ。俺がさっさと起きれば解決するんだろ?ほら、起き上がったからこの話は終わりで………おい、なんでそんな顔してんだよアルケット。」
俺がくるまっていた毛布を投げ飛ばし、勢いよく立ち上がった瞬間、アルケットは目をギョッと見開いて俺の顔を見た。何故か頬を赤らめている。
………なんかスースーするんだよなぁ。
「…エラー発生。」
「ら、らんなーさん…」
なんで…俺は包帯巻かれただけで寝てたの?
「それはちょっと…破廉恥ですぅぅぅッッ!!」
「うげぇぁッ!?」
クソッタレ医療部、なんで俺は包帯だけなんだよ!大事なところだけ隠してあるのがまだ救いだけども…布1枚でもいいからなんか着せろよ。
「いやはや、ランナーも罪な男だねぇ。あれをどうにかする事は、僕たちには難しいね。」
「どうにかするつもりは俺には甚だない。」
「どうせランナーの自業自得よ。彼自身が何とかしないと。」
「ちょうど良かった!ソーンズ、エリジウム!服持って来てくれ!ウィーディ!こいつらをこっから追い出してくれ!」
「はいはい、どんな服がいい?」
「変わらず普段のだろう。」
「おっ、当たりだソーンズ。」
「はいはい2人とも、一旦出ましょうね〜。」
「エラー…発生…」
「あっ…ぁあらんなーさん…」
フィリオとアルケットはウィーディに連れられて部屋から出ていった。フィリオは動かなくなった。アルケット、お前手で隠そうとしてたけどチラチラ見てたのバレてるからな?
──────────────────────
着替え終わったあと、エリジウム、ソーンズ、俺の3人で朝飯を食べに行った。
その帰り道、かなり不思議なことが起こっている。
まず一件目。
「おっ!ランナー!元気してる?」
「おうエクシア、俺は元気だぜ。元気すぎて空でも飛べそうだ。」
「あっはは!そりゃあ何よりだよ。あ!ところでランナー、今日の深夜くらいに殺し屋と戦うんだっけ?頑張ってね〜!」
「…はっ?」
とんでもない爆弾発言を残して嵐のように去っていくエクシア。なんでバレてんの…?…まあエクシアはペンギン急便所属、情報が早くても仕方ないよな?…しかし問題は次。
「おお、ランナー。元気そうじゃねえか。倒れたって聞いてたけどよ。」
「ったりめえよノイルの兄貴!あんな怪我、寝たら治っちまったぜ。」
「そうかそうか…んじゃ、今日は頑張れよ。死ぬんじゃねえぜ。」
「えっ、死ぬ?えちょっ!ノイルの兄貴ィッ!?」
この後ノイルの兄貴を問い詰めたら、エクシアと同じような内容が飛び出てきた。話によると行動隊A4のメンバー全員が知っているらしい。話の広がる速度早くね…?
そして最後、現在進行形で話が進んでいる。その相手は…
「ランナーさん。私は貴方の勝利を心から願っておりますわ。どうか死なないで…」
「えと、あのセイロンさん?ちょっと手が痛いなぁ…だなんて。」
「あっ…!ごめんなさい、ランナーさん。」
廊下を歩いているとセイロンが急ぎ足でやって来て、俺を見つけるとすぐさま両手を取り、この世の終わりのような顔をして話し始めた。俺、そんなに死ぬって思われてんの…?手を離そうとすると今にも泣き出しそうな顔をして羽毛を広げる始末。
どうしようか悩んで考えついたのは…少しキザだけど、やってみるしかねえよな。
「セイロン。」
「ランナーさん…?」
逆にセイロンの両手をしっかりと握り返す。そして目を見て語りかける。
「大丈夫、俺は死なねえよ。約束する。死んだらお前にも会えなくなるんだろ?そんなのゴメンだ。」
「そう…ですわね。信じています、ランナーさん。」
くっそ恥ずかしかったが成功はしたようだ。早速本題を聞き出す。
「んでさ、セイロン。。その情報は誰から聞いたんだ?」
「クロージャさんですわ。」
「おっけー分かった。あのクソコウモリ蹴り飛ばしてくる。」
「あっ!ちょっと…!」
──────────────────────
クロージャのやつぅ…絶対よからぬ事を考えてるに違いねぇ。なんか分かるんだ。あいつは俺と同じような思考回路してるって…。
よし、着いた!エンジニア部のドアを開けるとそこには…
「君は一体何を考えているんだ?敵に今回の作戦が漏洩したらどうなるか。そのリスクは理解していると思っていたのだが。」
「クロージャ、さすがにそれは…ねぇ?」
「ひーん!おたすけぇぇぇ!」
「…えぇ?」
ドアを開けると、そこにはヒモに縛り付けられているクロージャが居た。何故か最高責任者2人も同伴しているが。
「あっ!ランナー!助けてぇ!!」
クロージャの叫び声で、2人は俺の存在に気づいたようだ。
「ランナーか、ちょうど良かったよ。」
「ドクター、なんでこいつは縛られてんの?」
「それは…」
「彼女がこれから起こるであろうジェッセルトン・ウィリアムズと君の戦闘をライブ中継し、その中継のチケットを売買し、小遣い稼ぎをしようと企んでいた。」
ドクターが口を開く前に、ケルシー先生がすべて言ってしまった。なんかドクター悲しそう()
「だからみんな知ってたのか…」
さすがに俺も呆れてため息をついていたら、ケルシー先生が声をかけてきた。
「ランナー、君には彼女の処罰を決定する権利がある。君はどうしたい?」
「処罰…処罰かぁ…」
「らっ…ランナー、お手柔らかに…」
「うーん……あ、そうだ。クロージャ、そのチケットって何円の利益が出たんだ?」
「アッ…」
「えっと…180000龍門弊くらいかな…?」
ドクターがクロージャに憐れむ視線を向けた。ドクターは何となく察したのだろう。
「ほんほん、じゃあ…全額俺の利益ってことで♪」
「はぁっ!?それはヒドすぎない!!」
頬を膨らませて抗議してくるクロージャ、『やれやれ』と子供を見るようにドクターがクロージャを眺めている。ケルシー先生はより深いため息をついた。
「君に拒否権は無い。オペレーターランナーの要望通り、利益全てを献上するように。」
「ひえぇ…」
顔を手で押えて泣いているような声を上げるクロージャ。こういう時はたいてい嘘泣きである、俺は詳しいんだ。そんなことを考えていたら、ケルシー先生がこちらを向いて話を始めた。
「体調は良好のようだな。」
「え?ああ、はい。別にどこも痛くないですぜ。」
ケルシー先生の前でクルリと一回転して見せた。縦回転だけど。
「昨日の私との模擬戦の後、オペレーターサリアが君を担ぎ上げて医療部まで連れて行った。また礼を言っておくといい。」
「えっ、サリアが?…そうかぁ。」
なんか、感動した。いろんな人が俺を助けてくれてる。
目の前にいる2人もそうだ。
「ドクター、ありがとよ。色々心配かけてくれて。」
「…はて、なんの事やら。」
「フィリオとかソーンズとかに1個1個頼んでたやつ、あいつらが言ってたよ。ドクターが心配してたってさ。」
ドクターの纏う雰囲気が柔らかくなったように感じる、顔見えないけど。
「あらら、みんな言っちゃってたか。内緒って事にしといてって言ってたのになぁ…。」
「内緒に?んなことしなくていいっつの。また今度、礼はするぜ。」
「君こそそんなことはしなくていいよ、ランナー。…そして、私は実際に奴と対峙したことは無いが、1つ警告をさせてもらうよ。」
『警告』、ドクターの口から出たこの2文字に俺は息を呑む。
「復讐、この言葉を甘く見てはいけないよ。1つの復讐はその目的の為に何を犠牲にすることも厭わない。」
「…つーことは?」
「奴は君に一片の慈悲や情けも持ち合わせていない。奴の復讐のことしか考えておらず、君が前に立ち塞がっても一蹴される可能性もある。気を引きしめて、しっかりとやつの起こす行動一つ一つを観察するんだ。」
「…わかった。」
「ランナー、事が片付いたらパーティーでもしようじゃないか。そんな顔してみんなの前に出ると、また心配されてしまうよ。」
「…!っはは、そうだなドクター!俺頑張るよ!」
「いい啖呵だ、ランナー。私も君の勝利を祈っているよ。」
──────────────────────
「あ、そういやサリア。」
「なんだ?」
「おっさん…ジェッセルトンの奴が、なんでサリアを恨んでんだ?サリアがそんな恨みを買うような人じゃないっていう事は、俺は知ってるつもりだぜ?」
質問を投げかけると、サリアは目を閉じて顎に手を当てた、なんだその反応。
「…私は、やつをどん底まで叩き落とし。完膚なまでに叩き潰した。」
「えっ。」
「何年も前の話だがな。」
サリアの言ったことに耳を疑ったが、見た限り本当のことらしい。目がガチだから。
「…ちなみに、何をやったんで?」
「………面接だ。」
「面接かよ。……えっ、マジ?しょーもな!!」
「本当に器の小さい奴だ。」
「ちなみに、なんで落としたんだ?中々におっさん強えんだけど。」
「奴は…現状の位に満足している様に見えた。上昇志向の無い奴など採用しても意味は無い。」
なるほど、だからサリアに一撃でやられたのか。なかなか筋の通った話だな。俺もこの話を覚えておこう。きっと役に立つ気がする。
「しかし、奴がまた襲ってくるとは思ってもいなかった。まだ心が折れていないのか、はたまたそれほどまでに自分のプライドを傷つけられた事が気に触るのか。」
「ものすごい執念だよな。おっさんはお前を倒すために相当努力したみたいだぜ?」
「フン、敵を褒めるな。行くぞ、ランナー。」
「おうおう。って速えってサリアぁぁっ!」
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらドンドンご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
では、次回もお楽しみに。