アホ鳥オペレーター   作:クロス電源

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今回あたりからランナー君の掘り下げに入ります。
シリアス味が増えます。

情報量多すぎたな…




尾白鷲と火食鳥

「…おっさん。帰っちまったか。…また、会えるよな?」

 

 

──────────────────────

やあ、みんな。ランナーだ。

おっさんと死闘を繰り広げたあとから3週間が経った。

なんと傷はほぼ完治、ガヴィルが引いてた。

 

この3週間、ヤバかった。その一言にすぎる。

 

病室に入ってボロボロの俺を見るなり号泣するセイロン、それを慰めるシュヴァルツ。

胴上げしようと試みてガヴィルに締められていたソーンズとエリジウム。

パーティに誘おうと体を引き摺って例の如くガヴィルに締められあげているエクシア。

毎日通ってくるラファエラとアルケット。

そしていつの間にか俺の傍で寝ているフィリオ。

 

今話したのも、ほんのひと握り。他にもノイルの兄貴率いる行動隊A4のメンバー、行動隊A1のメンバーも来たりした。

 

そして件のおっさんだが、俺が寝ている内に病室のガラスを割って脱走したらしい。机には、俺宛ての置き手紙があった。

素直じゃねえのな、おっさん。

 

こんな喧騒があった事だし、ここら1週間はゆっくり過ごせそうかな…

 

 

 

 

なんて、思ってた俺がアホだった。

むしろ、ここ最近で最大のピンチが舞い降りてきた。

 

 

 

──────────────────────

食堂で紺色の髪のフェリーン、『ブレイズ』と駄べっていた時にその話を初めて耳にした。

 

「え!?ニアールのやつが帰ってきた!?それ本当かブレイズ?」

 

「ええ!聞いたところによると、カジミエーシュの騎士競技に出てたとか。武器変わってたし。ていうか、君もカジミエーシュ出身なんでしょ?行かなかったわけ?」

 

「知らねーよ、俺寝てたし、そこまでニアールと関わりねえし…。あと、忘れてるみたいだから言っておくけど、俺一応病み上がりなんだぜ?」

 

ブレイズはわざとらしく驚きの表情を浮かべている。

作ってんのバレバレすぎて笑いが出てくるわ。

 

「あー、そうだったね!あの殺し屋相手によく勝ったじゃん!強くなったね〜ランナーも。」

 

「おっせえわ。はぁ…回復しきってからは、みんな元の態度に戻っちまったなぁ…俺は悲しいぜ。」

 

「ずっとあんな感じにしてたら、いつもと違ってなんか変じゃん。」

 

「慈悲をくれ。」

 

なんてこった、もう俺の扱いがみんなの共通認識になっちまったよ。いや前からだったか…?

 

ピロンッ!

 

「ん?」

 

突然俺の携帯端末から通知音が響いた。ブレイズと一緒に端末に目を通す。定期連絡かはたまた…

 

「船内案内はまた俺かぁ?」

 

「そうじゃない?執務室じゃなくて搬入口って事は、団体さんみたいだね。臨時収入貰えるし、良かったじゃん。」

 

「病み上がりの仕事には丁度いいしな…んじゃ、ちょいと行ってくるぜ。」

 

「あー、私も行く!新しいオペレーターの顔も見ておきたいし!」

 

「何もしなかったら大丈夫なんじゃね?じゃあ行くか。」

 

『新入オペレーター配属につき招集』と書かれた画面を閉じ、ブレイズと共にすっくと立ち上がる。

どんな人が来るんだろうなぁ。

 

──────────────────────

 

「よっ、ドクター。まだ来てない感じ?」

 

「あぁ、ランナー。来てくれてありがとう。…なんか人数多くない?」

 

ドクターからそんな言葉が漏れる。まあ当然だろう、移動している最中にブレイズが新しいオペレーターの事を予想し始めやがった。やたら声がデカいもんだから周りに話が筒抜けで気づいたらこうなってた。連れてくるんじゃなかったな。

 

「わりぃドクター。なんか付いてきちまった。まあ何もしねえように言ってあるから、多分大丈夫なはずだぜ。」

 

「あはは、大丈夫だよ。…そろそろ来るかな。」

 

ドクターが客室のドアに目を向けた瞬間、勢いよくドアが開いた。ドンピシャじゃねえか。これでまた、ドクター未来読める説の立証が進むな。

 

ドアが空いて赤髪のザラックの女性がひょっこりと顔を覗かせた。

 

「来ていいよ、今から紹介するから。」

 

「あっ、はい!みんな行くよ!」

 

声を聞いた感じは、非常に活発で元気がいい。仲良くなれそうだ。ドアの中からガシャガシャと音が響いている。一体なんの音なんだ…ろ…。

 

「うん、全員いるね。ランナー、紹介するよ。カジミエーシュから来た、レッドパイン騎士団の5人だ。仲良くして………あれ?ランナー?」

 

「ドクターさん?どうかしましたか?」

 

「いや…ランナー?どこ行ったのー!?」

 

──────────────────────

「ランナーさん!?一体どうなされたのですか?こちらに飛び込んできて…」

 

「すまねえ、マウンテン。頼む、匿ってくれ。」

 

「何故…?」

 

ドクターの呼び声がするが、聞こえないふりをする。あれはダメだ、どうしても。やばい。

俺はとっさに全身モッフモフの大柄なフェリーン、『マウンテン』の元へ飛び込んだ。俺を軽々と持ち上げることが出来るからだ。

 

「頼む…マウンテン、責任は全部俺が受け持つ…!俺を連れてここから離れてくれッ…!」

 

「何故かは分かりませんが、まあ…了解しました。何処まで行きましょうか?」

 

「どこでもいいからとりあえずはや…あっ。」

 

あっ、まずい。すごい嫌な予感がする。

 

「ランナー、ドクターが困ってるよ?どうしちゃったの?」

 

「ブレイズ…すまねえ、道を開けてくれ…理由は言えねえが道を…!」

 

ブレイズが飛んできた、誇張無しに飛んできてやがった。ニッコニコしてる。怖ぇよその笑顔。

 

「マウンテン、ランナーちょうだい?」

 

「ちょっ待て、嘘だよなマウンテン!?」

 

「…お願いします、私には荷が重すぎる荷物でした。」

 

「ありがと♪」

 

「おわぁぁぁッ!!裏切ったなマウンテンンッ!!!」

 

「あっ!ほら、暴れないの。ドクター!連れてきたよー!」

 

周りからすんごい目で見られてる、…日常茶飯事だったわ。

 

「ドクター…、この人が…案内役ですか?」

 

「…うん。おかしいな…こんなこと今まで無かったのに。ごめんね、見苦しいもの見せちゃって…ほら!ランナー落ち着いて!」

 

「いや…この人の足……あっ、ちょっと!」

 

──────────────────────

「うわぁぁぁっ!離せブレイズッ!」

 

「ちょっ…!力つよっ…ドクター!手伝っ……あれ?どうしたの、お嬢さん?」

 

「…」

 

「うん…?」

 

何故かブレイズの抵抗が弱まる。振り返ると、そこには他のやつらと同じように鎧を身にまとった、灰色の髪のリーベリが立ち尽くしていた。俺の事をじっと見ている。

 

「…」

「あっ…どうもこんにちは…」

気味の悪い沈黙が続く、ものすんごい気まずい。

なんか、頭の先からつま先までじっくりと見られている気がする。

 

「貴方は…」

 

まさか。いや、違うよな。そんな考えが頭の中を駆け巡る。リーベリは俺の事をひとしきり見たあとにゆっくり歩みを進める。俺の目の前まで来ると、おもむろに両手を広げると、軽い衝撃に柔らかさと温かさを感じた。

 

「…はっ?」

 

この瞬間、皆が固まった。ブレイズの表情が宇宙猫。

他の奴ら全員が鳩に豆鉄砲食らわせたかのような顔になっている。

ドクターのバイザーが口をあんぐり開けたように伸びたように見えたのは俺の気が動転して幻覚が見えているからか。

 

「おっ…お前…誰だ?」

 

動転してこれだけしか言葉が出てこない。今はただ返事を待つだけしか出来なかった。すると、一言。

 

「…殺す。」

 

「えっ、ちょまうげぇぇぇっ!?!?

 

?????

 

抱きしめられ、次に急な殺害予告をされ、訳が分からなくなり、瞬きをした次の瞬間、目に見えたのは地面だった。あまりにも華麗なスロイダーを決められたようだ。

 

「…忘れちゃったの?リャノ。」

 

「…はっ?」

 

おい待て、それはダメだ。なんでその名前を……あぁ不味い、もっとやばい事になった。こいつは…

 

「おま…ユスティナ?」

「違う、ティナって呼んで。前みたいに…」

 

「ランナー…ちょっと情報量が大きすぎるんだけど…知り合い?」

 

ドクターが声をかけてきてくれているが、返せない。今の俺にはユスティナを引き剥がすのが精一杯だ。

 

「リャノ、ここではランナーって呼ばれてるの?急に私の前から消えて、どこに行ってたの?」

「やめろユスティナ、質問するな。」

「嫌…やめたくない。まだ質問し足りない…」

「やめろ…」

「なんで、私の前から消えた後…指名手配犯になったの…?」

 

目の前が真っ暗になるってこんな感じか。周りの視線が怖い。頭を抱える中、突然体が宙に浮いた。

 

「とりあえず離れましょう、ランナーさん。すみませんドクター。1度落ち着かせます。ランナーの自室に居ますので落ち着いたらお越しください。」

 

「分かった。とりあえずみんな帰って、変な噂を立てないでね。」

 

──────────────────────

マウンテンに連れられる中で、狂ったように言葉を紡ぎ続けていた。

 

「俺は犯罪者じゃない…なんで俺が…俺は…国家反逆なんて…」

 

 




セイロン回のラストの答え合わせです。
レッドパインは至高。
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