やあみんな、ランナーだ。
やって来ました、エーギル。と言っても、今から帰るんだけどね。
今から走って何時間だったかなぁ。
携帯端末で地図を開こうとした時、端末から連絡を告げる電子音が鳴った。
ドクターからの連絡らしい。まさか、まだ仕事を増やすつもりだというのか。
恐る恐る、メールを開いてみる。
「…おいおい!ヤベェじゃねえか!!どっちだ?あっちか!!」
メールを見るやいなや、俺はすぐに走り出す。
書いてあった座標は、そう遠くない。
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ランナーが死ぬほど全速力で走り続けること3分、海岸に影が見え始めた。
「ッ!?多すぎだろ…!」
暗雲立ち込める海に大量に佇んでいたのは、海の怪物こと、『シーボーン』
その怪物達に果敢にも向き合う、1人のオペレーターが居た。
「すまん、待たせた!」
「ランナーさん…!来てくださって感謝します。」
待っていたのは、灰色の羽毛をピンと立たせ、レイピアとハンドキャノンを構えているリーべリ。『アイリーニ』だった。
「ものすんげえ数。なんだ?予知でもしてたのか?
」
「そんなわけないじゃないですか!近くの街に用事があって…、そこで感じたんですよ。」
「何を?」
「何かこう…どんよりとした潮風です。不審に思ったので向かってみれば…、この有様です。」
「やっぱ予知じゃん!!!」
「予知じゃないです!!!」
二羽の鳥がいがみ合っているのに目もくれず、シーボーン達はゆっくりと海岸へと動き出した。
「あっ、不味い。アイリーニの遊びに付き合ってる場合じゃなかった。」
にじり寄るシーボーンを蹴り飛ばし、後ろのシーボーンに激突させる。まるでサッカーみたいだ。
「貴方が始めたんでしょう!?…もう!やっぱり貴方は嫌いです!」
アイリーニも負けじとハンドキャノンで正確に怪物を撃ち抜いていく。
同胞を殺されたシーボーン達は憤慨したように触手をバシバシと地面に叩きつける。
それとほぼ同時に、シーボーン達は勢いよく彼らに飛び込んでいった。
「oh…やっべ、1回集中すんぞアイリーニ!別行動だ!」
「言われなくとも!」
彼らの間に飛んできた1本の針を皮切りに、2人はそれぞれ別の方向に駆け出した。
べキッ! キィン!!
気の赴くままに脚を振り回し、怪物の体液が付着しようが全く怯まない。彼が相手取ったシーボーンは息の根こそ止まっているが、乱雑に引き裂かれており、なんとも痛々しい。
その一方。怪物を鋭く睨みつけ、その一挙一足を一つも見逃すことなく正確にレイピアとハンドキャノンで怪物の急所を潰していく。
瞬間的に動かなくなっていく怪物は、体液がその傷口から流れ出るのみだった。なんとも綺麗な死体である。
「…チッ。」
「なんて数…」
怪物達は海の底からゾロゾロと湧いて出てくる。その数に押され、ランナーとアイリーニは背中合わせになるほどに追い詰められてしまった。
「どうする?アイリーニ。」
「…ランナーさん。私の準備は出来ています。貴方は?」
「俺?そりゃもう準備万端よ、いつでも打てる。けど…」
「けど?」
「ちと衝撃の溜まりが悪い。ここちょっと地面が水っぽくてよ、あんまり強く蹴れねえんだわ。」
ランナーはそう言うと、その場で少し勢いをつけて足踏みをして見せた。ランナーの足は常人のそれとは訳が違う。大きく鋭利な三本の指は、グジュ…と音を立てると地面に数センチ程埋まった。
「ん〜…あ、そうだ。いいこと思いついた。」
「なんですか、一体何を思いついたんです!?」
「それは…」
ランナーは詰め寄るアイリーニに耳打ちをした。
聞いた途端、アイリーニは目をギョッと見開き、ランナーに怒声を浴びせた。
「貴方ッ…バカじゃないですか!?そんなの危険すぎますし私の気が乗りません!!」
「馬鹿で上等。…んw?なんだ小鳥ちゃんw?怖気付いたかw???」
「判決!!」
「うぎゃぁぁあ!?!?」
ニヤニヤしながらにじり寄ってくるランナーにアイリーニの剛拳が突き刺さった。案の定彼は無傷である。叫びはしたが。
「まぁ…こんな風に、俺は頑丈なんだよ。なぁに心配すんなって、俺を信じな!」
アイリーニは少し頭を抱えた。しかし今にも襲いかからんとするシーボーンの動向を見て、ランナーに呼びかける。
「…もう!知りませんからね!!行きますよランナーさん!」
「よしきた!」
アイリーニの掛け声に合わせて、2人は宙へ飛び上がる。
「判決!!」「ホバーストライクッ!!」
「よっしゃアイリーニ!俺ごと撃てッ!」
「信じますからねッ!!」
アイリーニは高速回転しながらも正確に怪物を撃ち抜いていく。どういう原理かは分からないが、弾丸が空中で弾けて周囲の怪物にもダメージを与えている。
一方ランナー
(あ"あ"痛って"え!!!いやまじ死ぬほど痛え!正直痛さ舐めてた!スルトのラグナロクくらいやべえ!)
回転しながら撃ち抜かれる弾丸の嵐をその身1つで受け止める。その一瞬、ランナーの口角が上がった。
(だけどこれでいいッ!!)
「交代だアイリーニ!!」
「はいっ!!」
ランナーは今目の前で攻撃準備をしている飛行型の怪物を叩き落とす。そして、その身で受けた衝撃を全て足に込め、その足を地面へ叩きつけた。
ドゴォッ!!
地面は大きく浮かび上がり、含んだ水分と怪物の体液を撒き散らした。大きく三又に分かれた地面の跡が、その技のめちゃくちゃな威力を表している。
「な、言ったろ?信じろって。」
「…別に、信じてないわけじゃありませんから…。どうせ貴方なら耐えられると思っていましたし…。」
(そう言ってるけど、撃った場所は俺の脚に3発。あんま痛くないとこを撃ってくれたんだよなぁ。バットみたいな衝撃だったけど。)
「ツンツンしちゃってさぁ〜!?嬉しいじゃねえかよこの野郎〜!」
「ちょっ…!判決!」
「うぐぇっっ!!?」
「あぁ、もう!」
そう言ってそっぽを向いたアイリーニ、一瞬赤らんでいる頬が見えたような気がする。
「ひっでぇなァ、アイリーニ…。ま、用事も済んだし帰ろうぜ?」
「そうしましょう、また報告書を書かな…ちょっと待ってください。」
内陸へ向かっていたアイリーニは突如踵を返して海の方へと駆け寄った。
その瞬間。
ゴゴゴゴゴゴッ…!
「なんだァ!?」
状況が理解出来ていないランナーはとにかく当たりを見渡し続けた。海を視界に入れたその瞬間。
「ーーーーー!!!」
「う"ッ!?」
「くっ…!」
とてつもない咆哮が暗雲立ちこめる空へ響き渡る。
黒く濁った水平線がぐにゃりと曲がったかと思うと、そこから勢いよく巨大な黒い影が舞い上がった。
「はっ…!?でっっっかッッッッ!?!?!?」
「…」
全長何メートルだろうか、それはビルを横倒しにしたような大きさの影は水面を蹴り上げるかのように力強く舞い上がった。
それは、巨大なマンタだった。
「えっ、ちょま。嘘だろ?」
「…」
アイリーニは怪物を見つめたまま動かない。
「おい…!おいなんか言えよ!」
「…ます。」
「なんだ?」
「無力化します…!私たちの手で…!」
「えっ」
ランナーはその言葉を聞いて頬をつねった。どうやら夢ではないらしい。
アイリーニは真剣な目付きでランナーを見つめる。
「ちょっと待て、落ち着けよアイリーニ。バカな俺でもわかる。ありゃどう見てもやべえやつだって。」
「…あれを見てください、ランナーさん。」
アイリーニはそう言うと怪物の上部を指さした。
それにつられてランナーは怪物をじっくりと観察してみる。すると。
「…ッ!?あいつ、雑魚共を生み出してんのか!?」
「えぇ…先程の恐魚の大量発生は、奴が引き起こしていたのでしょう。止めないとマズイです。」
「そう言ったってよ…ありゃ…。」
「ランナーさん。」
アイリーニはランナーの顔を手で抑え、自分の方を向かせた。
「奴をそのままにしておけば、ここら一体の集落や街はほぼ全て、奴の生み出した恐魚の手によって壊滅させられてしまうでしょう…。私達しか居ないんです。奴を止める…いや、少し遅らせるだけでもいい。今ここにいる、私達にしか出来ないんです。」
「…。」
「無理に…とは、言いませんよ。ですが、私は行きます。」
アイリーニは端末のカメラで怪物を撮り、どこかに送信すると電話をかけた。
「はい…はい、オペレーター、アイリーニです。先程送ったように、現在かなり厳しい状況です。できればあの3人を寄越して頂ければ幸いなんですが……きゃぁっ!?何するんですかランナーさん!?」
「俺も行く。こんな可愛い小鳥ちゃんが戦う〜、って言ってんのに。こんな怪鳥が戦わなくてどうすんだよ。」
「ランナーさん…」
「俺としたことが、出来るわけねえ。って逃げそうになってたよ。もう後悔したくないって、自分で決めたはずなのに。…お前は、俺より強えよ、アイリーニ。」
「だからって急に背中を叩くなんて…、そう言ってくれればいいのに…。」
「それは本当に申し訳ありませんでした。」
アイリーニは電話を切ると、ランナーに尋ねた。
「…私もこう言っておいて、この距離からハンドキャノンを撃つしか出来ることがありません。ごめんなさい、ランナーさん。」
そう聞いてランナーは何故か高笑いし始めた。
「はっはっは!任せてくれよアイリーニ!さっき決めた時に岩を砕いてきた!」
「岩…?」
ランナーが指す所を見ると、確かに巨大な岩が2、3個ほど崩れている。
「背中に乗れ!アイリーニ!」
「…えっ?」
「なにぼーっとしてんだ!?早く乗れって!」
「は…はぁ。」
アイリーニは恐る恐るランナーの背中に体重を預けた。乗った瞬間、ランナーの腕がアイリーニの足をがっしりと掴んだ。
「ちょっと!本当に何を…!?」
「よっしゃ!行くぞォォォォッッ!!!」
「ちょっ…とぉぉぉぉお!?!?!?」
ランナーはアイリーニをおぶったまま全速力で走り出した。その足は海岸線に足を踏み入れようと止まらず、そのまま直進し続けた。
呆然としているアイリーニは、自分が今どこにいるのか、次に気がついた場所は『海の上』だった。
「えええっ!?貴方、こんなこと出来たんですか!?」
「はは!元々は2分程が限界だったけどな!サリア達との特訓のおかげで、今は20分くらい行けそうだぜぇ!!」
怪物との距離はみるみる近くなっている、アイリーニはハンドキャノンを構えると、怪物の目の付近に一発打ち込んだ。
「ーーーー!?」
一瞬たじろいだかのように見えた怪物はこちらを捉え、生み出した怪物をこちらに向かわせて来た。
「ッ!?小癪な!」
「アイリーニ!お前はあのでかいヤツに集中しろ!雑魚共に弾を使うな!」
ランナーは走りながら足を蹴り上げ、向かってくる怪物を砕いた。
「…分かりました。ではランナーさん、奴の頭付近に近づいてください!」
「あいわかった!」
ランナーは足を止めない。ただひたすらに向かってくる怪物を対処しながら衝撃を貯めている。
そうしていると、巨大な怪物との距離は目と鼻の先まで近づいていた。
「ランナーさん、今です!私を投げてください!」
「よっしゃ…行っけええええ!!」
ランナーは掴んでいたアイリーニの足を離すと、瞬時に体を浮かせ、回転する勢いでそのままアイリーニを投げ飛ばした。
「ぐっ…うぅ…、『判決』!!」
「ーーーー!?」
怪物の目の前に投げられたアイリーニはその場で『判決』を発動、回転しながらハンドキャノンを連射し、怪物に弾丸の嵐を浴びせた。
「…よし、キャッチ!やるじゃねえか!」
「貴方こそ!…ですがまだです!あともう一息…!」
「もっかいだな!行くぞ!」
ランナーは再びアイリーニを背負い、怪物の元へと走り出す。
怪物は1度海中に潜ると、高波をまるで操るかのようにランナーに放ってきた。
ランナーはその波に衝撃を放ち、壁を蹴るかのようにして波から波へと飛び移った。
その衝撃でさらに勢いが付き、ランナーはさらに加速して行く。
「こんな怪物…、足場にしてやんよォ!」
次々と湧いてくる怪物を八艘飛びの如く足場にして飛び移っていく。この行為で、ランナーは再び体に衝撃を溜め込む。
「ランナーさん!そろそろ2度目のチャンスです!」
「オーケー!」
瞬時に体を浮かせ、回転する勢いでそのままアイリーニを投げ飛ばした。
投げた後、水面に着地しようと足に衝撃を纏わせる。水面に足が着いたその時、ランナーの足にぬるりとした触感が広がった。
「うおっ!?何だァ!?触…手ッ!?」
ランナーの足に数多の触手が締め付けるようにして絡みついている。触手の先には2匹の怪物、そのままランナーは抵抗することも出来ず、海の中へ引きずり込まれてしまった。
「ランナーさん!?」
「がぼがぼ…」
銃口をランナーの方へと向けるが、その時大きな影がアイリーニの体を覆った。
振り返るとそこにあったのは大きな壁。
巨大な怪物はアイリーニを飛び越えようと水面から飛び上がる、それと同時に口から彼女目掛けて怪物を生み出した。
アイリーニは自らの浮遊のアーツを用いて、ランナーと同じように怪物の死体を蹴って高度を維持しようとするが、あまりに多くの怪物が全方位から向かってくるため、それは困難を極めていた。
「くっ…!」
ハンドキャノンを
だが、動きが弱々しくなった怪物にレイピアを突き立る、そして、怪物の死体を踏み台にしようとする。しかし。
「なっ、こいつまだ生きてッ…!」
本当に虫の息、動きもゆっくりであったが、それを踏み台にしようとしたアイリーニとは悪いように噛み合ってしまった。
怪物が身じろいだ為バランスを崩して落下していくアイリーニ、彼女が落ちていく中で最後に取った行動は、再び
すると次の瞬間。
「うがああぁぁぁ!!!」
バシャーン!と海面が割れると、その中から足と首に触手が巻きついたままのランナーが飛び出してきた。
「アイリーニ!そいつを叩き落としてくれぇッ!!」
「…っ!はい!」
アイリーニとランナーが足を重ねると、アイリーニがものすごいスピードで真上に飛んで行った。
たちまち巨大な怪物の頭上を取ったアイリーニはハンドキャノンを構えて叫んだ。
「判決!!」
ハンドキャノンから撃ち出された弾丸は巨大な怪物の中心部を見事撃ち抜き、バランスを崩した巨大な怪物は頭を上にして垂直に落ちていく。
怪物は落ちていく中、その目に1人のリーべリを捉えた。
「落ちてきやがったなカトンボ!これでも喰らえやッ…!ホバーストライク!!!」
アイリーニから受けた弾丸の衝撃をいっぱいに溜め込んだ一撃が怪物の体に響き渡った。
「よしッ!手応えアリっ!!」
ランナーは怪物を蹴った勢いをそのままに、落ちてきたアイリーニをキャッチして海面に着地した。
「ナイス機転だ!マジで死ぬかと思ったぜ!」
「正直賭けでしたよ…」
そう言っているのもつかの間、巨大な怪物が海面に落ちてくる。落ちてきたそれは轟音と共にとんでもない波を引き起こした。
「あっぶねぇ…、ちゃんと捕まっとけよアイリーニ!」
「言われなくても!」
ランナーが高波を乗り越えようとしたその途端。
「ーーーーー!!!」
「がっ…!?」
「まだだと言うの…!?」
巨大な怪物の咆哮が波と共に襲い来る。怪物は咆哮した後体をばたつかせて暴れだした。
それと同時に更に大きな波が不規則的に襲いかかってくる。
「ウッソだろお前…」
「ランナーさん!前!!」
呆然としたランナーをアイリーニは呼び戻そうとしたが、それはもう間に合わなかった。
目と鼻の先には、今までで1番巨大な波。
まるで捕食するかのように、その波は2人を飲み込んだ。
(まずい…もう、意識が…)
徐々に暗くなっていく視界の中、最後に感じたのは、何かに引っ張られるような感触だった。
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「あらあら、小鳥ちゃん達。こんなにボロボロになっちゃって。」
「この鳥…馬鹿なだけの生物ではなかったようね、ほんの少しだけ見直したわ。」
「かなりダメージを負っているようね、やるじゃない。後は任せなさい。」
「また…話は聞かせてもらうから。」
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「ンナ…ん…ラン…さん…!」
「ランナーさん!」
「ランナーさん!!!」
「んだようるせえなぁ!?」
「良かった…!目が覚めた!」
ランナーが当たりを見渡すと、そこは見慣れたロドスの医療部だった。
ふつう見慣れるような場所ではないのは本当だが。
「アイリーニ?…俺たち、助かったのか!?」
「ちょっと、声が大きいです…!ここは病室ですよ…!」
「あぁ、わりぃ…」
「あと、助かったことに着いて礼を言うなら彼女達にしてください。」
「彼女達…?」
そう聞いてすぐ右を向いてみると、丸椅子に座っているオペレーターが3人、ランナーを見つめていた。
「うおおっ!?なんだお前ら!?ビビるわ…!」
「嫌ねぇ、小鳥ちゃん。私たちが貴女達を助けたのに、その言い方はナシじゃない?」
「俺まで小鳥ちゃんなの…?こいつだけじゃなくて?」
「しばきますよ。」
「申し訳ございませんでした。」
ランナーを見つめていたのはアビサルハンターの3人。スカジ、スペクター、グレイディーアだった。
「先程騒ぐなと注意されたばかりではありませんの?せっかく貴方を見直す機会があったというのに、これでは蛮族に逆戻りですよ。」
「知らんわそんなの。」
「あはは…」
アイリーニはこの空間にタジタジしている。今にも帰りたそうだ。
「ねえランナー…あなたのやった事は中々センスに溢れてると思うけど、一つだけ残念なところがあったのよね〜。」
「なんだよスペクター、返答次第によっちゃお前の身代わりに落書きしてやんぞ。」
「そんなことないから安心して?…それはね。」
「…それは?」
「ホバーストライクって、なんかダサくない?」
「よし、落書き決定。」
「そんなぁ!小鳥ちゃん、私を慰めてくれる?」
「なんで私が…!」
スペクターは同じくベッドの上のアイリーニに泣きついている。やっぱり仲がいいな、こいつら。
「…ランナーさんの質問会みたいになっているので私も一つだけ聞きたいんですが。」
「おうアイリーニ、どうした?」
「あの時、私を背中に乗せて海の上を走ったじゃないですか。あの時、貴方が妙に慣れているような感覚に陥ったんです。…しっくりくると言うか?そんな感じです。」
「…知らね、でもなんて言うか…安定するって言うか。」
確かに、あの時アイリーニを背負って戦うって言うのはなんか直感的に出てきたものだ。安定するというか、以前から知っていた戦い方というか。
…わからん。さっぱり。
「そう…なら私を乗せて海を走ることもできるってことよね。今度試して見てくれる?」
「いやいや、お前とアイリーニじゃ重さとか高さも違うしよ、難しいんじゃないかっ…て……」
そう答えた瞬間、空気が凍った。本能的に嫌な予感がする。一旦整理しよう。俺何かやばいことを言ってしまったのか。
…あ。
「…あ、重…。」
アイリーニは呆れ、スペクターはケタケタ笑っている。最後の頼みでグレイディーアに助けを求めようとしたが、そもそもこちらを向いてすらいなかった。くそが、こいつらまた今度絶対仕返ししてやる。
「ランナー、貴方。なかなかチャレンジャーね。…死になさい。」
「えっ、ちょま。」
「うぎゃぁぁぁあ!?!?!?」
ちなみに明日には治っていた。
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらドンドンご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
では、次回もお楽しみに。