「最後に、同位元素の比較と、複数のサンプルの最終分析から、概ね皆さんの予測が当たっているものだと判断します。」
「…マジかよ、マジで火山噴火すんのかよ。」
…やあみんな、ランナーだ。今エフy…『エイヤフィヤトラ』と通信が繋がっている。
エイヤフィヤトラことエフィはまっだまだ幼さが残る外見をしているが、バリバリの火山学者だ。
…そして40分も無線で話せるすげえ奴だ。
「ドクター、話はわかった?」
「…結論だけは理解できた。」
「わー、さすがドクター!僕は何も分からなかったよ…」
『嘘つけ、ぜってーわかってねぇだろ…』
と、出たがる言葉を押さえつけて適当に相槌を打つ。
なんか、また変なこと言ったらあの発火ヤローの冷たい視線を浴びる気がした。
ビ…ビビってねーし!!()
「あの二人が感心しながら熱心に話を聞くのを見て、理解出来てないのは僕とランナーくらいだと思ってた…」
「あぁ、そうだなぁ…話が…って、なんで勝手に数に入れられてんだよっ!?」
「だって〜、ランナーは絶対わかってないと思ってたんだし〜」
「何も言わなかったら調子に乗りやがってぇ!!このしっぽ!」
「ま…まあまあ、二人共落ち着いて…」
必死に止めようとするドクター、少し声を小さくする俺、…何かに怯えている様に見えるプロヴァンス。
…ん?怯えてる?
「あなた達ぃ…?そんなに大声で何を伝えようとしているんですの?」
振り向いた先には鬼の形相で俺を見つめるスカイフレア、いやん//恥ずかしい//*1
「おっ…おうスカイフレア、何もねぇから続けてもらって…アッハハ…」
「インフェルノ!!」
「うぐわぁぁあっつッ!?」
渾身のインフェルノの吹き飛んで行く俺、窓にぶつかると思ったその時。
「…よいしょ。」
「はっ!?おまプロヴa」
ガタンッ!!
プロヴァンスは冷静かつ俊敏に窓を大きく開けた。
そして、吹っ飛んで行ったランナーは…窓から外に放り出されていた。
「う"ぎ"ゃ"ぁぁぁぁ!!?プロヴァンス貴様ァァァ!!!」
「バイバーイ!」
プロヴァンスはいい笑顔で手を振って吹き飛んで行くランナーを見送った。
あいつ、後でレッド呼んで来てやる。
「…さて、ちょっと煩い人が居なくなったから今の内に用件を話しましょうか。」
「あ…あの、さっきの…ランナーさんはご無事なんですの!?」
「あぁ…大丈夫だよ、セイロン。日常茶飯事だから。」
「そうそう、茶飯事だからね。」
「そんな…彼、良い人ですのに…」
「まぁ…良い人なのは本当だね。」
_____________________
「…っ痛ぁ、擦り傷やばいぜホントによぉ…。」
クソほど遠くまで飛ばされて、着地をミスりかすり傷だらけ、コレは痛い!()
「…はぁ。戻るのめんどーだなコレぇ…。」
んまぁ、そんなん考えてても仕方ない。と、歩みを速めるランナー。
「ん…?あれは…」
歩みを進めるランナーの目線の先には、白髪に金色に輝く羽毛をたなびかせ、身の丈の半分以上はあるであろう刀を片手に持つ黒いコートに身を包んだ大柄な老人、そのコートの背には大きくロドスのロゴマークが描かれている。
「おーい!!おっちゃーん!!」
その老人の名は『ヘラグ』ロドスの中でも指折りの歴戦の猛者である。
「おや…ランナーか。」
「なーにやってんだ?…お!まさかおっちゃんもこのリゾートに遊びに来たわけか!?」
「ハハハ…流石に私にリゾートなんてものは、もう遅すぎる。私は、かのアーミヤC.E.O.に頼まれてドクターの監督役としてここに来たのだ。」
「あぁ…なるほど。大変だなぁ…ドクターも、おっちゃんも。」
「そうかもしれないな、アーミヤ嬢は少しドクターに厳しすぎるかもしれない。…だから、今私はドクターの下を離れている。これで彼もつかの間の自由を満喫出来ているだろう。」
「おっちゃんは優しいなぁ…って!そうだ!ドクターだドクター!!」
ランナーがそう激しく声を上げると、へラグの目付きが目に分かるように一瞬で険しい物となった。
「ドクターに何かあったのか…!?」
「ドクターの奴!またなんか変な事に頭突っ込もうとしてるんだよ!」
「…詳しく聞かせてはくれないか?」
「むう…火山が…、ドクターの所に急ぐぞ、嫌な予感がする。」
「おう、おっちゃん。俺もなんかそんな嫌な感じがしてきた所だ…行くぜおっちゃん!!」
_____________________
「おっちゃん!大丈夫か!?」
「心配は無用だ。体力はまだそこまで衰えてはおらん。…っ!?あれは!」
「えっ…?ドクターーッ!?」
走ってドクターの待つホテルへと向かっていた2人の目に写ったのは、一際目立つ格好をした長身のフェリーンの女性1人と、スーツを着た男達に取り囲まれている
「あの声は…!ランナー!!助けてくれぇッ!!」
「なんだッ!?仲間か!?」
「…おっちゃん。俺が切り込む、後ろは任せてもいいよな?」
「…あぁ、構わん。…全力で駆けてこい!!」
「おっっしゃぁぁ!!」
「なっ…!なんだこい…ぐあっ!?」
「げっ…!迎撃用意をッ!」
「遅えッ!!」
「ぐえっっ!?」
ランナーは目にも止まらぬ速さで敵陣へと切り込むと、そのままの勢いで敵に飛び蹴りを食らわせ、回し蹴りが流れるように敵に突き刺さる。
「撃てっ!!撃て速く!!」
「戦場で…余所見をするのでは無いッ!!」
「ウグッ!?」
敵がランナーに釘付けにされている間にへラグが後方から敵を切り伏せる。まあ、全て峰打ちなのだが。
「ドクター、ここは私達に任せてもらおう。行くんだ。」
「さあ行け!ドクター!セイロン!走れっっ!!」
「ランナーさんっ!!…と見知らぬ人!ありがとうございます!」
「ランナー!へラグ!ありがとう!…セイロン!速く逃げるぞ!!」
「はっ…はい!!」
ランナーとヘラグに指示され、ドクターとセイロンは一目散に走り出して行った。
「なぁおっ…将軍、こうやって…オラァッ!!背中を預けて戦うのも久々だなぁ!」
「おっちゃんで…フンッ!!構わんよ、ランナー。調子が狂う。」
「んじゃお言葉に甘えて…、それじゃおっちゃん。敵を殺すのは…?」
「下策だ。」
へラグの返答に対してランナーはニッと笑った。
「へへっ…!あいわかった!」
「何をブツブツと…!!」
「ああん!?ブツブツ言って何が悪ぃよ!?」
「…A小隊とB小隊、遠距離から敵を引き付けろ。C小隊は、後ろから回り込んで包囲しろ。」
「ほう、傭兵団の戦術か……。」
「傭兵団?こりゃまた面倒だな。」
「それなりの実力は備えているようだな。いい教官がいたのだろう。だが、それでは足りない。」
「シュヴァルツさん、あ、あのジジイと足野郎。マジで強えっすよ。」
「誰が足野郎じゃこの野郎!!」
「確かに、レベルが違うな。周囲で周りを固めていろ。」
「…」
「…?おっちゃん?」
へラグは少し黙り込んだ後、小声でランナーに話しかけた。
(…ランナー、分かるか?)
キィン!
(…すまねぇ、おっちゃん。あのフェリーンがクソ強そうって事しかわっかんねぇ。)
メキャッ!!
(それさえ分かっていれば、上出来だ。…あの女性、只者ではないな。)
ジャキンッ!
(普通のボディーガード程度では私に傷をつける事は叶わんが、彼女は脅威になりうる。)
「無知なよそ者め……。」
(おっちゃん、あいつ怒ってるぜ。)
ドグシャアッ!
(あぁ…それにしてもこのような実力…彼女は一体…)
「さすが経験豊富な傭兵と言うべきか。守るべきお嬢様が攫われても少しの動揺も見せないとはな。」
「当たり前だ!俺たちのリーダーは昔…むぐっ!」
何かを言いかけた護衛にシュヴァルツと言うフェリーンはクロスボウを突きつける。
「黙っていろ。」
(む?待て…クロスボウにフェリーン、そしてシュヴァルツと言う名前…)
(おっちゃん…?なんか気づいたのか?)
(あぁ、どこかで聞いた事のある名だ…)
(oh…マジかよ)
(1つ…頼んでもいいか、ランナー)
(おう、なんだって言ってくれよ。)
(この場を強行突破してドクターの下に向かいたい、少しばかり心配だ。)
(なーるほど、なら行ってやってくれ。)
(ただ…しかし…)
(大丈夫、俺の心配はしなくてもいいぜ、おっちゃんは
(なら…任せた。)
「…待て、あのジジイ何するつもりだ!?」
へラグが刀を構え、今にも飛び出しそうなくらいに姿勢を前に傾ける。その直前にへラグはランナーに話しかけた。
「…ランナー。」
「…どした?」
「信頼してるぞ。」
「…へへっ、任せとけって!」
その瞬間、へラグは閃光のような踏み込みで前へと駆け出して行った。
「こちらに突っ込んでくるぞ、気でも狂ったか!」
「は、早く止めろ!!!」
「遅い!!」
前方に走り出したへラグはまるで猪のような速さで人混みを進んでいく。
「ヒュ〜!やるねぇ!さすが将軍!」
「まだあの足野郎が居るぞ!こいつは確実に殺せぇ!!」
「あらま、こわいこわい。」
するとランナーは勢いよく息を吸い込み、大きな声で叫んだ。
「hello nice to meet to you!!さあ今からは俺が相手だ!かかって来やがれ!!」
なんだか怪しい英語を叫んで挑発するランナー、その効果は敵面だったようだ。
「…敵は1人だ。A,B小隊は前へ、C小隊は私と共に援護射撃だ。」
「へっ、そんなチンケな編隊なんかで俺を倒せるとでも思ってんのかぁ?」
「総員…かかれっ!!」
「ならよ…作戦ごと潰してやるわぁッ!!」
ダンッ!!
「なっ!?」
「あいつッ…!何処だッ!?」
「上だこのボケカスッッ!!」
「ぐげぇっ!?」
掛け声と共に宙へと跳ね上がったランナーは、隊員の1人に向けて物凄い速度で急降下し、『メキ、バキャッ』と、生々しい音が聞こえた後、その隊員は膝から崩れ落ち泡を吹いて気絶していた。
「さぁ…まず1人目だァ!!!」
「ヒッ!あいつ…!さっきのジジイと違ってやる事がえげつないぞッ!?」
「勝てるわけがねぇっ!!」
「逃げろォォォッ!!」
ランナーを見て背を向けて一目散に逃げ出す隊員達を見て、ランナーはため息をついて睨みつけた。
「…逃がすかよ、このアホカスが。」
「…っ!?」
まさに一瞬だった、蚊の鳴くような声で言葉をいったすぐ後、逃げ出した隊員達が先程の隊員と同じ様に泡を吹いて倒れていた。
その場に居た一般隊員誰もが衝撃に思った。なぜなら、ランナーが攻撃をした動作。そして、
…それは、一般隊員とランナーの力の差を示すにはあまりにも決定的だった。
「…速いな。」
たが、たった1人。たった1人だけその行動全てをその眼に捉えていた。
「…なんだぁ?見えてんのか。ケッ!やっぱ傭兵育ちは違うなぁ!?」
「…お前たち、速く逃げろ。」
「えっ…それじゃあリーダーは…!」
「これは命令だ!速く走って逃げろ!」
「はっ…はい!!」
「逃がしてたまるか…よっ!!」
再びランナーが空へと跳び、狙いを定める。そして、今急降下しようとしたその時。
バシュッ!!
「っ!?」
突然何か細長い物がランナーの頬を掠った。
恐る恐るランナーは頬に手を当てる。
ピリッとした痛みと共に手を見ると、そこは細く赤に染っていた。
「…矢…か。」
「…見えていますよ。」
「…おっちゃんの言った通り、やっぱお前は強えわ。だから…」
_____________________
「『この場で殺す』…でしたっけ?」
「おぉい…もう辞めてくれぇ、そんな事を言った俺をぶん殴ってやりたくなるからさぁ。そんな戦闘描写を鮮明に語らなくてもいいからさぁシュヴァルツぅ。」
「ほぅ…その時に私と約束した。『下策はしない。』と言う約束は一体どこに行ってしまったのやら…」
「いやぁ…なんかテンション上がっちまっ…おっちゃん!?!?」
「どうも、へラグさん。」
「これはこれはシュヴァルツ殿。昔話とは、いい物ですね。」
「お…おっちゃん。お…怒ってる?」
「………。」
「なっ…!なんか言ってくれよぉ!?」
「…ハッハッハッ!冗談だ。怒ってなどいない。現にこうして彼女は生きているのだからな。…と、言っても。本当にランナーが彼女を殺せたのかは怪しいがな。」
「…そうですね。勝負は拮抗、結局どちらが勝った判定なのかは私も分からずじまいです。」
「俺もわかんねぇや、んま、気にしなくてもいいんじゃね?」
「…私、聞きたい。」
「…あれ?ラファエラさん?」
ラファエラは話の続きはまだかと目を輝かせている。
「それでは、確かその後は…」
「シュッッヴァルツさん!?」
_____________________
「…この場で殺す。」
「…っ。」
シュヴァルツは目の前の男から立ち上る殺気を嫌という程理解出来た。自分と同じ目をしているのだ。
「…よっ。」
音を立てず、それでも速く、目の前の敵は宙に飛び上がる。
(確かにあの男の強襲降下は厄介だ…だが、まだ未熟だ。)
シュヴァルツは気づいていた。確かにランナーの降下は速いが、高さが頂点に達した時に完全に無防備になるということに。
(狙うはその瞬間…!)
当てたら勝ち、外したら死。こんな極限状態の中、シュヴァルツは自身を落ち着かせる為に自分に言い聞かせた。
「格好の的です…!」
バギャンッ!!!
シュヴァルツの改造クロスボウから放たれる鉄製の矢は、もはや矢の発射音で無い音を響かせながら弾丸の様ににランナー目掛けて飛ぶ。
ちょうど最高点に達した所のランナーには、もうどうしようも出来ないと思われたその時。
「嘘だろッ!?…オラァッ!!!」
空中でバキバキと言わせながら体を捻り、その足で鉄の矢を蹴る。
「そんなっ…!?」
鉄の矢はピシッとその身にヒビを走らせ、その次の瞬間に真っ二つに折れた。そして、その次に聞こえてきたのは。
「ッッッッ!?!?痛っったぁ!?」
ランナーの叫声だった。
見るとランナーの足に、先程折れたばかりの矢の半分が見事に突き刺さっている。
「ちっくしょう!クソ痛えじゃねえかよこの野郎!!」
だがしかし、ランナーは墜落する間もなく速度を上げシュヴァルツの下に降下する。
「っ!?2発目をッッ…!」
「読めてんだよッッ!!」
「ッ!?なんだとッッ!?」
シュヴァルツが再びクロスボウに手を掛けた瞬間、ランナーは空中で半円周上に頭を支点に回転する。*2
ギリギリ2発目が間に合ったシュヴァルツはランナーの足が当たる前に引き撃ちをしようと試みる。がしかし、回転しながら来るランナーを見て距離感がわからない。そして最終的に射ったその矢は。
「痛っったっっ!?」
見事ランナーの肩に命中、そのせいで軌道がズレたランナーは、クロスボウをその足で叩き割る事しか出来なかった。
「…私の負けです。さようなら。見知らぬ人。」
「ク…ソ野郎!逃げるんじゃねぇぇぇぇッッ!!!」
そう叫ぶランナーの声も虚しく、シュヴァルツはいつの間にか姿を消していた。
_____________________
「ランナーさん、格好いい…!」
「どこがだよ、ただ俺がボコボコに負けたってだけなんだけど。」
「…あれは、私の実質的な運勝ちです。」
「だよなっ!?それ見た事か運だけ野郎っ!!」
「…」
「えっ、ちょっ。シュッッヴァルツさ痛い痛い痛い痛い!!!無言で関節技はダメだって!足の関節は止めてくれっ!関節はッ!いたいたいたいたい!!」
「ラ・プルマ殿よ、運は時折最も頼らなければならないものだ。覚えておくといい。」
「はい、わかりました。」
「そして、戦いの運と言うものは、己の経験が多いほど確率は高くなっていくものだ…。まあ、私の持論だがな。」
「…ふぅ、戦いの年季ならば。ランナーは私の足元にも及びませんよ。」
「ううっ…、そんな本気で関節決めなくてもいいじゃねえか…。」
「痛かったね、ランナーさん。よしよし…」
「痛かねぇ!痛かねぇぞ!だから止めろラファエラぁ!!」
「えー?…わかったよぉ。」
「続きの話は私がするとしよう。確かその次は…ランナーとセイロン殿が2人で居た所…だったか。」
「…ランナー…さん?」
「ヒュッ。」
おっちゃん…なんでここぞって時に地雷落とすんだか……まあ、嫌いじゃないぜ、おっちゃん。
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらドンドンご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
では、次回もお楽しみに。
活動報告の方もよろしくお願いします。