意外と長くなってしまってキリが悪いと言うことで一旦切ります。いつもより少し短いです。
「痛っっってぇ…チッ!あの野郎…!!」
やあみんな、ランナーだ。さっきドクターとセイロンを包囲していた連中をへラグのおっちゃんと共に半壊させてやった。そんでおっちゃんが離脱したその後、黒いフェリーンとタイマンしてボロボロに負けちまった。
ちくしょう、あの野郎いいトコ撃ちやがって。おっちゃんになんて言えばいいんだか…
「…あ、居た。」
木やビルを飛び移りながら移動していたランナーはすぐ斜め下辺りに話をするヘラグ、ドクター、セイロンの姿を見つけた。
「うっ…よう、お前ら…」
半ば倒れ込むようにランナーは着地した。
「ランナーさん!!」
「ランナー!?」
「ランナー…!?」
「あぁ…大丈夫大丈夫、死ぬ訳じゃないんだから…」
「まずは治療です!その矢を抜かないと…!!…っ!?まさか…!」
ランナーに刺さった矢を見るなり顔を白くしていくセイロン。彼女はランナーに話しかけた。
「この…この矢は…誰にやられたんですの…?」
「ランッ…!」
ドクターが何かを言いかけた気がしたが、怒りと屈辱からランナーはすぐ答えた。
「クロスボウを持った黒っぽいフェリーンだよこんちくしょう…!」
「っ!?」
セイロンは目を見開いて俯いた。ドクターとへラグは目を閉じて何も言わなかった。
「え…?何?何があったんだよ…?」
「ドクター、へラグおじ様。わたくしはとりあえずランナーさんの治療に当たります…。そして…少し…時間を頂きたく…」
「…お願いするよ。ランナー、とりあえず治療を受けてもらってね。」
「ありがてぇ…。」
ランナーは先に歩くセイロンを追おうと少しずつ歩き出した。
すると、そこでへラグが声をかけてきた。
「ランナー。」
「…おっちゃん?あぁ…すまねぇ。俺…負けて…!」
「そんな事は気にしなくていい…、ランナーはよく頑張ったさ。…そしてランナー。悪いがそのまま頼み事がある。」
「…はは、今の俺にできることならなんでも。」
「セイロン殿と、しっかり話をしてあげてくれ。今の彼女には理解者が必要だ。」
「…よくわからねぇけど。…わかった。任せてくれよ、おっちゃん。」
そう言うとランナーは再びセイロンの行った方に歩き出した。
「…将軍、ランナーとセイロンは大丈夫だろうか?」
「私は心配して居らんよ。場所は違えど傷を負った者同士、打ち解けるのは容易い事だ。」
「だけど、傷を負わせた者が問題だ。彼が復讐心を持っていなければいいんだけど。」
「ランナーなら、大丈夫だ。さあ、信じようでは無いか、ドクター。」
「将軍が言うなら大丈夫だな。…まあ、私自身もランナーなら大丈夫だと思っていた所さ。」
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「…っ!はぁ…っ、はぁ…」
「もう少し我慢してください…あと足に刺さった矢だけ…。」
セイロンがランナーの足に刺さった矢に手を掛けた瞬間、ランナーに物凄い激痛が走った。
皮膚の中で、刺さった矢とランナー自身の源石が擦れ合い、少しずつ肉を削る。
「ぐぅっ…ぁっ!!」
痛みに耐えきれず、ランナーはセイロンの手を払い除け、力ずくで刺さった矢を引っこ抜いた。
「ランナーさんッッ!?なんてことを…!」
「悪い…セイロン。我慢出来なかった…。大丈夫大丈夫、後は自分でするから…」
「いえ…わたくしに任せてください。後は止血を…」
「なんだぁお前…なんか元気ねぇなぁ…、どした?」
「…ランナーさん。聞いてくれますか?」
「ったりめえよ…俺よりまずはアンタの方が大事だ。さ、言ってみ。」
「ありがとう…ございます。それじゃあ早速お願いがあるんですけど…散歩に付き合って貰えません…?」
「あぁ、いいぜ。止血も済んだことだしな。少々体を動かしたかった所だ。」
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「ランナーさん、ご存知?わたくしが幼い頃は、このビーチはあまり人気のない所でしたの。よく一人で、砂のお城を建てて遊んでいました。」
「この都市は、お父様が市長を務めるようになって、年々素晴らしい都市になっていきましたのよ。」
「あぁ、確かにいい都市だ。すげえんだな、お前の父さんは。」
「そう…ですね、ですが…わたくしとお父様は、なんというか、普段からあまり会話がある方ではございませんでした。」
「ずっと考えていましたの、わたくしとお喋りするよりも、都市のことやお金儲けの方が大事なのではないかって。」
「…なかなか重いな。」
「お母様は、わたくしを産む際に亡くなりました……。時折、それが原因でわたくしの事を嫌っているのでは無いかと考える事もありました。」
「…」
「お父様は、わたくしがどう思っているのかすら、気にしていない様子でした。物心ついた時から、家にいないことが多くて……親子と言うより、同じ家に住んでいる他人の様でしたわ。」
セイロンは何か思い出すような素振りをした後、話を続けた。
「シュヴァルツが側にいるということは、わたくしにとっては生活の一部、当たり前のことになっていました。」
「そうか………ん?シュヴァ……」
「…そうです。貴方を撃ったフェリーンの女性です。」
「oh……なるほど…」
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「どうして?」
「私が鉱石病になってしまったからです、セイロン様。」
「私の側にいるとお身体に毒となります。必要な際に呼んでいただければと…」
「それは何?痛いのかしら?」
「…痛みはありません。ですが、最後には命を落とします。」
「不治の病とされています、セイロン様。」
「それに……。」
「そんなもの!わたくしが治してみせるわ!!」
「フンッ、待っていなさい!このわたくしが、いつかきっと鉱石病なんか打ち負かして、シュヴァルツを取り戻して見せますわ!」
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「へぇ…なかなか思い切りのある奴なんだな。お前って。」
「わたくしが源石の研究に取り組みたいと思ったのも、感染者になった彼女を治したいと思ったからなの。」
「これが長い間、わたくしを支えてきた原動力となりました。この夢の為に、ヴィクトリアに留学することを決意しましたの。」
「難解な源石の研究は、初めは右も左も分かりませんでしたわ。何度諦めようと考えたかは覚えていませんが、それでも最後までやり抜きました。」
「ヴィクトリアはシエスタとは違う異国の地。研究の事を抜きにしても慣れない生活でした。」
「ですが今となっては、わたくしはシエスタ人というよりは、ヴィクトリア人と言った方がしっくりくるまでになりましたわ。」
「…ランナーさん。わたくしが手に入れたと思っていたものは、まさか全て嘘だったのですか?」
ランナーは深く考えた後、口を開いた。
「いや…まあ…その、正直な話さ、俺にそんなん分かるはずないんだわ。」
ランナーは言葉を続ける。
「俺はドクターみたいな人身把握術を持ってないし、そもそも俺らは今日が初対面だ。つーか多分ドクターでも無理。」
「…ふぅ、そうですわね。確かにランナーさんには知る由もありませんものね。」
「…ランナーさん。わたくしは諦めるべきなのかしら?」
「…そうだなぁ。…今回はたまたまお前の頑張りが空回りしただけなのかも知れないし、そもそもお前の頑張りなんて意味の無いものだったかも知れないな。」
「…」
「だけどさ、お前がやってきた事には変わんねえ。お前はあのフェリーンを助けるためにここまでやってきたんだろ?」
「…はい。」
「なら、それでいい。いくらそれが空回りして、矛盾して、意味がなくて、終わりが見えなくなったとしても。お前はそれだけを見て進めばいい。」
「そう…ですね。」
「なーんだ?まだ葛藤してんのか?なら、ここでお前の思ってること全部言ってみろ、今なら俺しか居ねぇぜ?」
「…それでは、お言葉に甘えて。」
セイロンはゆっくり、だがしかしはっきりとした声で話し始める。
わたくし達は、鉱石病に勝てるの?
わたくし達は、鉱石病患者を救えるの?
この災害に、終わりはあるの?
終わりは見えない。なんの確証もない。答えもわからない。
諦めてもいいのかしら?ええ、きっといいと思う。
だけど、諦めたくない。
「残酷だよな、この
「だからさ…自分を信じてみてもいいんじゃねえか?」
セイロンは深く頷いたあと口を開いた。
「…あなたの言う通りですわ、ランナーさん。」
「私のやってきた事は無駄じゃない、そうですよね?」
「…ああ。」
「ありがとう、ランナーさん。少し私も踏ん切りが着きましたわ。」
「ともかく、今のわたくしがやるべきは、ここであれこれ考えるのではなく、粛々と証拠を集める事ですわね。」
「そうだな……って証拠?え、なんの事?」
「あっ、そうでしたわね。ランナーさんは知らなかったんでしたわ。」
「っ!?はぁぁぁぁっ!?なんじゃそのアホは!!?利益優先?ざけんなクローニン!」
「シッ…!声が大きいですわ…」
「おっ…と、悪い。つい。」
「…もし、彼らが本当に市民の安全を放棄して危険に陥れるつもりなら、何がなんでもわたくしがそれを阻止しますわ。」
「それにわたくしは、自分が正しいと信じています。ですから、たとえ1人になったとしても、この都市を救うために最後までやり切りますわ!!」
「おっ、いいねぇ。のった!よし、これでお前が1人になることは無いな!」
「ランナーさん…!」
「いい啖呵の切り方だ。」
「話は着いたみたいだね。」
「あ、ドクターとおっちゃん。」
「あ、ドクターとヘラグおじ様。」
「どうやら、心の整理はついたようだな。」
「はい、ランナーさん、おじ様、ドクター。わたくしの話を聞いてくださるかしら?」
「どんな状況にあれ、シエスタの市民が危険に晒されるのだけは避けなければなりません。わたくしにとってそれが最優先事項です。」
「ギャリソン遊園地の付近には、シエスタ市で最大の放送タワーがありますの。シエスタの放送システムは全てあそこで管理されておりますわ。」
「放送タワー?」
「ええ、しかしあの一帯はクローニンさんの管轄区域でもあります。彼もよく市内全域に向けた放送を行っていますわ。」
「クローニンの野郎…猫かぶってやがるなぁ…!」
「ライブの開始時間で人が集まってきたタイミングであれば、クローニンさんの部下たちも仕事で忙殺されているはずです。」
「そのタイミングで放送局を乗っ取って、シエスタ全域に火山の警報を流す…こういう事でいいかな?」
「はい、その通りです。ドクター。ですから何とか皆様のお力添えを頂ければと思いますの。」
「あぁ!手伝うぜ!」
「ここまで来たのだ…見捨てるわけにはいかん。」
「全員、助け出そう。」
「みなさん…ありがとうございます…!」
セイロンは晴れ晴れとした顔で叫んだ。
「それじゃあ…行きますわよ!!」
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらドンドンご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
では、次回もお楽しみに。
活動報告の方もよろしくお願いします。