「皆様!燃え上がる太陽の如く盛り上がってますでしょうか!?」
「さあ!黒曜石祭最大のメインイベントを迎える用意はいいでしょうか!?」
「本日12時より、各ショッピングモール、娯楽施設、及び一部のレストランとバーにて事前イベントが開催されます。」
「今夏一番アツいイベントをくれぐれもお見逃し無く!」
青く広がる海、広く輝く空、大音量で流れ、これから始まる祭の余興を示す放送。
シエスタ民の誰もが待ちわびて祭を待つさなか、ある部屋の一室では…
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「外がやけに静かだがどうした?資材の搬出を急げと言ったばかりなのに、もう怠けているのか?」
「なんだ?それに先程の叫び声は、まさかまた揉め事でも?まあいい、こちらはやるべき事をーー」
「こんにちは。すみません、いらっしゃいますか!お荷物のお届けに上がりました!」
突然男たちの声の中に1つの少女の声が紛れ込んだ。
(なに?誰か心当たりのある者は?)
(いないだと?変だな……)
「間違いだ!ウチ宛じゃない!」
「ですが荷物はこちらに送るよう書いてありますよ?」
「立ち去れ!これ以上グダグダ言ってると痛い目に会うぞ!!」
「……」
「チッ、ガキか。まあ金を騙し取りに来たってとこだろうな。」
「…あーもういい!ドクター!危ないからどいてて。このドア蹴破るから!」
「えっ、蹴りは俺の専売特k((」
「えっ?ランナーに任せろって?大丈夫!そのくらいの力ならあたしにだってあるから!」
「なんだぁ!?」
「はあッ!!」
バキッッッ!!
「うわぁぁ!ドアが破られただと、くそっ、お前は一体ーー」
「…ランナー、この蹴りは?」
「ちょっとばかし力が入りすぎだな。かっこいいとこ、見せたかったんじゃねぇの?」
「うるさい!!」
「ゴッハァァアッッ!?!?」
「…へへ、一回やって見たかったんだ。そしてこう言うの…」
「うん、コホン、はっ!」
「開けろ!宅配だ!」
「もう蹴破ってるから意味無くn((」
「オラッ!」
ドゴッ!
「ヴッ!?!?」
「あれ、やりすぎちゃったかも。」
「ヴィ…グナ…おま…え…」
先程からやりたい放題しているのは『ヴィグナ』、赤いツノが特徴のサルカズの少女だ。
「まあ、ランナーなら2分経てば復活するでしょ。さあドクター!今のうちに探し物をとっとと探しちゃって!」
「わ…わかった!」
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「この…潰…め、こ…な小娘…り止めら…ないのか!?」
「う…ん…?」
騒々しい音に思わずランナーの目が覚める。
「ですがあれはサルカズです!それに相手は他に何人もいます!!」
ランナーの目に映ったのは、ウィグナを取り囲む武装した兵士達と、その後ろで怒鳴り散らす胡散臭そうな眼鏡をかけた男。
(…あれがクローニンか。)
「『何人もいる』じゃない、『何人かしかいない』だ!」
「けどさ。その何人かにやられるくらい、お前らが弱っちいってことだろ?」
「なっ…!?おま…ぐっ!?」
ランナーは目にも止まらぬ早さでクローニンの首根っこを掴む。
「あら、ランナー。起きたのね。」
「お前がそうしたんだろうが。」
「く…くそ…!鬱陶しいロドスの連中め…!」
「ねえランナー、こいつら、オリジムシよりも弱っちいんだけど?」
「ロクに訓練も積んでないようなやつじゃ、こんなもんだろ。」
「は…早く増援を集めろ!!」
「ですが、クローニン様……」
「無理ですよ。勝てません、あの小娘1人ならまだしも足野郎もいます…集めたところで絶対に勝てません!」
「『ですが』などない!下がるな!」
「あーあ、可哀想に。部下たちは物分りがいいのにその雇い主が馬鹿だな。」
「ふぁーあ……ドクター、まだ見つからないの?ライブに間に合わなかったら一生後悔しちゃうじゃない!」
「えーと待ってねぇ…。おっ…あったあった、帳簿と債券だ。」
「あ、見つけたの?やっぱり叩けばホコリって出るもんなんだね。メテオリーテ姉さんが言ってた通り、時には暴力も必要なんだね!」
「過剰火力…」
「なんか言った?」
「いえっ!何も!」
「く…クソっ!」
クローニンは背を向けて一目散に窓へと駆け出す。
「まあいい!逃げられさえすれば後のことはどうにでもなる!」
「…あ"?」
「あーあ…それじゃあねみんな、後はよろしく。」
ウィグナがため息を着き部屋から出ていく。
そしてクローニンが窓に手をかけたその瞬間。
ドゴッ!ガシャン!パリィィィン!
「ヴッ!?」
クローニンは空中で1回転し、そのまま顔面をガラスに叩きつけ、ガラスを割った。
クローニンの顔に刺さったガラスが血と混ざり赤色にキラキラと輝く。
「逃げる…だぁ?馬鹿野郎。お前みたいな奴は絶対に逃がさねぇ。」
「ぐっ…!ぐぅぅ…、痛いぃ…!」
「…どうする?ドクター。」
「もうここに居る意味もない…この資料を持ってここから出よう。」
「オッケー、なら資料は私が持つよ。…ランナー!行くよ!」
「…あぁ、わかったよ。」
「ぐっ…うぅ…!助けに来い!早く助けに来い!!」
顔から血を流したクローニンが必死の形相で割れた窓から叫ぶ。
「その窓、前回はドクターとセイロン殿が脱出する時に使ったようだな。そして、今回は立場が逆転してシエスタのトランスポーターが飛び出してくるとは。人生とは儘ならぬものだ、そう思わないか?」
クローニンの叫びに答えたのは彼の部下ではなく、1人の貫禄ある老人の声だった。
「おっ!おっちゃん!」
「ランナー、そしてドクター達。無事で何よりだ。」
「当たり前よぉおっちゃん!!そっちこそ無事で何よりだぜ!」
老人はおっちゃんことヘラグであった。
「お…お前ッ!私の部下はどこだ?私の部下をどこにやった!?」
「ここに居られては観光客の邪魔になるのでな。ついでに、こちらのお嬢様二人は、もう待ちくたびれた様子だぞ。」
ヘラグがそう言った後、窓の外から1人のリーベリとフェリーンが入ってきた。
「シュヴァルツ…。お前たち2人が一緒にいると言うことは…。」
「証拠はもうこちらにある!もう逃げられないぞ!」
「ドクター、油断はするなよ。窮鼠猫を噛むと言うからな。」
「こいつはドブネズミだけどなっ!」
「お前ら…お前ら…!!」
「あなたの計画はもう全て露呈しているわ、クローニン!」
「くぅ…ッッ!お前ら…分かってるのか!?」
「…まだ、何か言うつもりですか?」
クローニンが何かを訴えようと目をかっぴらいて叫び出す。
「今となっては、ヘルマンの名など何の威厳もありはしない!」
「あなた何をッッ…!!」
「私はここ数年で部下たちを育てた!しかも皆私の命令を忠実にこなすことで美味しい生活ができるということを知っている!」
「まだお前そんな………っ!?」
クローニンの態度に心底呆れたランナーは再び彼を蹴ろうと彼に近づこうとしたが、その前にいるシュヴァルツの圧倒的な殺気に近づくことが出来なかった。
顔こそ見えないが、今の彼女はきっと鬼のようなかおをしてきるのだろう。
「ハハハ!今日がこの都市と音楽祭のクライマックスだ!ここ数年で私は十分に報酬を溜め込んだからな、もうこの場所などどうなっても…」
「セイロン様、申し訳ありません。」
「えっ…?あっ、シュヴァ…」
ドゴッ!!
「ウゲェッ!?」
「おぉ…やるねぇ!」
「この都市がどうなってもいいだと…?ふざけるなッ!お前一人の私利私欲で私の故郷を…!愛している場所を…!!」
「失わせてたまるものか!この《シエスタスラング》!!!」
「シュヴァルツ…!!」
シュヴァルツはそう叫びながらクローニンを殴打する。
心做しかクローニンの顔の形が変わっているように見えるのは気のせいか。
「あいつ…タフだなぁ。」
「君が言うな。…ん?誰か来た。」
「…ふぅ。」
「お…ぐえ…」
「はぁ…君には心底失望したよ。クローニン。」
ランナーがクローニンのタフさに感心していると、溜息をつきながら1人の落ち着いた感じの男性が入ってきた。
「お父様…!!」
「お父様…って事は!ドクター!」
「そう、この人がシエスタの市長。ヘルマンだね。」
「初めまして、ロドスの皆様方。せっかく来ていただいて、自己紹介や茶の1つも出せなくて申し訳ない。」
「いいんですよ、ヘルマン市長。まだやることがありますから。」
「失望…?失望だと?失望したのはこの私だ!家を失い、ゴミ箱の中で雨を凌いだ日々を私は永遠に忘れない!生活を変えるには金が必要なんだよ!なのに…!アンタは私達が苦労して集めた金をあの感染者のゴミ共に使おうとしている!」
「感染者の…ゴミ共…?」
一体この男はどれほどの地雷を踏み抜くのだろうか。ランナーはもう我慢ならないと言った様子でクローニンに近づき足を上げる。
その時だった。
「…ん?セイロン?」
一足先にセイロンがクローニンの傍に近づき屈んだ。
そして。
バシンッ!!!
「いっったぁッ!!顔の中のガラスがぁっ!!」
しんと静まり返った中に響くビンタの音。
「…最低。」
皆が静まり返る中で放たれたその言葉はクローニンの心を大きくえぐるものになったに違いない。
そしてセイロンは微笑んでランナーの方を向いて言った。
「ランナーさん、わたくしもやる時はやるんですのよ?」
それに答えるようにランナーも微笑む。
「くっ…!ははっ!お前最高!!」
「本当に強くなりましたね…セイロン様。そう思いませんか?旦那様。」
「…そうだな。」
ヘルマンは再びクローニンに向かって声をかけ始めた。
「私の下に15年もいて、君は本当に何も学んでいない。唯一学んだのは、姑息な悪知恵だけだったようだな。残念だよ。この愚か者め!」
「愚か者だと…?フフ…ハハハハハ!!」
緊迫した空気の中、突如としてクローニンが笑い出す。ここにいる全員がすこし呆気に取られた。
「何故笑う。」
「愚かなのは…呑気なお前たちの方だよ!」
ゴゴゴゴゴゴ…
「なんだ?」
「なんだよ!?まさかお前変身するのか!?」
「んなわけないでしょ。」
「これは…まさか噴火の前兆の地震!?」
「はぁ!?1番やばいじゃねえか!!」
「来た、フフ…ついに来たぞ!この都市と共に灰になってしまえ!今から放送タワーを占拠しても、もう遅い!警報を出したところで市民がパニックになって逆に事態が悪化す「うるせえ!!!」はべし!!!」
「ドクター!どうなさるの!?」
「…ロドス各院に連絡を入れよう。ちょっと待ってね、今端末を…ってあれ?」
「ドクター、どうした?」
「エイヤフィヤトラから着信が来ている。しかもさっきからずっとだ。」
「エフィが?…っ!?まさか何か!!」
「シッ…静かにしろ、ランナー。走る音が聞こえる。」
そうヘラグが言ったつかの間、バダンッ!とけたたましい音を立ててフェリーンとヴァルポが飛び込んできた。
「ドクター!ドクター!」
「大丈夫ですの!?」
「ああ、プロヴァンスとスカイフレア。ちょうど良かった。」
『先輩!先輩!聞こえますか!!火山の分析が完了しました!今から対処すれば、まだ間に合うかも知れません!』
「エイヤ、聞こえてるよ。わかった。」
「ドクター!火山が活性化した原因が分かったんだ。今回の噴火は阻止できるかも知れないよ!」
「プロヴァンス、エイヤと同じタイミングで聞くよ。」
『皆さん冷静に聞いてください。今から説明する方法を実行することで、必ず火山の活動を沈静化できます。』
_________________
「了解した。では、役に立てる事があるのなら、私達も手伝うとしよう。」
「…はい。」
「いえ、この件はわたくしたちにお任せ下さい。クローニンはこれだけ長く秘密工作を続けていたんです。彼の手下が都市の至る所に潜んでいると考えて間違いありませんわ。」
「やる気だな、セイロン。」
「ええ、もちろん。ランナーさん。今が1番大切な時です。シュヴァルツ、ヘラグおじ様。2人ともやるべきことがあるはずですわ。」
「ですがセイロン様、それは別の者に任せた方が
、危険ですよ…!?」
「シュヴァルツ、これはわたくし達が往くべき任務なの。」
「セイロン…」
「僕も賛成だよ。天災トランスポーターに火山学者、源石学者と僕達はそれぞれの専門分野でプライドがあるんだ。自分たちが予見出来ている危険が市民を脅かしているのに、何もしないなんてできない。しかも、そんな専門知識を使ってみんなを騙して、自分ばっかりいい思いをしてきた人がいるなんて、同じ天災トランスポーターとして、絶対に許せない。」
「君にこんな真面目な一面があったとは。その心意気や良し。では市長殿、観客を避難させる任務、私が手伝わせて頂こう。」
「感謝する。シュヴァルツ、君も行きなさい。」
「ですが…」
「セイロンが出来ると言っているのだ。」
「ハッ!セイロン様、どうかお気をつけて!」
『決まりましたか?もうあまり時間はありません!』
「ええ!直ぐに出発いたしましょう!」
「ランナー、君も行ってくれないか?」
「それを聞くのは野暮だぜドクター、行くに決まってら。」
「じゃあランナー、またセイロンさん抱えて走って!」
「あいわかった、じゃあセイロンどうぞ。」
そう言ってランナーは後ろを向いた。少しばかり、シュヴァルツとヘルマンの目が怖かったのは彼は気にしないようにすることで手を打った。
「なんで後ろを向くんですの?さっきみたいに正面からでもいいんですのよ?」
「「正面…??」」
「正面、視界、塞ぐ、邪魔。あと急げセイロン。」
「急ぎましょうランナーさん!」
ランナーはセイロンをおぶって部屋を飛び出して行った。
「しっぽ!私達も急ぎましょう!」
「うん、わかった!」
続いてプロヴァンスとスカイフレアも走って出ていった。
「セイロン…まさか…」
「悪い…いや、いい知らせでしょうか…?」
「あ、いや多分そういう事じゃないと思うよ。」
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「火山の向こう側にこんな大きい洞窟があったなんて。」
「元々は自然にできたものなんだろうけど、黒曜石の採掘の為に掘られ続けてこんなに大きい洞窟になったんだと思う。」
「にしても暑すぎるな。洞窟って基本涼しいものじゃないのか?」
「そりゃ火山ですもの。」
「あ、そっか。」
「みんな準備はいいかい?きっとかなり長く歩く事になるよ。僕たちの目的地はこの洞窟の1番奥にある。」
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「ちなみにさ、なんでお前ら火山の活動止められるって分かったんだ?」
「ええ、これは私としっぽが火山内部の探索を行い、その後エイヤフィヤトラが導き出した結論なのですが…原因はオリジムシなんですの。」
「え、えぇ…?オリジムシ?俺この休暇中に乱獲しちまったんだけど…」
「それとは別種のオリジムシだよ、カザンオリジムシ…まあ、ヨウガンオリジムシでいいか。見た目は普通の奴と全く同じなんだけど、黒曜石を食料としているんだよ。」
「ああ、なるほど。この地域の人らが黒曜石を取り尽くした結果奴らの食料が減ってる…とかそういう事か。」
「大体そういう事よ。」
「では、わたくし達はこれから何をしますの?まさか、無理やり溶岩をせき止めるだなんて言わないでしょう?」
「まさか、強いて言うなら『この場所の主を落ち着かせる』と言ったところかしら。」
「急ごう、さらに奥まで。」
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「あっっっついな…」
「もうすぐ着くはずだよ…ん?…みんな気をつけて!」
ーーーーーー!!!
「この音は何!?なんだか凶暴な何かが…」
「凶暴なのはもちろんですわよ、この虫たちの知能では単体で住処を拡張するなんてことは不可能よ。となればどこかに必ず特別な女王オリジムシがいるはず…」
「それが、『この場所の主。』ってことですのね。」
1人音のなる方を見に行っていたランナーは1度屈んだあと小走りで皆の元に戻ってきた。何やら信じられないものを見たかのように震えている。
「えっ…と、もしかしてさ。あれの事かなー、だなんて…」
「えっ…なに…いぃぃぃ!?」
「えっ…あれを虫なんて呼んでいいんですの!?」
「まるで動く小さな火山ですわ…」
「えーと、お二人さん。まさかとは思いますが…あれを倒すとか言わないですよね………ね?」
「無論、倒しますわ。」
「こいつを巣に帰らせないとここまで来た意味はないよっ!」
「あの…俺…『前衛』なんですけど。」
「何とかしなさい!」
「あぁん辛辣ぅ!」
「ランナーさん!小型のオリジムシがいっせいにこっちに向かってきますわ!」
「セイロン、下がってろ。こんな虫蹴り飛ばすのに1秒もかかんねえよ。でも数が多いなぁ!?」
ランナーが足を振り下ろす事にグチャグチャと不快な音と体液が広がる。体液はこの温度に耐えられず直ぐに気化し、異臭が漂う。
「うえ、くっせえ!セイロン、もっと下がれ!体液が着くぞ!」
「大丈夫ですランナーさん、わたくしは覚悟してここに来ていますの!こんな液くらいでへこたれませんわ!」
「いいねぇ!いい面構えになったじゃねえの!じゃあちょっと無茶するぜぇ!」
「ああちょっと!ランナーさん!」
ランナーは勢いよくオリジムシの群れに向かって走り出し、群れの前でスライディングをして見せた。
スライディングに巻き込まれ土埃を上げながら虫の群れを轢き殺して行く。
いくら轢き続けてもランナーは失速することは無かった。
「よし!こっちは収まったぞ!そっちはどうだ!?」
「攻撃し続けていますが、怯む様子が…っ!」
「弱点らしきものは見つけたんだけど…っ!殻が…!」
「…チッ、じゃあその弱点を出せばいいんだろ!?俺の攻撃に合わせろ!」
「何をする気っ!?」
ランナーは答える間もなく壁に向かって走り出す。
「壁に向かって何をっ…!」
「違うね!もっともっと上だッ!!」
「えっ…?えええぇ!?」
洞窟内にセイロンの驚声が響き渡る。それもそうだろう。なんせランナーが
(位置調整よし、高度…よし!行くぞッッ!)
「殻砕けろやオラァッ!!」
バキィッ!!!
「今だプロヴァンスッッ!!」
『おっけー…いい『鮮血の匂い』だ…!…ハァッ!!」
「ーーーーー!!!」
「やった!あいつが帰って行きますわよ!」
「ナイスプロヴァンス!」
「ランナーこそ流石だよ!」
「これで都市も市民も一安心ですわね!やりましたわランナー!…ランナー?」
「あ…いや、あのスカイフレア。目のやり場が…」
スカイフレアの服は激しい戦闘の代価に所々が燃えてしまっていた。ランナーが目を背けるのも納得である。
「ランナー…見たら殺しますわよ。」
「いや、見ねえよ!?」
「フフ…わたくしももう立っているのでやっとですわ。ですが…街で待っている人がいますから、戻ら…ない…と。」
「あぶねぇ!」
「きゃあっ!?」
突然前に倒れ込むセイロンもランナーは抱き抱えるように抑えた。
「おっ…と悪い、すぐ離すから。」
「いや…、ちょっとこのままで居させてくれませんか?ちょっとしんどくて…」
「もう!セイロンさん。気持ちは分かるけど立っていられない程の時は仲間の手を借りないと!今回はランナーがいち早く気づいたから良かったものを!」
「すみません…ランナーさん。ありがとうございます、今日だけで何度も何度も…。」
「いいってことよ、これでお前の街の危機も一件落着!さっさと帰って俺は残りの休暇を楽しまねえと行けねえんだ!」
「なら!わたくしがこの街のオススメスポットを案内してあげますわ!」
「のった!じゃあさっさと戻るぞ!!」
「っ!はい!」
ランナーはセイロンも抱えたまま勢いよく洞窟の外へと走っていった。
「あーあ、行っちゃったよ。ランナーったら、まだあんな元気が残ってただなんて。」
「…この都市は遅かれ早かれ…か。」
「しっぽ。」
「あ!今行くから!…スカイフレア。」
「分かっていますわ。」
スカイフレアは空を仰いでゆっくりと口ずさむ。
「この都市の未来は、現地の皆様の判断に委ねましょう。もうきちんと判断できる専門家はいますし、わたくし達が手出しするべき問題でもないでしょう?」
_________________
「ふーん…で?その後どこ行ったの?」
「シエスタの映画館とか…喫茶店とか…」
「…」
「…ラファエラさん?」
「じゃあ、ランナーさん。今度休暇とって?ドッソレスを案内してあげるからさぁ〜」
「そう簡単に休暇なんか取れるかよ、もし行ったとしてもエルネストに連れてってもらった方が気が楽だね。」
「そう…かな…」
「ランナー…近いうちに行ってあげなさい。」
「ええ、ランナー。女性から見たらそれはタブーですよ。」
「ええ、マジかよ。女物の店は苦手だ…。」
「じゃあさ!映画館行こうよ!」
「おっ、いいねぇ!また予定組んどくか…」
「言質とったからね?」
「怖え事言うな。…っと、すまん。ドクターから電話が。」
「私もちょっとバックヤードに行ってくるね。」
「それでは、ランナー。」
「さようなら。」
「おう、それじゃ。」
_________________
「…ヘラグさん。私、彼の事をどこかで見たことがあるんです。」
「ほう、ランナーか?それはまたいつの話だ?」
「…殺し屋時代。確かに私はこの目であの顔をどこかで見たことがあったのです。当時の彼はあどけない少年でしたが…。」
「シュヴァルツ殿はカジミエーシュに行ったことは?」
「ええ、何度か任務で。確か…紙や写真…。」
「…まさか。彼がそんな。」
「思い出しました。そう、彼を確かにひ・み・つで。」
「…何故だ?」
「…ごめんね♡。」
「…ますます意味が分からない。」
「同感です。」
やっと終わりました。シエスタ編。次は活動報告のやつかな。
黒塗りについてはまだノーコメ。
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらドンドンご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
では、次回もお楽しみに。