俺だってまだ強くなれる   作:朝鮮朝顔

13 / 15
帝国

ライオンのような金髪。深紅の目。煌びやかな衣装。

帝国の中でも有数のマジックアイテム。

内装も最上級の執務室。

 

 

帝王であるジルクニフである。

 

そしてジルクニフは現在極度のストレス状態にあることをおくびにも出さず目の前の男と対談している。

 

「あなたが法国の切り札のカミビトだと?それでいったい帝国に何をしに?」

 

いつもなら帝国最強魔法詠唱者(フールーダ)がとなりにおり、四騎士もいた。しかしフールーダは転移の魔法を使って来たであろうエルフを見て目を覆って失神し、四騎士もこの場にいた3人が気絶させられた。使えるのは自分の頭と今までの経験だけ。ジルクニフは自分を奮い立たせる。

 

「簡単なことですよ。法国と同盟を結んでほしい。

…とりあえずさ。俺の下についてくれる?」

隊長は威圧した。ジルクニフはその場で気絶しそうになる。本能的にこの男との格の違いを理解する。ジルクニフは頭がよい。隊長はジルクニフなら格の違いで要求を飲むと考えた。

 

「......法国ではなくあなたの下に?」

 

「神官長には伝えたよ。率直に言うと人間国家を統一するつもり。そのときに君の頭脳が欲しい。」

 

人間国家の統一、周辺国家最強の軍事力をもつスレイン法国ならできるかもしれない。いや目の前の男一人でも可能だろう。

 

「.....分かりました。では後日使者をそちらに送ります。そして声明文を周辺国家に発表します。」

 

「いや、それはいらない。上層部だけが法国の属国となっていることを知っていればいい。なるべく情報は秘めときたい。」

 

属国―先代から続いている帝国が実質終わってしまった。それをなし得た理不尽で強大な力にジルクニフは苛立ちを覚える。

 

「そんなことよりフールーダの貸し出し、異種族の解放、一番大事なのがラナー対策をしてほしい。」

 

ジルクニフの頭には黄金と言われる美貌の皮を被った化け物が浮かび上がる。

嫌いな女ワースト1位が頭に浮かび、さらに苛立ちを募らせる。

 

「法国でも分かってるがあの女の頭脳を何とかしたい。」

 

情報を秘めときたいというのはあの女のためだと理解する。

 

「.....私にもなにを考えてるのか分かりません。敵につくなら殺してしまった方がいい。法国なら容易いでしょう?」

ぜひ自分としては、そうして欲しいので本音が少し漏れてしまう。ラナーが死ねば嬉しい。暗殺失敗でも法国の手札が見れる。

 

「そうなんだが......あれだけの頭脳は欲しい。...それは後に回そう。」

 

「異種族の解放は一度にすると反感を買いますので段階を踏んでやっていきます。もとのスレイン法国が奴隷の売却をやめるのが前提ですが」

 

「それはどうとでもなる。力ずくでも。」

 

この男一人で法国の全勢力を敵にまわせるということに目眩を覚える。しかし同時に法国の全権を握っているわけではないと理解する。

 

「フールーダの貸し出しはいつでもどうぞ。しかし帝国にとっては様々な重役ですのでなるべく短期間にしていただきたい。」

 

自分の頭脳が欲しいと分かっているので強気で交渉に望む。

 

「分かってる。法国は外交下手だから周辺国との交渉は任せるからよろしく。」

 

交渉の全権をこちらに渡してきた。この男は無条件に俺を信じているようだ―なぜ?しかも法国ではなく独断で。一人で国家を敵にまわせるのに.....時間はかかるが法国として動けば俺にカミビトという存在を知らせずにすんだ―焦っているのか?何がこれ程の男を焦らせる?......時間、寿命?期限でもあるのか?

 

ジルクニフは高速で頭を回転させる。仮説を立てるがどれも決定打に欠ける。

正解に当たらずとも遠からず。歴代最高の帝王の名は伊達ではない。

 

「だから次は聖王国行くからついてきて。また迎えに来る。」

 

「へっ?」

予想をしておらず、変な声を出してしまった。咳払いをしてごまかす。

 

「国力が強いのは次は聖王国だろ?南北に別れているのに亜人から国を守れている。実力者も多い。トップはあれだが、補佐は優秀だ。」

 

カルカ・ベサーレス、甘い、甘すぎる支配者だ。支配者に向いてない人格である。補佐のカストディオは自分と同じ匂いがする。おそらく裏で工作をしているから統治が可能なのだろう。

 

二人とも第四階魔法を使える才能だ。

俺も少しは魔法使えて護身くらいできた方がいいのだろうか.....

 

「じゃあよろしく。」

せめてもの優しさか、気絶させたフールーダや四騎士を椅子に座らせていった。

そして来た時と同じように帰っていった。

 

隊長が帰っていった後もジルクニフはその場で様々なことを考えていた。しかし重要なことに気づく。

 

 

「名前きいてねえ!!」

 

 

執務室で怒鳴り、それでフールーダや四騎士が目覚めたのはここだけの話。

 

 




神人って何て読んでる?
自分はかっこいいのでカミビトと読んでます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。