俺は頭がよくないからどうやってあの二人を懐柔すればいいか分からない。俺が持ってるのは原作知識と圧倒的強さだけ。少なくともラナーには単純な強さだけでは懐柔できない。拷問でもしてみるかな。そしてそこに颯爽と俺が現れるみたいな?…全部バレそう。困った…そして聖王国…
第十階魔法 最終戦争《善》の王冠以外に用がないんだよな。使えるアイテムとか人材が他にあったっけ…?
「どう思う?ジル」
「俺に言われてもわからん。お前ら化け物に効く武器なんてそう無いだろ。少なくとも帝国には無い」
−ジルとはある程度仲良くなったと思う。化け物が来て世界征服するっていう話をどこまで信じたかは分からないけど。
隊長の人類のことしか考えてない純粋な考えが、ある程度ジルクニフの信頼を得たのだろう。
もっともジルクニフは仲良くなり、いつか帝国を復興させることを考えているとかいないとか
「それより竜王国はどうする?旨みが全く無いぞ。見捨てるか?」
「いやあそこには大量の経験値(ビーストマン)がいるから行くよ。」
「そうか。」(ケイケンチ?)
−時折出てくる言葉の意味が分からないが、分かってるように話を進めていく。
「それよりベサーレスを宗教のトップに立てようと思う。権力は持たせないが、権威は持たせる。そいつと俺が結婚して子供に王を継がせれば帝国は安泰だ。これで妹の方も国民も神殿も黙るだろう。あとは帝国と法国で亜人を殲滅してやると言ったら問題ないだろう。」
自分の結婚や子供でさえも政治の手札にする。
もう既にジルの心は壊れていた。
「殲滅はお手のものだろ?」
人の心ないんか?....
あちこちで断末魔が聞こえる。だがどれも人間のものではない。そして手をくだしてるのは俺ではない。
交渉はした。だが、無理だった。亜人にとって人間など食料でしかない。蹂躙はしたくないだが、犠牲は出したくない。
それで考えた結果が四騎士、フールーダ、六腕、である。いやデイバーノックは殺したから五腕か。
逸脱者1人にオリハルコン、アダマンタイト級9人。人間の中じゃ最高峰であるだろう。
しかしこれでもフールーダ除いてプレアデスの単体の足止め程度。
足りない。何もかも足りない。
経験と技術、武技でどこまでレベル差を埋めれるだろうか。
「第6階魔法《強酸爆発》」
「第4階魔法《雷爆騎士槍》!《炎焼騎士槍》!《氷葬騎士槍》!」
フールーダの第6階魔法の酸と現魔人の第4階魔法の槍がぶつかる。だが勝敗は歴然だ。飛びっ散った酸が槍を全て溶かし、亜人の体をも溶かしていく。
「ギャアアアアアアァァァア!!」
のた打ち回り、次第に動かなくなった。···結構えぐい魔法だな。
この亜人、即死魔法を防ぐアイテム持ってたはず。
「フールーダそいつの魔道具確保しといて」
フールーダに雑用をやらせる。しかし嫌な顔せずに頷いてくれた。よし現地のレアアイテムゲット。即死耐性はデカイ
さて作戦と呼べるものではないが、戦い方はこうだ。
フールーダは単体行動をして、遠距離系統種族との戦闘
他の八名の内、1名が頭と一騎打ち、他七名でその部下を抑える。負けそうなら1人が加勢する。ホントに危ない時は俺が入る。
この世界の物ではない神人の力はなるべく使いたくないからな。
結局人間側の勝利に終わった。死亡者なし。俺が入る事態にもならなかった。流石に現地のトップ層ではある。
しかし、結局ゼロ以外は加勢が必要だった。だが、一対一で格上に挑むという経験は糧になるだろう。
ゼロは満身創痍だが命に別状なし、他も死なない程度に疲労困憊である。フールーダだけ余裕であった。
しかもフールーダが
ローブル聖王国の主城、しかもその王女であるカルカ・ベザーレスの前にこの厳正な空間に似つかわしくない10体の亜人の首が並べられている。
驚愕に満ちた顔で王女はつぶやく。
「あの亜人達を......」
聖王国で一番強いレメディオスと同等の強さを持っていたはずの亜人を複数体討伐したのに驚きを隠せないでいる。
カストディオ姉妹の反応は真反対であった
(亜人の頭をこんなに!)
姉は単純に喜び
(姉さんと同等の亜人達をこの短期間で10体も......これが法国......)
妹は驚愕と疑問を
フールーダが耳打ちしてくる。
「あの王女と妹は第5階まで使えるようですな。若いのにやりなさる。」
第4階までって隠してたんだったけ。俺とフールーダがコソコソ話してるあいだもジルクニフが代表して話している。
「この通り帝国と法国はこの強さの亜人でも討伐が可能です。それで提案ですが法国から軍事顧問を出しましょうか?」
「いえそれには構いません。我々の力だけで大丈夫です。」
瞬時にケラルトが遠回しに拒否する
軍事顧問
他国に派遣されその国の軍事に関することを手伝う軍事関係者だ。
聞こえはいいが、その国の軍事の様々な情報を知り得るため警戒される。
「いいじゃないか!強いやつが沢山いだぞ!」
「姉さんは黙ってて!」
妹に叱られてしょんぼりするレメディオス
「いえ我が国にも優秀な人材が沢山おります。その力は別の国に使ってさしあげてください。」
そんなに力があるなら竜王国や王国を助けてやれよ。
というように聞こえるがこれは純粋な聖王女の思いである。もっとも聖王女のことを知らない人間が聞けば皮肉を言ってるようにしか聞こえない。
ジルクニフは彼女の性格を知っていたので、くだらない優しさだと心の中で思っていたりもする。
「そうですか。残念です。ですが帝国も法国も人間国家のためには助力は惜しみません。」
あっさり引き下がるジルクニフ。拍子抜けしているケラルト。何故軍事顧問を拒否するのか分かってないレメディオス。最後の言葉を聞き驚愕しているカルカ。
心の中でジルクニフは思う。
別に問題はない。軍事顧問などというのをあの妹が受け入れるとは思っていない。今回は帝国と法国の強さのアピール及び団結を見せにきただけである。亜人討伐はその踏み台そして実験だ。
(そしてあの隊長が言ったとおりに化け物が来ても制御すればいい。トップのやつに絶対服従ならそのトップを落とせばいい。やれるさ帝国歴代最高の頭脳をもつ俺なら…!)
ジルクニフの誤算としては自分よりも化物な頭脳が三つもあるということである。
ジルクニフ達が去っていったあと聖王国の三人は急いで話し合う。そして最終的には帝国、法国とは対立しない方向、頭がやられている内に亜人討伐を進めることを決定し、それぞれの床についた。
一人、ベットの上に寝ながら聖王女は考える。
(あの帝王の横にいた金髪の騎士。理想の姿....
今度ケラルトに相談して、話す機会を作ってくれないかしら…!)
聖王女は四騎士の激風に思いをよせる。
金髪に青瞳そして王に忠誠を誓う騎士
少しロマンチストな聖王女からすれば完璧な外見であった。そして内面も騎士らしい性格である。
ちなみにジルクニフからはニンブルを見る目が違うので何となく察していた。
(こいつの嫁ぎ先を聖王国にするのも有りだな....)
色々打算を考えているのも流石である。