ウマチューバーメイショウドトウ   作:ブリンカー

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見返りは?

 アドマイヤベガとの動画撮影の後、メイショウドトウは布団乾燥機を使うのが日課となった。馴染みのない物と思っていたが、これはこれでいい物だ。アドマイヤベガとしてはメイショウドトウが布団乾燥機を愛用してくれるようになっただけで大満足なのだが、あの動画を投稿したあと、紹介された布団乾燥機は品薄状態が続いているという。

 

 

 (みなさんも欲しくなっちゃったんですねぇ~)

 

 

 膨らんでいく布団を眺めながらメイショウドトウはのんびりと過ごしていた。しかし頑なに出演を断っていたのに何故出てくれたのか。態度が変わったのはエアシャカールに電話を変わった後だったと思い出す。まぁいいかと思いながら乾燥が終わった布団にダイブしてフカフカを楽しむとゴロゴロして満喫した。

 

 

 

 

 ところ変わってエアシャカール家。ここではエアシャカールとアグネスデジタルが動画の編集や次の動画のためのリサーチなどの準備が行われていた。アグネスデジタルはムフフと怪しい声をあげながら編集をしているが、動かしている手は高速だ。その様子は変態の2文字以外の言葉が思い浮かばない。

 

 

 「それにしてもアヤベさんが動画に出てくれたことによってデジたんの推しと推しが戯れる姿を記録に残すだけでなく間近でみることができるなんて・・シャカールさん本当にありがと~!!!」

 

 

 

 「さっきからうるせェんだよ・・お前から頂いた情報をダシにして交渉しただけだ」

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 メイショウドトウから電話がかかってきたあの日、エアシャカールは好機とみていた。メイショウドトウと同世代であるアドマイヤベガ。いずれこっちからコンタクトを取ろうと思っていた相手があっちからやってきてくれた。共演した動画を出すことができればバズること間違いなしだ。しかしメイショウドトウと違って、現役時代そこまで絡んだことのない相手なので、情報があまりない。事前に接触することが分かっていればリサーチできたものを。

 

 舌打ちしながらメイショウドトウにどう返事するか迷っていると、エアシャカールの後ろで動画編集をしながら うへへ と気味の悪い声を出しているアグネスデジタルになにか情報がないかと声をかけたのだ。アドマイヤベガに関して知ってることはないかと。アドマイヤベガという単語を聞いたアグネスデジタルは首をぐるんとこちらに曲げて

 

 

 

 「ももももっももしかして今ドトウさんのおそばにあああアアアあアドマイヤベガさんがおられるのですか!??」

 

 

 

 と興奮気味に聞いてきた。エアシャカールはめんどくさそうに返事を返すと色々な情報(8割はどうでもいい内容だった)を細々と語ってきたので簡潔にまとめさせて交渉に使えそうなものを抜粋した。

 

 

 (ふわふわねェ・・・ここを攻めるか)

 

 

 ふわふわ、あるいはもふもふした物を非常に好むという情報を手に入れたエアシャカール。満を持して交渉に臨んだ。

 

 

 

 「よォ。オレはエアシャカールって言うもンだが・・説明はいらないよな?単刀直入に言うぜ。ドトウの動画に出る気はねェか?」

 

 

 

 「断るわ」

 

 

 

 「勿論タダとは言わねェ。動画にでてくれたらこッちはそれなりの見返りを用意することができるぜ」

 

 

 

 「見返り?」

 

 

 

 「あァ。ありがたいことにドトウには今色々な所からこういッた商品を動画で紹介してほしいっていう企業から交渉が着ていてな。俗にいう案件ッてやつだ」

 

 

 

 「それで。その案件が今の私に何か関係があるのかしら」

 

 

 

 「それくらい今企業はドトウの動画に一目置いてるッてことだ。お前、ふわふわな物が好きなンだッてな。特に布団乾燥機には目がないとか」

 

 

 

 「それがどうかしたの」

 

 

 

 「オレが布団乾燥機の案件をとッてくるッて言ッたらどうするよ?」

 

 

 

 「!!」

 

 

 

 「勿論全ての企業から案件をとッてこれるとは思わねェ。だが最低でも2~3件の企業からはとッてこれるはずだ。気になってるんじゃねぇか?最新の布団乾燥機。それを思う存分確かめ、味わうことができるんだぜ?」

 

 

 

 「そんなこと・・!」

 

 

 

 「使ってみてぇよなぁ~・・新しい布団乾燥機。俺は詳しくシラネェけど布団乾燥機っていうのは一家に一台あれば普通は十分じゃねェのか?そうほいほいと買い換えるモンでもないはずだ。最新作を~って試す機会もねェはずだ。違うか?」

 

 

 

 「・・それは確かにそうね」

 

 

 

 電話越しにアドマイヤベガが揺らいでいるのがわかる。

 

 

 (畳みかけるか。何が何でも動画に引きずり出してやる)

 

 

 もう一押し。エアシャカールはまるで追い込み漁のようにアドマイヤベガの退路を断っていく。

 

 

 

 「でも、私はそういうの苦手なの。上手く喋れるかわからないし」

 

 

 

 「そこは問題ねェ。そっちが好きなように話してくれていい。商品について思ったことをありのままに語ってくれる方がレビュー動画としても参考になるし、よほどやばい時はこッちでカットなりなンなりできるから心配ねェよ」

 

 

 

 「でも・・」

 

 

 勝った。エアシャカールはとどめの一撃をアドマイヤベガに放つ。

 

 

 

 「もし仮に投稿した動画がバズってレビューした商品の売り上げが伸びた場合、企業はこう思うだろうなァ。 ドトウにもっと依頼しよう と。様々な案件がくるわけだ。その影響力をいかしてこっちから案件をとりにいくことだってできる。それこそ、 ふわふわ な物だってな。想像してみろよ。自分の手元にありとあらゆるふわふわやもふもふな物が集まってくるんだぜ?」

 

 

 

 「ふわふわな物が・・私のところに・・」

 

 

 

 「そうだ。布団などの寝具、ふわふわなタオルだってくるかもなぁ。そういえば今度ドトウが牧場にいく企画も考えているンだがそこには羊やアルパカもry」

 

 

 

 「でるわ」

 

 

 

 「そういッてくれると助かるぜ」

 

 

 

 「でも勘違いしないで。あくまでドトウに頼まれたから出るのよ。決してふわふわに釣られたわけではないわ」

 

 

 (こっちとしては出てくれれば理由なンてどうでもいいんだけどな)

 

 

 見事に?交渉成功したエアシャカール。メイショウドトウが共演を喜んでいた裏では水面下で色々なことが起きていたのだ。

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 「もうこんな時間なんですねぇ」

 

 

 

 メイショウドトウは携帯でネットサーフィンをしていたが、いつの間にか時間がすぎていたことに気が付いた。そろそろ寝てもいい時間だ。メイショウドトウが部屋の電気を消そうと立ち上がった瞬間、布団に置いておいた携帯が鳴る。ビックリしたのか相手を確認せず急いで電話に出るメイショウドトウ。電話越しの声はかつて毎日のように聞いていた懐かしい声だった。

 

 

 

 「やぁ!!久しぶりだねドトウ。元気にしていたかい?噂に聞いたところによると動画投稿を始めたらしいじゃないか!かつての盟友である君とボクとの仲だ。出演してあげたいのはやまやまだがボクも多忙の身。そちらに出向くことが今しばらく叶わない。ならば逆にドトウをこちらに是非招待したいと思ったのさ。この招待状、受け取ってくれるかな?」

 

 

 

 「えっ、えぇぇぇ~!?い、いいんですかぁ~?」

 

 

 

 「はーっはっはっは!遠慮は無用だよ!それにアヤベさんやトップロードさんには声をかけたのに主役であるボクに声をかけないなんて水臭いじゃないか!主役がいないオペラなど果たしてオペラと呼べるのかい?さぁ!ボクとキミの物語第2章をはじめようじゃないか!」

 

 

 

 突然ではあったが、旧友からの電話に喜ぶメイショウドトウ。それから少しの間、昔話に花を咲かせたのであった。

 

 

 

 




 読み返してみたらなんかエアシャカールが詐欺師みたいになっちゃいました。
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