ウマチューバーメイショウドトウ   作:ブリンカー

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山羊の王

 「ヘーイドトウ!お久しぶりデース!」

 

 

 

 「お久しぶりですぅ~タイキさん」

 

 

 

 そういうとメイショウドトウに駆け寄ってハグを求めてくるタイキシャトル。おろおろしながらもそれにこたえるかのようにメイショウドトウは手を広げてタイキシャトルを受け入れた。

 

 

 

 「オーゥ、二人もハグしまショ~!」

 

 

 

 そう言うとタイキシャトルはエアシャカールとアグネスデジタルにもハグをし始めた。少しうっとおしそうなエアシャカールと、とても喜んでいるアグネスデジタル。そして思わぬご褒美?にアグネスデジタルは声にならない声をあげていつものように気絶した。

 

 エアシャカールは事前にタイキシャトルの働いている牧場側とコンタクトをとって見学できないか尋ねた所、見学だけでなく撮影の許可をだしてくれたので、日程を調整し、こうして3人は牧場にやってきていた。そしてその案内人がこのタイキシャトルというウマ娘だ。

 

 タイキシャトルは現役引退後、日本に残り、とある牧場で働いていた。祖国に帰るという手もあったのだが、日本の環境が気に入ったため、そのまま住むことにしたのだ。日本ではBBQを頻繁に行わないためそこだけが不満ではあるが、日本の空気を気に入ってしまったのだからしょうがない。牧場側も面接にきたタイキシャトルを一発採用し、今に至るというわけだ。

 

 現役時代から何故か一向に上達しない日本語を喋っているタイキシャトル。はたして案内人が務まるのかどうか疑問ではあったが、なんとかなるだろうとエアシャカールは撮影準備に入る。気を取り戻したアグネスデジタルも同様に準備に入っていた。

 

 「タイキさん、今回はこの牧場の魅力を沢山教えてくださぁい」

 

 

 

 「モチロンデス!ワタシに任せてくだサーイ!」

 

 

 

 そう言いながら片手をグッと空に向かって掲げながら笑顔で快諾するタイキシャトル。案内されるがままに一緒に歩きながら説明をうけるメイショウドトウ。タイキシャトルの日本語は時折意味がわからないところはあるものの、十分伝わるレベルであったので問題はなかった。エアシャカールはむしろしっかりと説明できているタイキシャトルに驚いていた。

 

 

 (正直もっとグダるかと思ッたが、そうでもないみたいだな)

 

 

 タイキシャトルが次々と話題を繰り出し、それに楽しそうに相槌をうつメイショウドトウ。午前中は乳牛の乳しぼり体験や、加工食品づくり体験を終え、やがてお昼になった。

 

 

 

 「そろそろお腹もハングリーになったことですし、ランチにしまショー!レッツパーティータイム!バーベキューデス!」

 

 

 

 「あ・・あのぅ~。ここはレストランでご飯を食べたほうが・・」

 

 

 

 いきなりの提案に戸惑うメイショウドトウ。このままだと夕方までバーベキュータイムになりかねない。エアシャカールがすかさずタイキシャトルに説明すると、悲し気な声で ノ~・・ と意気消沈したタイキシャトル。

 

 

 (でもバーベキューでもよかったかもしれないですぅ・・)

 

 

 声には出さないものの、心の中でメイショウドトウもちょっぴり残念がっていた。

 

 

 

 「お腹一杯になりまシタ~!お昼からの案内も頑張りマスヨ~!」

 

 

 

 食事を終え、少しの間休憩となった。外のベンチで座りながらメイショウドトウとタイキシャトルは小話をする。エアシャカールとアグネスデジタルは少し離れた所で打ち合わせをしているようだ。昔話をワイワイと話している2人。その2人に奇妙な鳴き声をあげながら近づいてくる生き物がやってきた。

 

 

 

 「にゃ~ん」

 

 

 

 「あっ、猫ちゃんですぅ。ここの牧場の猫ちゃんなんですか?」

 

 

 

 「ノー。このネコはワイルドネコデース。最近現れるようになりマシタ。でも全然懐いてくれマセーン」

 

 

 

 そう言いながらヨヨヨと泣きまねのポーズをとるタイキシャトル。メイショウドトウはおいでおいでと手招きをするも、猫はこちらをしばらくみた後、どこかにいってしまった。

 

 

 (そんなぁ~・・)

 

 

 振られた形となったメイショウドトウ。うなだれて落ち込むメイショウドトウはこの時自分にカメラが回されており、本編とは別にショート動画としてこの様子があげられることになるとはこの時思ってもいなかった。

 

 

 (振られて落ち込む様子のドトウさんも尊い・・!)

 

 

 

 

 「次は動物達と触れ合いコーナーデース!いっぱいハグしてあげてクダサイ!」

 

 

 

 「わわっ、山羊さんと羊さんがいっぱいですぅ!」

 

 

 

 お昼からは動物にエサをあげたりするふれあいコーナーに案内されたメイショウドトウ。タイキシャトルが用意した餌を手渡されたメイショウドトウはまずは羊の群れに近づいていく。羊の群れはメイショウドトウが餌を持っていることに気が付くと、わらわらと近づいてきた。1頭ずつ餌をあげて頭を撫でるメイショウドトウ。むしゃむしゃと餌をほお張る羊の様子に癒されたみたいで、可愛い可愛いといいながら餌がなくなるまであげ続けた。

 

 続いて山羊がいるコーナーにやってきたメイショウドトウ。餌をもっているメイショウドトウを発見すると山羊はぞろぞろと集まってメイショウドトウをあっという間に囲んだ。

 

 

 

 「な、なんか多くないですかぁ?」

 

 

 

 羊の時は他のお客さんの所にもぽつぽつと分散していたのだが、山羊に限ってはほとんどといっていいほどの山羊がメイショウドトウの元に集ってきた。もちろん餌をあげられる量には限りがあるので全員に餌をあげられないのだが、それでも山羊はメイショウドトウの周りを離れない。

 

 

 

 「ヤギはワタシには懐いてくれないのにドトウには懐いてマース・・寂しいデス・・」

 

 

 そう言いながら寂しそうな声をだすタイキシャトル。そんなタイキシャトルに返事を返す余裕などないくらいメイショウドトウは焦っていた。

 

 

 (あわわわわ。じゃあまずこの子に・・ってひえぇ!)

 

 

 メイショウドトウは足場の少ない状況の中、かがんで山羊の顔に餌を近づけようとした瞬間、山羊がぴょんとはねたため、山羊に頭突きをくらう形になったメイショウドトウ。思わず手に持っていた餌を手放したため、周りに餌がばらまかれてしまい、一瞬で手元から餌がなくなってしまった。散らばった餌を一瞬で食べつくした山羊達。時折メェーと鳴く声が響き渡る。

 

 

 

 「餌を落としちゃいましたぁ・・!」

 

 

 泣きそうになるメイショウドトウ。山羊達はこれで解散・・思いきやなかなか離れる気配のない山羊達。メイショウドトウが多くの山羊達に囲まれる異様な光景だ。

 

 

 

 「今ならヤギとハグできるかもしれマセン!」

 

 

 

 そう言いながら山羊の群れに近づいていくタイキシャトル。タイキシャトルが近づいていくと、山羊達は何かを感じたのか、サーっとひいていき、ドトウのまわりには山羊がいなくなった。

 

 

 

 「ノー・・」

 

 

 

 タイキシャトルの寂しい声があたりに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 「また来てくだサーイ!」

 

 

 

 その後も色々と周り、楽しんだメイショウドトウ。そして別れの時間となり、案内してくれたタイキシャトルと別れの挨拶を済ませて〆の挨拶をするメイショウドトウ。

 

 

 (今日もとっても楽しかったですぅ。またこん・・)

 

 

 うきうきな気分で帰ろうとすると、いきなり肩に大きな重みを感じた。

 

 

 

 「はわわ・・!なんでしょうかぁ!?」

 

 

 

 右肩の方を振り向くと、原因となっているであろう生物が器用にバランスをとりながらメイショウドトウの肩でくつろいでいた。

 

 

 

 「さっきの猫ちゃん?」

 

 

 にゃーんと返事の代わりに鳴き声で答えた猫はそのまましっぽを時折振りながらくつろいでいる。近くにあった柵を利用して飛び移ってきたのだ。先ほど無視してきた様子とは違ってどことなく気を許しているように見える。

 

 

 (撫でても大丈夫・・だよね・・?)

 

 

 恐る恐る手を伸ばし、頭を撫でるように触り始めたメイショウドトウ。撫でられた猫はもっとなでろと言わんばかりにメイショウドトウの顔付近に顔を摺り寄せてきた。

 

 

 

 「えへへ。可愛いですぅ」

 

 

 

 少しだけ猫と戯れてから牧場を後にしたメイショウドトウ達。車を運転するエアシャカール。疲れたのかすやすやと寝息を立てて寝ているメイショウドトウ。先ほどの猫との戯れるメイショウドトウの様子を思い出したのか、安らかな顔で気絶しているアグネスデジタル。3人の様子は三者三様だった。

 

 

 

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