(何か新しい動画をだしたほうがいいのでしょうかぁ)
メイショウドトウはお昼休みの休憩中に悩んでいた。ジェンガ回を筆頭に色々な動画をだしていった結果、かなり好評で再生数もかなり伸びた。しかしそろそろ自身で思いつくネタがなくなってきたのだ。再生数にはあまりこだわりがないドトウだったが、ネタ切れに関しては心配だった。 はぁ~ とため息をつくメイショウドトウを気にしてか、頼れる先輩の声がメイショウドトウに届く。
「何か悩みでもあるのかい?私でよかったらいつでも聞くよ」
「ハヤヒデさん・・」
ビワハヤヒデ。メイショウドトウの頼れる先輩であり、同じ事務員としても優秀なウマ娘である。
「ドトウ君の動画は私も拝見していてね。なかなか個性的な動画で面白いと思っているよ。動画関連とはまた別の悩みかい?」
「いえ・・実は・・――」
メイショウドトウは今悩んでいることを打ち明けた。簡潔にまとめればすぐに終わりそうな悩み相談をメイショウドトウは要領を得ない感じで話す。そんな状態でも ふむふむ と相槌をうちながら聞き役に徹してくれるビワハヤヒデ。やはり頼れる先輩だ。
「――という訳なんです~・・」
「なるほど。事情はだいたい把握した。つまり俗にいうネタ切れという状態に陥りそうだから何かないかということかな?」
「はっ・・はいぃ!それが言いたかったんですぅ!流石ハヤヒデさんです!」
「それほどでもないさ。まぁたしかにそうだな・・いっそのこと誰か詳しい人を助っ人として呼ぶというのはどうだ?」
「助っ人。ですかぁ?」
「ドトウ君は今シャカール君の力を借りているのだろう?だがシャカール君は動画投稿のノウハウは持っていない。正確には動画投稿に当たってどういう動画が流行るか、どういう編集が見やすいかという細かいところだな」
「確かにシャカールさんは自分でも初心者とは言ってましたぁ~」
メイショウドトウはエアシャカールとのやりとりを思い出す。齧った程度の知識はあるが、エアシャカールは専門家ではない。それに日頃からウマチューバーの動画を漁っていたわけでもないので手探りの状態がつづいているのだ。
「現役期間、我々ウマ娘がレースで走ることに集中するために色々とサポートしてくれるトレーナーという存在がいるだろう。今のシャカール君がそれにあたるというわけだな。だが1人だと手が回らない状態になる時もある。そういう時のためにサブトレーナーがいるチームもあっただろう」
「つまりサブトレーナーに該当するような人に助けてもらうってことですか~?」
「察しがいいな。その通りだ。今のドトウ君は「企画」という内容で困っている。ならばそういった知識が豊富な子に助けてもらうのが現状のベストだと私は判断する」
「もう1人ですかぁ・・・」
メイショウドトウは助けてくれそうな友人を頭に思い浮かべる。まずテイエムオペラオー。発想力や知識といった点においてはかなりありそうだが、その知識は偏っている(主に歌劇方面に)そしてなにより忙しい時期だろうし無理だ。次にアドマイヤベガ。なんだかんだで助けてくれそうではあるが、こういった方面の知識が豊富なイメージはない。そしてナリタトップロード。タレントなのでエンタメ部分においては1番詳しいだろうがこちらも多忙の身であるため無理そうだ。
(誰もいませぇぇん・・・)
自分の交友関係の狭さに泣きそうになるも、新しく誰かに頼るという発想がなかったメイショウドトウは一考の余地はありと考え、ビワハヤヒデにお礼を言うと、その日の仕事を終えて帰宅する。食事とお風呂を済ませてベッドに寝転がりながら携帯を握りしめ、エアシャカールに電話をかけるか悩む。10分程度どうしようか悩んだメイショウドトウだったが、勢い任せに通話ボタンを押すと、鳴り響くコール音が切り替わって救世主の声が聞こえるのを待った。
「あっ?どうしたんだよ?」
「あっ・・シャカールさんですか?私ですドトウですぅ・・実は相談したいことがあって・・」
「イヤオレの携帯にかけたンだから普通オレがでるだろ・・ンでどうしたんだ?」
「じつは・・――」
「なるほどな。実はオレもそれで悩んでいたとこなンだよ。最近動画の内容も単調になってるし編集もワンパターン。これじゃいずれ頭打ちになンのは見えてるな。ンでその候補って言うのはいンのか?」
「えっとぉ・・・」
「把握したわ。いねェのな。オレも一応探しとく。ただ期待はすンなよ?オレはそこまで交友関係が広くねェ。むしろ見つかったらラッキー程度だ」
「ありがとうございますぅ~!」
(あいつ絶対電話越しに頭さげてるな)
そう思いながらエアシャカールはメイショウドトウと通話を終えると、頭を悩ませる。探しとくとはいったものの、やはり自分は友達が少ない。ファインモーションに頼むなどもってのほかだ。ウマチューバーに詳しくてこういうネット関係の流行に強そうな友人。
(いや・・1人いるじゃねェか・・最もこっちの要請にこたえてくれるかどうかはわからねェがな)
そう思いながらエアシャカールは時間を確認して急いでダイヤルをかける。まだ電話がかかってきても迷惑じゃない時間のはずだ。長いコールの後、ボソッと呟くように相手がでた。
「・・・あのっ・・私めに何の御用でしょうか・・?」
「やっとでやがッた。単刀直入に聞くが、お前今仕事何をしてんだ?」
「えっ・・今は特に・・ウマチューブの切り抜き動画を作成してるくらいですね」
「じゃあ今は特にやりこんでいる仕事はないッてことだな?」
「まぁそうなりますね。シャカールさんが電話かけてくるなんて思ってなかったからビックリしちゃったんですけど何かあったんですか?」
「お前メイショウドトウが最近動画投稿始めたのしってるか?」
「ドトウさんの動画ですよね?もちろんバッチリおさえてます!普段はおっとりしているドトウさんが時折見せるキリっとした表情やどや顔が現役時代以外にも見れるなんて思ってもいなかったから本当に最高です!!!一見中身の無いような動画でも見れば見るほど味がでて最近だとジェンガ回でどんどん重ねていってるときに上に手が届かなくて手がプルプルしているところとかもう最高で80回以上見ててあぁあんな表情で一生けん」
「その動画投稿の手伝いをしてくれって言っ―――」
「喜んで!!!!!!!!!!あぁありがたき幸せぇーーーーーーー!!現役時代だけでなく引退後もドトウさんと絡めるなんてぇ~。むしろ私なんかが近づいていいんでしょうか?いや裏方としてなら十分あり、ありよりのあり!ちょっとぐらい近くでドトウさんの姿やおみ足をみてもバチはあたら」
エアシャカールは電話を無言で切ると無事?1名助っ人を確保することに成功したことに安堵した。相変わらずの変態っぷりであったが、そういった関係の嗅覚や知識量は豊富だろう。なんとかドトウに良い報告ができそうだと思ったら急に眠気が襲って来た。うとうとしながら時計をみると、すでにいい時間となっていた。エアシャカールはベットに身を投げドトウに報告メールをうつと、そのまま眠りについた。