魔術師になりました(泣)   作:アーロニーロ

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感想ありがとうございます。
久々に書くとあれも書きたい、これも書きたいってなりますね。後、久々にトリコを見ました。


早速、死地。

 あれから一通り現実逃避をした後、浜辺に転がっている倒木に腰をかける。そして、再度手紙に目を通した。

 

『この手紙を読んでいるということは貴方は無事に島に辿り着き、そしてあの子の目を掻い潜ることが出来たことでしょう。小舟に乗せたものを一通り説明していきたいと思います。まずその剣の名前は《ティルフィング》と言います』

 

「ティルフィング?」

 

 この剣って銘があんのかよ。そう思いながら剣を眺める。柄や装身具は金で出来ており、一見品のない装飾品にも見えるが断じてそんなことは感じられなく、剣を握るのが初めてな俺でさえもわかるほど実用性のある剣だった。一体いくらすんだよ……、と唖然としながら再度手紙に目を通した。

 

『鞘で分かりにくいと思いますが、剣の種類は細剣になります。念のために鍔部分を固く結んでいますが安易に抜いてはいけません。その剣は【常勝の剣】と呼ばれ、例え素人が払ったとしても岩や鉄をも布のように容易に裂く切れ味を誇りますが、れっきとした魔剣です』

 

 話を聞くだに恐ろしいな、ていうかなんだ魔剣って。厨二心くすぐられるじゃねぇかよ。少しだけにやけてきた頬は次の文に目を通してすぐさま元に戻った。

 

『恐ろしいことに一度抜けば誰かを殺さなければ鞘に収まらないのです』

 

「は?」

 

『そして、ティルフィングは3度の勝利をもたらすのと引き換えにそれが終わると持ち主に死の運命を与えるという性質を持ちます。六人の持ち主を渡り歩いてその半数と関係者たちを祟り殺しています。いいですか、バジル。それは保険です。本当にどうしようもなくなった時のみ、剣を抜きなさい』

 

 ここで1枚目の手紙は終わっていた。2枚目にはメモ帳について、3枚目には書物について、ちなみに内容は食べれる植物や果実についてだった。一通り、手紙に目を通した後に再度一通目に目を通す。何度も目を通す。何度も目を通す。何度も何度も目を通す。何度も何度も何度も目を通す。飽きるほど目を通して、フッと笑うと宙に向けて絶叫した。

 

「完全に厄介払いじゃねぇかァァァァァァ!!!」

 

 

「どーすんだよこれ!なんて忌物を俺に託してんだ!?」

 

 俺は憚らずやたら荘厳な剣を持って絶叫した。だって、当たり前だろ!?こんなのないよ!親父にも弟にも裏切られてお袋だけが救いだと思ったんだもん!?そんな矢先にこれって……。完全に「丁度いいや☆」って感じて渡しやがったろ、あの女ァ!!思いがけぬ裏切りにのたうち回った。すると、ある考えが浮かんだ。

 

「お袋の妄想ってオチでは?」

 

 考えてみればそうだ。そもそも武術やら剣術やらを完全に軽視している俺たちの一族がそんな名剣を持ってるはずがないよな?そう考えた瞬間、少しだけ楽になった。そもそも、3回しか使えない剣って使い道がなさすぎだろ。そう思いティルフィングを突き立てた。

 

 サクッ

 

 砂に何かを突き立てるような音が聞こえた。

 

 いや、ありえない、

 

 だって俺は倒木に突き立てたんだぞ(・・・・・・・・・・・)?しかも、鞘付きの状態で。そう思い恐る恐る音のする方へと目を向け、絶句した。

 

「マジ…かよ……」

 

 するとそこには剣の鞘が倒木に4分の1ほど埋まっていた。

 

 

 あれから色々とティルフィング(鞘あり)で試してみた。結果だけ言うと圧巻の一言だった。元々、自警団としての役割を果たしていた俺はある程度剣の扱いには慣れていた。故に、信じられなかった。鞘付きの状態でここまで切れ味があることに。

 

「まさかマングローブの木まで両断できるとは……」

 

 そう言いながら目線を向ける。そこには綺麗な切断面の切り株が転がっていた。元々、太さは大したことないため俺自身普通の剣でも一息に切ることはできただろう。だが、鞘ありでこの切れ味は明らかにおかしい。

 

「鞘から外したらどうなるって言うんだ……」

 

 まだ見ぬ、ティルフィングの本身に戦々恐々しつつも他の荷物にも目を通してみる。ティルフィングの衝撃に色々と持ってかれたが、他の荷物はどれも有用なものばかりだった。特に水筒と植物図鑑らしきものはありがたかった。地図もあったが迷いやすいマングローブ林で地図はあんまり意味をなさないため正直微妙だった。それでも、

 

「ここは資源が多いってことがわかっただけでもありがたいな」

 

 見た感じ湿地地帯が多いが、中央は陸地だと言うことがわかる。そして何よりも、

 

「随分と広いな……この島は」

 

 もっと小島くらいの大きさかと思っていたが地図の縮尺を見る限り、自身が住んでた島となんら遜色はないのではないだろうか?この島の豊かな土地を見る限り食糧もかなり多く取れると考えられる。すると、

 

「おっと」

 

 後ろから飛来してきた。飛来した何かを回避して体を回す勢いと共にティルフィングを投擲。飛ばしてきた主の顔面にブッ刺さり絶命した。攻撃してきたのは自身の太ももほど高さ誇る蛙だった。あまりの大きさに流石に目を見張ったが顔からティルフィングを引き抜く。昔の俺だったら生き物を殺して顔を顰める、内臓が飛び出てればゲロの一つや二つは吐いていた。しかし、

 

「もう慣れちまったんだよなぁ」

 

 過去は過去、今は今。地元で草食動物を狩って血抜きやらをおこなっていた俺からすると今更カエルの一匹や二匹殺したところでなんとも思わなくなっている。ましてや自警団を務めていた以上、いざこざやらで人を殴る蹴るなどの暴力沙汰にも慣れていた。我ながら血生臭いなぁ、と思いながら皮を剥ぎ、モツを抜いた。火おこしには若干苦労したが日が暮れる頃には火をつけてカエルを焼いて食らった。

 

「参ったな、思ったよりも理想郷だぞ?」

 

 島流しを食らった身としては正直拍子抜けするほど手ぬるく感じた。驚いたことと言えば現れた蛙の大きさくらいだった。食べ終わり、メモ帳に目を通す。手紙には『日記がわりに使え』と書かれていた。

 

「日記かぁ……。やってみるか?」

 

 そう思いつつ、今日は体を休めることにして火を消してそのまま就寝した。

 

 

 ○島流し×月■日、晴れ

 

 早速、宣言通り日記を書いてみることにした。この日記帳なのだが、割と大きく1ページにつき二日分かけることがわかった。余程のことがない限り1ページ使うことはないだろう。取り敢えず今日はひたすら歩いた、ただそれだけだった。こんなもんでいいのだろうか。

 

 ○島流し×月○日、晴れ

 

 取り敢えず、今やるべきことをまとめて見た。

1.水の確保。2.食糧の確保。3.寝床の確保。4.逐一、通った後を刻むこと。

 こんなところだろうか。現状、2と4はどうにかなりそうだ。

 4は通るたびにティルフィングを2、3回マングローブの木に刻めば良いから。

 2に関しては一昨日もそうだったけど明らかに常識外の動物……いや、怪物がいるんだが。今日とか前世で愛読してたトリコに出てくるなんちゃらタイガーにスゲー似てんのが出てきたんだけど。しかもやたらデカいの。百九十あるけど高さが俺の1.5倍はあった。素早くて苦戦したが今晩のおかずにしてやったよ。獣臭かったけどね。

 問題は1と3だ。特に1これがやばい。マングローブの湿地地帯だからだろうか蒸し暑い上に飲み水がない。マングローブの道管から水を啜ってやろうかと思ったが、海水を吸ってるから論外だった。とにかく隠すためか水筒も小さく飲み水が残り少ない。水の補給を最優先にしよう。

 

 ○島流し×月△日、曇り

 

 崖にぶち当たった。これは本当に運が良かった。理由は海岸から林を通って行って崖にぶち当たるのは二ヶ所だけだからだ。これで暫定的に居場所の特定ができた。食料は確保できなかったが昨日の肉を擬似的に作った燻製があったため特に問題はなかった。これは本当に幸先がいい。正直調子に乗ってもいいんじゃないだろうか?

 

 ○島流し×月▲日、若干の小雨

 

 崖沿いに歩いていると雨がパラパラとだが降ってきた。これ幸いにと服や大ぶりの葉っぱで雨水を受け止めて水を確保した。本当に水が底をつきかけていたため、これはありがたい。動物の頭蓋で作った器で熱してから水筒に叩き込んだ。残りの水の量が満タンなる前に晴れたが7割ほど増えた。明日は足元が不安定になるだろうから、気をつけたいと思う。 

 

 ○島流し×月◇日、晴れ

 

 蒸し暑い。その一言に尽きる。昨日、雨が降ったためか、それともマングローブ林が理由だからなのだろうか。いずれにせよ何にせよ蒸し暑いのに変わりはない。基本的に日陰を歩いて行ったが、それでも喉が渇いた。今日は早めに調査を打ち切って洞窟内で過ごした。道中で魚と蟹を捕まえたが、嫌にあっさり捕まったので少しだけ妙だと思った。まあ、栄養補給ができたからよしとしよう。

 

 ○島流し×月◆日、晴れ

 

 今日は静かだった。体力を消費するからあまり良くはないが、扱う剣が変わった以上、それに慣れるべく軽く鍛錬に勤しんだ。扱って見てわかったがティルフィングは切れ味こそ凄まじいが扱いは他の細剣と変わらない。ティルフィングは片手剣としては大型であり、動きは鈍重になりがちで、斬りつけるような動作はスキが出やすいため、素早くスキの少ない刺突攻撃が扱いやすいと感じられる。しかし、鞘の分もあってか他の細剣よりも重い。慣れるのに時間はそうかからないだろう。しかし、本当に静かだ。鳥の声すら聞こえない。

 

 ○島流し×月×日、曇り

 

 おかしい。獣が少ないにも程がある。昨日もそうだが、ここまで広い環境で鳥すら見当たらない。水も残り少ない。それに、一応備蓄はあるが燻製は割となんちゃってな出来損ないなため保存能力は通常の燻製よりも明らかに悪い。せいぜいもって後2日、正直明日には新しい食糧か、水場を見つけておきたい。

 

 ○島流し×月✖︎日、晴れ

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバ

 

      (文字が汚くなっていて読めない)

 

 

「本当にどうなってる……」

 

 そう困惑するほど周りはあまりにも静かすぎた。夜間になったが、今日も動物に一匹も出会うことはなかった。鳥や魚すら見ることはなかった程だ。食糧も無くなってきてピンチだが、それ以上に動物がいないある一つの理由が頭をよぎった。しかし、その答えに行き着く前に草むらから獣が飛び出てきた。

 

「また、あの猫か……」

 

 ティルフィングを構えてこちらに向かってくる大型の獣の眉間に向けて突きを放つ。突きは寸分違わず、眉間に直撃し、脳漿を辺りに撒き散らした。が、同時に疑問が湧いた。

 

「……何で回避しなかった?牽制のために放った技だぞ?これじゃあまるで」

 

 脇目も振らず逃げていたようじゃないか……。そう思った瞬間、

 

 ドオォォォォォォォォン!!

 

 何か凄まじく重たいものが落ちてきた。地面が地震が起きたかのように揺れ動く、そしてそれと同時に背筋に氷柱を突っ込まれたような怖気が全身に走った。

 

 ナンダコレ、ナンナンダコレハ。

 

 頭に疑問が振っては湧く。嫌がおうでも気配のする方に目線がいった。そして、見たことを後悔した。

 

 そこには8本の足を持つワニがいた。緑色の目と赤い身体が不気味に輝いている。問題はその大きさだ。どう見繕っても数十メートルはくだらないほどの大きさを誇り、その放つプレッシャーはワニというよりも化物のそれだった。

 

 ハルルルルルルルッ

 

 ワニがこちらに顔をむけて鼻をひくつかせる。動けない、声が出ない、ヘビに睨まれた蛙とはまさにこのことだなと自嘲しながらもどうすべきかと言う思考が全く浮かばない。ワニの顎門が大きく開く。『詰み』その言葉が頭によぎった。それと同時にワニの顎門は俺が仕留めた猛獣を咥えて閉じ、そのまま消えて行った。

 

 1分か、はたまたそれ以上経った。

 

「プハッ!ハハ、ハァ!ハァ!ハァ!ヒュウッ」

 

 自身が息してなかったことに気がついた。あまりの緊張に体が動かずに息をすることを忘れていたのだろう。そんな考察をしていたがもう一度あのワニが来るのを避けるため、俺はこの場から全力で待避した。

 

 胸に疼くナニカを無視して。




コソコソ小話ィ!
→実は魔剣ティルフィングは世界で12本しかない最上大業物に位置づけられるほどの名剣だったよ!でも、あんまりにも使い手を呪い殺すもんだから大業物にまで格下げされたんだ!見た目はプーサーの剣の横幅を細くしてクッソ禍々しくしたかんじだゾ!

因みに主人公だが、ワンピースは見なかったがワンピースの知識をある程度は知っているぞ。
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