一人で歩む幻想譚   作:wago

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気を付けていてもこけるときはこける

水を飲み、一息つくと 

 

今自分が置かれている状況について考え始めた。

 

服は死んだであろう時に着ていた甚平で、裸足、手には真剣、携帯もなく、勿論一文無し。

 

(詰んだ…)

 

このまま街に降りた所で警察に職務質問され、銃刀法違反で署までご同行願われるのがオチである。

 

(とりあえず道路に出よう)

 

川に沿って歩けばいつかは道路に出られる筈である。

 

そう考え俺は歩き出した。

____________________________

 

しばらく歩いていると、狭い道に出た。

 

それもコンクリートですらない舗装された土の道だが、それでも有り難かった。山の斜面を歩くのは結構疲れるのである

 

(休憩休憩っと…)

 

道に立っているお地蔵さまの隣に腰掛け、

 

うつらうつらしていると、小さな足音が聞こえてきた。

 

目を開くと、10歳程の少女がこちらに歩いてきていた。

 

「お嬢ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

 

そう話しかけるとその少女は恐怖に顔を染め、

 

「食べないで下さい…お願いします、ごめんなさい」と言った。

 

(は?)

 

一瞬思考が追いつかず、間抜け面を晒す羽目になってしまった。

 

(そういやあの女が何か言ってたな)

 

先程言われたことを思い出す。どうやら妖怪というものを信じる風習がある集落の近くらしい。

 

「お嬢ちゃん大丈夫、俺は鬼じゃあない。」

 

「そうなの?でもお角生えてるよ?」

 

「これは…アレだコスプレってやつだ」

 

「こすぷれ?よくわかんないけどよかったー!食べられちゃうかと思った!」

 

「おう良かったな、じゃあ幾つか聞きたいことがあるんだが…時間大丈夫か?お母さんに呼ばれてたりしないか?」

 

「大丈夫だよ!」

 

「じゃあ質問だ、ここは何県何市かわかるか?」

 

「けん?し?よくわからないけどここはつくよみ様の国だよ!」

 

「月夜見?ってあの神様の?」

 

「そうだよ!」

 

俺は、相当やばい宗教団体が牛耳っている集落に来たかもしれない。月夜見ってなんだよ月夜見って。

 

「あーじゃあもう一つ質問だ。今西暦何年?」

 

「せいれき?今はげつれき6000年だよ?」

 

「月歴?」

 

月夜見だから月歴か、本格的にやばい村かもしれんな。

 

とりあえずここから離れよう。

 

「そうかお嬢ちゃん、色々すまんな時間を取らせて。お礼にこれをやろう。」

 

俺は刀に付けていた2つある鈴のうちの1つをお嬢ちゃんに渡した

 

その少女は目を輝かせて

 

「ありがとう!鬼さん!」

 

そう言って駆け出して行った。気を付けてな。

 

あ、こけた。

____________________________

 

 




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