とある湾岸地帯にて、3人の神機使いが集まっていた。
そのうちの2人はそれぞれ青いフードを被った男がブレードを、赤い髪が特徴的なキザっぽい男が大砲のような銃器を持っており、ひと目で神機使いだとわかる。
やや遅れて、身の丈ほどのシンプルな銃器を持ったルーキーと思わしき3人目の神機使いが2人と合流する。赤い髪の男が3人目の神機使いに近寄り、自己紹介を始める。
「あぁ、君が例の新人クンかい?噂は聞いてるよ。僕はエリック。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。君もせいぜい僕を見習って、人類の為に華麗に戦ってくれたまえよ」
この終末世界では少し気の抜けたような光景だが、それを打ち壊すように不穏な灰色の影が3人目にエリックと名乗った赤い髪の男に向かって飛んで来る。
「! エリック、上だ!」
「へ? うわぁぁぁ!!!」
灰色の影の正体、オウガテイルによって体を押さえつけられて、エリックの頭をオウガテイルがその
『GAAAAAAAAAAAAA!!』
人型のシルエットをした何かが身体に積もっていた土を吹き飛ばしながら地中から強襲。その鋼の如き剛腕でオウガテイルをボールのように吹き飛ばし、そのまま神速の如き疾さで距離を詰め、暴れて抵抗するオウガテイルを何本もある翼のような腕で掴み、力任せに引きちぎり、剥き出しとなったコアを鷲掴みにして握り潰した。
「あれは……シユウなのか!?」
青いフードを被った男の表情が驚愕に染まる。
シユウ。腕を組んだ大男の様な姿をしている中型に分類されるアラガミであり、その特徴的な一対の翼腕の圧倒的な硬度で神機使いを苦しめるのだが……そのシユウに酷似しているアラガミを見た者はそれを異形と評するだろう。
本来なら一対だけの翼腕と呼べる部位は何対もあり、サイズも生えている位置もバラバラ。まるで比較的脆弱な本体を守るように鎧の如く本体を覆っている。その姿はまるで大量の手に覆われている人間。
だが、この異形のシユウはそれだけでは飽き足らず、オウガテイルを掴んで引きちぎった翼腕は3対に増えていて、絶対に1度掴んだ獲物を逃さない構造となっている。
「構えろ! どうやらコイツ、最近目撃されている特異なアラガミだ!」
青いフードを被った男の号令により、3人はそれぞれのを得物を構える。
だが、件のアラガミは一向に襲ってこない。それどころか、ただ立っているだけで、まるでこちらの動きを伺うようにしている。
『……』
やがて異形のアラガミはこちらへ向けていた視線を空へと向け、3対の翼腕を羽ばたかせて無理矢理その巨体を浮遊させ、飛び去ってしまった……
追いかけようとする3人だが、羽ばたきにより発された圧倒的な風圧に邪魔をされ、見失ってしまう。
ペイラー・榊のラボにて、青いフードの男、ソーマ・シックザール、赤髪の
「今度は我々を助けたアラガミ…か……以前からシユウは人、それも格闘家を真似たような動きをする時があるが、この異形のシユウ……そうだね、この翼腕の多さからとりあえずセンジュと名付けよう。センジュの動きは獣のような荒々しさが中心だね……これもイレギュラーと見ていいだろう。だが、硬度の高い翼腕で全身を覆っている……これは明らかに君達ゴッドイーターが狙っている弱点部位を守っていることになるから戦闘能力を捨てずに進化した可能性も……となると、人類の用心棒のような立ち位置としての進化……?」
「博士、考察はそこまでにしておこう。……しかも今回は地面に擬態して潜伏していたのだろう? そしてアラガミとしての反応も全く無かった……偶然かどうかは別として、今回の個体は我々を襲わなかったが、敵対する通常のアラガミが同じ性質を持ったらあまりにも危険すぎる。すぐさまコアを回収して解析にかけるべきだ」
「しかし……もう少し観察するべきだと僕は思うけどね……? 興味深い対象だし、上手くすれば共生関係を築けるかもしれない。そこで敵対的に動くのはいささか早急過ぎると思うんだ」
報告に来た3人を置いてけぼりにして議論を交わす2人だったが、センジュの目的は一体……
(……人類への共存アプローチに成功。共生関係による繁栄の有効性の実験を続ける)
その3対の翼腕で羽ばたきながらセンジュの正体である黄色Xは新たに分裂させた緑Xにキメラ・アラガミXの活動を任せ、自らは人型に近いシユウのDNAをシユウの堕天種と融合させて今までにない方向でのアプローチを始めていた……