麺処・ロアナプラ亭~悪党達に愛されたとある料理人の生き方    作:37級建築士

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前回が長かったので今回は短め
 
タイトルは思い付き、アルジャーノンに花束をとはあまり関係性はありません。つけてから知りました。まあ知ってる人がいたらなお話、というか弁明

甘いシーンを書きたい


(52) 幕間:ミス・バラライカに花束を①

 

 

 此度の騒動の発端、ガルシア・ラブレスとその従者ロベルタ、二人はあの夜より離れた場所にいた。

 

 ドーピング反応がひどく、興奮状態が収まらないロベルタはミス・バラライカの手によってワトサップ管轄の警察病棟に収容された。一方でガルシア少年はそのままラグーン商会の預かり、ひいてはロックが面倒を見ていた。

 当然ラグーン商会はこれに良い顔はしていない。商会として面倒ごとは放り捨てたいと、ダッチとベニーで2体1の大変民主主義的な相違が得られたのだが、依然預かりは継続。今度はカルテルからではなく、ホテルモスクワからの依頼、という体を取った事実上の脅迫をいただいた故。

 騒動が終わった夜、レヴィもまた薬抜きのために収容されていた。ラグーン商会としてはレヴィが人質にされてるも同然。袖の下を通した警察相手に奪還もできず、ただミス・バラライカに従わざるを得ないのであった。

 

 此度の騒動、骨を折って収集を付けたのはホテルモスクワの尽力であった。アブレーゴとの敵対をしながら、事件関係者をこれ以上のトラブルに巻き込まぬようにと管理、そしてここからがまた面倒ごと

 

 ケイティがふるまった激辛毛血旺つけ麺、それを食べたほかの客にも実は異変が

 

 

 

……ヒャッハー!!激辛にハイってやつだぁああッ!!!

 

 

 

……なじむぅ、スパイスがなじむぞぉおおッ!!!

 

 

 

……URYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!?!?!?

 

 

 

 

 ケイティがバラまいてしまったドーピングラーメン、それを食した客たちは騒動に紛れて時間差でまた騒動を起こし始めたりした結果、ロベルタ事件の陰にまぎれて大規模な混乱が危うく起こりかけたのであった。

 露店で売られていた粗悪ドラッグとの奇跡的な化学反応、不死身か不老不死か、スタンドパワーか、まるでコミックの超然とした悪役のような有象無象を相手に遊撃隊は鎮圧に駆られた。その甲斐あって被害は最小限に、朝日に照らされる頃には暴徒の毒気も消え去った。

 つまり、まとめるとホテルモスクワは大変頑張っていたのだ。それはもう連日目まぐるしく働かされて、百戦錬磨の兵士達も此度の一件が終わった日には真剣に連休の届を出そうかと思案したぐらいである。

 

 疲弊と気苦労とドンパチを重ねて、結果的に事件は収束に至った。兵士たちの尽力と、指導者の采配もあり抗争は起こらず死人も最小限。世は事も無し

 

 

 

 

 

 

 

 

~空港~

 

 

 

 

「……ロベルタ!」

 

 

 

 

 

 空港のロビー、比較的人がいない時間帯にて少年はボリスの元から離れた。先に着いていた彼女の元へ走る姿を見届けて、遊撃隊は任務を終え転進する。

 

 

 

 

 

「若様、この度は誠に……」

 

「いいよ、ロベルタはがんばってくれたんだ……もう、終わったことなんだから、僕も無事だから」

 

「……若様?」

 

「ロックさん達から話は聞かされたよ。カルテルのことはもう安心していい……少なくとも、あのアブレーゴっていう人はラブレス家に敵対はしないって。本国でも、もう小競り合いは無くなるって」

 

「それは、信用して……良いものでは」

 

「……多分大丈夫、ちゃんと会って話をしてきたから」

 

「!」 

 

 知らぬ間に主がとった行動力にロベルタはついていけない。心なしか顔つきも立派になって、なにやら精神的な成長が得られたのか

 うれしく思う反面腑に落ちない。ましてやカルテルを相手にしてそのように建設的な話し合いがあっただのと

 

 アブレーゴの実態を知らないロベルタにとっては想像ができない話だ

 

 

「いっぱい話をしよう。僕も、ここに来て知ったことはいっぱいある。ロベルタの過去も、敵についても、これからすべきことを考えたい」

 

「……は、はい」

 

 あっけにとられ流されてしまう。いつの間にかつかまれた手、振りほどくことは許さない勇ましい男の顔、ロベルタの頬にはなんとも微笑ましい桜色が灯っていた

 

 このような空気では、きっとお役御免を申し上げることはできない。できたとしても決して許さないだろうと、内心で得心を得てしまった。

 

 

「……ロベルタ、その顔」

 

 

「あ、気になさらないでください若様……これぐらいのこと」

 

 

「いや、でもこの傷……ちょっと新しい、もしかして誰かに」

 

 

 指摘する打撲跡、それはレヴィとの戦いで負ったものではない

 

 

「……いえ、本当にお気になさらず」

 

「でも」

 

「いえいえ、本当に……これは、受けて当然の罰にてございます。あの女性の心中は察して当然」

 

「?」

 

 ほほに触れる、殴られたのは病院を発つ前

 

 

 

 

……私のモノを汚すな、アレは、私にだけ権利があるッ

 

 

 

 

「……くす」

 

「え、どうして笑ってるの?痛いはずじゃ」

 

「いえ、ただ本当に申し訳ないことをしたと、だって」

 

「!」

 

 

 朗らかになる表情、ロベルタはガルシアの手を取り、触られたお返しとばかりに熱い抱擁で返す。

 

 自身の胸に沈み込む小さな体躯、慈しむ思いはきっと、彼女もまた同じ

 

 

「彼女は、きっと同類ですから……此度のことが無ければ、案外仲良くなれたかもしれません」

 

「??」

 

「守るモノがある同士、気が合ったかもしれないということです……若様、さあ帰りましょう」

 

 

 

 和やかに、気をよくして手を握る。上機嫌なロベルタはガルシアの手を優しく、しかし話さぬようにと気持ちは強く握りしめる。

 

 首をかしげる主、しかし握られた手の感触は心が安らぐ魔法がある。

 

 嵐のように訪れて、去るときは凪のように、二人はロアナプラのゲートをくぐった。帰るべき家へ目指して

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ホテルモスクワ所有、ヒルズホテル最上階~

 

 

 

 

 

 丘の上に立つハイクラスな居住地と商業区、最悪な地上の肥溜めにおいてそこだけは清廉で潔白で、そして汚れを寄せ付けない高さに在る

 

 ホテルモスクワが所有する三ツ星級のホテル。警備も頑丈、武力は大隊規模、頼めばボルシチからガトリングまで呼び寄せられるサービスの徹底っぷり、しかし利用できるのはその庇護下に在り、また最上位の位置にある者だけ

 

 護衛任務を終え、ボリスたちが帰還する中ホテルモスクワは最後の仕上げを行う。と言っても、それは具体的に何かをするわけではない。むしろ逆、何もしない、関与しないことが求められる

 

 

 

「……」

 

 

 ロビーに立つ、コンシェルジュもおらず、足を進めてエレベータの前に立つ。一般客も来賓も利用できない、それは直通の専用エレベーター。 

 最上階に居る者だけが使えるそこで、カメラの前で許可を待つ。セーフティーロックのマンションと同じ、許しを得て初めてエレベーターが降りる。

 

 

「……おじゃまします」

 

 

 恐る恐る、足を踏み入れた

 

 

……今度は、大丈夫みたい

 

 

 以前のことを思い出す。あの時は不慮の不具合で一日夜を明かした場所。でもそれで最後、もう何も壊れることはないとお墨付きになった。その裏でいったいどのような荒事があったかは知らず

 

「服、ヘンテコじゃないよね……よし、問題はない、はず」

 

 備え付けの鏡を前に出で立ちを見る。エレベーターの中に鏡がある利点は、きっと今の自分の様にあの人に見せるモノに不遜はないか最終チェックをするためにだろう。

 

 けど、悠長に化粧直しをする暇だけは用意されない。途中止まることのないエレベーターは一気に目的地へ、止まる瞬間の浮遊感に若干の酔いを感じる。

 

 

 

「……行こう」

 

 

 覚悟を決めて、ほほをはたきたいところだけど今は崩してはいけないから、自分のお尻を叩いた。布越しだけどいい音は鳴る。

 

 気合も充填、さあ進め

 

 

 

 




 今回はここまで、さらっとロベルタたちは帰していく。もっと掘り下げるべきかとも思いましたが、そろそろ進めないとバラライカがね、どうなるかね、書いている僕もわからない。次回早ければ明日にはまた、遅れたらその分だけケイティの尻を叩きます


PS



 感想読んで励みになります。皆さんケイティとバラライカを心配してくれているようで、でも同時にセクハラお仕置きが見たいという意見もちらほら。みなさん、そんなにえっちなバラライカさんが見たいのかい?

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