麺処・ロアナプラ亭~悪党達に愛されたとある料理人の生き方    作:37級建築士

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昨日の昼二時から異様に伸びて、気づけばランキングのすぐ上に、内心ずっと戸惑いながら最新話投稿です。これで大丈夫だろうか

今回バラライカの姉御の話ですが少し主人公の過去編交えます。基本的に今作、各キャラクターをもてなす話をしながらオリ主の物語も進められればな方向性です。ヒロインと絡む話はだいたいおねショタ風味、愛される主人公を目指したい


オリ主スペック

身長152 体重47キロ 童貞 最終学歴不明 特技料理全般 コンプレックス、自分の容姿


(6) 懐かしい日々

~一年前~

 

 

 

「……フンッ……く、重ッ」

 

 持ち上げた荷物、ローワンさんの店から運び出したモノはこれで最後。

 

 ようやく引っ越しが終わる。空き家にしてた隣のビルに、また調理場の火が灯されるまでもう少しだ。

 

 

……ギシッ

 

 

「……っと、この椅子は替え時だな。まだ、やることも多いか……店、大変だなぁ」

 

 腰掛けた椅子の背もたれが折れかかっている。予備の椅子を買うか、ローワンさんの店に予備があればもらい受けるか、まあひとまずは休憩を終えてからだ。

 

 汗ばんだ体は冷風を求めるけど、ここのエアコンはずいぶんと掃除をしていない。体を冷やす風どころか肺を壊す黒煙がでてもおかしくない。今は、買ってきたこのスプライト缶で我慢するとしよう。クーラーボックスで冷やしておいたスプライト缶、痛いほどに冷えるそれを手に、心地の良い音を立たせて一気に甘みをあおる

 

 爽快感で声を上げた。そんなタイミングでヌルっと、黒い塊が視界に現れる

 

 

 

 

「……お、サボリかい?」

 

 

 

 黒い塊、ゴキブリかと見間違ってはいけない。彼はれっきとした人間だ

 

「休憩ですよ……休憩」

 

 ヌルっと現れてそのまま椅子にふんぞり返るローワンさん、暑苦しいアフロヘアーに僕はスプライトを投げつける。受け取ったローワンさんは柄名を見て、酒じゃないのかよと愚痴をこぼした

 

「酒ばっかりじゃダメですよ……まったく、ここの大人は本当に」

 

「だらしねえってか、そりゃお前文化の違いさ。アルコールはよぉ、常に入ってねえと動けねえのさ。バイクのオイルみてえに常日頃入れとくもんだよ……ん、だがわるかぁねえな。冷えててうまい」

 

「……何か、ご用件は」

 

「ねえよ、見送るわけでもねえ。ただ働く場所がチョイッとずれただけだ。しかし、本当にやれるのかい?」

 

「……やりますよ。自立しないといけないんで」

 

 自立、そう自立だ。ずっと、16の誕生日を迎えてから今まで、ローワンさんの店で下働きを続けてきた。嬢たちに囲まれて、面白おかしく働くのはそんなに悪くない。皆、家族みたいに接してくれて、本当に楽しかった。セクハラだけは、ちょっと勘弁してほしいけど

 ずっと、店でつまみを作って、お酒を出してカクテルも創作して、そうした日々は決して悪いわけじゃない。

 

 ただ、それでも店を、ラーメン屋を開きたかったのだ

 

 

「ローワンさん、暇なら手伝ってください……そしたら、僕から一杯奢ります」

 

 

「……えぇ、熱い中で肉体労働、俺は苦手だなぁ」

 

 

「じゃあスプライト分は働いてください。等価交換、貸し借りは均等に、甘えは無し……あなたが言ったことですよ」

 

 

「おまえ、昔のことを一々覚えてなくても……ま、女々しいのは昔からよな」

 

 

「……女々しいは余計です」

 

 

 へいへいと、適当に会話を流しながら再び作業を開始、愚痴りながらもこの人は本当に助けになってくれる。適当で胡散臭い見た目に反して、その実は非常に頼りになる人だ。そうでなければ、店のお姉さんたちはこの人について行かない。そう、僕もそんな嬢のお姉さん達と同じ、この人についてきた口なのだ

 

 そうなると、疑念を抱かせるのはまず僕とローワンさんの関係だ。決して、僕は雇われた男娼ではないことは先に提示しておきたい。

 

 

 僕とローワンさんの関係、それは雇用主であり、同時に育ての親のような関係、というのが正しい所か。僕を育ててくれた色んな大人の内の一人、この人から僕は主に……いや、教わったことはいいや。男の喜ばし方とか、知りたくもないことを何故か叩き込まれてしまった。

 忘れたくとも消えないのは子供の時代の教育故か。幼少の時代の吸収しやすさを恨んだ僕は、それでもなんとかこの人と良い関係を築いている。不思議なことに

 うさん臭く、見た目の騒々しいことこの上なし、だけどこの人は全面的に良い人なのだ。例えば、僕がお金を貯めるために働きたいと申したら、店での仕事を分けてくれて、しかも店に置いていない料理のサービスを僕の働き口とするためにわざわざ増やしてくれたりもした。まあ、その分お姉さん達にまかない飯を作ったりと時間外労働に駆られたり、随分便利に使われたものだけど

 そんなこともあって恨むことは少々あれど、ローワンさんは本当によくしてくれた。この人がくれた労働のお陰で、僕はついに念願の自立を、僕が店主となってラーメン屋を開くことを成し遂げられたのだから

 

 開く店の名前は麺処・ロアナプラ亭、捻った名前でもないけど、僕にはこれで十分だった。後にも先にも、ロアナプラでラーメン屋を開くバカは僕だけなのだから

 

 ここはラチャダストリート、ローワンジャックポッドピジョンの隣に隣接する四階建ての小ビル。僕がロアナプラに来て、ローワンさんの店で、ようやく独り立ちを決心して始める最初の第一歩、長い間お世話になったローワンさんの隣で、めでたく貯金を解放してラーメン屋を開くのだ。

 

 

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 目を見開く。ぱちんぱちんとシャッターを切るように瞬きを繰り返し、僕は自分の意識が冴えていることを自覚する。

 

 随分と鮮明な夢を見ていた気がする。普段慣れない良質なベッドで眠っていたから、逆に眠りが浅くなって夢を見ていたのだろう。

 

 

「……4時、変な時間に起きちゃった」

 

 店で料理を作っていた日々と違って、今は本当にオフの日々だ。疲労が無いから眠りが浅くなる。

 

 厨房を借りて料理を作ったりもして、けどネットサーフィンとゲームに読書、することもない僕は不規則に寝て起きてを繰り返す日々を送っていた。それで一週間、まだ店には戻れない

 ここは、ホテルモスクワが所有する高級宿泊施設のスイート、というバラライカさん達の本拠地である。なにがどうしてここに寝泊まりなんてしているのか、その理由は一に戦争に、二も三もなくてただただ戦争だ。バラライカさんが遊撃隊と共に、このロアナプラで硝煙むせかえる弾丸パーティーを

 

 

……今も開催中、じゃないな……もう、終わった後だ

 

 

 窓辺を見る。そこにはサイレンを鳴らしたパトカーが駆け付けている。袖の下を通す警官たちが動き出しているということは、すでにことは終わった後ということか。全てに片が付いて、嵐は去り街の皆はこのサイレンのけたたましい音に安堵を覚える。治安を取り締まらないこの街の警察の役目は、マフィア達の抗争が終わったことを告げる鐘の音と同義なのだ

 

 街は随所に破壊の痕が新しく見える。今日ここに来て三日目の夜、この窓から見る景色でいかに作戦が進行しているか目に見えてわかってしまう。この窓の景色こそロアナプラの現状を一望できる安全席、我ながらそんな席に座れることに違和感しかない。

 

 違和感、そう違和感だ。僕は未だに慣れることは無いのだ。僕という、大した価値もない料理人風情が

 

 

 

……コン……コン

 

 

 

「……」

 

 

 

 そう、ただの料理人風情が、なぜこの人に大切にされているのか、はたから見ても疑問この上ないだろう。

 

 はたまた、なぜバラライカなる悪党の頂点に僕が愛でられ守られる立場なのか、まったくもって僕自身が慣れたりしない。違和感はこの上なく、喉の途中で引っかかったままだ

 

 

 

次回に続く

 




次回、バラライカとお家デート


冗談に聞こえました? さあ、どうなるやら


ちなみに、自分は他作品で年上ヒロインに甘やかされるラブコメ書いてたり、だからまあ、期待してくれや


今日の夜には投稿します
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