麺処・ロアナプラ亭~悪党達に愛されたとある料理人の生き方    作:37級建築士

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あーでもない、こーでもないと考えながら書きました。とんこつラーメンで飯テロを期待してください的なことを言ってましたが


あれは嘘だ


(78) 銃なんか捨ててかかって来い

 

 

 ことが起きたきっかけは、遡ること文書争奪の騒動に起因する。

 

 過激派テロリストのヒズボラと三合会によるいざこざ、起きた被害はロアナプラにも及びラグーン商会の事務所も吹き飛んでしまった。

 陰謀と利権争いをパイ生地で蓋をして焼き上げているこの街だが、パイの中に入る虫には当然容赦がない。徹底的にヒズボラの勢力は排斥され、文書もアメリカに無事送られた。そして、何故か敵のグループはトップが消えてしまい事実上の解体。 

 

 ことは終わったと誰もが思った。

 

 何事もなく終わるはずだった、しかし恨みという感情は時に人を不合理に動かしてしまう。

 

 言ってしまえば、イブラハと同じ考えを持つ同士数名が、裏切り者の粛清とばかりに個人的な恨みで強硬に走ったのだ。

 

 そして、残党の兵士たちはタケナカと、もう一人とある人物がここロアナプラ亭に踏み込んだところを見つけ、そして襲撃に至った。ただ、それだけのこと。

 

 外からの連中はこの店の不文律を知らない。

 

 なので、ここから先起こる地獄にも想像の余地すらない。ただ、飲食店に炸裂弾頭をぶち込んだだけ。なんてことのない過激なテロリズムでしかないからだ

 

 しかし不運なことに彼らは知らなかった。その上、運もなかった。

 

 

 この日、ロアナプラ亭の不文律以外にもさらに厄介な誰かが店の中にいたということを。

 

 

 

 

 

「うてぇえええ!タケナカを殺せッ!!」

 

 

 

 

「ぎぃにゃああぁあああああッ!!」

 

 

 

 

 

 ぶっぱなされたRPG、虎の子の二発目。

 

 門構えを吹き飛ばしたにもかかわらず思いのほか頑強なロアナプラ亭ビル二代目。しかし、二発目を店内に食らえばひとたまりもない。

 

 崩壊する、崩壊の音が聞こえる、店主は謎のセールスマンに精神崩壊させられたぐらいに悲鳴を上げているが。

 

 さらに、大きな悲鳴が撃ちあがった。何もかもをかき消した。

 

 

 

 

『ドッゴォオオオオオオオオンッ!?!?!?』

 

 

 

 

 響いた音は、合計で4発。

 

 

 

 

「逃げろ、回h」

 

 

 

 誰かがそう叫んだ時、襲撃で店前に停められた軽自動車が二台、爆炎を伴って吹き飛んだ。

 

 全てを撃ちきったからだ。

 

 放たれたのM202ロケットランチャー、60年代のアメリカが開発した兵器であり、四連装のロケットランチャーということもあって知名度が高い。

 

 というか、見覚えがあって当然だ。シュワルツネッガーが抱えていたあれである。

 

 つまり、コマンドーだ。

 

 

「煙が……クソ、構うな撃ちまくれッ」

 

「しかし、今のは……同士ザイード、一度引き返しては」

 

「同士イブラハの仇だ!奴を殺さねば我らは何のために」

 

 

 

 残骸に隠れ、やたらめったらロアナプラ亭に小銃や拳銃の弾を撃ちこむ。未だ爆炎で見えない店内に向けて、興奮状態の彼らは爆炎の中で蠢く陰に目もくれず、ただひたすらに撃ちまくる。

 

 

 

 彼らには見えない。しかし、この光景を離れた陰で隠れながら覗く店主ケイティとエダ、二人には見えていた。

 

 

 

 

「メイトリックスかよ」

 

 

 

 

「いいえ、日本人です……日本人の魂を持つ変人です……ぅぅ」

 

 

 

 

 固唾をのんで見守るエダ、さっきから震え痙攣に吐き気にひきつけが収まらないケイティ。見ていたのは、襲撃された店前で起きた、ちょっとしたハリウッド映画だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミス・セリザワ本名は不明。

 

 身長183㎝、体重は80キロ。全体的にグラマラスな体系だが、それ以上に筋肉が詰まっておりはたから見ても女食ってる女。実際性癖はバイセクシャル。

 

 コロラド州生まれ、日系の顔立ちを隔世遺伝で受け取っただけのごく普通なアメリカ人。しかし、本人はいたって遊び人。若い頃に教師と牧師とマフィアとFBIをぶん殴って騒動を起こし逃げるように日本へ渡る。

 そこで見た日本のコミックやアニメゲーム掲示板ポルノ、なんでも見漁った結果自分は日本生まれ日本育ちの高純度日本人なる自覚が芽生え、そのあたりから多少頭がおかしい行動をとり始めた。

 

 そんな20代の頃に彼女はミス・セリザワを名乗り、そして取り敢えず傭兵となった。

 海外を転々とし、その土地土地で問題を起こしては移動。

 行きつく果てにロアナプラ、歴代最多数で個人的なイエローフラッグ損壊件数を誇る彼女はこの街でも異端となった。

 しかし、数年前に彼女の消息がパタリと消えてしまい誰もが安堵の息を吐いた。

 

 やっと消えたか、街中でデュラン・デュランを響かせながらどこでもファイトクラブする馬鹿、おっぱいのついた公害、消えてくれて清々したと被害者たちは語る。

 

 抱かれた女たちは泣いて悲しんだとか。

 

 

 

 

 誰もが悪夢は去ったとばかり思っていた。けども、今こうしてまた彼女はこの地にいる。変わらぬテンションで遊んでいる。

 

 

 

 ミス・セリザワは帰って来た。

 

 

 

 理由は意外にも人情的カナ、愛すべき弟子に会う為。

 

 そして、懐かしきロアナプラ、店に入りラーメンでも作っていれば襲撃。しかし、彼女は動じず客のタケナカを厨房にやり、自分は嬉々として床下倉庫から武器一式を取り出した。

 

 そんな光景をケイティたちはのんきに見ている。実際見ている他ない。

 

 結末は見えている。

 

 

 

「落ち着いたか」

 

 

「吐いたら少し」

 

 

「しっかし、なんなんだよあいつは……なんであんな武器持ってんだよ。何者だ?」

 

 

「師匠、日本の映画も好きだけど洋画も好きなんです……だからコレクションもいっぱいで、店の床下いっぱいにあるんですよ……武器が」

 

 

「……ぁ、そういや対物ライフルが倉庫にあった件、あれもかよ」

 

「です」    

 

「……にしても、にしてもよぉ、なんだよあの女……笑ってらぁ」

 

 

 

 

 

 響く銃声、アサルトライフルを走りながら斉射。

 

 集まるヒズボラ残党たちが撃ちまくられている。エキストラのごとく、撃たれて倒れて悲鳴が上がる。

 

 ゲラゲラ笑いながら楽しんでいる。

 

 

 

「二手に別れろ!」

 

 

 

「ぐぁあああッ」

 

 

 

 

 見ているしかできない。というか、昔もこうだった。

 

 まだ、ロアナプラ亭が立つ前以前、夜な夜な無理やり連れだされたあげく行った先で喧嘩して、僕はその光景を安全圏から見ていた。

 

 ファイトクラブ見た勢いでイエローフラッグに繰り出し適当な輩へ喧嘩ふっかけて乱闘始めた時が懐かしい。バオさん、師匠の顔をまた見たら卒倒するかな?

 

 

「なあおい、あのよぉ……でけえ胸のついた奴、あれがお前さんの師匠かよ」

 

 

「イエス」

 

 

 

 ほぼ上半身裸だから、鍛えられた体具合がよくわかる。力強くしなやか、それでいてバストは豊か。

 

 髪を伸ばしている今は本当にたくましくて可憐な女性だ。一時期はスキンヘッドにしてた時もあったけど、今の方が似合う。

 

 でも、師匠に鼻の下を伸ばす人はいない。鼻の下どころか首から下が消し飛ぶだろうから。

 

 

 

「I am a mountain!! Surrounded by your love! You are a mountain that dreams are made of!!」

 

 

 

 ほぼ上裸、吹き飛んだ瓦礫で服が切れてかボロボロだ、しかしアーミージャケットで大事なところは隠れている。

 

 武装は手りゅう弾にハンドガンにナイフ、暴れ放題撃ち放題殴り放題。本人的にはコスプレで遊んでいるにすぎないのが狂気を感じる。

 

 例えるなら、子供が棒を振り回してチャンバラごっこするように、だ

 

 指を銃に見立ててワイルドバンチの真似っこをするみたいに、だ

 

 あどけない、自由で想像力に満ちた遊びのあるクソガキ気分で、男たちに鉛球をぶち込み時に拳で顔面を陥没させブーツの蹴りで腹越しに背骨をへし折る蹴りを放つ。

 

 それも歌いながら、いっそブブゼラ吹き鳴らし大剣と弓を手に第二次世界大戦を戦った変人ことジャックチャーチルよろしくやればいい。

 

 愉快に楽しく戦争ごっこをしてくれる。

 

 でも、やられる側としては本当にたまったものじゃない。本人的には恨みも無い殺意も無いが、遊び気分で暴力をふるうから挑発もおちょくりも標準。

 

 歌いながら味方を倒す敵に対して、皆良い思いをしないだろう。

 

 ゲリラか、何か怖い人たちに見えるけど、とにかく不運なのはあの人たちの方だ。

 

 お悔やみ申し上げます。

 

 

 

 

「We fight for love!!」

 

 

 

 

「な、何だこの女……に、逃げろッ……同士、撤退を!!」

 

「馬鹿言うな、女如きにやられてたまるか!!撃て、撃てば死ぬ!!」

 

 

 

 

「We fight for love!!」

 

 

 

 

 銃弾を食らっても頭に当たらなかったら大丈夫、愉快に走って飛んで、重武装が嘘のようにしなる筋肉でランダム回避。

 手ごろな兵士の頭を掴んで地面にスラム。続く敵の銃口を握って弾道を逸らすついでに同士撃ち。

 

 乱戦の中、銃弾を肩や腕に貰いながらも進撃、思い付きで手りゅう弾を手に握って全力でぶん殴る。

 

 

 

「Fight for love!!」

 

 

 

 石を握った拳で殴られた顔面は無残に、鈍器として役目を終えた手りゅう弾は空に投げて、車両の残骸に隠れる敵の方に落下。

 

 爆砕。爆炎。

 

 愛のために戦うとはこれ如何に

 

 

「タケナカ見てるか!言っただろアタシだけで十分だってな!!てなわけで、賭けはアタシの勝ちだーーッ!!300ドルはアタシのもんだーーーーさぁあーーーむ、うぇあーーーーッ♪さーーーーむ、はぁーーーーう♪さーーーーむ、わーーーーんッ♪!」

 

 

 

 ヒビの入った眼鏡を捨て、下手な歌をその場で熱唱。

 

 小金程度の賭けで全滅したことが判明した瞬間、見ていたエダさんも僕も顎を落とす。

 

 倒れた兵士たちに十字架を切るエダさん、珍しくシスターみたいなことをしている。僕も真似をした。

 

 

 おーじざす、えいめん

 

 

 

「なあ、アレお前の師匠なんだよな」

 

 

「はい、アレが師匠です…………師匠、なんです」

 

 

 

 突然の襲撃にも狼狽えず、のんきに賭け感覚で単身集団の中に突っ込み、傷を負いながらも武装した屈強な兵士相手に一騎当千な活躍をした上でコマンドーの主題歌パワーステイション・ウィーファイトフォーラブを熱唱する、おっぱいの大きな筋肉質長身イケメン女性がいた。

 

 というか、僕の師匠だ。

 

 

 

 

 

「おい女!こっちを見ろ!」

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 師匠が振り向く、そしてその先には、爆炎の晴れたロアナプラ亭の前で血だらけになりながらも見知った男に銃を突き付けている人がいた。

 

 タケナカさんだ。タケナカさんが銃を突きつけられている。人質になっているようだ。

 

 でも、なんかのんきに落ち着いている。

 

 

 

「女、顔を出して見ろ……こっちだ、こっちを見ろってんだッ」

 

 

 

「……んひ♡」

 

 

 

 

 師匠が笑っている。何か良からぬことを考えている。

 

 うん、なんというか、人質は女性じゃなくてタケナカさんだけど、きっと師匠には別の光景が見えているだろう。

 

 

 

「ぁ、はあぁ……クソ、仲間を殺しやがって……手前、女……許さねえぞ、殺してやる!ぶっ殺してやる!!」

 

 

 

「悪いな、セリザワの旦那……人質になっちまった。ザイード、もう終わりにしろ。終わったんだよ、もう帰れ……ここで暴れても革命も世界蜂起も、何も得られねぇよ」

 

 

 

「しゃべるなタケナカ……き、貴様のせいで俺達はッ……クソ、何が間違いだったのだ……いや、俺達は間違ってない。同士、同士イブラハを殺した貴様を殺すッ……それすらできなくて革命は成し遂げられるものか!俺達の団結を、大義を……貴様、貴様とこんな筋肉女に穢されてたまるかッ!!」

 

 

 興奮収まらない様子、血走った目で何度も視線が往復する。タケナカさんを人質にして、男は師匠を殺すつもりだろうが、というかタケナカさんと師匠なんで一緒なんだろう。

 

 見ていると、エダさんも隣でかぶりついて見ていた。

 

 なんというか、本当に映画見てる気分だ。ポップコーンが手元にある錯覚すら覚える。

 

 

 

 

「殺す、殺してやる……ぁ、ああぁッ怖くねえ、お前に、女風情に恐怖など」

 

 

 

「おいおい落ち着けよベネット」

 

 

 

「誰がベネットだ!タケナカ、貴様分かっているのかッ」

 

 

 

 

「あぁ、人質なんだろ……わかってるよ、娘のジェニーを抱えてメイトリックスに挑むと良いぜ。なあベネット」

 

 

 

「……ぁ、ああぁ、あはは……んお、ぶっほおぉ、んぶぉおおおッ!!」

 

 

 

「何笑ってやがる!!」

 

 

 

 笑う師匠、超楽しんでる。タケナカさんも大概なことをする、もしかして師匠と波長が合うのか、それとも感化されたかだ。

 

 それにしても、起こることが見えてしまう。

 

 何をするか、師匠が何をしたいか、簡単に見えてくる。

 

 だって映画好きだから、師匠は映画が大好きだから。

 

 

 

 

……カランカランカランッ

 

 

 

 

 銃を捨てた。

 

 

 

 

「いいなぁお前、ベネットみたいな顔してんな……いいよ、こいよ!!」

 

 

 

 ほら、挑発始めちゃったよ。映画のラストシーンだよ。

 

 

 

「う、うるさい……お、おれはザイードだ!ベネットなんて名前じゃねえッ!!」

 

 

 

「いいやお前はベネットだ」

 

 

 

「ザイードだ!」

 

 

 

「こいよベネット!」

 

 

 

「ザイード!ザイードって言ってるだろうがこの野郎!!」

 

 

 

「いいよこいよ!ベネットかかって来いよ!!」

 

 

 

 近づく、タケナカさんに銃口を向けていたのが今はもう師匠にしか向けていない。

 

 タケナカさんはどこか楽しげに見ている。もう、もうなんだよこれ

 

 

 

「来いよベネット、銃なんか捨ててかかってこい!銃なんか捨ててかかって来い!!」

 

 

 

「貴様ぁああッ!!」

 

 

 

 挑発に乗ってしまったザイードことベネットさん。タケナカさんことメイトリックスの娘ジェニーを放り捨て、銃も捨ててナイフを手に持つ。

 

 

 

 

 

「楽に殺しちゃつまらんだろう。ナイフを突き立て、アタシが苦しみもがいて死んでいく様を見るのが望みだったんだろう?……来いよベネット、怖いのか?」

 

 

 

 

 ジョン・メイトリックスがそこにいる。

 

 映画コマンドー、本当に面白いから皆見て欲しい。

 

 

 

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

 

 

「銃も必要ねえ、人質も必要ねえ……手前なんかこわくねえ!!」

 

 

 

 

 

野郎ぶっ殺してやるッ(ヤローオブクラッシャァアアアッ)!!?!?」

 

 

 

 

 

 誰もが見守った。

 

 ナイフを手に、二人が相対してぶつかる瞬間。だけど、その瞬間は訪れなかった。

 

 

 

 

 

……ズダァンッ……ダァアンッ

 

 

 

 

 

 鋭く響いた銃声が二発。

 

 ぶつかる瞬間で仰け反った師匠に対して、ベネット……じゃなかった、ザイードなる人物の眉間と心臓に盛大な風穴が空いていた。

 

 そう、何もおかしいことじゃない。

 

 ここはロアナプラ、そしてロアナプラ亭の不文律。騒動を起こせば怖い人たちが来てしまう。

 

 来ないわけがない、気づけば背後に見知った顔の人達が大勢いた。

 

 

 

 

「三合会の皆さん……遊撃隊の皆さん」

 

 

 

 愉快に楽しくメイトリックス劇場をしている場合ではない。

 

 今ここ調停官であり執行官な皆々様が集まってしまった。

 

 

 

 

「地獄に落ちなべネット」

 

 

 

 

 

 のんきに決めセリフを吐いている場合じゃない。

 

 

 

 

「師匠!師匠後ろ!!」

 

 

 

 

「あ?」

 

 

 

 

 思わず声に出して叫んでしまった。

 

 師匠はというと楽しみに水を差されたクソガキみたいに表情をしかめて、しかし振り返った先にあるあの人を前にその表情は硬く真剣なものに変わった。

 

 取り囲む兵士や黒服の中より、スーツにアーミージャケットを羽織った、火傷顔のロシア人が立つ。

 

 当然、貴方がここに来るのは日が落ちて月が出るぐらいに当然のこと。

 

 冷たい光がそこにある。熱さうだるロアナプラで、皆冷たさを感じてしまう。

 

 

 

 

 ミス・バラライカ。そして、ミス、セリザワ。二人が相対してしまった。

 

 

 

 

 

 

「……ぁ、ロシア人?」

 

 

 

 訝しむ見方、そして思い出したのかあざとらしく素振りをする。

 

 

「ってことは、あ~……火傷顔か、そうか……話は聞いてたな、ロシア人の頭目で良い女がいるって聞いたが……なるほどな、あんたは良いな、アタシ好みだ」

 

 

 

「不愉快だな、レズ女……どうした?銃は抜かないのか?」

 

 

 向かい合う。吐き出す言葉の節々に殺意が、何時でも殺せるという警告が見えてくる。なのに、それを知らずか無視してか、師匠は変わらずフランクなまま

 

 危険に命知らずに軽口を吐く。

 

 

「あいにくナイフしかない……悪いな。気持ちいい弾を突っ込んでやれなくて、謝罪するよマドモアゼル」

 

「……ッ」

 

 ひるまず、ただ愉快に迫る。

 

 今も、建物屋上やそこらを囲う兵士に銃口を向けられながら、貴方はどこまでも泰然自若、傍若無人、自由気まま。怖れを知らず異端にこの地を踏みしめている。

 

 

 

「貴様が何者なのかはこの際どうでもいい、ことを起こしたのなら裁断を下すまでだ。……デグレチャフで顎を吹き飛ばされる前に、申すことがあるなら言ってみろ」

 

 

 バラライカさんが手をあげる。

 

 卸せば、その瞬間に

 

 

 

「だ、ダメ」

 

 

 

 止めようとした、けどエダさんに遮られた。

 

「落ち着け!」

 

「————ッ」

 

 

 一触即発、一番怖い人たちとであってはいけない人があってしまった。

 

 のんきにコメディで終わるわけがない。なるべくしてこうなった。

 

 

 

「……でも、師匠ッ!!」

 

 

 

 くだらなくて、最低で、どうしようもないカス人間だけど、それでも師匠はダメだ。

 

 死んじゃだめだ。だから、止めないと

 

 

 

 

「……答えろ、何もないなら」

 

 

 

「あ~、ちょっと待ちな……ぁ、なるほど……わかった、相分かった……なるほどね~」

 

 

 

「不愉快だ、早く答えろ」

 

 

 

「……お前、アタシのバカ弟子を抱いただろw」

 

 

 

 

「——————ッ」

 

 

 

 冷徹な表情、だけど誰もが冷や汗をかいた。

 

 憤り、熱はない。むしろ冷めていく。

 

 熱を奪う。ツンドラのごとき絶対零度がこの場を満たす。

 

 

 

「……貴様」

 

 

 

「はは、良いな……無いディックが硬くなっちまう。火傷顔、あんた良い女だ……あいつにはもったいないぐらい、良い女だよ」

 

 

 

 逆なでする言葉にバラライカさんはどうするのか、皆固唾をのんで見守った。

 

 振り上げた手は、今

 

 

 

……駄目だ、ダメだッ

 

 

 

 

「バラライカさんッ!!」

 

 

 

 

 




以上、長々と引っ張りましたがようやく出せました。セリザワことラーメンハゲこと、普通にオリキャラです。ミス・セリザワ、やっと出せた。


スペック


身長180㎝、体重80キロ、バストJ、黒髪癖っ毛、美形、CVイメージはご自由に


趣味=暴力、料理、サブカル全般、女遊び、男もたまに抱く


ノリと勢いと思い付きで生きている変人キャラです。今後も活躍しますし割と重要キャラです。まだ語られていないケイティの隠された秘密について知ってます。



以上、最新話でした。わちゃわちゃ展開しながらもお話は進みます。トンコツラーメンは忘れていませんので、そのあたりもお楽しみに。さあ、かつての保護者と現在の保護者が会敵、どうなることやら



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