赤目の守護者   作:ブラブレ8巻難民

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 早くヒロインズとのイチャコラを書きたいけれど、まだ我慢だ……!


第二十四話:出航前

 

「わかりました。やります」

 

 電話口からは『……いいのか?』という重い声。

 少年は目を閉じ、話された内容を思い出して、舌で飴玉を転がすようにじっくり吟味して──それでも答えは変わらなかった。

 

「ここで『やらない』なんて選択肢、無いも同然でしょう。オレがやらないと、皆死んじゃうんですよね?」

『そんなことはねぇよ。今回の作戦は、自衛隊が主な指揮を執る。あいつらは関東会戦を、『ガストレア相手の集団戦』を経験しているプロだ。しかも今回はそれに加えて、俺達民警もいる。

 ──だからな、真守。()()()()()()()()()()()んだ。お前だけが命をかける必要はない』

「ならどうして、オレに依頼のことを話したんですか? 断らせるつもりなら、始めから知らせなければよかったじゃないですか」

 

 電話口から、大きく長い溜め息の音が聞こえた。

 

『そんなことをしても、意味はねぇよ。モノリスの白化現象は、いずれ隠し切れなくなるって話だ。そうなれば芋づる式に、アルデバランのことも世間に公表されるからな』

 

 真守は声に出さず『なるほど』と首肯した。

 

『真実を知ればお前は、報酬の有無に関わらず戦いに行く。俺の知る『神崎真守』は、そういう奴だ』

 

 故に止めるなら、彼が先走る前。今このタイミングしかないのだと、蓮太郎は言う。

 対する真守は──見えないと分かりつつ、申し訳なさをごまかすように苦笑い。

 

「……蓮太郎さん、ごめんなさい。オレを止めたかったなら、その言葉は逆効果です」

『え?』

 

「実はオレ、人がどんだけ死のうが知ったこっちゃないと思ってます」

 

『──え?』

 

「自衛隊も、民警も、応援します。でもそれだけです。別に助けてあげたいとか、思ってません。市民の安全を守ってやる気もありません」

『でもさっきは、お前……』

「『皆』っていうのは、学校の皆のことですよ。

 今のオレにとっては『病院で目が覚めてからの一ヶ月』が記憶の全てです。そこで関わった人達が、オレの全部。他は()()()()()

 ……薄情でしょう? 昔のオレは、違かったのかもしれませんが。今のオレはこうなんです」

『違う! お前は薄情者なんかじゃない。今も昔も、お前って奴はどうして……!』

「ありがとうございます。オレを『薄情者じゃない』と言ってくれて、オレを止めてくれて──ありがとうございます。

 オレは、そんな貴方のために戦いたいって思うんです」

 

 だから逆効果なのだ。彼の狭い世界に住んでいた青年を、彼が好きになればなるほど──彼は『神崎真守』に戻っていく。

 

「依頼は受けます。聖天子様にそうお伝えください」

『駄目だ! 勝ち目がねぇんだよ、お前でも……!』

「と、言いますと?」

『戦闘機が落とされてるんだ。()()()()()()()()()()()()()()()。しかも、敵が切ったカードの正体がまだ分かってない』

「なるほど……だったら尚更、オレが行かないと」

『どうしてッ』

「オレなら死にません。敵のカードを暴いて、あわよくば潰せます」

『お前は不死身じゃない、死に難いだけだ! 自分から捨て駒になってどうする!? お前はもう少し、自分を大切にしてくれ……!』

「『もう少し自分を大切に』 ね──オレの台詞だ大バカ野郎

「えっ」

 

 突然語気が荒くなった真守に、蓮太郎は気圧された。

 

「どうして自分から責任を背負い込む? 矢面に立ちたがる? アンタは、オレよりたった6年早く産まれただけの只人だろ……!」

『真守、それでも俺は──』

 

「右手足と左目」

 

『……!』

 

「──バラニウムだろ。いつも忌々しい気配が漂ってる」

『気付いてたんだな』

「なんで失ったのかは知らねぇけどさ……生えてこないから、そうしてるんだろ?」

『そりゃ、な……』

「五体満足ですらない癖に、でしゃばるんじゃねぇよ。全身バラニウムのサイボーグにでもなるつもりか? なぁ──どうしてそんなに、脆い身体を痛めつけようとするんですか……?」

『……すまん』

 

 電話口から聞こえてくる少年の声は、とても震えていて。荒い口調を維持することもできなくなっていて。心の底から蓮太郎を心配しているのだと、傍目にも分かった。

 

「蓮太郎さんが戦うなんて、許しませんから。絶対に」

『おいおい……なんで説得する側が逆になってるんだ?』

「ていうかそもそもですよ。蓮太郎さんが戦うってことは、パートナーの延珠ちゃんも戦うってことですよね? それはいいんですか?」

『ぅぐっ』

 

 体内浸食率的にも、全くよろしくない。

 

「……依頼は受けます。イイですね?」

『…………駄目だ。相手は高度に組織化されてる。軍団相手に個人の戦力がどれだけ突出していても──』

「電話を切って、今すぐ出発してもいいんですよオレは」

『待て待て待て!!! 敵の座標も分からないのにどうする気だバカ!?』

空から探します(アイキャンフライ)

『戦闘機が撃墜されてんだぞ!? 頼むから待て! せめてバックアップをだなぁ!!』

「つまり依頼は受けるってことでOKなんですね?」

『あぁクソっ、OKだコンチクショウ!』

 

 こうして蓮太郎は折れた。心の奥底で『真守なら大丈夫』という信頼があったからだろう。

 

 ──実際、彼は任務から生還する。

 数百体のガストレアを薙ぎ倒し、アルデバランの脳天をかち割った上で、帰還する。

 

 その道中での絶望を、誰にも明かすことなく──




 
 真守くん最大の鬱フラグがアップを始めました。皆さま対ショック姿勢をお取りください。ヒロインズはメンタルケアの準備をしてください。
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