赤目の守護者   作:ブラブレ8巻難民

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 明けましておめでとうございます。本当は昨年の内に投稿したかったのですが、遅くなってすみません……


間話:一方その頃

 

 未踏査領域、某所。

 

「しっかし、マズいことになったな……」

 

 爆撃を受けて凹凸(おうとつ)だらけになった地面に胡座(あぐら)をかいて頬杖をつき、神崎真守は呟いた。

 

「いかにも『八つ当たりでテキトーに暴れました』って感じで帰ったくせに、一番やられたら困る奴だけキッチリ仕留めやがって……」

 

 鉄砲魚を素因子に持つステージⅣ。正史において『プレヤデス』のコードネームを与えられたガストレア。

 圧倒的な射程と、それを活かす広大な索敵能力を持ち、更にはマッハ単位の速度で飛来する物質を精密に撃ち抜く技量まで持っていた怪物だが──

 

「アイツ、()()()()()()()からなぁ……逃げらんないから、近付かれたらどうしようもないんだよなぁ……」

 

 本来陸路での一騎駆なぞ『人類側が取り得る選択肢』として考慮する必要すらないのだ。その油断をまんまと突かれた形ではあるが、襲撃者の『彼』は存在そのものがイレギュラーの塊だった。この結果も無理はない。

 

「ま、嘆いて過去が変わるワケでなし。アイツの分まで、オレが働けばいい」

 

 ──そうだ、過去は変わらない。

 名も知らぬ恩人も、両親も、義妹達も、友人も、生き返ることはない。いつものことだ。

 

 彼は、『他者の死』に麻痺し始めている自分を嗤った。

 

(……ただ、気になるのは)

 

「…………延珠ちゃん、蓮太郎さん」

 

(もしかして……生きてたりするのかな?)

 

 最後に『彼』は、『記憶喪失』と言った。

 だが、それが本当ならば。一つおかしな点がある。

 

(どうしてアイツは、父さんの生き様(真の守護者)を知っていた?)

 

 その言葉を知っている人物は限られている。

 故人である神崎夫妻と、今は仙台エリアに居る筈の神崎舞を除けば、元クラスメイトくらいだが……差別主義者の彼らが『彼』と良好な関係を築ける訳がない。ということは、

 

「……いいや。グークルさんだろうな」

 

 本名不明、性別不明、年齢不明。不明だらけの死んだ目をした『情報屋』を、彼は想起する。

 

(オレが倒れたあの時と同じく、どこからともなく現れて、色々助けてくれたんだろうな……)

 

 里見ペアが生存している可能性については、意識して考えないようにするつもりらしい。

 

(……第一、二人が生きていたとしてどうする気だ? ()()()()()()()()()()()()()?)

 

 彼は決めたのだ。

 もう退かないと。もう裏切らないと。

 

(耳が早いあの人のことだから、もう東京エリアから出て行ってるだろうけど……仮に残っていたとしても、関係ない)

 

 ──彼はアルデバランと共に、人間を滅ぼすだろう。

 

(……でも結局、()()()()()()()()()()()()()んだろ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()?)

 

 最早確かめる術は無いと知りつつも、その疑問は彼の中にこびりついて離れなかった──

 

 

 

 *

 

 

 

「──アハハハハハハ!!! いやぁ予想外! 飽きさせないねぇ今代の主役達は!!」

 

 東京エリアのどこかで、その『人間』は大笑いしていた。

 そこは窓の無い一室にも関わらず、照明はついていなかった。ただし部屋中くまなく設置されているモニターにより、室内はむしろ眩しいほどの光に満ちている。

 

「まさかこのボクが、こんな特大の商品を腐らせることになるとはね……」

 

 『グークル』という通称を持つこの『人間』が扱う商品とは、『情報』のことである。

 情報は時間経過による商品価値の変動から、よく生物(ナマモノ)に例えられる。つまり『腐らせる』とは、情報が価値を持っていられる期間を過ぎたということ。

 

「腰が低過ぎでしょ聖天子ちゃん。もうちょっと躊躇してくれてもいいんだぜ?」

 

 グークルは『アルデバランのモノリス襲撃』を知った瞬間、聖天子がどう動くかを正確に読み切っていた。

 ミサイルと戦闘機の使用も、その後彼女が真守に頼ることも、予想していた。

 

 ──そして、それが()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()……この情報、どうしたものかねぇ?」

 

 ミサイルと戦闘機による攻撃、真守の単騎襲撃の目的はいずれも、『アルデバランが複数のモノリスを攻撃できないよう体力を削ぎ落とす』ことだ。

 しかしそんなことをしなくとも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それが『天童の汚職』

 アルデバランが攻撃したモノリスには()()()()()()()()()()()()()ため、そこだけ結界の強度が低かったのだ。

 

(まぁ、真守くんが生還してくれたから結果オーライではあるんだけどさ? ホント、勘弁してくれよ聖天子ちゃん……彼は大事な大事な、ボクの()()()()()なんだから。

 

 他の生ゴミはどうなろうと構わないけど、真守くんを喪うのはダメだ。

 ……二ヶ月前のアレから生きて帰った時点で、早々死なないだろうけどさ)

 

  ──正直あの時、『血の力』込みで九割死ぬだろうなと思ってたし

 

 グークルにとって、今回の戦いは──いや、今回の戦い()瑣末事だった。

 この『情報屋』が狙う首は、ただ一つ。全ての関心は、『ソレ』と『ソレを殺し得るもの』にのみ向けられる。

 

「ゾディアックガストレア、ジェミニ──」

 

 

見つけ出して、必ず殺す

 

 




 
「ま、そのためには面倒でもコツコツ盤面を整えなきゃいけないワケですが……うん、決めた。
 邪魔な菊之丞(老害)回りの掃除を兼ねて、この情報はあの子に売っちゃおう」



 *



 真守くん視点だと既に『東京エリアには大切な人がもういない』状態になってますよ。という話と、しばらく先送りにされていたグークルさんについてのお話でした。
 グークルさんの破綻者らしさやクズだけど憎めないくらいな性根の悪さを表現できていたらいいな……(原作で蓮太郎から『悪人』と断言されながらも『さん』付けで呼ばれているので、その絶妙なラインを常に意識していきたい)

 オマケ

 グークルから登場人物への関心度・評価など

 一般人:愚か過ぎて最早逐一怒りを抱くのも疲れた。
 まさに衆愚。心の底からゴキブリの方がマシ。同じ『人間』とは思っていない。

 聖天子:中途半端。荒削り。だけど見所はある。

 真守:キミのようなバカは好きだよ。
 彼の力の由来や正体について知っているが、彼が二人に別れてることは知らない。

 延珠:キミのようなマセガキも好きだよ。
 グークル側から特に何か仕掛けることはない。でも延珠側から頼られれば、大抵のことはしてくれる。

 蓮太郎・ティナ:……機械化兵士、嫌いなんだよね。(ただし二人のこと自体は比較的嫌いじゃない)

 木更・夏世:実に話が合いそうだ。いつか直接会ってお茶でもしないかい?
 木更については、新たな顧客としても目を付けているらしい。

 舞:……恐ろしい子。ボクは好きだけどね。
 真守が死んでいたら、協力者候補の筆頭になっていた。

 菫:???
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