見える子ちゃんと幼馴染君   作:秋涼

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見える子ちゃんと幼馴染君

私には幼馴染の男の子がいた。

 

「俵さんの頼光くんが帰ってくるみたいよ」

 

朝食を食べている時際に母が話した。

 

「隣に息子さんいたんだね」

 

「恭介もみこもよく一緒に遊んでたじゃない」

 

「え〜覚えてないなぁ」

 

「みこも覚えてない?」

 

「ん〜覚えてるような、覚えてないような」

 

今まで忘れていたが、そういえば小学生1年生ごろまでは

一緒に遊んでいたような気がする。

 

いつも私の後ろについてきてニコニコしてるような子だったような?

あれ、でもどうして両親残してその子だけ別で暮らしてるんだっけ?

 

「なんで一人だけ別の場所で暮らしてるの?」

 

「家庭の事情らしいけど、当時色々あったらしいから」

 

母が気まずそうに話を逸らした。

あまり聞かない方が良いことなのだろう、少し気になるが

そこまで興味を惹かれる話でもない

 

お父さんがトイレから帰ってきてた。

 

「お、頼光くんの話かい?今日の朝も会ったよ、会ったのは3年ぶりぐらいだけど立派になったなぁ、ちゃんと挨拶もしてくれるし」

 

「あなた、3年前に頼光君に会ったの?」

 

「いやー、出張先で交代事故に遭いかけた時に彼が助けてくれなかったらと思うとゾッとするよ」

 

「あなた、私そんな話聞いたことないんだけど」

 

「そうだっけ?まぁ隣の藤太と静さんにはもう御礼とかしたから大丈夫だよ。それに、家族に余計な心配かけたくないしな」

 

「あなた・・・・・・、それはそれとして詳しく聞かせてもらいますからね」

 

「あはは、僕はそろそろ仕事に行く準備しないとなぁ〜」

 

「今日はテレワークだって昨日話してましたよね?」

 

 

「ご馳走様」

 

リビングが変な空気になってきたので、恭介と目配せして、その場を後にする。

それにしても記憶の中の男の子は人を助ける等できる感じではなかったけど

男子、三日会わざれば刮目して見よということ?

相手も私のこと覚えてるわけないと思うし、まだあってもないから一目どんなになってるか見れたら良いなと思う。

 

「いってきます」

 

通学鞄を持ち、恭介と一緒に家を出る準備をする。

 

「行ってらっしゃい、みこ、恭介」

 

後ろを向くといつ抜け出してきたのか父がリビングの入り口から出てきた。

 

「二人とも学校から帰ったら冷蔵庫にプリンが入ってるから食べなさい」

 

「やりぃ」

 

やった!プリンだ!

恭介が喜びを露わにしているが、なんか恥ずかしいのでスルーすることにする。

 

「前から気になってたんだけど、あのお札ってなんなの?」

 

照れ隠しにいつ設置されているか分からないが玄関の上部にお札が貼ってある

書いてある文字はよく分からないが百足の絵が描かれているのが分かる。

百足の絵が妙にリアルで今にも動き出しそうで気持ちが悪い

 

「あぁ、俵の奥さんの実家が神社でね。神主自作のお札らしくてね。

頂いたから貼ってたけど、家内安全、商売繁盛のご利益があるらしいよ」

 

今日はよく出るな、俵家

 

「ちょうど貰って、家に貼った時から調子が良くてなぁ、本当にご利益が」

 

「あなた・・・・・・、トイレに行くって逃げたわね、まだお話が終わってませんよ!!恭介、みこ行ってらっしゃい」

 

「気をつけていってらっしゃい」

 

母に引きずられていく父を見送り

 

玄関の扉に手を掛け、深呼吸をする。

 

ある日突然、私には変なものが見えるようになった。

原因は分からないが、こちらに見える?見える?と確認してくるあたり

反応したらどんなことになるか分からない為、私は無視することしかできない。

幸い、対応が間違ってなかったのか今ところ特に問題は起こっていない。

私の精神的な疲れ以外

家の中には変な奴らが出てこないのが唯一の救いだ。家に近づいた変なものが

何かの壁に阻まれたあと、すぅっと消えていくのが見えたので何故かこいつらは私の家に入ってこれないだと感じで安心した。

 

しかし学校に行くためには、外に出ないといけない。

 

「ねぇちゃん?」

 

恭介が怪訝そうな目で見ていたので慌てて外にでる。

 

さりげなくあたりを見回すと変なやつらの姿が珍しく見当たらない

家に帰ったらプリンもある、今日はとても良いになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

深夜の住宅街を走る走る。

「ヒャァァァァッッ!!!!」

 

車ですら追いつけるか分からない速度で爆走する人影

「フィーーーーーー!!!」

 

時折人とぶつかるが人をすり抜けて爆走する。

そう、彼はもうすでに死んでいるのである。

 

彼は日本全国を爆走しており、時折微かに彼を視認できる人は

彼のことをマッハ青年と呼ぶだろう。

このまま走り続け、同系統の走り回る怪異のターボババアが

ハイパーババア、光速ババアと進化するように彼もまた光速青年に

至ることができたかもしれない。

 

十字路を理想的なコーナリングラインで曲がった後

しばらく直線的な道路を走る

 

「ファ!!」

 

リン

 

と急に鈴の音が聞こえたと思ったとき彼の頭と体が急に別れる

体のみが高速で離れ、制御を失った体は壁にぶつかり、消失した。

 

彼は体を失い、首だけになり空を見上げる

彼が最後に見たのは、民家を遥かに凌ぐ百足のような大きな影と

四谷と書いてある民家の表札だった。

 




2.3日に一回投稿できたらいいな
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