チーム申請や諸々の手続きが終わり晴れて月白隊が結成されたさらに次の日。早速、エンジニアが作ってくれた隊服に着替える。
「なんかー、その……少し派手すぎないか?」
「私はいいと思うわ!」
「そう! ワタクシみたいに輝いている隊服ですわ!」
「ま、まぁ……なんとも言えないですね」
「ちょ!?」
(反対意見があるのは俺だけかよ!)
風矢のトリオン体の隊服は、上はワインレッド色のジャケットに白いTシャツ。下はダークグレーの長ズボンに黒色のブーツ、手袋はなく素手。
(もう仕方ないか)
風矢の後ろではオペレーターの服に換装した餅坂。色の配色は風矢の隊服と変わらないが長ズボンではなくボトムをショートパンツ+スパッツ変更した女性陣2人。
「隊服も出来たし行くわよ!」
「お前な……影浦隊に話を通したのは俺だぞ」
「そうですわ! あのにっくり奴らを叩き潰しますわ!」
「あのー、やる気だけでから回らないでくださいね」
「「大丈夫よ!」」
「それならいいですが……」
「多分、コイツらに何を言っても聞かないと思うぞ」
やる気だけは一丁前の女性陣2人は風矢と餅坂を連れて、部隊用に用意された隊室から出て行く。
ーー
影浦隊の隊室に着いた月白隊の4人は、部屋のチャイムを鳴らす。
「ここが影浦隊の隊室ですかー」
「まあ、俺達の隊室から五分で着いたけどな」
「それは言わないお約束よ」
チャイムが鳴り終わり中からバタバタと聞こえ、少しした後にドアが開く。
「やっときたか」
「……仁礼、中は大丈夫なのか?」
「もちのろんだぜ!」
ニコニコ笑っている仁礼だが、ほっぺたが腫れたいるので何かあったのかと思い始める月白隊の4人。
「で、では! お邪魔しますわ!」
このまま部屋の前にいても仕方ないと思ったのか、城山が覚悟を決めて部屋の中に入る。風矢達も仁礼の案内で影浦隊の隊室内に入る。
「おう、よく来たな」
「ゾエさん、待っていたよ」
部屋にある椅子に座ってコチラを見ていたのは、マスタークラスのスコーピオン使いである影浦雅人。7000ポイントを超えているヘビーガンナーの北添尋。
(俺達の師匠になる存在だな)
アタッカーの雫と城山は影浦。ガンナーの風矢は北添。オペレーターの餅坂は仁礼。ポジションごとに別れたので互いの修行を始めていく。
ーー
まずはガンナーである風矢は北添から簡単なアドバイスを貰う。
「確かパワータイプのゾエさんとは違いテクニックで点を取るのが風矢君のやり方だよね」
「俺のトリオンでは相手のシールドを破るのは難しいですからね」
「まあ、それならそれでやり方はあるよ」
トリオン9で火力も高い北添とトリオンが6で火力が並の風矢。見た感じ相性はそこまで良さそうではないが、北添の指導はわかりやすかった。
「まずは赤いピンがあるから狙ってみてくれる?」
「わかりました」
訓練フィールドの中に出てきた赤いボーリングピンに向かって、突撃銃を構え射撃を始める風矢。
「P90型の弾数は200発だからそのまま撃ち切って」
「は、はい!」
『ガガガガッ』
銃の形で段数や弾の威力が変わる。その事は前のガンナー会合で聞いているので、風矢はその事を頭に入れながら引き金を引く。
「どうですか?」
「射撃の腕は悪くないけど実戦経験が足りてないと思うよ」
「実戦経験ですか?」
「そう! じゃあ、風矢君の腕も見れたし本番に行こう!」
そう言い、北添が自分のトリガーである軽機関砲を起動して風矢の方を向けた。
「え?」
「いくよー」
『ドドドドッ!』
流石にまずいと思った風矢はシールドを使い北添の射撃を防き、自身を手持ちの突撃銃で反撃。
「ちょ!? やばっ!」
トリオンの差と武器の火力差で、風矢のシールドは粉々に割られ自身のトリオン体に北添の弾丸が刺さる。
『トリオン体活動限界』
仮想戦闘モードなのでベイルアウトしないが、風矢の心にはダメージを与えた。
(俺も雫みたいなトリオンがあれば)
月白隊で一番トリオンが低い風矢は、自分の事を凡人と思いながらもどこか期待していたと考え始める。
「考えるのもいいけど戦わないの?」
「!?」
(ここで考えても意味がないか)
頭の北添とは違い少し威圧的な言い方を耳にした風矢は、己を叱咤して立ち上がる。
「北添先輩! 俺は負けませんよ!」
「その勢いだよ!」
真正面から撃ち合うのは不利と経験した風矢は、自分がいつもやっていた戦い方で北添の攻略を始めた。
ーー
風矢が北添と修行をしている頃、他の訓練室では雫&城山VS影浦が勢いよく斬り合っていた。
「おいおい、どうした! お前らの力はそんなもんかよ!」
「ぐっ!?」
「うぐっ!」
影浦がスコーピオンを鞭のようにしならせ、雫と城山のトリオン体に傷を負わせていく。
「これが影浦先輩のマンティス」
「スコーピオンを鞭のようにしならせるとか反則ですわ!」
「お前ら! 口を動かすよりも手を動かせ!」
2人がかりでもマスタークラスの影浦には勝てない。その事を痛感した2人は、心が折れそうになるが……。
「風矢が頑張っているのにお前らが諦めるのか?」
この言葉を耳にした少女2人、特に雫はボロボロになりながらも立ち上がり影浦を睨みつける。
「その目だよ! 面白くなってきたぜ!」
「風矢は私の大事な人よ!」
「ワタクシも彼を取り逃したくないですわ!」
この場所に風矢が入れは呆れながら突っ込んでいたと思うが、今はいないのでみんなスルーして戦いを続ける。
(スコーピオンと孤月の差は……)
雫は自分の優れたトリオンを使い右手の孤月で影浦のマンティスを叩き斬り、サブのスコーピオンで反撃を仕掛けている。影浦は雫の動きに対処しながらある言葉を口にする。
「お前、トリオンが豊富なのに弾トリガーを使わないのか?」
「弾トリガーは私は合わないんですよ!」
「ちなみにワタクシもですわ」
「あー、お前ら……」
影浦は彼女達と斬り合うと同時に一つ確信する事があった。
(トリオンはあるが、使う頭がないんだな)
何かを察した影浦は、なんとも言えない雰囲気になりながら体を回転させマンティスを全体に伸ばす。
「ぐうぅ!」
「きゃぁぁ!」
『『トリオン体活動限界』』
全身を切り裂かれた雫と城山は、自分のトリオン体が治った事を確認してまた立ち上がった。
「「もう一本、お願いします!!」」
「あぁ、何回でもこい!」
影浦は獰猛な笑みを浮かべ、覚悟を決めた雫と城山に襲いかかった。