ヘタレガンナーと戦闘狂ヒロイン達   作:黒霧春也

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3話、若村麓郎

 10月上旬、風矢と雫がボーダーに入隊して1ヶ月。C級ランク戦会場では、赤髪ポニーテールの召喚が黒髪ウルフカットの少年の足に泣きながら抱きついていた。

 

「ふゔやじゃーん! まだまげだ!」

「ちょ!? ここで抱きつくのはやめてくれ!」

 

 周りの訓練生達は冷めた視線を2人に送り、風矢は吐きそうになりながら雫を剥がそうとする。だが雫が風矢の足にしっかり抱きついているのでなかなか離れられない。

 

「いいから離れろ!」

「なら、私の話を聞いて!」

「……わかった」

 

 ここで駄々をこねられると面倒だと判断した風矢は、雫の要件を飲み頷く。

 

(またか)

 

 涙を浮かべる雫と共にロビーのソファに座る風矢。まずは雫が泣いている理由を聞き始める。

 

「で、なんで泣いていたんだ?」

「それは……私がカモにされているからよ!」

「は?」

 

 雫が、自分はカモにされていると言い手の甲のポイントを表示させた。そのポイントは2151と書かれており入隊時の3000ポイントを大きく下回っている。

 

「アタッカーは勝てるけどシューターやガンナーは射程があるから勝てない!」

「あー」

 

 C級ランク戦の都合上、正隊員が持っているシールドと呼ばれる半透明の盾が持てず。孤月持ちの雫は、射程があるシューターやガンナーにはめ殺されるみたいだ。

 

(まあ、そのおかげで俺はポイントを稼げたけどな)

 

 この1ヶ月で3124ポイントまで稼いだ風矢をよそにワンワンと泣く雫。ここまできたら流石に可哀想だと思い、風矢は一つアドバイスをする。

 

「お前な、正直に突撃するから負けるんだよ」

「え? それじゃあどうすればいいの?」

「……遮蔽物を壁にしたり不意打ちとかしたら?」

「あぁ! なるほど!」

 

 風矢のアドバイスはありきたりの物だったが、雫には目が鱗みたいで笑顔を浮かべながらランク戦ブースに走っていった。

 

「アイツも元気になったし行きますか」

 

 今日もポイントを稼ぎますか、と気合を入れた風矢は108号室に入る。するといきなり対戦申請が送られてきた。

 

「えっと2860ポイントか」

 

 トリガーは風矢と同じアステロイド〈突撃銃〉で、早速OKボタンを押し仮想フィールドに立つ。

 

『C級ランク戦開始!』

 

 開始の合図と同時に、相手のメガネをかけた少年がアステロイドをぶっ放してきた。

 

(いきなりか!)

 

 風矢は路地裏に入り相手の弾丸をやり過ごす。だが相手は追撃を仕掛ける為に風矢を追いかけてきた。

 

「このままじゃやられるな」

 

 直撃ではないがジリジリと削られるトリオン体を見た風矢は、勝負をかける為に屋根に登る。

 

「逃げてばかりじゃ勝てないぜ!」

 

 相手の少年は余裕そうに追いかけてきた瞬間、風矢は相手が着地したと同時に引き金を引く。

 

「なに!? ぐっ!」

 

 思わぬ反撃を食らったメガネの少年は思わず屋根から飛び降りる。その隙を見た風矢は相手を追いかけトドメを指す。

 

 108号室、アステロイド〈突撃銃〉、3124→3154

 205号室、アステロイド〈突撃銃〉、2850→2820

 

 ーー

 

 あれから風矢はメガネの少年と模擬戦を繰り返し4勝1敗という結果で終わり、一旦飲み物を買いに行くためにブースにから出る。すると205号室のメガネの少年も出てきて声をかけてくる。

 

「お前、名前はなんでいうんだ?」

「月白風矢だ」

「月白風矢か……オレの名前は若村麓郎だ」

 

 メガネの少年、若村麓郎はクールな見た目をしているが熱くなりやすいタイプみたいだ。風矢は同じガンナーの若村と話しながら買ってきたジュースを飲む。

 

「まさか逃げ腰なのは罠だったのか」

「まあ、あの戦法の方が点が取りやすいからな」

 

 ソファーに座りながら2人で仲良くジュースを飲む中、C級ランク戦会場の方から女性が喧嘩する声が聞こえる。

 

「「おい、まさか……」」

 

 その声に聞き覚えがあったのか、風矢と若村は思わず呟き同時に立ち上がる。

 

(嫌な予感が)

 

 2人同時に嫌な予感を感じ、喧嘩している場所の方を見る。すると赤髪ポニーテールの少女と、黒髪ロングヘアの目つきの鋭い少女が何かを言い合っていた。

 

「あんた! その火力がムカつくのよ!」

「私にポイントを取られてイラついている可哀想な人の言い分なんて聞きたくないわ」

「何ですって!」

「なに? タコさんウインナー(笑)」

「!! 殺す!」

「「待て待て!?」」

 

 取っ組みあっている少女達を見た風矢と若村は、叫びながら2人を止めるために中に入る。

 

「ちょ! 放してよ!」

「いいから落ち着け」

「葉子、何があったんだよ」

「邪魔するな麓郎!」

 

 雫に向かって殴りかかりそうな少女、香取葉子。彼女は雫にポイントを取られた事に苛立っているか彼女を睨みつけていた。

 

「何よ! 私に勝てない雑魚のくせに」

「はぁ!? アンタのトリガーの性能がおかしいだけで負けてないわ!」

「ん? トリガーの性能がおかしいだと?」

 

 香取の言葉を聞いた若村が疑問符を浮かべたので、隣でガルガルと威嚇している雫の代わりに風矢が説明を始めた。

 

「あーその件だが、雫のトリオン量が多いだけなんだよ」

「それってどれくらい多いんだ?」

「俺のトリオンが6でコイツのトリオンは12だ」

「「12!?」」

 

 風矢のトリオン量は若村や香取と同じ6だが、雫のトリオン量は12でボーダーの中でもトップクラスの数値だ。

 

「じゃあアタシのスコーピオンが簡単に折れた理由は……」

「そう、コイツのトリオンのせいだ」

「どうよ私のトリオンは!」

「!?」

「「……」」

 

 表示が死んでいる男性陣をよそに、煽った雫と煽られた香取は互いに睨み付け合う。

 

「上等よ! 今度こそアンタをボコボコにしてやるわ!」

「やれるもんならやってみなさい!」

 

 少女2人が睨みつけ合いながらブースに入り、残った風矢と若村は互いに顔を見合わせる。

 

「苦労しているんだな……」

「互いにな……」

 

 互いにため息を吐き、少女2人が入っていったブースを見る。

 

 ーー

 

 少女2人がランク戦でぶつかっている中、風矢と若村はソファーに座りガンナータイプの話していた。

 

「そういやー、銃のタイプ変えれるらしいぞ」

「そうなん?」

「あぁ、正隊員で変えている人がいたぞ」

 

 若村の言葉を聞いた風矢は少し考えた後、何個か思い描いている事を口にする。

 

「なるほど……それなら片手でも使えるアサルトライフルがいいな」

「それならP90型はどうだ?」

「確かにありだな」

 

 スマホで銃の形を調べた2人は、開発室に向かい今使っているアサルトライフルの形をP90型に変更。使い勝手を試すために互いにC級ランク戦を始めた。

 

(若村は他の人と戦っているのか)

 

 既に戦い始めた若村をよそに、風矢は3000くらいの相手に申請を送り相手も受諾。対戦フィールドの市街地Aに移動した。

 

「さてと行きますか!」

 

 相手がスコーピオンを構えて突撃を仕掛けてきたので、突撃銃を構えて下がりながら反撃をする風矢。

 

「チイィ!」

 

 思わず舌打ちをした風矢だったが、その隙を突かれてスコーピオンの斬撃を食らいベイルアウトした。

 

 108号室、××〇〇〇

 209号室、〇〇×××

 

 最初の2戦は負け越したが、なんとか持ち直して最後は勝つことに成功した。その結果、ポイントが手に入るが若村と戦った後と対して変わってない。

 

 アステロイド〈突撃銃〉3263

 

 ただ今日だけでも100ポイント以上稼げた風矢は、ホクホク顔になりながらブースから出て行く。

 

 

 

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