次の日の日曜日。久しぶりの休みだと思い風矢は自宅でのんびりしているとボーダー用のスマホに着信が入った。
「うん?」
いつも連絡をとっている雫は個人のスマホにかかってくるので除外。他の誰かだと思い通知を見る。
(若村かカゲさんあたりかな?)
最近関わりがあるのはガンナーの繋がりと影浦隊の3人た。
「あー、若村の方か」
(内容は、香取達と買い物に行くから付き合ってくれ)
明らかに荷物持ちにされる気配がバンバンしているが、友達が犠牲になっているのは居た堪れない。そのため〈OK〉と返信し、若村から集合場所も時間が送られてくる。
「10時ってギリギリじゃん!」
今の時刻は9時15分。パジャマの風矢が身支度を整えるのに15分、家から目的地のショッピングモールまで30分弱。
(ただ、香取を待たせるのは面倒そうだな)
癇癪持ちの香取を待たせるのは、不機嫌にして面倒になる。そう若村から聞いた風矢は急いで準備して家から出る。
ーー
9時58分。目的地であるショッピングモール前に到着した風矢は息を切らしながら周りを見る。
(アイツらはどこだ?)
キョロキョロと周りを見ていると後ろから肩を軽く叩かれる。
「来てくれたか……」
「まあな……」
後ろにいたのは表情が死んでいる若村だった。彼は少し離れた場所で屋台カーのクレープをベンチに座りながら食べている香取達の方を死んだ目で見ていた。
(まあ、そうだよな)
女性陣3人の顔を見ながら風矢はため息を吐く。
「今回のメンバーは男子が俺と麓郎……女性は雫、香取、染井さんでいいんだよな」
「あぁ、ちなみに雄太は家の用事で来ない」
「つまりは俺達2人で対応しないといけないのか」
「華さんは落ち着いているかともかくヨーコと水山が問題だよな」
ハァ……と2人してため息を吐く風矢と若村。そこにクレープを食べ終えたのか女性3人が男性陣の方に移動してきた。……その後ろにいるある人物の視線も含めて。
「クレープを食べ終わったし行くわよ!」
「それはいいが、あの視線が気にならないのか?」
「「視線??」」
「……わたしは無視してました」
「なら風矢、オレ達これからどうなるんだ?」
「俺をここに呼んだお前が言う!?」
この後、話し合いで女性がもう1人追加され風矢と若村の負担がさらに増えた。
ーー
女性陣4人(追加で城山)と男性陣2人。周りから見れば華やかしいと思えるが実際は……。
「この3人の中で一番強いのはアタシよね!」
「いや、私よ!」
「あらあら、ワタクシを忘れないでよくて?」
「わたしはオペレータだから関係ない」
女性陣は何故か誰が強いかの言い合いをしており、明ら女子力ゼロの話題を繰り返している。男性陣の方は、キャアキャアうるさい女性陣に頭を抱えながら周りを見る。
「アイツらライバル同士になっているんだな」
「それがいい意味でも悪い意味でもあると思うぜ」
「まあ、それでも雫が楽しそうにしてよかった」
「確かお前らは幼馴染だったよな」
「そうだ」
若村は風矢の雫の関係が気になったが、これ以上話すと女性陣に絡まれそうだったから話を変えた。
「しっかしまあ、お前も苦労しているな」
「それはお互い様だろ。まあ、犬飼先輩に弟子入りしたお前も大変そうだけどな」
「射撃は上手くなっているから悪くはねーぜ」
「そうか?」
「あぁ、それに犬飼先輩はコミュ力も高い視野も広いから勉強にもなる」
犬飼先輩の事を話し始めた若村の目に光が灯ったので、風矢は内心で喜ぶ。
(悪くはないか)
若村とガンナーの事で話していると女性陣が向かいたかった服屋に到着。その中で誰が一番可愛くなるかで勝負し、男性陣を大いに困らせるのはまた別のお話。
ーー
女性陣の対決をなんとか穏便に済ませた風矢と若村は、フードコートの椅子に座って天井を見上げていた。
「「つ、疲れた……」」
6人席の左端の2席に座っている風矢と若村は互いに顔を合わせる。
「やっぱり女性陣の買い物は長いな」
「ああ、しかもアイツらめっちゃ買っているぞ」
自分達の席の近くには大量の荷物が置いてあり、2人では到底待ちきれない量。そのため半分は女性陣に持ってもらっているが、重労働なのは変わりない。
(帰って寝たい)
(恨むぞ雄太)
このまま午後の買い物が続くとなると負担が大きくなるのでどうにか減らそうと考え始まる。だが特にいい案が浮かばず唸っていると手元のアラームが鳴った。
「女性陣はまだ帰ってこないし先に食べるか?」
「まあ、それがいいだろーな」
2人が頼んだ醤油ラーメンを食べていると、お腹を空かせた女性陣がズルいと言い不機嫌になった。
(またか)
女性陣の機嫌をとるために午後も彼女達に振り回される事が確定した風矢と若村だった。