追憶のオーバーロード   作:wash I/O

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第1話 百年後の世界

「これで三つ目です。」

 

 白い法服姿の男が言う。

 

「最早偶然とは言えないでしょう。皆さんはどうお考えですか?」

 

 共にある三人の仲間連れに問いかけるも、まず返された言葉は取り付く島もないものだった。

 

「それを考えるのは私の役目ではないわ。」

 

 軽装の女戦士が素っ気なくそう言う。

 

「同じく、私にわかるわけないじゃん。」

 

と黒い拘束具(ボンテージ)風革鎧を纏った女野伏(レンジャー)が続く。

 

 法服の男は、ふーっと溜息をついたが、(あいだ)を取り持ったのは地味な灰色のローブの隙間からギョロリと目玉だけを覗かせる男だった。

 

「まー、おまえらそー言うな。ダラムの頭が切れるのは事実だが、こいつにだってわからねーことはあるし、おまえらの直感が当たりを引くことだってあろーさ。」

 

 そして目玉の男は右手を耳元に当て、魔法を発動させる。

 

「<伝言(メッセージ)>。

 リーマン、どーだ。ここまでに見つけた石碑の位置関係から何か推論できることはあるか?」

 

 待つことしばし。

 男は三人に向かって首を振った。

 

「リーマンもこれじゃーわからん、と言ってる。」

 

 彼らが拠点を離れて探索を開始し、既に二ヶ月が経過していた。

 

「整理しましょう。」

 

とダラム。

 

「これまでに確認された事実は、ここがユグドラシルではなく、私たちが何らかの異世界へと迷い込んだ、という仮説を支持します。ここまではよろしいですね?」

 

 残る三人は無言のまま頷く。

 

「今のところ手掛かりはこの石碑だけです。」

 

と目線を街道から少し外れた草むらの中に建つ、おそらく彼らでなければ自然石とは見分けがつかないであろう石碑へ向ける。観察眼(かんさつがん)に秀でた野伏(レンジャー)のケイトが気づいていなければ、彼らとて見落としていただろう。

 

 ここまでの旅の過程で、現地住人との間には何らかの翻訳が働いており会話可能であることは確認していたが、用いられる文字体系はまったく異なっていて、来歴上文字に一家言あるダラムをしても、旅を優先していることもあって未だその解読は叶っていない。

 一方、彼らが唯一の手掛かりと(もく)す石碑には、かなり不格好ではあるが、ユグドラシルの公用語である日本語のひらがなが彫られていた。その形状や語用論的(ごようろんてき)な誤りから、ダラムはこれが自分たち同様ユグドラシルからこの世界に迷い込んだ存在ではなく、現地人が何かを模倣することで彫ったもの、もしくはそのように偽装したもの、と結論付けている。石碑がすべて文字に対して天地逆に設置されていたこともこれを裏付ける。

 

 そして、微妙に文面に揺れがあるものの、すべての石碑は共通してある場所への来訪を求めていた。

 

「二つまでならばどうか、と思っていましたが、三つ目となれば明らかにこれは我々の存在を想定しての招待状(インヴィテーション)と考えざるを得ない、と私は思いますが……皆さんはいかがですか?」

 

「ダラムがそうだ、と言うのなら、それでいいんじゃない?」

 

「デルカに同じく。」

 

 ふーっと再びダラムが溜息をつく。

 が、ローブの男はむしろ愉快そうだった。

 

「意見が一致したんだから結構なことじゃねーか。」

 

「……しかし、ピー。このイジェ、というのが何処なのか手掛かりがないのですよ?」

 

とダラム。

 しかしピーと呼ばれた灰色の男はさらりと返す。

 

「ダラムともあろう御方がらしくもねー。これを彫ったヤツは、イジェ、と言えばわかると思ったからこーしたんだろーさ。現地人を適当に引っ掴まえて訊けばすぐにわかるんじゃねーか?」

 

「……それはそうですが、現地人との接触は極力避けよう、と決めた方針からズレませんか?」

 

「そんなこと決めたっけか?」

 

「「さぁ?」」

 

 ピーは確信犯であるとして、ケイトとデルカ……軽装の女戦士、は単に既に忘れているだけだろう、ということが問い糾すまでもなくわかるがゆえに、ダラムは再び溜息をついた。

 

 

                    *

 

 

 ()()自由都市エ・レエブルは、紆余曲折を経ながらも大陸西部では最も活気のある人間の街だ、と少なくともそこに暮らす誰もがそう思っている。

 

 当地を含む周辺を統治していた王家が倒れたのは、既にその家名が忘却されるほどの昔の話だ。

 国家崩壊の直接の要因となったバハルス帝国との戦いで激戦地となったエ・ペスペルは廃墟として放棄され、若く聡明な領主がいち早く共和制への移行を断行し帝国への恭順を申し入れたエ・レエブル、追ってそれに倣ったリ・ロベル、および、かつての王都リ・エスティーゼは緩衝地帯として帝国自由都市……帝国に貢納の義務を負うが自治権を有し、代わりに帝国市民権は持たない……となった。

 これより北は、それぞれの領地を有していた貴族を源流とする侯国(こうこく)伯国(はくこく)が乱立するが、旧態然(きゅうたいぜん)とした体制が祟って国は傾く一方であり、対して帝国自由都市は、様々な問題を内包しつつも、であるがゆえに、王国時代には決して見られなかった活気を呈している。

 

 最初に王国から離反したエ・レエブルは、支配階級であった貴族が特権放棄に合わせて土地所有権を富裕層市民に安価に売却し、これによって新たな資産階級となった人々による寡占共和制へと移行した。これ以外に参照すべき前例がなかったこともあって、帝国自由都市は具体的な制度体系は微妙に異なりつつもすべて共通の政体を採用している。

 王国旧体制は、良くも悪くも上意下達の恣意が罷り通るものであった。無論、(まいない)や恫喝によって任意の割り込みの余地は無限にありはしたが、原則としては王権が下方へ一方的に伝わる造りである。

 対して帝国自由都市はこういった旧体制への反動もあり、また、安全保障は帝国が担う建て付けになっているため政治権力の果たす役割は、帝国への貢納の原資となる徴税、城壁や街路、水道、近隣の街道といった共有資産(インフラ)の管理等に限られ、存外小さい。逆に言えば、そこに暮らす人々の生存上の諸々は自力救済が原則となった。

 具体的には、人々は資産階級へ政治力(ヘッドカウント)を提供する代わりに保証を受ける庇護関係(パトロキニウム)を結ぶか、下風に立つことをよしとしない中産階級は自費にて自衛手段を贖うことになる。その範囲は、いわゆる警察力から契約不履行に対する実力行使まで幅広い。帝国自由都市は、()()であるがゆえにそういったことについてもまた()()なのである。

 

 そして現在、この需要(ニーズ)に応えているのがかつて冒険者(ヴェンチャー)と呼ばれた人々になる。

 

「何かこう、血沸き肉踊る冒険はないものかね?」

 

 と、リキウスはボヤく。

 

 冒険浪漫に夢見がちな彼の独り言はいつものことなので、最早仲間達(チームメンバー)は反応しない。

 

「……おまえらさ。何か返せよ!

 景気の良さそうな噂話の類でも、何か、こう……あるだろ?」

 

「なくはない。」

 

と傍らに二人いた同じ顔をした少年の一方が言う。

 

「聞こう!」

 

「リ・ロベルで以前から悪い噂のあった海運業者が行方不明。

 また()()()だと話題。」

 

「……なんだ、いつものやつかよ。面白くもない。」

 

 自力救済を基本とする帝国自由都市は、その言葉が想像させるほど治安が悪くはない。

 

 王国が滅ぶのと並行してこの地方に弘まった都市伝説があって、度を逸して私利私欲の悪行をおこなう者を問答無用に屠る化け物が徘徊している、という噂だ。これが総じて神隠し、と呼ばれるが、それがどのような化け物によって為されるかについてはいろいろな尾鰭はひれ(バリエーション)がある。

 最もよく知られているのが骸骨姿の不死者(アンデッド)による、とするもので、この類型はさらに、想像を絶する強大な魔法を行使するのだ、というものと、恐ろしい力で悪人の五体をバラバラにするのだ、という相矛盾(あいむじゅん)した二つの類型(るいけい)に分かれる。少数派としては、その化け物は白髪の紳士であり拳骨一発で頭を吹き飛ばすのだ、とか、白銀に輝く(むし)の化け物が四本の腕で恐ろしい剣技(けんぎ)を振るうのだ、というものもあった。

 聞くに荒唐無稽な話であるが、存外この話は広く信じられており、どんな儲け話であれ、政治勢力間の衝突であれ、この辺りで手打ちにしておかないと神隠しに遭うかも知れない、という恐怖感が抑止力となり、治安の維持に貢献しているのは誰しもが認めるところである。野盗の類ですら、無垢な人々の皆殺しだけは忌避するほどに。

 

 リキウスは、夢見がちではあるが現実主義者を自認しており、神隠しの話に対しては懐疑的だ。

 

 彼は、神隠しは旧王国民がバハルス帝国による支配を受け入れる過程で創話(そうわ)した自己欺瞞だと考えている。化け物の振るう強大な力とは、()帝が住まう第二帝都エ・ランテルに常駐する常備四軍四万余を象徴したもの。自由都市群に一旦事あればたちまちに彼らが介入することは自明であり、この抑止力を姿通りに受け入れることを嫌って神隠しが語られるようになったのだ、というのが彼の解釈だ。

 

 というのも、化け物の姿に関する話には、元ネタと思われるものがちゃんと存在するからだ。

 

 骸骨姿の魔法使い、あるいは怪力無双は、トブの大森林に傍近い辺境に近年建国されたド・クロサマー王国が旗印に掲げる髑髏(どくろ)旗のことであり、帝国の支配を快く思わない人々が、同王国が帝国を後背から襲って我々をその支配から解放してはくれないか、と期待する心の現れなのだ、とリキウスは考える。

 白銀の(むし)は、明らかにアベリオン丘陵の彼方、ローブル聖王国で百年ほど前から信仰される正義の神様をモチーフにしており、特に目新しさはない。いずれも人間の空想(イマジネーション)の産物だ。

 頭を吹き飛ばす白髪の紳士、というものだけが由来が不明な上突飛なこと極まりないが、どこかの(うれ)しがりが面白可笑しく吹聴した冗談(ジョーク)が、人伝えを繰り返すうちに定着したものに違いあるまい。

 

 そんなものがあってたまるか!

 

 少年の話は、リ・ロベルで(おもて)の顔は海運業者、その実は奴隷売買を生業とする海賊の類が突如消息を()った、というものだったが、この一団が海上で難破したり、あるいは何らかの事情で他国へ夜逃げしたと考えた方が合理的であるのは自明なのに、分別のない人々は神隠しと結びつけて考えることを好む。そして、そのこと自体が神隠しの信憑性を(あか)しするという循環が起きている……とリキウスは苦々しく感じていた。

 

「面白くないだけならまだしも、俺たちに旨味がないじゃないか!」

 

「何か言え、と言ったのは駄目ボス。」

 

 少年は淡々と返す。

 同じ顔をしたもう一人の少年は、沈黙したまま横一文字(よこいちもんじ)に二回、顔の前で指振った。

 

(口を閉じろ。首掻っ切るぞ。)

 

の意だ。

 

「おまえらなぁ……」

 

 と突っ掛かりかけたところで、リキウスはもう一人の仲間、隣で黙って二席占領しながら得物の戦槌(ウォーハンマー)の手入れをしていた大男に、足先で突かれたのに気づいてそちらに目を向ける。

 肌色悪くやや青味(あおみ)がかり、屋内にも関わらず濃い日除け眼鏡(サングラス)で瞳を隠した大男は、黙って顎をしゃくって一方向を示す。

 

(相手に気取られることなくそちらを見ろ。)

 

のサインだ。

 

「……いい加減にしろよな。だいたいおまえらは……」

 

と口にしながらリキウスの心は、既に双子の方から大男が示した方向、酒場の一番奥の席に陣取っている四人連れへと向かっていた。

 

 神官風の男、軽装の女戦士、灰色の魔法詠唱者(マジックキャスター)、黒尽くめの野伏(レンジャー)……今どき珍しい絵に()いたように基本に忠実な四人組(カルテット)だ。決して目立つ装備をしているわけではなく、むしろ地味な印象さえ受けるが、どの品もそこらで容易に手に入る安物ではない、とリキウスは判断する。

 で、ありながら、この辺りの冒険者の顔役でもある自分が知らない、ということは旅人か、あるいは、余所からエ・レエブルの活況を聞きつけてやってきた新参か。いずれにしても、舐めてかかってよい相手でないことは明らかで、大男も同じ印象を(いだ)いたからこそ自分に注意を促したのだろう、と理解する。

 

 次の瞬間、リキウスはチッ、と舌打ちすることになった。

 相手に気取られる前に視線を(そら)したつもりだったのに、神官風装束の男が俄に立ち上がってこちらへ歩いて来るではないか。

 

 詫び半分、懇願半分で再び大男に目を向けるが、口元がニヤリとしたのみ。

 

(テメェで何とかしろ。)

 

の意に違いない。

 

(そりゃないよ、ギンさん!

 そもそも振ったのあんたじゃないか……)

 

 リキウスは内心毒づいたが詮無きこと。そうこうするうちに、神官風は彼らが陣取っていた席……この店では最上とされる六人掛けのCの字ソファー……の前まで達していた。

 

「皆さん、こんにちわ。」

 

 緊張を感じたのが馬鹿らしくなるほど、神官風男は気さくに声をかけてきた。

 しかし、リキウスからしてみれば、それ自体が異常事態である。

 

 というのも、隣にいる……自分よりもより神官風男に近い……大男、ギンは、武妖巨人(ウォートロール)と人間の混血(ハーフ)であり、日除け眼鏡も妖巨人由来の目一杯を占める赤い角膜が否応なく与える恐怖心を少しでも和らげるため。そうでなくともこの巨漢である。外見の恐ろしさとは異なり極めて温厚かつ義侠心の強い性質(たち)であることを既に知っている者であればともかく、初見で平気に声をかけてくるものなど居ようはずもないのだから。

 

 だが、声をかけてきた男はギンに対してまったく警戒している素振りがない。直前まで知らん顔を決め込んでいたギン本人までが、驚いて男の方に顔を向けていた。

 

 よほど腕に自信があるのか、あるいは底抜けの阿呆なのか。

 歳の頃は五十前後、銀髪をなで上げ髪(オールバック)にしていて、体格は良からず悪からず。お世辞にも腕に覚えあり、といった(ふう)には見えないのが余計に不気味だ。

 

「皆さんは、この辺りでは最も腕の立つ冒険者の方々とお見受けします。」

 

と銀髪。

 

 阿っているのか喧嘩を売っているのか。彼らが既に未知の魔法で自分たちの実力(レベル)の値踏みを終えているなど知りようもないリキウスは、あまりの直球に言葉が返せない。

 

 そこに助け船を出すつもりなのか、ギンが割って入った。

 

「ナゼ、ソウ(おも)ウ。」

 

 発声器官は父の血が強く出ている彼は、明らかに人外の者とわかる(おぞ)ましい声でそう尋ねる。

 だが、銀髪は怯えるでもなく、極普通に返した。

 

「あなたのような方と共に在れる方々が、並の方々であるはずもありますまい。」

 

 一瞬の沈黙。

 だが、ギンは素直に破顔した。この男は只者ではない。

 

「フフ、マッタクソノ(とお)リダナ。マァ()ケテクレ。」

 

と隣に席を勧める。

 だが、銀髪は立ったままで話を進めた。

 

「実は皆さんにご教示いただきたいことがありまして。もしご存知であれば、なのですが。」

 

 ようやくリキウスも平静を取り戻す。

 

「俺たちで答えられることであれば別に構わんが。」

 

「ご覧の通り私たちは旅の者でして、この辺りの地理に詳しくありません。これが都市の名前なのか、村落なのか、そもそも地名なのかについても存じ上げないのですが……」

 

「まずは聞こう。」

 

「イジェ……という場所に心当たりはありますか?」

 

 一瞬、ギンがピクリと眉を動かす。銀髪に気取られただろうか。

 リキウスはギンの内心を知ってか知らずか双子に声をかける。

 

「おい、クゥイア、クゥイナ。

 イジェ……って心当たりあるか?」

 

 無口な(ほう)……クゥイナはクゥイアを指差す。指差されたクゥイアは即答する。

 

「ウロヴァーナ伯国の海岸沿いにそんな名前の村。」

 

「……やけに詳しいな。何かあったか?」

 

 クゥイアは先に話題にした海運業者の失踪もそうだが、何かと耳が早いこと、噂に強いことが自慢だ。この辺りで話題になった事件であれば大抵は頭の中に叩き込んでいて瞬時に引き出すことができる。

 

「最近のことじゃない。三十年ほど前に吸血鬼騒ぎがあったので知ってるだけ。」

 

(おまえが生まれる前じゃないか!)

 

 内心リキウスは思うが、口には出さずに銀髪の方を向いた。

 

「……だそうだ。ここからだと徒歩で二週間ってところかな。ただ、あんたらだけで伯国へ向かうのはなかなか面倒だぞ。ブルムラシュー侯国を越えていくことになるが、どちらも余所者の入国には厳しい。」

 

「ではおまえらを道先案内人(ガイド)に雇おう。」

 

 いったいぜんたい、いつの間に近寄ってきていたのか。四人組の一人、灰色のローブを纏った魔法詠唱者(マジックキャスター)が銀髪の隣に立ってそう言うや、手にした革袋から交金貨をバラバラっと食卓(テーブル)の上に撒いた。その数は百には及ばないが五十枚は軽く越える。リキウスたちから見れば大金だ。

 

 その傲岸不遜な態度に、ギンはリキウスが切れ散らかすのではないかと一瞬気を揉んだが、リキウスは既に目前の金貨に目が眩んだようで上機嫌だった。

 

「この仕事引き受けよう。改めて自己紹介させてもらう。俺たちはチーム<(あけ)薔薇(ばら)>。俺がリーダーのリキウス・アインドラ。このデカいのがギンさん。双子のよく喋るのがクゥイア、無口なのがクゥイナだ。あんたらの名を伺っても?」

 

 しかし、銀髪の年上なのか年下なのかよくわからない灰色の男の態度は()慳貪(けんどん)だ。

 

「詮索無用に追加料金が必要なら調達するが要り用か?」

 

 流石にマズいと思ったのか、銀髪の男が割って入る。

 

「すまないね、我々はこちらの流儀に不慣れなもので失礼した。私はダラム、彼はピー。後ろの二人はデルカとケイトだ。ただ、我々の素性や目的については詮索しないでくれた方がお互いのためかとは思う。」

 

「……道案内だけの仕事だからそちらさんの素性や目的はもちろん問わないさ。だが、侯国(こうこく)伯国(はくこく)に入る手形を得るには、あんたらに帝国の息がかかっていないことを証明する必要がある。」

 

とリキウスは至極正論で応じた。

 

 だが、灰色の男はにべもなくこう返す。

 

「帝国……何だそりゃ?」

 

 その様子がまったく嘘のように見えなかったので、リキウスはマズい客を取ってしまったかも知れない、と内心思い始めてはいたが、こうなってしまっては引くのも躊躇われるので、

 

「……では、そちらの(ほう)はなんとかさせてもらおう。」

 

と請け負った。

 

「そうしてもらえると有り難い。我々も揉め事を起こしたいわけではないのでね。」

 

とダラム。

 どうも、話はこの男を常に通した方が良さそうだ、とリキウスは判断する。灰色の男もそうだが、後ろの二人の女に至っては、まったくこちらに関心がないようでずっと二人で食卓(テーブル)上の料理を、食べるでもなくナイフで突いて遊んでいたからだ。

 

「出発は?」

 

「早ければ早い方がいいですね。」

 

「では、明朝に街の北門で。食糧は少なくとも六日分は自分たちで用意しておいてくれるか?」

 

「そこはお気遣いなく。」

 

「では俺たちは準備があるのでこれで失礼する。」

 

 事務的に約束を終えてリキウスたちが立ち去ろうとすると、ピーが声を掛けた。

 

「忘れ物だ。金貨を持って行け。」

 

「……前金は受け取らない主義なんだが。俺たちが持ち逃げしたらどうする?」

 

 自力救済を旨とする当地では、冒険者、請負人(ワーカー)は売り手市場ではあるが、一般的に前金を要求する者は信用されないので、その辺りは信義則が前提となっている。こういった常識が共有されていないところを見ると、帝国という言葉がバハルス帝国を指すことを理解しないのは嘘ではないのかも知れない。

 

 だが、では彼らは何処から来たというのか?

 

「そのときは血の雨が降るだろーさ。」

 

 ピーはニヤリと笑いながらそう言った。またもダラムが慌てて割って入ろうとするが、むしろリキウスも、そしてギンも、あまりに堂々と発せられた陳腐な台詞が可笑しくて、とはいえ曲がりなりにも客を笑うわけにもいかず、口を噤んでいたが、

 

「気前のよい客、いいお客。」

 

とクゥイアが軽口で応じたので、場が和んだ。

 

「……遠慮なくいただいていこう。では、明朝に。」

 

 リキウスは、意識してダラムにそう伝えた。

 対するダラムもその意を察したようで、

 

「よろしく頼むよ。」

 

と片手を差し出し、二人は軽く握手をする。

 

 その手の感触に、リキウスの背中に冷たいものが走った。

 

 これは腕に覚えがある、どころじゃない。

 自分と同じ神官剣士(パラディン)で、しかも数段格上(かくうえ)だ、と。

 

 酒場を(あと)にしながらリキウスは、トンデモない客を取ってしまったかも知れない、といささか後悔しつつあったが、一方で、久しく覚えなかった冒険の高揚も感じずにはおれなかった。

 

「クゥイアとクゥイナは旅支度の調達を頼む。」

 

「承知。」

 

 黙礼。

 

 足早に駆け出す二人の忍者を見送りながら、リキウスは隣に残ったギンに話しかける。

 

「何かあるのか?」

 

「……(なに)ガダ?」

 

「イジェ……の名が出たとき、一瞬眉を顰めたろ、ギンさん?」

 

 若造に気づかれていたとはな、とギンは己に笑う。

 

「アア、(すこ)因縁(いんねん)ガアル。」

 

()めとくかい、この話?」

 

「イヤ、(かま)ワンサ。(みな)故人(こじん)……ノハズダ。」

 

「故人……のはず?」

 

(はは)(ふる)()()イガ、イジェニ()ンデ……イタハズダ。」

 

 武妖巨人(ウォートロール)の血を引くギンは人間種よりも長命で、既に百年近く生きているが人間で言えばまだまだ駆け出しの若者に過ぎない。逆にそうであるがゆえに、人間であった彼の母親自身を含めその知人の大半は既に故人のはずだ。リキウスとて、その玄孫(やしゃご)なのだから。

 

「私ハ、運命ダトカ、宿命ナドトイッタ(はなし)(しん)ジナイ(ほう)ダガ、コレハソノ(たぐい)ナノカモ()レナイナ。」

 

 そう呟くギンが、今なおこの世の何処かを彷徨っているであろう尽きぬ命を持つ古い知人に思いを馳せていることを、リキウスは知る由もなかった。

 

 

 

 旅自体は、リキウスの期待に反して平穏そのものだった。

 

 陸路アーグランド評議国を目指すローブル聖王国出身の探求者である、というでっち上げの履歴で四人組の通行手形を調達し、都合八人連れとなった一行はエ・レエブルを出発した。ここから北へ向かう街道は行き交う人も少なくやや荒れてはいるものの、それでもブルムラシュー侯国まではエ・レエブルの冒険者達が定期的に間引きを掛けているため、亜人や魔物の襲撃はあまり心配の必要がない。

 侯国(こうこく)は、かつてはアゼルリシア山脈の鉱山から得られる益で大変栄えた土地であったが、今から遡ること半世紀ほど前に、まだ数千年は()つと見積もられていた鉱脈が突如枯渇する災いに見舞われ凋落が始まった。侯爵家(こうしゃくけ)は採算の合わなくなった鉱山を押し付けるように民間に売却し急場を凌いだが、その後は没落の一途を辿っている。威勢を維持するには農民からの搾取を強めるほかなかったが、件の神隠しの噂がここでも力を発揮したからだ。

 

 途中、四人組の一人、ケイトと呼ばれている体線(ボディライン)に密着する(なま)めかしい黒革鎧を纏った野伏(レンジャー)が街道から幾分離れた草原に何かを見つけて……野伏とは言え、どうやってあんなものに気づくのだろうか?……その調査に足止めを喰らった他は、リキウスの想定よりもかなり早い速度(ペース)で一行は進み、五日目の昼前には国都(こくと)リ・ブルムラシュールの外縁の関に達した。

 税の一種として関吏を務める兵士たちは、自由都市の冒険者たちが南へ繋がる彼らにとって生命線となる街道の維持に貢献していることをよく承知しているのでおさおさ粗略に扱われることはなく、むしろそんなでいいのか、と疑問に思うほど四人組の手形についての検めも甘かった。もっとも仮に疑義を覚えたとて、真銀(ミスリル)級以上を自認する<朱の薔薇>と、さらにそれ以上の実力を秘めると思われる四人組に対し、彼らに何か採れる策があったとも思えない。

 

 リキウスは、この先の行路の方がより亜人や魔物の襲撃を受ける可能性が高いこと、ここまでもずっと野宿であり以降も屋根のあるところで休める望みがないことから、国都(こくと)で一、二泊することを四人組に勧めたが、

 

「おまえらが必要ならそーするが、オレらには不要だ。」

 

と灰色の魔法詠唱者(マジックキャスター)ににべもなく却下された。リキウスとしては気分的には骨休めしたい思いがないでもなかったが、必要か、と問われればここまで戦闘などなかったので体力、気力ともに十分だ。しかも、あんな言われ方をしては当地随一を自他共に認める<朱の薔薇>の沽券に関わる。

 

 ちなみに。

 真銀(ミスリル)級で当地随一、に違和感を覚える向きもあるやも知れないが、これはかつての旧リ・エスティーゼ王国の崩壊に伴い冒険者組合(ギルド)が有名無実化した結果である。階級認定制度が機能しなくなるとともに、貴族国家群では箔付けと当座の放蕩資金獲得を目的とした階級売買が常態化してしまった。

 加えて帝国自由都市においては、本来は冒険者最高位(さいこうい)を意味した金剛(アダマンタイト)真鍮(オリハルコン)がそれぞれ都市支配階級の任意、専従契約者を指し示すようになり、かつ、その(おも)に期待される能力が実力行使から交渉(ネゴシエーション)調整(コーディネイト)へと移った……読者諸兄におかれては顧問弁護士(コンサルタント)あたりを想起いただければよろしい……ことにより、必ずしも冒険者としての実力と釣り合わなくなった。一部の口さがない市民の間では、既に金剛級という言葉は「名前負け」の意で用いられてすらいるほどだ。

 そういったこともあって、中間層以下の依頼を受ける冒険者、請負人(ワーカー)最高位(さいこうい)を示す言葉としては真銀(ミスリル)が定着して久しい。また、階級認定をおこなう組織が事実上瓦解済みのため、今日(こんにち)聞かれるこれらの格付けは、主に依頼料相場を明示するための自称となっており必ずしも実際の実力とは一致しなくなっている。もっとも、実力以上の格を名乗る愚か者は自由市場では自然と淘汰されるので、自称階級にまったく信用がおけない、というわけではない。

 <朱の薔薇>に限っていえば、彼ら自身は強い義侠心(ぎきょうしん)を旨としているため白金(プラチナ)級やさらに格下の(ゴールド)級の相場で依頼を受けても一向に構わないと考えているし実際にそうしていることも多々あるのだが、実力以下の相場で仕事を受けると他の冒険者に対して結果的に値下げ圧力をかけることになるため、止む無く表向きには真銀級を自称している、という事情があった。

 

 とまれ、出発以来繰り返されたことではあるが、またしても慌ててダラムが執り成しに割って入り、むしろリキウスやギンは終始世間知の足りない仲間の尻を拭っているダラムに同情の念すら感じていたのであるが、そのまま国都(こくと)リ・ブルムラシュールを出立し、さらに荒れた街道の旅人となったのである。

 

 その日の夕暮れ、食事中に不意にクゥイナの姿が見えなくなったと思ったらいつの間にやらクゥイアの隣におり、手の平をぺらぺらと横に振った。

 

「連中、やっぱり喰ってないって。」

 

とクゥイア。

 

 彼らの野営中の食事は、荷物として嵩張らないことが第一の要件となることから朝昼は干した果実類、夜は状況が許せば湯を沸かして干し肉と雑穀で即席のスープにするのが定番だ。今日から数日はこれに国都(こくと)を出る前に仕入れたまだ柔らかい黒パンなどが加わる。

 四人組の客がリ・ブルムラシュールを離れる際食糧を調達する素振りを見せなかったので、気になったクゥイナが野営中は少し離れた位置に天幕(テント)を設置して休息する彼らの様子を覗きにいったものらしい。

 

「おまえらなぁ……気にしても仕方ないことだが、何らかの魔法の装備(マジックアイテム)かな?」

 

 飲食や睡眠を不要にする指輪の話は聞いたことがあるが、遥か昔、十三英雄が持っていたなどという伝説や御伽噺の類であって、今日(こんにち)の冒険者が大枚を叩いても贖えるような代物ではないはずだ。しかも客は四人が四人ともに食事をしている様子がない、というのだから薄気味悪くもなってくる。

 

「あるいは、実はイジェの吸血鬼のお友達とか?」

 

 リキウスは強いて軽口を叩いたが、双子からは無視され、ギンは見るからに不機嫌そうなのでそれ以上話題にするのは()めにした。

 

 それから二日経った日中、行程中で唯一の魔物の襲撃を受けた。アゼルリシア山脈から迷いでて来たと思しき二羽(にわ)巨大鷲(ギガントイーグル)だ。季節的には丁度(ひな)を育てる時分に当たっているので、八人の旅人は上空からは丁度よい餌に見えたのかも知れない。

 

 明確に護衛を頼まれていたわけではないが、<朱の薔薇>の面々は極自然にリキウスとギンが鷲の迫りくる方向に並んで立ち、クゥイアとクゥイナが客の左右に立つ編成(フォーメーション)を取った。急降下してきた一羽はギンが戦槌(ウォーハンマー)の一閃で見事に地面へ叩き伏せたが、リキウスは剣の一撃は与えたものの撃ち落とすには至らず、すれ違いざまに上空へ逃げられた。

 再襲来に備えて振り返った刹那、四人組の灰色の魔法詠唱者(マジックキャスター)が上空へ向かって見たこともない強烈な稲妻を放ち、巨大鷲は一瞬で欠片も残さずに消え去ってしまった。余りの轟音に、しばらく耳鳴りが止まなかったほどだ。

 

「ピー、やるなら事前に言ってよね。」

 

 デルカだろうかケイトだろうか、耳を抑えながら女の声でそうボヤくのが微かに聞こえたので、四人組の他三人にとってもこれは不意の一撃であったらしい。が、その声には究極の切り札を使ったといった緊張感はまったくなく、彼らにとってはこれが日常の出来事であるかのようだった。

 

(今の……雷撃(ライトニング)なのは間違いないだろうけど、第三位階なわけがないよな。)

 

 ギンと双子はさきほど叩き落としたもう一羽の(とど)めにかかっていたが、本来そこに加わるべきリキウスは呆然と四人組の方を眺めていた。

 

「過ぎたるは猶及ばざるが如し……なんて、あなたに言っても無駄でしょうね。」

 

 やれやれ、といった様子でダラムがそう言うのが聞こえる。

 

「大は小を兼ねるんだよ。どーせ、どっかで試してみるつもりだったんだ。」

 

とピー。

 

「……あぁ、リキウス。」

 

 リキウスの視線に気づいたのか、ダラムが声を掛けてくる。

 

「片付いたのなら進みましょう。構わないよね?」

 

 ゴクリ、と唾を飲み込みながら頷く以外、彼に何が出来ただろうか。

 

 

 

 リ・ウロヴァールへの入都(にゅうと)はブルムラシュー侯国のときほどスムーズではなかったが、結局は特に問題にはならなかった。兵士たちは、職務を疎かにするつもりはないがさりとて厄介事にはなるべく関わりたくない、というのがありありとわかる体たらくで、疲弊してるな、とリキウスは感じた。

 

 目指すイジェはさらにここから西へ一日半の行程だ。リキウスは今度は敢えて休息の提案もしなかった。この客たちにそんなものが必要であろうはずもない。

 

 イジェは海沿いの閑村で現在は二十戸程度の農家が穀物や果実を育てている、これといって何もない村だ。百年ほど前は、避暑地を兼ねた当時のヴァイセルフ王家の荘園の一つであったらしいが、それを感じさせるものは打ち捨てられて久しい廃屋同然の邸館(マナーハウス)以外には何もない。

 

「皆さんには世話になりましたね。」

 

 ダラムがとても人好きのする、でありながら、まったく情を感じない口調で礼を述べ、更に金貨が五十枚ほど入った革袋を手渡してきたので、リキウスは貰い過ぎだと謝絶したが、

 

「それは立ち退き料と口止め料だ。」

 

と例によって背後から灰色の魔法詠唱者(マジックキャスター)の声がして、受け取らざるを得なかった。

 

 結局<朱の薔薇>は後ろ髪を引かれつつも、四人組をイジェに残してリ・ウロヴァールへ逃げるように戻った。懐には向こう数ヶ月遊んで暮らしても釣りの出る大金がある。しばらくここでのんびり過ごしても良かったのだが、どうにも落ち着かず、二日ほど休息を取った後にエ・レエブルへ取って返すことになった。

 

「ギンさん……これで良かったのかな?」

 

とリキウスは導きの親でもある大男に街道を歩きながら問う。

 

「私タチハ……」

 

とギン。

 

「私タチハ、コノ(あた)リノ街ヤ村ニ()ラス人々カラスレバ、破格ノ存在ダ。」

 

 人間が三人がかりでようやく持ち上げることが叶う戦槌(ウォーハンマー)を肩に軽く担ぎつつ彼は語る。

 

「ダガ、(うえ)ニハ(うえ)ガ存在スルシ、現在ノ地位トテ永遠ノモノデハナイ。カツテ帝都デ敵ナシト()ワレタ我ガ父、武王(ぶおう)ゴ・ギンモ、母ニ(やぶ)レテ人生ノ転機ヲ(むか)エタモノダ。」

 

 師父と慕うギンから繰り返し聞かされた、彼の両親の出会いの物語(ロマンス)にリキウスは頬を緩ませる。

 

「一方デ、()()ザル(もの)、モマタ、存在スル。」

「触れ得ざる者?」

 

「父モ母モ、神隠(かみか)シノ真相ニ関心ガナカッタワケデハ()カッタガ、(つい)ニソコニ(せま)ロウトハ(けっ)シテシナカッタ。父ノ闘技場デ(つちか)ワレタ直感、母ノ金剛(アダマンタイト)級冒険者トシテノ経験ガ、ソレハ()()ザル(もの)ダ、ト()ゲテイタカラダ、ト(わたし)理解(りかい)シテイル。」

 

 クゥイアが茶々を入れる。

 

「ガガーリンの親自慢、ウザ。」

 

 クゥイナは無言のまま親指を下向きに立てる。

 

 途端に前を行く二人の位置をギンの戦槌(ウォーハンマー)が襲うが、それより早く二人は宙に舞ってそれをかわした。もちろん、かわされるとわかって振ったもので本気ではない、いつものことだ。

 

「ソノ名デ私ヲ()ブナ。私ハ、ガ・ギン、ダ!」

 

 フフフ、とリキウスは笑いつつ、ギンの言う、触れ得ざる者に思いを馳せる。

 

 彼自身は今以て神隠しを超常の存在とは信じていない。が、ギンの言う通り、俺たちが自身を過信して安易に手を出してはならない世界がこの世にはあるのかも知れない。

 

 あの四人組がそうであるように。

 

 そして、次なる事件は彼らがエ・レエブルへの帰路途上にあるときに起こるのであるが、彼らはその事件のきっかけを自分たちがつくったことも、そもそも事件が起こったことも、終ぞ知らぬままなのである。

 

 

                    *

 

 

「おまえは本当にいい匂いがするな、アルベド。」

 

 達した後、いつものように縛鎖(ばくさ)の如く(あるじ)の自由を奪ってすやすやと眠りこける守護者統括(アルベド)の香りをアインズは楽しんでいたが、突如の<伝言(メッセージ)>で安らぎの時間は断ち切られた。

 

最大警戒(フェイタルアラーム)

 南東よりナザリック地下大墳墓へ一直線に向かってくる亜音速飛翔体を検知。

 会敵までおよそ180秒!」

 

 妹を抱きながらその姉と話す、というのもどうにも気が引けるな、と思いつつも、アインズは速やかに判断を下す。

 

「ニグレド、北西ではないのだな?」

「南東です。」

 

「対象を追跡するものがないか、対象自身に()がついていないか。

 60秒以内に実施可能なすべての手段を使って探査。

 検出があれば即時連絡、ないなら通常業務へ復帰だ。」

 

了解(コピー)。」

 

 さてと、打てる手は打った。

 

「<伝言(メッセージ)>。

 

 起きろ!アルベドォッ!」

 

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