ウマ娘に転生したけど影も踏めなそうな娘と同世代だった件   作:アザミマーン

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いつも応援ありがとうございます。

今回は幕間で、大阪杯のお話です。
見なくても多分そんなに問題はない筈です。
そして一話以来となる原作キャラ視点。

ではどうぞ。


幕間:大阪杯

 

 

 

 クラシック級ではナリタブライアンがスプリングSを圧倒的な力で制した。

 そんな激走があった次週、今度はシニア級で激走を予想させるレースが開催されていた。

 

 春シニア三冠のうちの一冠目、大阪杯である。

 

 中距離芝2000mという条件は、距離適性という意味ではかなり多くのウマ娘たちに当てはまるものである。それはつまり多くのウマ娘からの出走願いが出るということで、選ばれるのは必然シニア級でも屈指の実力を持つものたちだけということになる。

 

 そんな大阪杯に、ナリタタイシンは4番人気で出場していた。

 

「タイシン、聞くまでも無いと思うけど、準備は万端だね?」

 

「当たり前じゃん。…今日のために調整してきたんだ、準備も調子も万全に決まってる」

 

 控室の中で、ナリタタイシンはいつも通りの仏頂面を崩さない。見る人によっては不調とも取られかねない表情だが、ナリタタイシンのトレーナーは彼女が精神的に安定していることを察していた。

 

(うん、調子は良さそうだ。これなら良い走りができそうだな。本気で調子が悪いと悪態すら無くなるからなぁ…)

 

 実際昨年は、菊花賞で調子を落とし惨敗していた。

 そのときのナリタタイシンは全く覇気がなく、悪態どころかずっと無言だった。

 トレーナーはそれを知っているため、今日のナリタタイシンには安心感すら覚えていた。

 

「さっきのパドックの感じだと…今日やばそうなのはやっぱりハヤヒデかな」

 

「そうだね。彼女は調子も良さそうだったし、有のときよりも更に体が仕上がっていた。強敵であることは間違いない」

 

 ナリタタイシンはトレーナーの言葉に、有記念のことを思い出して顔を顰めた。

 実力的にはそう離れてはいなかった。それが有後の反省会の結論である。

 しかし、実際にはナリタタイシンは一着のビワハヤヒデに4バ身差をつけられての五着。では自身とビワハヤヒデで何が違ったのか。

 

「『領域』…。前回はあれが初めてだった。だけど、2回も同じ無様を晒すわけには行かない」

 

「その意気だ、タイシン。今回は来ると分かっている、それなら心構えもできるしね」

 

『領域』。

 それは才能あるウマ娘のさらに一部のみが開花させることのできるモノ。一度『領域』を発現すれば、自身の心象を昇華させて現実に干渉することでレースを有利にする現象を引き起こすという。

 研究の進んでいないウマ娘の中でも不可思議の最たるものである。

 研究者の中では、『領域』にはウマソウルが大きく寄与するとされる。ウマ娘がレースで経験を積むことで自分の理想像をウマソウルに刻み、それにウマソウルが応えることで発現するという説が定説である。

 また、理論上非常に強固な心象が生まれつきウマソウルに刻まれていれば、レース経験のないウマ娘でも発現することが出来るという説もある。しかし、心象を固めるためには経験を積む必要があると考えられているため、レースに出ないうちからの発現というのは現実的ではなく、この説はほとんど知られていない。

 

 ナリタタイシンは有のときの、自分が一つの駒にされてしまったかのような感覚を思い出す。初めての感覚に戸惑い、仕掛けどころを見失って、気づけば手遅れな状況になっていた。

 

「どうやらあの『領域』はビワハヤヒデの速度を上げるもののようだね。条件はまだ確定ではないけど…有の映像を見返した限りでは、ビワハヤヒデが前のウマ娘を追い越したときに速度が不自然に上がっていたように思う」

 

 ナリタタイシンのトレーナーがPCで有の映像の終盤を眺めながら言った。ナリタタイシンのトレーナーもベテランの一人であり、『領域』について多少のことは知っている。発動にはなんらかの条件を満たすことが必要だということも長年の知識の一つだ。

 

「それに、相手を抜かしたらいつでも使えるというわけでも無いはず。おそらくだけど、終盤にしか使えないんじゃないかな」

 

「(もう10回は聞いてる話だけど…)まぁ、改めて頭に入れとくよ」

 

 既に散々聞いている話だが、今のトレーナーの話は念押しであると分かっている。あまり口の良くないナリタタイシンでも、わざわざそれを指摘するようなことはしなかった。

 

「そうだ、タイシン」

 

「何?」

 

 勝負服の一部である桃色の上着を羽織っているところに、トレーナーが声をかけた。

 

「調子が良さそうだったのはビワハヤヒデだけじゃない」

 

「チケットのこと? いつでも調子良いし参考にならないんだけど…」

 

「いや、ウイニングチケットもだけど、僕が言ってるのはシャドウストーカーの方だ」

 

「ふーん…」

 

 シャドウストーカー。

 ナリタタイシンにとってそこまで関わりのあるウマ娘ではない。

 学年も離れているし、クラシック路線だったナリタタイシンとは違いシャドウストーカーはティアラ路線。ぶつかったのも有記念のときが最初で最後だ。

 ただ、昨年度のクラシック級で最も多くのG1を勝利したウマ娘として知られている。

 

「同じ芝2000mの秋華賞で圧勝したことくらいしか知らないけど」

 

「ああ、彼女は昨年度に三度も中距離G1で優勝している。今回も難敵だろうと思っていたんだが…」

 

「その言い方だと、なんかあったの?」

 

「上手くは言えないんだが…体の仕上がりは勿論、雰囲気がね。一皮剥けたというか、何というかそんな感じなんだ」

 

「なるほどね…アタシの位置からだと警戒しようもない気がするけど」

 

 ナリタタイシンの覚えている限り、シャドウストーカーはビワハヤヒデと同じ先行脚質のウマ娘である。追込のナリタタイシンはレース中にそこまで関わらない。

 

「その娘が『領域』を使ってくるくらいに思っとけばいい?」

 

「ああ、警戒しておいてくれ」

 

 レース直前にトレーナーが警戒を促してくることはこれまでにもあり、そして大抵それは当たっていた。有のときにもビワハヤヒデに対し同じようなことを言っていたが、活かすことができなかった。

 ナリタタイシンはトレーナーの言葉をしっかりと胸に刻み、気を改めた。

 

「分かった。…そろそろ行く。じゃあまたレース後に」

 

「ああ、頑張れ!!」

 

 トレーナーの応援を背に、ナリタタイシンは少しだけ口角を上げてターフへと向かった。

 

 

 

 

 

『今日の阪神レース場には多くの観客が詰めかけています。晴天の中、これから春シニア最初の冠である大阪杯が開催されます』

 

『春シニア三冠の中でも最も参加しやすい距離である2000m、ウマ娘からの出走願いも多く、それだけにここに集まることのできたウマ娘たちは選ばれし強者のみとなっています』

 

『バ場は良での発表です。風もなく、好レースが期待できますね』

 

 ゲートに収まったナリタタイシンは静かにターフを見つめ、レースの開始を待つ。

 3番人気から始まるウマ娘の紹介に、4番人気である自身の名はない。

 ただ、それで消沈することはない。これまでも3番人気以下になったことは何度もあるし、人気はあくまで人気。それが強さとイコールではないということをナリタタイシンはよく知っていた。

 ただ、一定の指標になることも分かっている。

 1番人気がビワハヤヒデであることがその証明とも言えた。

 

『さぁウマ娘たちの準備が整いました…スタートです!!』

 

 ゲートから一斉に飛び出す。

 出遅れるウマ娘などもはやこのレベルのレースにはいない。出遅れたように見えることもあるが、それはそのウマ娘が出遅れたのではなく、スタートが得意なウマ娘がいち早く前に出るため、相対的にそう見えることがあるだけだ。

 

 そう、今真っ先に飛び出した臙脂色の髪を持つウマ娘のように。

 

 

「っ!」

 

『素晴らしいスタートを見せたのはシャドウストーカー! 真っ先にゲートから飛び出し、先頭を奪った!』

 

 シャドウストーカーはそのまま逃げウマ娘たちより前に出て、全体を牽引していく。

 ナリタタイシンはその飛び出しに少し驚いたが、落ち着いてペースを保ち、自身の定位置である後方へと下がった。

 

(シャドウストーカーは先行脚質のはず…これはブラフか? そうだとしたら後ろに下がると思うけど)

 

 果たしてナリタタイシンの予想通り、最初のコーナーに差し掛かると同時、シャドウストーカーは少し速度を落とした。そしてそのまま下がっていく。

 最終的にはビワハヤヒデのすぐ前に位置取った。

 

『ハナを取った6番シャドウストーカーでしたが、先頭を譲りましたね』

 

『彼女は逃げウマ娘ではないですからね。ただティアラ路線のウマ娘だったにも関わらず2500mを走れるスタミナがありますからね、今回は先頭を取り、余ったスタミナでペースを引っ掻き回しにきたということも考えられますよ』

 

(なるほどね、少しでも他のウマ娘のペース…特にハヤヒデを崩しにきた感じか)

 

 前を走るウマ娘に少しプレッシャーをかけつつ解説を聞いていたナリタタイシンは、解説を聞いて納得する。

 そして聞いてはいるがレースに集中していないわけではない。しっかり後方から前を監視し、距離を測り、付かず離れず脚を溜めることができている。

 

 チラリとビワハヤヒデを確認する。

 真っ白な髪を持ち、なおかつ長身のビワハヤヒデはレース中でもよく目立つ。

 コーナーを走っていれば、後方からでもその走りが良く見えた。

 

(いつ見てもお手本みたいに綺麗なフォームで走ってさ、羨ましいよ全く…ん?)

 

 ビワハヤヒデはいつも通りの美しいフォームでターフを駆ける。

 一切の狂いのないその走りは、彼女の性格をよく表していた。

 しかし、ビワハヤヒデをよく知るナリタタイシンは気づいた。

 

(なんか…顔が硬い?)

 

 一見冷静な表情のまま走っているようだが、よく一緒に走っていたことがあるウマ娘ならすぐに分かるほどには硬い表情だった。

 その証拠に、ナリタタイシンの4バ身ほど前を走るウイニングチケットも、ビワハヤヒデの方を見て不思議そうな顔をしていた。

 

(チケットのやつも気付いてるってことはアタシの勘違いってわけじゃなさそうだ。でも、今は心配してる場合でもない。ハヤヒデの『領域』に飲み込まれないためにも、よく見とかないと)

 

 ナリタタイシンはレースを進めつつも、ビワハヤヒデをよく観察する。

 トレーナーの言う通りなら、ビワハヤヒデの『領域』が発現するのは終盤にウマ娘を抜いた時。現状なら、ビワハヤヒデがシャドウストーカーを抜いたときに発現するはずである。

 両者をしっかりと視界に捉えつつ、後半に向けて脚を溜めていた。

 

 

 ビワハヤヒデを監視すること以外は、ナリタタイシンはいつも通りにレースを進めていた。

 しかし、中間地点を超えた頃に異変は起きた。

 

(なんだ…いつもより足が重い、ような?)

 

 走るのに支障があるほどではない。

 スパートのための脚もしっかり残っている。

 ただ、1000mを走ったとは思えない疲労が蓄積していた。

 

 疑問を残しつつも、レースは後半を迎える。

 

『さあ先頭が中間地点を走破して残り1000m! レースはまだまだここからが本番です!』

 

『そう速いペースではないですし、まだどのウマ娘も様子を見ている段階のようですね。これは終盤一気に勝負が決まるかもしれません、誰が抜け出すかに注目です』

 

(マジ? ペースが速くないなら、この疲労感は一体…)

 

 考えつつもナリタタイシンは冷静に前との距離を詰め、プレッシャーをかけ続ける。少しでも前との距離を縮めるためだ。

 

(残り800m…少し早いけどちょっとずつ詰めておくか)

 

 緩やかに速度を上げつつ、周囲の様子を確認する。

 視線こそ前に向いているが、気配だけで皆ビワハヤヒデに注意を向けていることが分かった。

 

(この隙に、と言いたいとこだけど、それこそそんな隙を晒したらハヤヒデに意識ごと持ってかれかねない!)

 

 ウマ娘たちの意識がビワハヤヒデに向いているが、ビワハヤヒデから意識をそらした瞬間に『領域』を発動されればそれがそのまま決着になりかねない。

 有でビワハヤヒデが見せた『領域』を知っているウマ娘たちは、それを知るが故に迂闊に加速できず、じっとビワハヤヒデの動きを注視する。

 

 奇妙な膠着状態が生まれていた。

 

(くそ、時間がゆっくり流れているように感じる! あと何mだ? ハヤヒデはいつ動く?!)

 

 極限の集中、スローの景色の中でナリタタイシンは、ふと別のことを考えた。

 それは普段のレースだったら致命的な隙になっていたかもしれない。

 しかし、今回はそれが良い方向に働いた。

 

《警戒しておいてくれ》

 

 レース直前のトレーナーの言葉。

 それが今のタイミングでなぜか鮮明に頭に浮かんだ。

 

(警戒…そうだ、シャドウストーカーは何をして…!?)

 

 ナリタタイシンが、ビワハヤヒデの前を走るシャドウストーカーに意識を向ける。

 その瞬間から、ナリタタイシンはシャドウストーカーの脚が朧げに揺れているような錯覚を覚えた。

 

(なんだアレ!? まるで幻みたいなステップ、アレじゃ脚がどこに着地するかすら………!!!!)

 

「しまった!!!」

 

 ナリタタイシンは思わず声を荒らげ、そのまま全力で加速し始めた。

 気づけば残り距離は600mを切っていた。

 なりふり構わず加速していくナリタタイシンに、周囲のウマ娘は驚いたような気配を見せる。

 

 ナリタタイシンの視線の先では、後ろの動きにいち早く気付いたシャドウストーカーがナリタタイシンとほぼ同時に加速し始めた。

 幻惑のステップが止まり、それにワンテンポ遅れてビワハヤヒデがようやく加速し始める。しかし、高レベルなレースにおいて加速の出遅れはそれだけで致命的だ。

 

(最初から狙ってたのか! この状況を!!)

 

 ナリタタイシンはシャドウストーカーの作戦を今になって見抜いた。

 

(ハヤヒデが『領域』を使った有は、あのレースに出ていたウマ娘なら目に焼き付いてる。皆飲み込まれた。だから、次はそうならないように研究して、実際のレースではハヤヒデをずっと観察する! それを利用したんだ!!)

 

 ナリタタイシンは状況についていけないウマ娘たちをどんどん追い抜いていく。

 ウイニングチケットは持ち前の勝負勘で他のウマ娘よりも早く加速することができたが、それでも最初に加速し始め、今も猛烈な勢いで加速していくナリタタイシンには追いつけない。

 

(最初にスタートダッシュでハナを取って、先行の位置に戻る。一見ただの牽制に見えたこの行動は、全部ハヤヒデのすぐ前に付くためだけにやってたんだ)

 

 ナリタタイシンは先程のシャドウストーカーの脚技を思い出す。

 一瞬見ただけで幻惑されかけたあの脚を、すぐ前でずっとやられていたら? 

 仕掛けのタイミングどころか、相手を牽制することも、息を入れるタイミングすらも分からなくなってしまうかもしれない。

 想像するだけで身震いしてしまう。

 

(あんな脚をずっと見てたら、いくらハヤヒデでも走りは少しずつ乱れる。それだけじゃない。ハヤヒデの『領域』の発動には前のウマ娘、つまりシャドウストーカーを抜く必要があるけど、あんなことやられてたら仕掛けのタイミングなんて分かる筈ない。つまり、シャドウストーカーがあの脚技を止めたときに抜くしかない。問題は、あの脚技がいつ止まるかだけど…)

 

 加速する際にあんな複雑なステップをすることはできない、とナリタタイシンは考えた。つまり、最後の加速のときには普通の走りに戻る。

 しかし、それはビワハヤヒデがシャドウストーカーより早いタイミングで仕掛け始めることができないことを意味していた。

 

(普通はそんなことしても、真後ろのウマ娘以外にはそこまで効果はないはず。他のウマ娘が抜け出して終わりだ。けど、今回はその前提が違う…!)

 

 今回は、どのウマ娘もビワハヤヒデの動向に注目していた。ビワハヤヒデが仕掛け、ウマ娘を抜くタイミングをしっかりと把握するために。

 しかし、そのビワハヤヒデはシャドウストーカーより早く動くことができない。

 

(つまり、誰もシャドウストーカーより早く仕掛けることができない状況にされていた!)

 

 してやられた、とナリタタイシンは臍を噛む。

 

(途中で脚が重く感じたのは、ハヤヒデのことを見るうちにシャドウストーカーの脚を無意識に見て惑わされていたからか…その時に気づいていれば)

 

 ただ、誰よりも早くシャドウストーカーの思惑に気づいたナリタタイシンだけは、まだ追い抜くチャンスがあった。

 

(これからあの二人が逃げウマ娘たちを抜く。そうすれば、ハヤヒデの『領域』が発現する)

 

 ナリタタイシンは、ビワハヤヒデの『領域』発現に伴うウマ娘たちの動揺に目をつけた。

 

(もちろんアタシだって無傷とはいかないだろうけど…それでも抜く瞬間を目視できる分、タイミングは掴みやすい。アタシの方が被害は少ないはずだ)

 

 シャドウストーカーが前を走る逃げウマ娘を追い抜き、2バ身半ほど遅れてビワハヤヒデが追従する。

 

(今!!)

 

 ナリタタイシンは体に力を入れる。

 その瞬間、ビワハヤヒデの『領域』が発現し、ビワハヤヒデが書き記した計算式、そして自分がその計算の通りに動く駒になったかのような錯覚を覚える。

 

(ぐっ…けど、前回よりは…?!)

 

 ビワハヤヒデの『領域』が効果を発揮し、ビワハヤヒデの速度が上がる。そこまではいい、あの速度ならナリタタイシンは抜かすことができる。

 問題はその先を行くシャドウストーカーだった。

 

(なんで、そんなに前にいる!? まさか…)

 

 シャドウストーカーはナリタタイシンの想定の1バ身は先にいた。

 

(まさか!)

 

 それはまるで、『領域』に対し一切動揺していない(・・・・・・・・・)かのようで。

『領域』に対し動揺しないことすら作戦に入っている、完璧に練られた走りだった。

 

(それでも…!)

 

「届けえええええ!!!」

 

 失速した逃げウマ娘を、そしてビワハヤヒデすらも追い抜く。

 

 全身全霊で走るナリタタイシンは、

 

『ゴォォォォル!!! 春シニア最初の一冠目、制したのは昨年度クラシック最多G1勝利ウマ娘!! シャドウストーカーだあああああ!!!!』

 

『2着は1/2バ身差で9番ナリタタイシン、3着は1バ身差で2番ビワハヤヒデ…』

 

 それでも臙脂色の後ろ姿にあと一歩届かなかった。

 

 

 

 

 

 観客席、それもなぜか一点を見つめて手を振るシャドウストーカーにナリタタイシンは声をかけた。

 

「ねえ、シャドウストーカー…さん?」

 

「はい? あ、ナリタタイシン先輩! どうかしましたか?」

 

 ナリタタイシンの方に振り返ったシャドウストーカーは、それでも先ほどまで手を振っていた方を気にしている。

 そんな姿に苦笑しつつ、ナリタタイシンはシャドウストーカーを讃えた。

 

「悔しいけど、今回は完敗だった。まさかハヤヒデのアレに一切反応なしとはね、恐れ入ったよ」

 

「…そうですね。確かに、有のときのままだったら、最後ナリタタイシン先輩に抜かれてたと思います」

 

「タイシンでいいよ。なんだ、何か秘訣でもあるの?」

 

 不自然ではないように、それでもシャドウストーカーの秘密を探ろうとするナリタタイシンに、シャドウストーカーは蠱惑的に微笑む。

 

「えへへ、秘密です!」

 

 中等部とは思えないほどの色気を放つシャドウストーカーにナリタタイシンは慄く。

 しかし、畏れつつもシャドウストーカーの視線の先にいた一人のウマ娘の姿はしっかりと捉えていた。

 

(あれは…?)

 

 視線の先、シャドウストーカーに向けて手を振る小さな青鹿毛のウマ娘。

 

(まぁ、ちょっと調べてみるかな)

 

 そして来る皐月賞、そのウマ娘の走りを見たナリタタイシンは、更なる衝撃を受けることになる。

 

 

 




グランドライブ楽しいですね。
短いし。ストレスもあんまりない。

あ、感想は時間がある時に返します。気長にお待ちください。
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