ウマ娘に転生したけど影も踏めなそうな娘と同世代だった件   作:アザミマーン

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どうもです。
コパノリッキー育成難しすぎて絶望してますが私は元気です。

前後編に分けるつもりはなかったのですが、インタビュー描写だけで3000字を超えてしまったのでこれは無理だなと察しました。

というわけでレース自体はまた次回です。今回はそこに行くまでのあれこれ。

ではどうぞ。


皐月賞・前編

 

 

 

「ナリタブライアンさん、何か一言だけでもお願いします!」

 

 トレーナーとトレセン学園の両方から、皐月賞トライアルに勝利したことのインタビューを受けることを了承させられたナリタブライアンは、目の前に群がる大量の報道陣に辟易していた。

 

(さっさと終わらせてトレーニングに戻りたい…)

 

「ナリタブライアンさん! 皐月賞への意気込みは?!」

 

「注目しているウマ娘などはいますか!」

 

「名家のウマ娘といった有力なウマ娘も出場しますがそれについては!」

 

 照射されるカメラの光に何度も響くシャッターの音。

 メディアなどどうでもいいと思っているナリタブライアンにとって、これらの人垣は練習を邪魔する障害でしかなかった。

 

「ブライアン、何か言わないと永遠に終わらないよ」

 

 隣で佇むトレーナーは、目を閉じて眉を顰めているナリタブライアンに苦笑する。

 トレーナーは、この硬派なウマ娘の内心を正確に察知していた。不機嫌ですと言わんばかりの態度が別にポーズでもなんでもないことも、半年程度の付き合いで分かっている。

 ナリタブライアンは面倒臭そうに報道陣に向き直った。

 

「一言でいいのか」

 

「はい! 何かコメントだけでも…」

 

 記者たちは全く捕まらないナリタブライアンがようやくインタビューに応じたとあって、なんの収穫もなしには帰れない。ただし、本当に一言で済まそうという気もさらさらない。

 何か一言だけでも貰えれば、そこからどんどん話を繋げていこうと、チャンスを虎視眈々と狙っていた。

 しかし、これまで取材班が捕まえられなかったナリタブライアンは、やはり一筋縄とはいかなかった。

 

 

「全員ブッちぎって勝つ。以上」

 

 

 本当に一言だけ言い放ち、颯爽と立ち去ってしまった。ナリタブライアンのトレーナーもそれに追従してトレーニング場へと向かう。

 あまりの早業に取材班はしばらく呆然としていた。そして我に返って追いかけても時すでに遅く。トレーニング場への立ち入り禁止をリギルのメイントレーナーである東条ハナに言い渡され、途方に暮れるのだった。

 

 ──────────────────

 

 取材を快く受け入れたリボンオペレッタは、トレセン学園の多目的室にて自身のトレーナーと共に取材班の質問にテキパキと答えていた。

 

「では、最大のライバルはやはりナリタブライアンさんということに?」

 

「はい。同じ名家出身のサルサステップさんたちも強敵ですが…彼女たちと私は、実力的には互角だと思っております。しかしナリタブライアンさんだけは、明確な格上だと思っておりますわ」

 

 丁寧な口調で、しかしはっきりとコメントする。

 普段友人たちにはタメ口で、どちらかというと適当な性格のリボンオペレッタだが、そんな彼女も四大名家の一員である。公の場では名家のお嬢様に相応しい言葉遣いになるのだった。

 リボンオペレッタが猫を被っているということなど露程も知らず、記者たちは質問を重ねる。

 

「それでも勝つ自信はあると?」

 

「勿論です。たとえ相手が格上だろうと、それが勝てない理由にはなりません。それに、私もトライアルの一つである若葉ステークスを勝利しました。格上とはいっても、そう隔絶した差があるわけではない筈です」

 

 小さな二つ結びの髪を揺らしながら大きく頷く。

 しかし、言いながらもリボンオペレッタ当人は勝率はそこまで高くないと考えていた。

 

(確かに私も若葉を獲ったけどさー…あの時はめちゃくちゃ調子良かったし、それに有名な娘もそんなにいなかったしねぇ。それでも2000mで4バ身差、1800mで9バ身差で大勝したナリタブライアンと比べたら分が悪いっしょ)

 

 そんなことは微塵も表面に出さずに笑顔で応対する。

 若干表情が硬いことは、横にいるトレーナーくらいにしかバレていないだろう。

 

(まぁでも、勝てない理由にはならないってのは本心だよねぇ。勝負は水物。どんなに差があろうと可能性はある。それにここで諦めたら、ホープフルで私たちに正面からぶつかって勝ったあの娘にだいぶ失礼だし)

 

 受け答えしながら、小さな青鹿毛のウマ娘を思い出す。

 一般家庭出身でありながら名家集団と互角に渡り合い、ついには勝利を掴み取った。

 その後の仕打ちに関しては自分たちの不徳の致すところであり、あのウマ娘には本当に悪いことをしたと思っている。

 

「サルサたちの話では一応許して貰ったらしいけど…」

 

「え? 何かおっしゃいましたか?」

 

「いいえなんでもありませんわおほほ」

 

(あぶねー素が出かけやがりましたわ)

 

 チラリとトレーナーを見るとジト目でリボンオペレッタの方を見ている。

 冷や汗を流しつつ、とりあえずはインタビューに集中することにした。

 

 そしてほとんど質問も出切り、最後に一言。

 

「四大名家の一員として、リボン家の代表として、恥ずかしくない走りを見せられると思います。どうぞ、応援よろしくお願い致しますね」

 

(あの時は6着で負けたけど。今回こそ負けるつもりはないからね、ウルサメトゥスさん)

 

 リボンオペレッタはカメラに向けて微笑みつつ、内心では闘志を燃やしていた。

 

 ──────────────────

 

 大阪杯の翌日。

 中森はこの日のウルサメトゥスの練習を休みにし、乙名史記者からのインタビューを受けることにしていた。

 本当ならインタビュー後もトレーニングに当てるつもりだったのだが、シャドウストーカーの大阪杯優勝祝いで門限ギリギリまで騒ぎ倒し、そして寮に帰った後も二人で遅くまで起きて遊んでいたらしい。

 昼食時に合流したウルサメトゥスは態度こそ常日頃とそこまで変わらなかったが、目の下に若干隈があったり、反応が鈍いことがあったりと調子が良くなさそうだったので、中森の判断で休みとしたのだ。

 

 そして、それは正解だった。

 

「素晴らしいいいいいい!!!!」

 

 ああ、もう何度目だろうかと中森は思う。

 横でインタビューを受けているウルサメトゥス本人も、頬が引き攣っている。

 昼過ぎにインタビューが始まってから既に2時間ほど経過しているが、全くテンションが下がらないのは最早才能だろうと中森は内心褒めて(どくづ)いた。

 

「そんなにも前からナリタブライアンさんのことを意識していたのですね!!! 芙蓉ステークスの頃といえばナリタブライアンさんが調子を崩しておられたときの話ですよね?! それでもブレずにご自身の『領域』がナリタブライアンさんに届くか否かだけを考え、強化していったなんて!!!」

 

「そ、そうですね」

 

「京都ジュニアSで圧倒的な力の差を見せつけられ敗北し、それでも心折れることなく今回の皐月賞でリベンジに挑む! 素晴らしい、なんて熱い!! 感動で目から炎が出そうです!!」

 

「出てますよ」

 

「最初から一貫して最強の敵をナリタブライアンさんと見定め、それを超えるために努力されてきたということは、もうウルサメトゥスさんの半分はナリタブライアンさんで出来ていると言っても過言ではないのでは?!」

 

「過言ですし、それをトーカちゃん先輩に万が一にも聞かれたらやばいので絶対に口外しないでください」

 

「シャドウストーカーさんといえば昨日大阪杯を見事制しましたよね!! 素晴らしい!!! 私も現地で見ておりましたがウイニングライブが終わった後真っ先にウルサメトゥスさんに飛びついたとの情報が…」

 

 止まらない。

 止める暇すらない。

 今日のトレーニングを休みにして本当に良かったと中森は思った。

 こんなインタビューがあった後では、体力も気力も残っていないだろう。

 それでも、悪質な記者が大勢来るよりは、まだ乙名史記者一人の方が良いはず。中森はポジティブに考えることにした。そう思わなければやってられないとも言える。

 

 そしてインタビュー開始から4時間後、ようやく締めの、皐月賞に向けた一言となった。

 

「それでは、最後に皐月賞に向けて一言お願いします!!!」

 

「ああ、ようやくですか。…そうですね。色々考えてはいたのですが、ここまでのインタビューで全部吹き飛んだので本当に一言だけ」

 

 ウルサメトゥスは心底疲れたという雰囲気だったが、居住まいを正してしっかりと乙名史記者を見据える。そこには、先ほどまでの疲労は一切無かった。

 

「私が勝ちます。今度こそ、誰にも文句を言わせない。以上です」

 

 それだけ言うと、ウルサメトゥスは失礼しますと言って応接室から出た。

 中森もそれを追って外に出る。

 

「いつになく強気だね」

 

「ええ。この前の走りは流石に私も頭にきましたから。それに、勝算はあるのでしょう? トレーナー」

 

「勿論だ。たとえマイルで9バ身差をつけたナリタブライアン相手でも、キミなら勝てる。その実力が、君には既に備わっている」

 

 中森は自信を持って言う。

 ウルサメトゥスには毎日過酷なトレーニングを課してきた。

 彼女はそれに文句を言いつつも手を抜くことはせず全てこなしてきた。

 最近では様子を見に来た黒沼トレーナーや暮林トレーナーですら若干引き気味になる練習量だったが、ウルサメトゥスの精神力と回復力と最近さらに増した頑強さを鑑みればそうおかしくはないと中森は考えていた。

 

「とはいえ、確実に勝てるとは口が裂けても言えないがね」

 

「現実的な勝率があるのなら、十分です。あとは私がそれを実現するだけなので」

 

 ふふんと鼻を鳴らす相棒に、中森は頼もしさを覚えるのだった。

 

 

 直後、応接室から轟いてきた叫び声は聞かなかったものとした。

 

 ──────────────────

 

 入学式も先日終わり、俺は中等部二年生となった。

 最近まで春休みだったこともあり、充実した…そう、実に充実した練習を行えたと思う。許さんぞ中森。

 だがその鬼のようなトレーニングもあり、自分で言うのもなんだが俺の体はかなり仕上がっていると思う。昨日トレーナーから今の写真と去年の選抜レースのときくらいの写真を貰って見比べたのだが、筋肉量とかもはや別人レベルだった。

 ウマ娘は筋肉量が増えても体型がそこまで変わらないはずなのだが…最初の頃は見た目が変わらなくなるレベルまで行ってなかったってこと? もしかして、俺のスタートライン、後ろすぎ…? 

 まぁいい、とにかく今は名家のウマ娘と比べても身体能力は互角。ひょっとすれば上を行っているかもしれない。

 

 でもブライアンには及ばないんですけどね。

 

 なぜそんな確信めいたことを言えるか? 確信したからだよ、今。

 

 そう、俺は今、これから皐月賞が行われる中山レース場に来ている。

 そしてパドックでお披露目しているのだが…

 

「おい、見ろよナリタブライアンの身体。皐月賞に出てくるウマ娘のものとは思えん」

 

「ああ、他のウマ娘もクラシックのG1に出てくるだけあってレベルが高いが…ありゃ別格だな」

 

「ママーあのウマ娘さん強そうー」

 

「そうねー、一番人気だからねー」

 

「なんか迫力あるな…かっこいい!」

 

「ブライアン可愛いよブライアン」

 

「姉のビワハヤヒデと違って黒鹿毛なんだな。あんま大きくもないし」

 

「誰の頭が大きいって?」

 

「ちょっとハヤヒデ、やめてよ恥ずかしい」

 

「これはナリタブライアンで決まりか?」

 

 などなど、いろんな声が聞こえてくるが概ねブライアンが強いって見解でいいと思う。一部変なのはいるが。

 実際、隣にいるブライアンは見事と言う他ない。

 これが目に入ってしまったら他のウマ娘が有象無象と言いたくなるのも分かる気はする。

 …うん、隣にいるのである。なんの因果か枠番が隣同士なのだ。ブライアンは3枠5番、俺は6番。

 ブライアンの次に紹介されたが、一個前のインパクトが強すぎてあんまり印象に残らなかったような気はするよね。一応三番人気なんだが。

 

 あ、トーカちゃん先輩の応援は聞こえた。声大きすぎィ! 

 

 

 

 

 返しを終え、いつも通り控室で精神統一していると、いつも通りトレーナーがお茶を片手に帰ってきた。

 

「はい、メトゥス。状態はどうだい」

 

「言うまでもありませんが、万全です。少し喉が渇いていましたが、今こうしてお茶も貰いましたしね」

 

「役に立ったなら良かったよ」

 

 お、今日は麦茶か。

 いつも持ってくるお茶の種類が違うんだが、これもしかしてわざわざ家から持って来てるのか? 

 

「ナリタブライアン先輩ですが、やはり強敵ですね。体の仕上がりもいいですし、何より隙が無い。自分がこの場で最も強いことを自覚しているのに、全く油断していません」

 

「前走ではダービーを意識した走りをしてたけど、あれは別に皐月を軽く見てたわけじゃなくて、『自分が完全な走りをすれば勝てる』という圧倒的な自負からやっていたってことか。きっと本人には煽っていた自覚もないんだろう」

 

 油断してくれていれば良かったんだけどなぁ。

 前走で皐月よりダービーを意識した走りをしたけど、それはそれとして皐月を全力で勝ちに行く、という圧倒的な実力がなければやろうとも思わない強欲スタイル。

 目の前の皐月に集中しないと勝ちの芽がなくなる俺みたいな弱小にも少し才能を分けて欲しいくらいだ。

 

「しかし」

 

「そう、油断も隙もなくてもだ」

 

「ないなら作ればいいのです。そこを起点に勝ち筋をこじ開ける」

 

 たとえ油断も隙もなくとも、俺ならそれを作り出せる。

 纏った黒い勝負服、そして全ての元凶とも言える茶色の毛皮のケープに目をやった。

 本当は、毎回いけすかないお前の力を借りるのは癪でしかないんだが、そうも言ってられんわな。

 悪いとは思わん、今日もその暴虐の威を借らせてもらうぜ。

 怪物だって、恐怖しないわけじゃないだろう? 

 ならいくらでもやりようはあるはずだ。

 

「行ってきます」

 

「ああ、勝ってこい」

 

 トレーナーの応援を背に控室を出た。

 

 さぁ、今日もひと暴れさせてもらいますか。

 

 

 

 

 身長が伸びるかと思って勝負服に少し余裕を持たせていたのに、全く意味を為さなくて半ギレだったのはまた別の話。

 

 

 




やめて!クリオグリの固有『聖夜のミラクルラン』をスリセ起動で使われたら、それまで広げてたリードもアンスキも関係なくまとめてブチ抜かれちゃう!
お願い諦めないでアザミマン!あんたが今ここで育成を諦めたら、毎回チャンミには好きなウマ娘だけで行くって誓いはどうなっちゃうの?
まだチャンミまで日はある。リッキーが完成すれば、あとはデバフマヤとファル子を作るだけなんだから!

次回、「諦めてクリオグリ作成」。レーススタンバイ!!
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