花は少女の幸福を願う   作:カフェラテ

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ワクチンの副作用で寝込んでたり、ここまでハイペースで投稿し続けてきて筆が進まなくなったりして、少し投稿が遅れてしまった。
あと前回の勇者部活動報告聴き忘れた……。


第22話 信頼とGW

 4月になり、私達は1つ学年が上がった。

 若葉とひなたは今年も同じクラスになったらしく、とても嬉しそうに話していた。

 そして私も、今年も美琴と凜の2人と同じクラスだった。

 そして担任も、前年と同じく山根先生となった。

 

 

「もうすぐゴールデンウィークですねぇ」

 

「千景は何か予定はあるのか?」

 

「今のところは特に無いけど。帰ったられんちゃんに聞いてみる」

 

 放課後の帰り道。3年生だった時から変わらず、私達はだいたいいつも途中まで一緒に帰っている。

 学年が違うので帰る時間が違うこともあるが、そういう日は美琴や凜と一緒に帰っている。

 一緒に帰る友達ができるなんて、去年の夏までの私では考えられなかった。

 れんちゃんに出会ってから、私の全てが良い方へと変わっていっているように感じる。

 

「それじゃあ、また明日ね」

 

「はい、さようなら」

 

「また明日な」

 

 家の近くの分かれ道で若葉達と別れる。もう2、3分も歩けば家に着く。

 

 れんちゃんはまだお仕事で家にいないだろうから、ご飯くらいは炊いておこう。干してある洗濯物も取り込んで畳んでおこうか。

 

 そんな事を考えながら玄関の扉を開き、部屋にランドセルを置いてキッチンの炊飯器を確認する。

 

「…もう準備してある」

 

 炊飯器は既に、夜6時に炊きあがるように予約してあった。

 

「じゃあ洗濯物を…あ、その前に宿題しないと」

 

 ベランダに向かいかけた足を止めて部屋に戻り、ランドセルを開いてノートやドリルを取り出す。

 自分の事もちゃんとできていなければ、他の誰かを支えるなんて言っていられない。

 れんちゃんに心配をかけないよう、自分の事はちゃんとした上で、家事を手伝うのだ。

 

 

 ──────────

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい」

 

 家に帰ると、いつものように千景が出迎えてくれる。

 

「すぐ晩ご飯作るからね。今日は唐揚げ作ろうか」

 

「うん」

 

 リビングで荷物を置き、キッチンに向かいながらエプロンをつける途中、隣の部屋にある畳んである服を見つけた。そしてベランダを見ると、朝干して行った洗濯物はそこには無かった。

 

「干してた洗濯物を畳んでくれたの?」

 

「うん」

 

「そっか、ありがとね」

 

 同じようにエプロンをつける千景の頭を撫でる。こういう瞬間に見せてくれる笑顔がまた、たまらなく可愛いのだ。

 

 

 

「ねぇれんちゃん」

 

「どうした?」

 

「もうすぐGWだけど」

 

 夕食中にそう話し出す千景。GWといえばあれだろうか。

 

「ガンダムウイング?」

 

「…違うし古くない?」

 

「ごめん」

 

「じゃなくてゴールデンウィーク」

 

「そうだよね」

 

 このボケは古いのだろうか。ほんの少しだけショックを受け、唐揚げを頬張る。

 

「ゴールデンウィークがどうしたの?」

 

「何か予定はある?」

 

「…無いな。どこか行きたい?」

 

「特には行きたいところは無いけど」

 

 千景は基本的にインドアだから、連休でも用がなければわざわざ出掛けようとはしない。僕の子供の頃のようだ。

 しかし、どこかに遊びに行けば普通に楽しんでいる。

 

「若葉達も誘って遊園地とか行く?」

 

「行く」

 

 ──────────

 

 そんなわけで5月5日子供の日、僕達は遊園地へとやってきた。

 

「私、遊園地に来るの初めて」

 

「ジェットコースター乗ってみる?」

 

「身長制限があったはずだが」

 

 ジェットコースターの乗り場前に来ると、身長制限の看板が立ててある。

 

「ぎりぎり超えてる」

 

「わたしもだ」

 

「わたしはちょっと足りないです…」

 

 看板の前に並ぶ3人だが、ひなただけ少し身長が足りなかった。

 

「じゃあわたしは乗ってる若葉ちゃんとちーちゃんの写真をとります!」

 

 そしてジェットコースターに乗り込む僕と千景、誠二さんと若葉、そして伊織さん。

 理由はよくわからないが、ひなたに乗ってきてほしいと言われていた。

 

 動き出すコースター。隣の千景を見れば、不安とわくわくが入り交じったような表情をしている。

 

 そして頂上まで登ったコースターは、坂を下り始め一気に加速する。

 

 

「きゃああああああ!!」

 

「うぉわああああああ!!」

 

 千景と若葉の叫び声が聞こえる一方で、後方から一番大きな絶叫が聞こえた。

 

「ぎぃゃああああああああああああああ!!!」

 

 声の主は伊織さんであった。

 

 

 

「ジェットコースターはどうだった?」

 

「怖かったけど楽しかった!」

 

「ひなた、あんなに早かったが写真はとれたのか?」

 

「とれましたよ、ほら!」

 

 ひなたが撮った複数枚の写真は、千景達が叫んでいる顔も良かったが、後ろの伊織さんが凄まじい顔をしていたのが印象的だった。

 

「伊織さん、もしかして絶叫マシンは苦手?」

 

「そうなんだよ。ひなたに言われて仕方なく乗ったけど」

 

「ひなた、なんでお父さんに乗ってって言ったの?」

 

 一緒に乗ってというならわかるが、親だけ乗らせる理由がわからないので聞いてみる。

 

「お母さんにおねがいしてみてって言われました」

 

「え、なんで?」

 

「絵的に面白くなるので」

 

 琴音さんは鬼かもしれない。確かにインパクトの強い写真にはなったが。

 

 

「次はわたしも一緒に乗りたいです!」

 

「じゃあメリーゴーランドはどう?」

 

「行きましょう!」

 

 そしてそれぞれメリーゴーランドの馬や馬車に乗り込む3人。それを周りで見守る保護者達。

 

 回り始めるメリーゴーランド。千景達がこちら側に回ってきた時、手を振ってくれるのがとても可愛らしく、片手を振り返しながらもう片手でスマホのカメラを構える。

 

「良いな…」

 

「そういえば蓮花、こっちに来てだいぶ経ったが、最近どうだ?」

 

 素晴らしい光景に幸せを感じていると、楓さんがそんなことを聞いてきた。カメラは誠二さんに任せているようだ。

 

「最近は、そうだな…特に何事も無く平和かな」

 

 千景と2人での平和な日常に幸せを感じる。千景もそう思ってくれていたら嬉しい。

 

「家での千景はどんな感じなんだ?最初のうちと比べて何か変わったりしたか?」

 

「家事を結構手伝ってくれてるよ。自分の事をよく話してくれるようになった。甘えん坊になってきた気もするけど」

 

「それだけ心を許しているということだろう」

 

「そうかな」

 

 また千景達がこちらに回ってきたのでカメラを構える。手を振りながらこちらに向けてくれる笑顔が愛おしい。

 出逢った頃と比べると、かなり笑顔を見せてくれることが増えたように思う。

 信頼してくれているのだろうか。僕を大切に思ってくれていると、少し自惚れてもいいのだろうか。

 

 メリーゴーランドが止まり、僕の元へと帰ってくる千景。

 

「どうかした?」

 

「なんでもないよ。次のアトラクション行こう」

 

「うん」

 

 時間もアトラクションもまだまだ沢山ある。

 いつものように自然と手を繋ぎ、僕達は次のアトラクションに向かった。

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