花は少女の幸福を願う   作:カフェラテ

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原神ver.3.1を遊んでて更新が遅くなってしまった。
ゆゆゆい終了まで1ヶ月を切ってしまった……。


第42話 訓練と癒し

 久美子さんの担任サプライズを受けた翌日。

 午前の授業と昼食を終え、一度寮の自室に戻り道着に着替えてから道場に向かう。

 今から格闘術の訓練が始まるのだ。

 

 訓練開始時間までに道場に集合し、それぞれ体操やストレッチを行う。

 昼休みが長く確保されているため、急いで着替えて集合しなくても問題ない。

 

 開始5分前くらいになって、久美子さんが道場に現れた。上下共に動きやすい格好に着替えており、髪はポニーテールにして纏めている。

 

「ストレッチは済んだか?じゃあ始めるぞ」

 

 

 ストレッチを終え、全員が久美子さんの元へ集まり座る。

 

「今日から対人の格闘術の訓練をしていくわけだが、今回は初回ゲストとして助っ人を呼んでいる。入ってくれ」

 

「初回ゲスト?助っ人?」

 

 久美子さんの呼び声と同時に、道場の入り口から助っ人と思われる人が現れた。

 それはとてもとても見覚えのある人物であった。

 

「助っ人の蓮花だ」

 

「助っ人です」

 

「「蓮花さん!?」」

 

 ……納得の人選ではある。

 

「こいつ暇してるしな」

 

 そういえば、職場が潰れたのだったか。

 久美子さんがれんちゃんの肩に手を置き、説明を続ける。

 

「動きをわかりやすく教えるために、今日は蓮花には変質者になってもらい、私が蓮花に技をかけていく」

 

「え、変質者?」

 

「そうだ。お前は今から変質者だ」

 

「……久美子に『訓練に助っ人として協力してほしい』って言われたから、皆の為になるならと思って喜んで引き受けたのに……」

 

 騙されて連れてこられたのだろうか。

 

「皆の為になるから嘘は言ってない。後で可愛がってやるから、大人しく変質者になれ」

 

「えぇ……わかったよ、今日は変質者と呼んでくれて構わない。どんな罵倒でも耐えよう」

 

「だそうだ。千景、何か言ってやれ」

 

「えっ!?」

 

 急に私を指名する久美子さん。れんちゃんを罵倒だなんて……。

 

「……女たらし」

 

「今の可愛かったからもう1回言ってくれ」

 

「蓮花、お前今とても輝いているぞ。変質者として」

 

「蓮花さんは女たらしなんですか!?」

 

「違うよ」

 

 なぜかそこに反応する杏。れんちゃんも繰り返し言わせないでほしい。罵倒したはずなのに喜ばれては、本当に変質者みたいである。

 

「……れんちゃんを罵倒することに意味はあるの?」

 

「いや、特に無い」

 

「無いのかよっ!!」

 

 勢いの良いツッコミを入れる球子。そしてゆうちゃんは展開について行けず、ただ微笑んでいる。

 

「はい、烏丸先生!!」

 

「ん、何だ?」

 

「後で可愛がるって、具体的にはどんなことをするんですか!?」

 

 杏が少し前のセリフを追及すると、珍しく久美子さんは目を逸らした。

 ……何をするのか私も興味がある。

 

「……そんなところに興味を持つな。お前達にはまだ早い」

 

「ええっ!?私達にはまだ早いようなことをしちゃうんですか!?」

 

「え、一体僕は何されるの?」

 

「れんちゃん、今日は家には帰らないほうがいいと思うわ」

 

「茉莉達がいるから、そういうわけにはいかないよ」

 

 ……心配である。

 

「茶番はこの辺にしておいて、そろそろ始めていくぞ」

 

 久美子さんは真面目な表情に切り替え、ようやく訓練が始まった。始めは憂鬱そうな顔をしていた杏も、今では鼻息を荒くしていた。

 

 

 

 

 

 

 格闘術の訓練が終わると、次の時間は個別で武器の扱いを訓練する。

 それぞれに指南役がおり、訓練場所は指南役が決める。

 刀を振るう若葉や旋刃盤を振り回す球子、遠距離での射撃を訓練する杏は屋外で、徒手空拳で戦うゆうちゃんは引き続き道場で訓練する。

 そして私もまた、道場にいた。目の前には指南役であるれんちゃんが立っている。

 

「……なんで?」

 

「何が?」

 

「どうしてれんちゃんが私の指南役なの?」

 

 ゆうちゃんの指南役は久美子さんだが、他の指南役は皆それぞれの武器の扱いに長けた人達である。球子の旋刃盤はちょっと特殊だが。

 

「大鎌を武器として扱うプロって見つからなくてさ、僕使えるよって大社の神官に言ったら、僕が千景の指南役になった」

 

「……なんでれんちゃんは大鎌を使えるの?」

 

「ちょっと使ってた時期があったんだ」

 

 一体どんな生活をしていたら、大鎌を武器として使う時期があるのだろうか。

 それも気になるが、私の大葉刈は若葉の生大刀よりも大きいため、室内で大丈夫なのだろうか。

 

「私達は外でやらないの?」

 

「今はまだ屋内でいいかな」

 

 後々は外で広く動いて訓練するようになるのかもしれない。

 れんちゃんが木製の大鎌を持ち、説明を始める。

 

「これは大社が訓練用に用意してくれたものなんだ。しばらく千景はこれを使って練習してね。いきなり本物の刃を振り回すのは危ないから」

 

「わかったわ」

 

「大鎌ってのは見てわかる通り、扱いが難しい武器でね。でもいろんな使い方ができるテクニカルな武器だ」

 

「テクニカル?」

 

「刃で切ったり刺したりするだけじゃなく、長い柄で防御したり殴打したりもできる」

 

 そう言いながら、大鎌を棍のように構えるれんちゃん。なかなか様になっている。

 

 ズドンッ!!

 

「まあ基本的には刃で攻撃するんだけどね」

 

 ズパァンッ!!

 

 れんちゃんが話している横で、久美子さんの持つミットにゆうちゃんが打ち込む音が重く響く。

 

「いい感じだ!もっと腰を入れてみろ!」

 

「はい!うぉおおお!!」

 

「……なにあれ?訓練初日の光景じゃないと思うわ」

 

 その小さな体からは想像できないほど重いパンチを繰り出すゆうちゃん。

 久美子さんは正面から受けることもあれば、時々受け流したりもしている。

 

「凄いな。久美子曰く、友奈は格闘の天才らしいね。初めて会った時にちょっとアドバイスしただけで一瞬で動きが成長したんだって」

 

「なるほど」

 

 れんちゃんに向き直り、説明の続きを促す。

 

「そうだなぁ。とりあえず、ちょっと持ってみて」

 

 そう言って木鎌を私に渡すれんちゃん。受け取ると、かなりの重さが腕にずしりとのしかかる。

 ……これを振り回すの?

 

「……重い」

 

「でしょ?だから大鎌は遠心力を利用して振るんだ。腕だけじゃなく、体全体を使う感じで」

 

 れんちゃんに後ろから手を添えられ、一緒に木鎌を持って少し振ってみる。

 

「なんとなく、勢いのつけ方はわかった?」

 

「……ええ、なんとなくわかるわ」

 

「じゃあ、ちょっと好きに振ってみて?」

 

 そう言ってれんちゃんは私から離れ、少し距離をとる。

 

「腰を柔軟に使うのが重要だよ」

 

「腰を柔軟に……こうかしら」

 

 少しずつ勢いをつけ、その勢いを殺すことなく振り抜いてみる。振っている最中は、最初に感じたほどの重さは感じなかった。

 

「そうそう!いい腰使いだ」

 

「お前丸亀城出禁になるぞ」

 

「なんでさ」

 

 いつの間にか少し休憩をしていたゆうちゃんと久美子さんが、こちらを見ていた。

 

「ちーちゃんの動き綺麗だった!」

 

「ありがとう」

 

 少し振っただけで腕に疲れを感じる。単純に筋力や体力不足だろう。私はインドア派なのだ。

 

「遠心力を利用すれば振りやすくなるとはいえ、千景はそもそも体を少し鍛える必要があるね」

 

「そうね……」

 

「というわけで、これからしばらくは屋内で筋トレです。毎日少しは木鎌を振ってみるけど」

 

「だから今日も道場なのね」

 

「そう。今から終了時間まで一緒にのんびり筋トレするよ」

 

 のんびりでいいのだろうか。若葉やゆうちゃんと比べて、私はスタートから遅れているのに。

 そんな思いが顔に出たのだろうか。心を読んだかのようにれんちゃんが話す。

 

「いきなり激しくしても、体がもたないからね。地道に少しずつ頑張ればいい」

 

「……それもそうね」

 

 そして、その日は時間いっぱい筋トレに励んだ。今まで筋トレなんてしてこなかったのもあり、筋肉痛になった。

 

「そういえばれんちゃん、昨日の電話で次いつ会える?って聞いたら土曜日に来るって言っていたけど、もしかしてこれから毎日会える?」

 

「あーそうだね、平日は基本的に毎日この時間にここに来るよ」

 

「……嬉しい」

 

「僕もだ」

 

 毎日の訓練の時間が、楽しみだと思えるようになった。

 ────────

 

「……何してるの?」

 

「見てわかるだろ?マッサージだ」

 

 夕食と入浴を終え、僕は布団にうつ伏せになっている。背中には久美子が跨り、僕の首周りや背中をマッサージしてくれている。

 その光景を見た茉莉が不思議そうな顔をしている。

 

「なんで蓮花さんにマッサージしてるの?」

 

「今日は久美子に一方的に技をかけられまくったから」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 そのお返しとして、久美子はマッサージをすると言い出したのだ。ありがたいが。

 

「ねぇ久美子」

 

「どうした?」

 

「これは可愛がるって言うより、癒すでは?」

 

「……そうかもしれないな。他人を可愛がったことが無くてな。後で耳かきでもしてやろうか?」

 

「それはもう甘やかすでは?してほしいけど」

 

 ……可愛がるって、何だろう。

 背中を指で押されると、少し気持ちいい。

 

「久美子さん、普通に蓮花さんの上に座ってない?」

 

「それがどうかしたか?」

 

「重くない?マッサージしながら新たな負荷をかけてない?」

 

「大丈夫だよ。久美子は軽いから」

 

 久美子が遠慮なく僕の背中に座っているため、背中で久美子の肉付きの良い臀部の柔らかさを感じる。

 

「このくらいでいいか。茉莉、耳かき棒を持ってきてくれ」

 

「うん」

 

 茉莉がリビングへ耳かき棒を取りに行くと、久美子が僕の背中から降りる。

 そして正座をして、その膝をポンポンと叩いた。

 

「ほら、耳かきするから頭を乗せろ」

 

 言われた通り、久美子の膝に頭を乗せる。人に膝枕をしてもらうなんて、いつぶりだろうか。

 戻ってきた茉莉から竹製の耳かき棒を受け取り、僕の耳にそっと入れる久美子。

 

「……人に耳かきをするのは初めてだ」

 

「え、待って怖い」

 

「大丈夫だ、心配せずリラックスしていろ」

 

 久美子の呟きに一瞬焦ったが、そっと頭を撫でられ落ち着く。普段の久美子からは想像できないほどの母性を感じる。

 そういえば、人に耳かきをしてもらうのも久々か。

 耳の中を耳かき棒で優しくかかれ、少し眠気に襲われる。

 

「どうだ?」

 

「……気持ちいいです」

 

「そうか」

 

 耳かきで思い出したが、最近千景に耳かきをしてあげていない。

 土曜日の夜にでも、耳かき棒を持って行ってしてあげよう。

 

 安らいでいく意識でそんな事を考えていると、耳から耳かき棒が抜かれ、今度は梵天が入れられる。

 耳をかくのとはまた違った柔らかい癒しに意識が落ちていく。

 すると、少しして梵天が耳から抜かれる。

 

 

「……フゥ──」

 

「おおう」

 

 唐突に耳に息を吹きかけられ、落ちかけていた意識が冴えていく。

 

「ん?これが好きか?」

 

「好きだけど、眠くなっていたのに驚いて目が冴えた。する前に一言言ってほしい」

 

「そうか。もう1回いくぞ?」

 

 次はちゃんと宣言をして、耳に息を吹きかける久美子。優しい吐息に耳が幸せになる。

 

「左右交代だ。回れ」

 

「うん」

 

 もう片方の耳を癒してもらうべく反対を向く。目の前には久美子の腹があり、香りにより先程までよりも久美子に包まれているように感じる。

 

「眠くなったらそのまま寝ていいぞ」

 

「わかった……」

 

 また耳かき棒が耳に入り、僕に快楽を与え始める。

 久美子が寝ていいと言ったのだ。このまま眠気に身を任せよう。

 久美子のふとももに頭を乗せたまま、僕の意識は今度こそ落ちていった。




今日の郡家
 久美子さんが蓮花さんとイチャイチャ?してるのはいつもの事だけど、それを見ながら琴音さんはにこにこ微笑んでいた。琴音さんはいつも微笑んでいる気がした。

おまけ ポニーテール久美子さん

【挿絵表示】
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