帰投し、イチカは怪我の手当てをしたのち、ペイラーによる講義のため、ラボラトリに向かった。そこには既にアリサ、コウタも来ていた。イチカが席に着くと講義が始まる。
しかし、コウタは講義が始まると任務の疲れが出たのかすぐに寝てしまった。
「前にも言った通り、アラガミを構成しているオラクル細胞は何でも食べる。動物や植物のような生物に限らず、鉱物やプラスチックのような合成樹脂...挙句には、通常の生物には危険な核廃棄物だって食べてしまう。建造物や大地だって…ほら、この通りだ」
ここでモニターにビルや地面に大きな穴が空いた画像が映し出される。その画像のビルは穴だらけに食い荒らされ、不気味な造形になっていたり、地面は巨大な穴が多数空いているため、所々崖のようになっていたり、地面が陥没して底が見えなくなっている。
「結果、食べ残しである従来の環境は減少の一途を辿っている。この辺りには、春に桜を、秋には紅葉を見に行くなんて習慣もあったんけど...今となっては望むべくもないね」
「(懐かしいな…)」
春の話で桜が映り、秋では紅い紅葉が映っている。アリサは綺麗だと思う反面、イチカは懐かしそうにする。この世界はそれすら失われており、滅多に見ることは出来ない。
今は講義中であるためその画像はすぐにアラガミの特性を纏めたスライドに切り替えられた。ついでにペイラーはコウタを横目に見る。
「その一方で、アラガミは食べたものの性質を取り込む事がある。最近では光合成を行うアラガミすら発見されているんだよ。窒素79%、酸素21%…世界中の植物が20年前の3割弱まで減ってしまった今でも、地球の大気は保たれている。これがアラガミの『光合成』のお陰だとは実に皮肉な話だと思わないかね?」
話ながらコウタに少しずつ近づき、コウタの横まで来ると頭をグーで軽く小突く。
「…ぅぅ~ん…かぁちゃん…もう食べれないよ…」
「あはは…一体夢の中で何食べているんだか…」
「…ホント、自覚が足りない人ですね」
目付きを鋭くしてアリサなりのコウタへの評価を下す。どうやらアリサのコウタへの評価は右肩下がりのようだ。
「君たち、ノヴァの終末捕食って言葉...聞いたことあるかい?」
「…終末捕食?」
次はアリサの前までペイラーが歩きイチカは聞いたことの無い言葉に疑問を持つ。気のせいかコウタがピクリと動いたのような気がした。
「ええ、アラガミ同士が喰い合いを続けた先に…地球全体を飲み込むほどに成長した存在、『ノヴァ』が引き起すとされる『人類の終末』…ですか。」
やはり少し前から起きていたのだろう、ゆっくりと顔を上げてペイラーを見る。
「その通り、誰が言い始めたのかも知らない。単なる風説に過ぎないとも言われているけどね。」
「エイジス計画が完成すれば、それからも守れるんだろ?」
やはりコウタはエイジス計画によって、どんなアラガミからの攻撃も防ぐことができると考えているようだ。
「(そんな簡単にいくだろうか?それになんだ…この胸騒ぎは)」
そんなことを考えているとペイラーか講義を続けたので話に集中する。
「…犬という動物を知っているかな?」
「…え?」
「もう大分数は少なくなってしまったが、今も稀に外部居住区などで見かける事があるはずだ。犬は賢く...言葉こそ話せないが、我々人間とコミュニケーションをとることができる。犬のような性質を引き継いだアラガミがいれば、あるいは共生できるのかもしれないね。」
「共生?」
アリサの表情が険しくなる。
「コミュニケーションという観点で見れば、もちろん犬に限った話ではない。昔はサーカスと呼ばれる見世物小屋で猛獣を繰る、猛獣使いすらいたのだからね」
「アラガミと仲良くなんて…できるわけ無いじゃない…」
アリサは視線を誰もいない方に反らしながら呟いた。
「(アラガミと共存か…なら、人の形をしたアラガミもいるってことなのか?)」
イチカは不意にアリサの方にむくとその表情には年不相応な憎しみが現れており、声にははっきりとした拒絶の意志が込められていた。
「(こんな時代だからまともな人間の方が少ない……か)」
イチカはリンドウの言葉を思い出す。
榊の講義を終えて、エントランスへ向かう。
「お兄ちゃん!!」
「やぁエリナ、今日もちゃんと戻ってきただろう?」
「うん!」
エントランスには任務を終えたばかりのエリックに、リボンを付けた帽子を被った金糸の髪の少女がいた。
「エリックさん、こんにちは」
「イチカ君じゃないか!どうしたんだい?」
「えっと…」
「そうだ、この機会だから紹介するよ、この子はボクの妹のエリナだ」
「え…妹?」
「……お兄ちゃん、この人は?」
「前に話した新型のゴッドイーターさ、あの時僕は彼に命を助けられたんだ」
「そうだったんだ。お兄さんありがとう。わたしエリナ、よろしくね」
「うん、よろしくねエリナちゃん」
「うん!」
しばらく三人で会話をして、少ししてエリックの父親が現れ、エリナは連れて帰られた。どうやら内緒でアナグラきていたようだ。その後イチカはエリックに頭を下げてから自室に戻り、部屋着に着替えてベッドへと倒れ込んだ。
「ふぅ…疲れた…」
今回の任務は初めての新型同士の任務、しかし連携が取れたかと言えばイチカはNOと答えるだろう。
「(この先大丈夫だろうか?)」
色々と不安要素も抱えているが実力は確かだった。しかし他者の手を借りないところは流石に危なっかしく見えた。
不安を抱きながらイチカは読書を始めたのだった。
「下がるんだ!!」
「なんで私があなたの指示なんかを……」
アリサが反論しようと言葉を並べている時だった。目の前から飛んできた火球が彼女のすぐ右を通過していった。火球は奥へと飛んでいき、鉄柱にぶつかり、爆発を起こす。
新型同士の任務から数日、イチカ達がいる戦場は煉獄の地下街、マグマが沸き起こった元地下鉄だ。そして、そこで相手をしているアラガミは以前倒したシユウだ。
「ったく、どうしてお前らはこういう時は仲良くできないのかね?」
「イチカはアリサに嫌われてるのかしら?」
「二人とも見てないで戦ってくださいよ⁉︎」
「まぁまぁ、アリサは援護するが…今のお前さんなら一人でも十分倒せるだろ?」
「ええっ⁉︎」
「心配すんな、危なくなったら手は出すさ…な?」
「全くもうリンドウったら…大丈夫よイチカ、あなたなら出来るわ!」
「サクヤ姉まで⁉︎」
シユウの攻撃を避けては接近し、シユウを捕食しバースト状態となるイチカ。その最中、リンドウ、サクヤは傍観者として見ているだけだった。一人で倒せることを否定しないイチカもイチカだが。
イチカは頭を切り替え、標的であるシユウに向き直る。
シユウは翼手を前にかざし、巨大なエネルギー弾を生成している。ここは地下鉄跡なので、鉄柱がいくつか崩れれば全体も崩れるだろう。この状況下でシユウは強烈な一撃を放とうとしていた。
「させませんっ!!!」
「あっ…おい!」
イチカの横を風きり音を立てて、アリサが疾駆していった。彼女は凄まじい勢いでシユウに接近する。
そして、彼女は地面を一蹴りし、宙に身を躍らせた。空中で身体を一ひねりし、足をスラッと上に伸ばし、シユウと顔を向き合わせるような状態になる。その状態から、彼女はシユウの顔を一薙ぎする。
『グガァァァアアアァア!!』
「クッ……!!」
「無茶しちゃダメよ!!!」
シユウの顔は硬い装甲のような物で覆われており、アリサの斬撃をもろともしないようだった。彼女の浮遊が終了し、着地した時にはすでにサクヤが撃つ準備をしていた。彼女の白いスナイパーの銃口から撃ちだされたバレットはシユウの巨大な翼手の掌に命中し、結合崩壊を引き起こした。これにより、シユウはエネルギー弾を諦め、突進してきた。
「狙いは俺か…」
イチカは装備しているバイティングエッジを薙刃にし、イチカは迫ったシユウを飛び越え
「ゼァ…!!」
神機にエネルギーを纏わせ、威力を高めた一撃をシユウに与えた。シユウの装甲は貫通されそのまま地面に深く刃は刺さり込み絶命する。
「おー、こりゃまたすげー威力だな。シユウの装甲が呆気なく…」
「ふふっ終わったわね」
「こちらリンドウだ。任務完了、帰還する」
「……」
「ふぅ……」
イチカはシユウのコアを摘出する。
「次は必ず勝ちますから…」
「………」
アリサは一言イチカに言うと一人で帰投を始める。
「随分と仲良くなったんじゃねぇのかイチカ?」
「何処がですか?毎度一緒の任務に出ると何故か競うようなこと言いますし…正直どうでもいいですよ」
「あの反応を見るからに、イチカが全勝だったのかしら?」
「さぁ、競ってるつもりはないからわからないよ。俺はただ死なないよう任務をこなしてるだけだし」
イチカの最近の悩みはアリサと任務に出る時は何故か競い合うよう発言を言われることだ。神機を肩に担ぎ…リンドウとサクヤもアリサの後を追いアナグラに向けて帰投する。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる