イチカ達と合流する数分前…リンドウとアリサは旧市街地を進みながら目標のアラガミを探していた。
「これは、いよいよキナ臭くなってきたな」
『ガアアァ…』
どこからかアラガミの鳴き声が聞こえる。
「…っ!!」
その鳴き声を聞いた瞬間、いくつもの光景のイメージが一瞬アリサの脳裏を過る。
「どうかしたか?」
アリサの動きが突然止まったので、不審に思いリンドウが声をかける。
「い、いえ…問題ありません。側面、後方共にクリアです」
なんとか答えるが、リンドウは結局不信感を拭えないまま任務を再開する。
「そうか…進むぞ」
そう言って、周囲を警戒しながら周囲を捜索していく。
◇現在
教会付近を捜索していた。すると、サクヤ、ソーマ、イチカ、コウタの姿があった。
「…なに?」
「お前ら?」
「あれ?リンドウさん、なんでここに⁉︎」
「な、何で二人が?」
「貴方たちこそ、何故ここに…?」
「どうして同一区画に2つのチームが…どう言うこと?」
本来ならば1つの作戦区画に2つ以上のチームは配備されないのが原則となっている。
作戦領域の指令や指示、命令の混乱を防ぐためである。救助の要請などはしていないため、同一区画に2チームが配備されることは無いはずだった。これだけで事態の異常性が伺える。
「考えるのは後だ。先に俺達の任務を終わらせてさっさと帰るぞ。俺とアリサで中を確認する。お前たちは外の警戒。いいな」
しかし、リンドウは今考えるのを一旦中断させる。任務を終わらせてからであればいくらでも考える時間がある。そのため、任務を終わらせる事を優先した。
リンドウの指示に従い、サクヤのチームは教会の入口を固めて、リンドウのチームは教会内部の捜索を開始した。
「なぁソーマ、こんな事今まであったことってあるのか?」
「いや……少なくとも俺はこんな経験はねえよ」
「そうか…(なんだ、この妙な胸騒ぎは…それに腕が疼くこの感覚は…)」
先程から、胸騒ぎが頭から離れない。そんなイチカの様子を見て、ソーマは声をかける。
「おい、どうした?」
「いや、なんか左腕が…」
イチカは袖だけをまくると…左腕が点滅するように光っていた。
「お前、その光り方は…」
「あの時と…まさか」
何か気づきかけた瞬間。
『グオォォォンッ!!』
教会の中から、獣の雄叫びが響き渡った。
「今のは……!?」
「まさか…!」
教会の中に向かおうとする4人、しかし……。
「うわぁっ!?」
悲鳴を上げるコウタ、周りには見たことがないアラガミが次々とイチカ達の前に現れる。
身体はヴァジュラとまったく同じ、だが身体の色は白と水色。顔は女神像のような彫刻めいたもので、おもわず後退ってしまうほどに不気味な容姿だ。
「こいつは……何だ!?」
「ヴァジュラ……?いや、こんなタイプ、データベースにはなかったはず……」
困惑する一同、更に。
「いやぁぁぁぁっ、やめてぇぇぇぇっ!!!」
「っ、なんだ⁉︎」
今度は講堂からアリサの悲鳴と瓦礫が崩れるような音が聞こえ、イチカとサクヤは中へと入る。
「なっ!?」
驚愕の声を上げるイチカとサクヤ。何故ならアリサの目の前の通路が瓦礫によって完全に塞がっており中からは、戦いの音が聞こえているからだ
何故こうなったかは知らない、だが……退路を防いだのは間違いなくアリサだ。
「あなた!!…いったい何を!!」
2人が駆けつけた頃には、出入口が塞がれていた。結果、未知の新種と一緒にリンドウを閉じ込めたのだ。サクヤの困惑してアリサを問い詰める様な反応は当然のものだった。
「違う…違うの…パパ…ママ…私、そんなつもりじゃ…」
「(様子がおかしい?まさか…精神に何か異常が⁉︎)」
「くっ!」
サクヤは神機を構え、瓦礫に向かって撃ち込むが、貫通力に優れたスナイパーでは、瓦礫の山を破壊する威力はない。これでは瓦礫を取り除いて救助に向かう事もできない。
「サクヤ姉、下がって!」
イチカは左腕を出しサクヤは何をするのか理解し、少し離れ瓦礫を飛ばそうと殴るが…
「うわっ!」
「くっ!!」
更に瓦礫の破壊が起こったので、瓦礫が崩れて危うく3人が巻き込まれるところだった。しかも周りはその威力で建物には亀裂が入っていた。
「くそっ!俺がやったら衝撃でこの建物ごと崩れる可能性が高い!!これじゃあリンドウさんも巻き込みかねない。そうだ、ソーマ!!」
「悪いが無理だ…新種に囲まれてやがる…!」
リンドウが対峙している新種が教会の外にも現れていた。入口を囲む様に4体がこちらを向いている。
「うぁ!」
新種がコウタに体当たりをして、教会に押し込む。侵入してきた新種がサクヤとイチカの方を向いている。
「チィッ!」
イチカとサクヤが動いたのは、ほぼ同時だった。サクヤはヴァジュラもどきの顔面に銃撃を三度当て、怯んだ隙にイチカが渾身の左ストレートを繰り出す。
「早くしろ!完全に包囲されるぞ!」
ソーマが入口を陣取っていた新種を切り裂き、退路を開く準備をする。
「サクヤ!!アリサを連れてアナグラに戻れ!これは命令だ!!」
「でもっ!」
リンドウから自分を置いて生きて帰れと命令されるが、サクヤは納得できないように食い下がる。
「聞こえないのか!アリサを連れて早くアナグラに戻れ!サクヤ!全員を統率!ソーマ退路を開け!」
リンドウが怒鳴りながら命令を出す。余程余裕が無いのだろう。
「パパ…ママ…そんな…つもりじゃ…」
「おい!しっかりしろ!」
「リンドウも…早く!!」
イチカが戻ってきて、アリサを背負ったのを確認し、するとサクヤがリンドウに早く戻るように促す。
「わりぃな、こいつがなかなか帰してくれなくてな。ちょっと帰るのが遅くなる。配給ビール、とっといてくれよ」
「ダメよ!私も残って戦うわ!」
「サクヤ…これは命令だ!!!」
「いやあぁぁぁ!!!」
「行こう!サクヤさん!このままじゃ全員共倒れだよ!!」
コウタがサクヤの腕を掴み、撤退しようとするがサクヤが暴れてその場に残ろうとしている。
「嫌よ!リンドウゥゥゥ!!」
駄々をこねる様に我が儘を言う。コウタは力づくでサクヤを連れ出し、イチカもアリサを背負いそれに続こうと動く。
「イチカ!!」
「っ!リンドウさん!!」
すると先程より大きい声でイチカを呼びとめる。
「ビールに合うつまみ、作っててくれねぇか?それと……もし俺に何かあったら…サクヤ達の事を頼むぞ!!」
「っ……わかりました。最高にビールに合う料理、作って待ってますから!!必ず…帰ってきてください…リンドウさん!!」
イチカは一筋の涙を流す。
リンドウにはイチカは何度も救われた。それは瀕死だったイチカを見つけてくれた時もそうだが精神もあった。この世界に来て自分自身が混乱していた時、いつもいつも変わらない笑顔を見せて頭を撫でてくれてサクヤとは違った安心感をあたえてくれた。心の底から信頼できる人物であると同時に、イチカにとっては…
父親の様にも思っていた。そう思わせるくらい、イチカにとってリンドウは大きな存在になっていた。
「ああ、楽しみにしてるぞ!!」
イチカはリンドウを信じ…その場から撤退を始める、アリサを背中におぶり、コウタと一緒にサクヤを引っ張る。それを確認したソーマは、携帯していたスタングレネードを投げつける。閃光が走り、ヴァジュラもどき達は苦しげな声を上げ怯んだ。
その隙に、イチカ達は一気に離脱。振り返る事なく走り続けた。
「行ったか…」
イチカ達が待機ポイントから撤退した直後、周囲から戦闘音が聞こえなくなったので、リンドウはうまく逃げ延びたと判断した。倒した新種の亡骸の横で座り込み、壁に凭れながらたばこを吹かしている。教会の出入口は塞がれているので、救助が来るまで待っていなければならない。
しかし、そこに黒い顔のヴァジュラが教会に侵入してきた。
「はぁ…ちょっとくらい休憩させてくれよ…体が持たないぜ…」
リンドウはたばこを吸い、煙を吐く。吐き終わると残ったたばこを投げ捨てて立ち上がって神機を担ぎ、黒く邪悪な顔のヴァジュラに向かって歩いていった。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
-
バーストアーツ
-
デビルトリガー擬
-
両方
-
必要ない
-
作者に任せる