第一部隊がリンドウを残し、命からがら帰還すると、即座に救出部隊の編成が始まった。現場状況の把握と伝達のため、第一部隊もこの救助部隊に編成されている。
そのため、第一部隊のメンバーは補給を受けた後、再度出撃することになっている。しかし、アリサは未だに目を覚まさないため、イチカが病室に運んだ後準備に参加した。
リンドウの救助のため、救助部隊を引き連れて再び贖罪の街に戻ってきた。
救助部隊が活動できるように、作戦領域内にアラガミがいないことを確認しに行く。先のヴァジュラ似の新種は見当たらないがシユウ、コンゴウ、グボログボロ、小型アラガミの群れを発見した。
「死ね…」
すると、ソーマは全力攻撃で、シユウの頭に神機を降り下ろして、一瞬のうちに真っ二つにしてしまった。
「邪魔するなよ!!」
イチカはイチカでコンゴウを左腕の拳でコンゴウの顔面を殴り飛ばし、小型アラガミをバイティングエッジで斬り裂き、コンゴウをコアごと捕食し、グボログボロも2人により倒されてしまい、この場にいたアラガミはイチカとソーマの手により残滅された。
その光景をただ援護するままなく、唖然として見ることができなかったコウタはなんとか我にかえり捜索を再開する
リンドウが閉じ込められ教会につき、瓦礫を撤去する。
「リンドウさん!!」
そこにはリンドウのものと思われる帯状に広がった血の痕があった。他には戦闘の際に落としたと思われるライター、捨てられたタバコが一つあり、後は戦闘の余波で荒れている以外は何もなかった。
「あのバカ…自分の命令も守れないのか…クソッ…!」
「……リンドウ」
「だ、大丈夫だよ…リンドウさんの事だし、ビールの配給日に帰ってくるって…」
「そう、だな…」
サクヤは今にも泣き出しそうな状態で、何も言えないイチカは教会で見つけたライターを手にし、無事を祈ることしかできなかった。
エントランスでは第二部隊とツバキが何やら騒いでいた。
「教官!俺たちもリンドウさんの捜索に向かわせて下さい!」
ブレンダンが第二部隊をリンドウの捜索に加えるよう交渉している。
「何度も言わせるな。正規の捜索隊が動いている。報告を待て」
この手の話は散々してきたのだろう。ツバキのウンザリしたような口調に若干の苛立ちが込められている。
「しかし!人数が増えれば捜索範囲が拡大出来ます!」
しかし、ここで引き下がる訳にはかないと、捜索に加わった際のメリットを提示する。
「くどい…」
次第にツバキの声色に込められた苛立ちが更に強くなる。
「リンドウさんには何度も危ない所を助けてもらったんです!だから今度は私たちが…」
「くどいと言っている!!」
だが、その意思を足蹴にするようなツバキの怒鳴り声がエントランスに響く。あまりの迫力に3人は思わず萎縮する。
「…ツバキさん、支部長がお呼びです…」
ヒバリも自分が怒鳴られた訳でもないのに、怯えながら要件を伝える。
「わかった。しばらく頼む」
「…了解しました」
ツバキはいつもの凛とした口調に戻して、支部長室に向かった。
「「「……」」」
「おいテメェら…あいつの目の前で何人死んだか…教えてやろうか?」
「あ…」
カノンは何か気付いた様に小さく声をあげた。ツバキは数少ない生きてゴッドイータ退役した神機使いなのだ。当然、現役時代には多くの仲間の死を見てきた。
「ましてや血を分けた弟だ。飛び出したいのはあいつの方だろうに...」
ツバキは役員区画に着いた。が、支部長室には行かずに自室前に向かって歩いていた。ヒバリのフォローのお陰でツバキは一人になり、周囲に人が居ないことを気配で察知する。
「っ……!」
弟助けにも行けない自分に苛立ち、情けなくなり思わずガンっ!!と音を立てながら壁を殴る。自分の無力さを再び思い知ったのだった。
統率者としての立場や責任もあり、飛び出したくても飛び出せなかった。
数時間後、救助任務を終えた第一部隊はエントランスに着くと、サクヤはフラフラとした足取りで自室に向かい、ソーマはツバキを交えて、状況の報告をしに支部長室に向かった。
イチカとコウタだけがエントランスに残っていた。
「…ごめんイチカ…俺も先に戻るよ…」
「ああ、お疲れ様……」
そしてコウタも部屋に戻って行った。取り合えずヒバリに報告しようと下階に降りる。そこには、リンドウの帰還を待っていた者達がいた。
「イチカ…どうだった?」
捜索隊が戻って来ない事から察しはついていたが、もしかしたらと言う淡い希望を持ってタツミは聞いてみた。しかし、イチカは顔を横に振った。
「そうか…未だ信じられん…」
「いつだって…リンドウさんみたいな、優しくて強い人が倒れていくんですね…あの…捜索任務、もし無理じゃなかったら同行させてくれませんか?」
「台場先輩…」
タツミ達は先程ツバキに捜索は正規の部隊に任せろと念を押されたが、それでも諦めきれないでいる。なので、捜索任務に選抜されるであろう人物に声をかけ、連れていって貰う事にしたのだ。
「私、こんなですけど…リンドウさんに助けられたままで、何も恩返しできてないんです。まだ、ひとつも…」
「俺も力になる…いつでも声をかけてくれ」
「俺もだ…」
「タツミさん、ブレンダンさん……わかりました。その時は声をかけます」
そう言ってヒバリに任務終了の報告をする。カウンターのすぐ横にはリッカもいる。リッカもリンドウが、帰ってくると信じてここに来ていた。
「その様子じゃ…見つからなかったみたいだね…」
「…うん、見つかったのは、リンドウさんが持ってたライターだけだった」
「…そっか、こんな時に言うのも何だけど…捜索隊には…あんまり期待しない方がいいよ。あの人達の主な任務は…神機の捜索だから…」
「そうですか…あ、ヒバリさん、アリサって…どうなったかわかりますか?」
「アリサさんは…まだ面会謝絶らしいです…面会できるようになったら、ご連絡しますね…」
「わかりました。お願いします…」
任務中に様子がおかしくなったアリサが気になるので聞いてみたのたが、面会すら出来ないとの事だった。
「あっ、最後に…1つ頼み事をしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「はい。何でしょうか?」
「アリサと面会出来るようになっても、サクヤ姉には伝えないで下さい。今のサクヤ姉、何をするかわかりませんから」
「…わかりました。イチカさんも、無理はなさらないでくださいね」
「はい」
今のサクヤは下手をすればアリサに危害を加える可能性があった。その為面会ができても落ち着くまでは合わせないように念を押した。今のイチカはあの状態のサクヤは見ていられず、どう言葉をかければいいのかわからなかった。
「大丈夫でしょうか…イチカさん」
「わからない。気丈に振る舞ってるように見えるけど…イチカだってリンドウさんの存在は大きいはずだよ。時々リンドウさんと似たことを言う事もあった程だし」
「そうですね。笑ってるところなんてとくに…」
「イチカ…」
ヒバリとリッカは気丈に振る舞ってるように見えるイチカの後ろ姿を心配そうに見つめていた。
面会謝絶と言われたが、アリサの容態が気にかかるので、どんな様子かだけでも教えてもらおうと、イチカは病室の前まで来た。
「(精神に異常があるとは聞いていたけど…あれは予想以上だ…)」
すると、耳を澄ませるまでもなく話声や叫び声が聞こえる。
「見ないで…もうほっといてよ…!来ないで!!」
やはりアリサの声だった。普段の強気な雰囲気を思わせる声ではなく、大声をあげ、叫んでいる。
「私なんか…私なんかぁ!!」
「鎮静剤を!クッションは交換しておけ!」
ツバキも一緒にいるようだ。自分の弟をほぼ直接的に行方不明にした張本人にも関わらず、こうして面倒を見ているのだ。
「あぁ…ゴメンナサイ、ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…」
アリサは錯乱し、ひたすら謝り続けている。任務中の時よりも酷くなっているように感じる。
「パパ…ママ…私違う!違うの!!」
「私だ…ツバキだ...わかるか?アリサ」
ツバキの口調は子供を諭す様にゆっくりと、刺の無いように気を付けながら語りかけている。
「そんな!そんなつもりじゃなかったの!!違うの!!私じゃない!!私のせいじゃない!!!」
「くっ!!」
アリサが暴れているのだろうか、ツバキが小さくうめき声をあげる。
「ほっといてよ!!私のなんか!!ほっといてよくれれば良かったのに!!!!」
「………」
イチカは無意識に病室の扉を開けようとスイッチに手を伸ばす。
「あぁ、君か」
「!?」
突然イチカに対して声をかける人物が現れた。面会謝絶の張り紙も張られていたこともあり、かなり焦ってスイッチから手を引いてしまった。
「今は会わない方が良いだろうな。薬が切れるとあの調子だ。日を改めた方がいいぞ」
「あなたは?」
「私は大車ダイゴだ。アリサの主治医をしている」
「…始めまして、橘イチカです(この人…医者か?なんか臭いな)」
イチカには大車が医者には見えなかった。ヨレヨレでシワくちゃのシャツを着てボサボサの長髪に黄色いバンダナを巻いている。そして無造作に髭を生やし、清潔感もまるで感じない雰囲気だった。
「(喫煙所でもないのに堂々と廊下でタバコ吸ってるし…)」
イチカは目の前の男が医者と言われても説得力がなく、医者かどうかも疑わしかった。
「イヤアァァァ…」
鎮静剤を打たれたのだろうか。アリサの悲鳴が聞こえてきて、そのあとは静かになった。
「彼女だって今の様子は見られたくないだろうからな」
「わかりました…出直してきます」
そう言ってイチカは自室に戻って行った。
「はぁ…」
イチカは自室のベットに腰掛け、見つけたライターを見つめる。
「リンドウさん…」
イチカはここに来た当初を思い出す。イチカは家事が得意で、料理を振る舞ったことがある。材料も限られている為考えて使わなければいけなかったが…あの時リンドウが言ってくれた言葉は覚えている。
『あの……リンドウさん、これ…作ってみたんですけど…』
『ん?そりぁなんだ?』
『その、リンドウさん、お酒をよく飲んでるから…その、お酒に合う物を作ってみました』
『俺にか?』
『はい…』
リンドウはイチカの作った料理を一口食べる。何度か噛み飲み込みビールを一口飲む。
『……えっと』
『こりぁ美味いな!ビールと相性バッチリだ!』
『ほ、本当ですか?』
『ああ!これ…全部食っていいんだろ?』
リンドウはイチカの作ったつまみ料理を全て完食させた。
『ありがとなイチカ、美味かったぜ』
リンドウはイチカの頭を撫でる。イチカは頬を赤くし嬉しそうな表情で笑っていた。
『お前さんでよければ…また作ってくれねぇか?』
『!…もちろんです、リンドウさん!』
「リンドウさん……俺、信じてますから」
イチカはライターに火をつけ、少しの間火を見つめ、今自分がすべき事をやり遂げると心に誓った。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる