2071年極東、とある廃教会。白い異形の怪物が集団で巨大なトラのような生物を補食している。そこに別のトラのような生物が近づき、飛び掛かる。
異形の生物正体は『アラガミ』、大型のアラガミが小型のアラガミの補食する行動が行われていた。
アラガミも弱肉強食、自然の摂理に則りトラのような生物は白い異形の怪物を補食する。
それを物影に隠れて眺める3つの人影があった。3人共身の丈を超える大きさの武器と赤い腕輪を付けていた。
暫く眺めていると、食事に気を取られ油断していると判断したのか一斉に飛び出した。
『ガアァァァァァァ!!!』
三人に気づき大型のアラガミが吠えた。
大型のアラガミは倒れ、絶命していた。それを赤いチェーンソーのような武器を持った男、リンドウが武器を構えると武器から顎が生えてきた。
そしてそのまま死体を喰わせた。
「…おっと、レアモノだな」
「戦果は上々…ってところかしら?」
周囲を警戒しながらサクヤがリンドウに話かける。
「またサカキのおっさんがはしゃぎそうだ」
「あとは人手が増えてくれると助かるんだけど。さ、帰りましょ!おなかすいちゃった」
そう言うと3人共帰還ポイントまで歩き出す。
「あ、今日の配給って何だったかしら?」
「あー…この間の食糧会議で言ってたなぁ…確か…新種のトウモロコシだ」
「えー、またあのでかいトウモロコシ?あれ食べにくいんだよね…」
「このこ時世だ、食えるだけでありがたいと思えよ。それこそイチカに頼めば美味しくしてくれるんじゃねぇか?」
「そうね。頼んでみるわ」
先程まで命掛けの戦いをしてきたとは思えない雰囲気の会話をしていた。歩みを止め、サクヤはフードを被った褐色の肌をした少年に話しかける。
「あ、そうだ!ねぇソーマ、何かと交換しない?」
ソーマと呼ばれた、先程まで会話に参加しなかった少年が口開く。
「…断る」
「えー、ソーマだってイチカの作る料理好きでしょ?」
「……フンっ」
「おーい何してんだ?置いてくぞー!」
少し離れた場所からリンドウが帰るように促す。この命掛けの戦いがゴッドイーターの日常なのだ。
「そう言えば今日だったかしら、イチカが適合試験受けるの?」
「あーそうだったか?確か噂の新型だったか?」
「ええ、イチカなら問題なく適合試験は乗り越えられそうだけど、それにしても早いわね…もう三年は経つのかしら?」
「そうだな、当初は一人でなんでも抱え込んでたが…」
「仕方ないわよ、イチカは誰かに甘える事自体出来なかった環境で育ったみたいだし…」
「今じゃだいぶ違うからな、二年前はサクヤ姉、サクヤ姉って懐いてたな」
「うふふ、彼の姉として出来る事しただけよ。最近は恥ずかしくなって少なくはなってるけど」
「あー、あいつも年頃の男だしな、そういう時期だろ…なぁ、ソーマ?」
「……」
「無視かよ…(こいつもこいつなりでイチカのことは気にかけていたからな…)」
「ようこそ、人類最後の砦フェンリルへ。君には今からゴッドイーターになるための適合試験を受けてもらう。少し、肩の力を抜くといい、その方が良い結果が出やすい」
そしてその適合試験の当日。イチカは広い部屋の中にいた。
広い部屋のちょうど真ん中には剣のようなものがあり、さらにその頭上には何やら焼印を入れるような機械があった。
「準備ができたなら中心に向かうといい」
「(いよいよか、リンドウさんは洗礼としてとんでもない痛みを味合うって言われたけど…)」
織斑一夏改め、橘イチカはこの世界に来て三年は経つ。この世界に来て色々と教えてもらいこれまでの間は食堂の手伝いや施設での手伝いに明け暮れていた。その際ペイラー・榊から同意の上本格的な身体検査なども受け、今のイチカの体は左腕のアラガミ化の影響でゴッドイーターと変わらない体質らしく偏食因子の投与も必要ないとのこと。
「すー、ふぅー……」
イチカは深呼吸をして神機が置かれている台に手をおき、神機を握った。すると
ガッシャン!
「っ……!」
勢いよく降りてきた台座はまるでプレスをかけるように降下してきた。右腕がグニャグニャ奇妙な音を立てながら体の中に何かが入るような感覚がした
「…………あれ?」
全然痛くない?リンドウさん、サクヤ姉からもすっごく痛いと聞いてだけど…全く痛みもないし、感じるのは体の中に何かが入り込む感覚だけだった。
「(もしかして…アラガミ化が原因か?)」
数十秒してガコンと音を立てアームみたいなのが外れ神機を持つと腕輪に変なのが接続した
「おめでとう。適合試験は成功だ。改めて歓迎しよう。君は極東支部初の"新型"神機使いとなった」
ヨハネスの賛辞の声を聞きながらイチカは自身の手にある神機を持つ。これがイチカの神機であり、これから共に戦う相棒である。
「(これが俺の神機…見た目の割に重くないんだな)」
「この後は榊博士の検査を受けるように。また気分が悪いなどの体調不良を感じるならすぐに伝えるように」
ヨハネスからこのあとのことを聞きイチカは部屋を後にした。
極東支部エントランス内に来たイチカは先ほど支部長から待っていろと言われたが、エントランスのどこで待っていればいいのか聞いていないため、とりあえず黄色いニット帽を被った少年の隣が空いているのでそこに座る。
「ねぇ…ガム食べる?」
「え?あ、うん」
不意に声をかけられる。返事をするとポケットを漁っている。
「あ、切れてた。今食べてるのが最後だったみたい。ごめんごめん。」
「大丈夫…」
会話が途切れると少年は退屈なのか足をブラブラさせている。
「あんたも適合者なの?感じからして同い年か少し年上っぽいけど、一瞬とはいえ俺の方が先輩ってことで!よろしく!」
「あはは、よろしく」
「あ、自己紹介がまだだったね。俺は『藤木コウタ』って言うんだ。あんたは?」
「橘イチカ、アナグラ内に姉がいるから名前でよんでくれ」
「わかった。よろしくなイチカ、俺のこともコウタって呼んでくれ」
「ああ。よろしくなコウタ」
共に自己紹介をして拳をぶつけ合う2人。イチカ内心仲良くなれそうと思い、そしてその2人に近寄る女性が1人。
イチカからして見覚えのある人物。白いスーツに身を包んだ女性がヒールの音を響かせて近づいてくる。
「立て」
「はい!」
「え?」
「立てと言っている!立たんか!」
「は、はいっ!」
有無を言わせない強い口調で命令する。イチカは最初の一言で立ち上がるが、あまりの迫力にコウタは勢いよく立ち上がる。
「これから予定が詰まっている。簡潔に済ますぞ。」
ツバキはこれからの予定を伝えに来たようだ。
「私の名前は雨宮ツバキ。お前たちの教練担当者だ。この後の予定はメディカルチェックを済ませた後、基礎体力の強化、各種兵装等の扱いのカリキュラムをこなしてもらう。今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令にはすべて『YES』で答えろ。いいな?」
「は、はい!」
イチカはこの三年でツバキの事も知っているが、改めてゴッドイーターとなってわかった事だが、まるで独裁者のような物言いに思わずイチカも怯んでしまった。
「藤木コウタ!わかったら返事をしろ!」
「はい!」
勢いよく返事をするコウタ。
「早速メディカルチェックについてだ。まずはイチカ、お前だ」
「はい!」
ツバキがこちらに目を向け指示を伝える。イチカの今の苗字は橘なのでややこしくなるため名前で呼ぶツバキ。
「ペイラー・サカキ博士の部屋に一五〇〇までに行くように。まだ時間があるうちに、この施設を見回っておけ。今日からお前たちが世話になる、フェンリル極東支部、通称『アナグラ』だ。メンバーに挨拶のひとつでもしておくように」
「わかりました。コウタ、また後で」
「おう!」
イチカはコウタと分かれてエントランス内を見て回る。コウタと別れたイチカはカウンターの女性に話しかけられた。
「はじめまして。新しい神機使いの方ですね?私はミッション発注の管理をする、竹田ヒバリと申します。」
「はじめまして、橘イチカです」
丁寧な口調で話終えた後にお辞儀をしてきた。こちらも自己紹介しお辞儀で返す。
「ふふっ、あなたの事はサクヤさんとリンドウさんから聞いています」
「二人からですか?」
「はい、あなたはまだ新人研修を終えていないので出撃を許可できません。メディカルチェックを終えてから来てくださいね!」
「わかりました。これからよろしくお願いします」
ヒバリと挨拶を済ませたイチカはアナグラを見回りに行った。
「(お二人の言った通り素直そうな方でしたね。それにしても…あの左手は一体…)」
エントランス内を見渡していると銀髪の少女に話しかけられた。
「あ、イチカ!適合試験お疲れ様…気分はどう?」
「リッカさん!はい、今のところ問題はないです」
銀髪の少女の名前は楠リッカ、アナグラに勤める女整備士だ。イチカも手伝いをした事もあり交流も何度かある。
彼女は主にゴッドイーターたちが使う神器の整備を担当している。その所為かいつも頬にオイルが擦れたような跡が付いている。
「そっか。これから神機整備に関しては最善を尽くすよ。君が現場で困らないようにね」
「わかりました」
「要望があればいつでも言ってね。あ…サカキ博士のとこでメディカルチェックか…今度暇なときにでまたメシでも食おうよ。じゃあね」
「はい、また」
リッカと分かれたイチカはエレベータに乗るが、約束の時間には若干早いがラボラトリに行くことにした。ラボラトリで降りるとピンク色の髪をした女性がいた。こちらに気づいて話しかけて来た。
「あ…はじめまして…あ!もしかして新人の方ですか⁈わ、私、台場カノンって言います!」
「た、橘イチカです。よろしくお願いします」
「そう言えば2人新しい方が来るって言ってたっけ…じゃあ、今からメディカルチェックですね!廊下のつきあたり、サカキ博士のラボですよ。博士ってちょっと変わってますけどとても優しいい方なんです。大丈夫ですよ!」
「は、はい」
なにやらテンション高めで話続けている。その後、カノンがこの区画を簡単にラボラトリ内を案内し、最後に病室に案内された。
「最後にここが病室です。病室もいくつかあるんですが、ここが一番小さいですが利用しやすい病室なんです。怪我したときはまずここに来るといいですよ」
「わかりました。ここまでありがとうございました、台場先輩」
お礼を言い先輩と呼ばれ嬉しそうにするカノン、彼女は「それじゃあ」と言い残しエレベーターに乗った。
「(榊博士か…確かにいい人だけど、やっぱちょっと苦手だな)」
少し早めに榊博士の研究室に入るとそこにはヨハネスとペイラーの2人がいた。
「ふむ…予想より726秒も早い。さすがだねイチカ君。知っていると思うが、私はアラガミ技術開発の統括責任者だ。改めてよろしく頼むよ」
そう言いながらもキーボードを操作する手は止まらない。流石技術者…下手したら束さんといい勝負かもしれない。
「さて、と…見ての通り、まだ準備中なんだ。ヨハン、先に君の用件を済ませたらどうだい?」
話を振られるもヨハネスは呆れたような様子でペイラーに叱責する。
「サカキ博士…そろそろ公私のけじめを覚えていただきたい。」
先程の呆れた様子もなく、凛々しい表情で此方に顔を向ける。
「適合テストではご苦労だった。君は既に知っているだろうが、この地域のフェンリル支部を統括している。改めて適合おめでとう。君には期待しているよ」
「彼も元技術屋なんだよ。ヨハンも『新型』のメディカルチェックに興味あるんだよね?」
「あなたがいるから、技術屋を廃業することにしたんだ…自覚したまえ。」
「ホントに廃業しちゃったのかい?」
「ふっ…さて、ここからが本題だ。我々フェンリルの目標を改めて説明しよう。君の直接の任務は、ここ極東一帯のアラガミの撃退と素材の回収だが、それらは全てここ前線基地の維持と、来るべき『エイジス計画』を成就するための資源となる」
「これはっ!!!」
「(な、なんだ?)」
突然ペイラーが声をあげたため、イチカは思わずペイラーに視線を移してしまった。
「エイジス計画とは...簡単に言うと、この極東支部沖合い、旧日本海溝付近に、アラガミの脅威から完全に守られた『楽園』を作るという計画だ」
「ほほぅ」
「この計画が完遂されれば、少なくとも人類は、当面の間絶滅の危機を遠ざけることができるはず…」
「すごい!これが新型か!それにしてもこの数値は…」
「あの、榊博士、失礼を承知の上でいいますが…支部長の話し声が聞こえないです」
「彼の言う通りだペイラー…説明の邪魔だ…」
流石のイチカも呆れて指摘するが、ヨハネスからは怒気が込められている。三度も説明の邪魔をされ怒りを感じた。
「ああゴメンゴメン、予想以上の数値を叩き出したからね。ついはしゃいでしまったよ」
軽い謝罪で済ませたペイラーだった。イチカは内心「やっぱりこの人苦手だ」と呟くしかなかった。
「ともあれ、人類の未来のためだ。尽力してくれ。じゃあ、私は失礼するよ。ペイラー、あとはよろしく。終わったらデータを送っておいてくれ。」
そう言ってと部屋からヨハネスは出ていった。ペイラーは片手を挙げて返事をする。
「よし準備完了だ。そこのベッドに横になって。少しすると眠くなると思うが、心配しなくていいよ。次に目が覚めるときは自分の部屋だ。戦士のつかの間の休息という奴だね。予定では10800秒だ。ゆっくりおやすみ」
「おやす…なさ(……意識、が…)
そして次第に眠気が襲ってきてそのままイチカは眠ってしまった。
今作の一夏のプロフィール
ISの世界からゴッドイーターの世界に
名前:織斑一夏から今作は橘イチカ
神機:第二世代型?バイティングエッジの予定…アサルト・シールド
家族:橘サクヤ
ゴッドイーターの世界に来て榊の提案で、橘サクヤの弟になった。本人のサクヤは大歓迎だった。
ソーマからは似た匂いがすると言われ話す程度には仲は良く、ここに来た当初は冷たかったが、イチカの事を気にかけてくれた。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
-
バーストアーツ
-
デビルトリガー擬
-
両方
-
必要ない
-
作者に任せる