《シミュレーション終了》
訓練室内にイチカの担当教官であるツバキの声が響く。
「ふぅ…」
一つ溜め息を吐き、額の汗を拭うイチカ。そう、今のはシミュレーションであり、実戦ではなく訓練だった。
「バイティングエッジ…だったか?これ一番しっくりくるかも…」
自身の神機に目をやる。神機には近接武器として二刀流型の神機、バイティングエッジ、遠距離武器としてブラスト、防御壁としてタワーシールドが装備されている。
「薙刃形態の扱いは今後課題として、タワーシールドは防御力は高いけど、やっぱり少し時間がかかる。シールドはバランスはいいけやっぱりバックラーが扱いやすい。ブラストは威力はすごいけど、銃はアサルトとスナイパーってところか…」
シミュレーションでイチカはさまざまな装備を試しながら訓練をしていた。
今はバイティングエッジだが先日は短剣、長剣、先々日は鎌といったあらゆる武器を試している。前の世界で剣道をやっていたイチカは剣タイプをメインに使っており、今回使ったバイティングエッジが扱いやすかったのだ。
《では次の訓練に入る。シミュレーション開始!!》
再びシミュレーションが始まる。シミュレーションに集中するイチカは擬似アラガミを討伐していく。
「凄まじいな」
シミュレーションを見ながら感心するようにツバキは呟く。
従来のゴッドイーターは、剣型と銃型、それぞれの特性を持って戦ってきた。しかし、新型は剣型と銃型の変型移行、更に剣型にのみ許された
「(新型とはこれ程の性能を…そもそもあの装備は扱う者はほぼいないと言うのに…これほど使いこなすとはな…)」
バイティングエッジは扱いが難しい事でツバキの知る限り使いこなせるゴッドイーターはいなかった。しかしイチカは先のシミュレーションでも見事に使いこなしており擬似アラガミを難なく討伐していた。
「(ゴッドイーターになる以前からアラガミ化していたのもあるが…奴自身の能力だろう)」
ツバキはイチカの左腕の事はリンドウから聞いており、イチカの事情も知っている。一息ついてから思慮にふける。
「(新型は一人部隊で多様な役割を果たす事ができる。だが)」
もう一度、訓練に励むイチカに目を向ける。
「(これも新型の特性とでもいうのか?訓練の一つも受けていなかった人間の動きじゃないぞ)」
ツバキの言う通り、イチカの動きは常軌を逸している。まるで動きがわかっているがごとく攻撃をかわし、斬りつけ、距離を取りながら変型、撃つ。必要に応じ盾で受け流し、そして斬り、薙刃形態で挟まれた状況を一振りで複数倒し、倒れたものから捕食する。
シミュレーションとはいえアラガミを狩り尽くす。その動きは第一部隊のソーマ・シックザールと肩を並べるほどの動きだった。
「(とても新人とは思えない)」
冷静に動きを観察している間に、訓練は終了した。イチカが一息つき、ツバキのいる部屋へ目を向ける。
「ふぅ、ツバキさん…今日は以上ですか?」
「あぁ、本日の訓練を終了する。2時間後に榊博士の定期検査を受けろ。それが終われば本日の予定は全て終了となる。後はゆっくり休め。以上だ」
「はい、ありがとうございました」
一礼し去っていくイチカを見送り、緊張していたのか溜息がもれる。イチカの実力は元ゴッドイーターであったツバキには良く理解できる。
「(これならば、予定より早く実戦に出しても問題はなかろう)」
そう思い、ツバキはその場を後にした。
今日の訓練を終えたイチカはエレベータに乗ったがまだ時間があるのでとりあえず新人区画で降り、自販機で飲み物を買い設置されたいすにこしかける。
「ふぅ、今日もハードな訓練だった。後でリッカさんに神機の組み合わせの申請をしておかないと」
すると帽子を被り、黄緑のジャケットを羽織った少年が通ってきた。
「ちっ、今回もしけた報酬だぜ……ん?」
報酬の内容が気に入らなかったのか、ブツブツと文句を言っている。こちらに気づいたのか帽子の少年が話しかけてきた。
「何だお前?初めて見る顔だな…ああ、そう言えば前に新型の新入りが入ったて言ってたな。まっ、お前もせいぜい死なない程度にがんばれよ。命あっての物種だからな」
「は、はい…頑張ります。えっと…」
「小川シュンだ。お前は?」
「橘イチカです。よろしくお願いします。小川先輩」
「先輩…随分礼儀正しい後輩じゃねぇか!先輩として色々アドバイスしてやるよ!」
「えっと…すみません、今回は遠慮させてもらいます。訓練を終えたばかりで…」
「そうか?まっ、聞きたいことがあったらいつでも聞いてくれ。後、割の良い任務があったらいつでも声をかけてくれよ?新型らしいし…報酬もかなり良さそうだしな!」
「は、はい。その時は…よろしくお願いします」
シュンは上機嫌にエレベーターにのり新人区を後にする。イチカはジュースを飲み終え、自室のターミナルから神機の組み合わせを整理した。組み合わせはバイティングエッジ、バックラー、アサルトで運用することにした。その後はシャワーで汗を流し、部屋で待機していたら、リッカから連絡が来ていた。どうやらバイティングエッジについてだった。バイティングは扱いが難しいとのことで扱う者は彼女が知る限りいないと知る。
榊博士の定期検査を終わらせ、次の日になるとエントランスに向かう。ツバキから今日から早速実戦に向か事になり、ヒバリに聞いてみると、上官と一緒に行くことになっているため準備をして待機するようにとのことだった。
少し待っていると、見たことのある顔が目に入る。こちらに気付いたのか近づいてくる。
「あ、リンドウさん。支部長が見かけたら顔を見せに来いと言ってましたよ?」
「オーケー、見かけなかったことにしといてくれ」
「(仕事でもあんな感じなのか、まぁ…リンドウさんらしいや)」
三年くらい彼を見ていたのでリンドウの事は理解しているイチカ、そうしているうちにリンドウがこっちに来た。
「ようイチカ、無事にゴッドイーターになれたみたいだな。一応説明するが、俺は第一部隊隊長で形式上お前の上官にあたる。まあ面倒くさい話は省略するし、いつも通り接してくれると助かる。とりあえず、とっとと背中を預けられるぐらいに育ってくれ。な?」
「わかりました」
「あ、イチカ。もしかしてこれから実戦任務?」
「サクヤ姉」
気がつくとサクヤが話しかけてきた。
「あー、今厳しい規律を叩き込んでるんだから…向こうに行ってなさいサクヤ君」
「(これが厳しい規律?)」
「了解です上官殿。イチカ、リンドウがいるから大丈夫だろうけど気をつけなさいね」
「わかった。ありがとうサクヤ姉」
仕事場でもこんな感じだと知って一夏もほんの少し緊張が解ける。落ちついているとサクヤが手を振り、去っていった。
「うし、さっそくお前には実戦に出てもらうんだが、気づいているだろうが今回の任務には俺も同行する」
一度視線をはずして時間を確認する。
「…っと、時間だ。出発するぞ」
「はい」
-贖罪の街-
「……(改めて見るとかつての日本の風景の面影も、なくなってるんだな)」
荒廃した建物、その間に吹く風が砂を運ぶ。アラガミによって崩壊した都市群、かつての栄光は既にない。イチカはターミナルにあった画像や話に聞いただけで実感は余りなく、こうして目の当たりにしたことで複雑な感情が込み上がってくる。
「ここも随分荒れちまったなぁ……」
「……」
リンドウは一服しながらあたりのかつては栄えた街だった光景を見渡す。
「お前さんもこの場所、前の世界でも見覚えあるのか?」
「はい、世界は違えど俺の知っている日本には変わりありませから」
「実際アナグラ外に出るのは初めてだったか?三年前見つけた時はお前さん意識がなかったな」
「はい、けど…リンドウさんが俺を見つけくれたおかげで今の俺があります。俺の左腕はこれですし、下手したら人体実験なんてされてた可能性もありましたし」
イチカ左手の手袋を外しリンドウと言う。イチカの左腕はアラガミ化しており余り周りには見せてもいいものではない。
「そうかい、まぁ、なんにせよ、早く成長してオッサンを楽させてくれ」
「リンドウさん、オッサンていう年齢でしたか?確か26でしたよね?」
「15のお前に比べたら充分オッサンなの」
「ははっ、そうかもですね」
そう言って笑うリンドウ、イチカも自然と笑みを返す。
待機ポイントから様子を見ながら会話すると、タバコを吸い終わったリンドウがこちらを見る。
「よしイチカ、これより実地演習を始める。命令は3つ」
イチカは気を引き締め、リンドウは命令の内容を説明する。
「死ぬな、死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ、運がよければ不意をついて…ぶっ殺せ!」
拳を握りながら親指を立てる。
「あの、それ4つじゃ…」
「あ?おお、確かに4つか?ま、とにかく生き延びろ。それさえ守ればあとは万事どうにでもなる」
「了解です。簡単に言えば今回の任務は生きて帰ること…ですよね?」
「その通りだ、生きて帰るまでが任務だ。倒したからって気は抜くんじゃねぇぞ?それにお前さん、その装備バイティングエッジか?随分珍しい装備を使うんだな」
「リッカさんとツバキさんにも言われました。この装備扱う人がいないらしいですね」
「俺の知る限りじゃ扱う奴はお前さんが初めてだ。とっ…話はここまでにして、始めるか」
そう言ってリンドウは待機ポイントから飛び降りる。それに続いてイチカも続くように飛び降りた。
リンドウの先導の下、イチカは実地演習の戦場へと向かった。
「今回俺はサポートだ。お前がヤバくなったら手を出すが…それまでは自分でできるだけ戦え。いいな?」
「了解」
表情を引き締め、リンドウと共に荒廃した街を歩いていくイチカ
「(もうここは戦場なんだ。気は抜けない)」
知らず、神機を握る手の力も強くなる。そうして、息を殺して街を歩く事数分
「…………」
立ち止まり、リンドウが手をあげ止まるよう指示する。壁に背を預けるリンドウ、それに続いてイチカも同じようにする。
「……いたな」
「……はい」
2人の視線の先にはアラガミ、オウガテイルが。こちらには気づいていないが、視線をあちこちに動かしている。
「イチカ、まずはお前が奇襲を仕掛けろ。何かあったら俺がフォローしてやる」
「わかりました」
二つ返事で返し、先行するイチカ
「(いい目だ。初陣とは思えない面構えだ。いや、以前アラガミに殺されかけたのもあるだろうな)」
そう、イチカはこの世界来る前にアラガミに襲われ殺されかけられたことがあり、死の淵を乗り越えたことがある。そのせいかアラガミを見ても冷静に見据えることが出来るのだろう。
「ふぅ……っ!」
イチカはオウガテイルとの間合いを詰め、バイティングエッジの二振りのブレードによる奇襲の一撃を与える
「(まず一体!)」
刃はオウガテイルの背中にくい込み、イチカの奇襲に気づくことなく倒れ込む。倒したオウガテイルから一度距離を取り間合いを取る。
『グァァァッ!!』
他のオウガテイルもイチカに気づき、雄叫びを上げ、尻尾を立てる。
すると、オウガテイルの尻尾から無数の針が飛び、イチカは難なく回避する。
「遅い!」
避けるだけではなくそのまま銃形態へと変形させる。新型神機使いの最大の特徴である、可変機能。
アサルトタイプを構え、オラクル細胞を用いて銃口から弾丸を発射する。弾丸はそのままオウガテイルに突き刺さり、怯みを与えた。
「そこだ!」
すかさず薙刃形態に変形させ、一気に踏み込みオウガテイルの口目掛けて突きを放ち、刃はオウガテイルの口へと入り、イチカは両手で柄を持ってから。
「これで、終わりだ!」
そのまま、力任せに刃を押し込みオウガテイルの身体を貫いた。貫かれたオウガテイルはピクピクしばらく動いていたが、しばらくして全く動かなくなり、致命的なまでのダメージを与えた事によりアラガミは、地面へと力なく倒れ込んだ。
「おいイチカ、ちゃんとコアを抜き取るの忘れんなよ」
「あ…はい」
イチカは思い出したかのように頷き、一度薙刃状態から二刀流に戻し、神機を捕喰形態へと変形させ、オウガテイルの死体を捕喰させた。
「よし、今日のミッションはこれで終了だ。帰投する、だが油断するな、アナグラに帰るまではミッションだからな」
「了解です」
「それにしてもお前さん凄いな。初陣とは思えない動きだったぞ?」
「訓練通りにやっただけです。ただリンドウに言われるまでコアの回収を忘れていたのが今回の反省点ですけど…」
「まっ、最初はそんなもんさ…後は慣れだ慣れ」
早く背中を預けられるようになってもらいたい……そう思いつつ、リンドウはポケットに入ったタバコを口に含み、吸い始めた。
「っ…(なんだ?)」
帰投ポイントまで向かう際、突如左腕に違和感を感じたイチカは立ち止まり、手袋を外すと左腕が発光していた。
「(なんだ…この反応、こんなの今まで一度もなかったのに)」
すぐに反応は収まりそれ以降は何もなかった。
「おーい何してんだ?置いてくぞー!」
「あっ、待ってください!」
イチカはすぐさまリンドウの後を追う。
「………」
この時、ボロボロの布に身を包んだ白い少女がイチカを見つめていた。
今作イチカの見た目
左腕のアラガミ化の影響で瞳の色が感じ金色になっており、髪型は若干長い。
衣装は英雄伝説のリィン・シュバルツァーと同じ
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる