極東支部に戻った後、ヒバリから報告と一緒に榊博士のラボで新人向けの講義があると聞いたので、リンドウと別れてラボに向かう。ラボに着いたらもうコウタが来ていた。
「来たね」
どうやらイチカが来るのを待っていたようだ。イチカが座るとペイラーが咳払いをして講義が始まる。
「さて、いきなりだけど...君はアラガミってどんな存在だと思う?」
「未だ謎の多い怪物…ですか?」
イチカは首をかしげながら答える。
「ほぉ、面白いことを言うね。確かにアラガミは時に常識の範囲をこえてくる。人類の天敵、絶対の捕食者、世界を破壊するもの、まぁ、こんな所かな?これらは認識としては間違っていない。むしろ、目の前にある事象を素直に捉えられていると言えるだろうね。じゃあ、なぜ、どうやってアラガミは現れたのか?って考えたことあるかい?」
ペイラーは室内を彷徨きながら講義を続ける。
「君たちも知っての通りアラガミはある日突然現れて爆発的に増殖した。そう、まるで進化の過程をすっ飛ばしたようにね」
「ふぁぁぁ…」
講義がつまらないのだろうかコウタはあくびをしてこちらに話しかける。
「なあなあ…この講義必要?アラガミの存在意義なんて知る意味あんのかな?」
「知っておいて損はないと思うけど…」
「そう言うもんか?」
「イチカ君の言う通り、知っておいて損はないよ?」
「うげっ!!!」
「(いつの間に)」
一端離れたはずのペイラーがいつの間にかコウタの横に立っており、コウタの頭を小突きながら講義を再開する。
「アラガミには脳がない、心臓も、脊髄すらありはしない。私たち人間は頭や胸を吹き飛ばせば死んじゃうけど、アラガミはそんなことでは倒れない。アラガミは考え、捕食を行う一個の単細胞生物、『オラクル細胞』の集まり...そう、アラガミは群体であってそれ自体が数万、数十万の生物の集まりなのさ。そしてその強固でしなやかな細胞結合は既存の通常兵器では全く破壊できないんだ。じゃあ君たちは、アラガミとどう戦えばいいんだろうね?」
「えーと、それは…神機でとにかく斬ったり撃ったり…」
突然振られたため、つまりながらもコウタが答える。
「そう、結論から言えば同じオラクル細胞が埋め込まれた生体武器『神機』を使って、アラガミのオラクル細胞結合を断ち切るしかない。だがそれによって霧散した細胞群もやがては再集合して、新たな個体を形成するだろう。彼らの行動を司る指令細胞群…コアを摘出するのが最善だけど、これがなかなか困難な作業なんだ。神機をもってしても、我々には決定打がない。いつの間にか人々は、この絶対の存在をここ極東地域に伝わる八百万の神に喩えてアラガミと呼ぶようになったのさ。さて、今日の講義はここまでとしよう。アラガミについては、ターミナルにあるノルンのデータベースを参照しておくこと。いいね?」
「わかりました」
講義が終わって、部屋に戻ろうと思いエレベータに向かう。
「イチカ!」
コウタに呼び止められた。
「この後時間ある?暇ならちょっと早いけど晩飯に行こうぜ!」
「ああ、いいぜ」
どうやら夕飯に誘われているようだ。コウタに言われるままついていく
「あいつが例の新型か?」
「あの子が?と言うか、結構イケメンじゃん…私好みかも」
「噂じゃ訓練成績も最高記録を叩き出したとか?」
「どうせ自分は新型だから偉いとか思ってんだろ!」
もの珍しいのかイチカに注目が自然と集まる。中には妬んでいる者も少なからずいた。
「なんか視線が…」
「仕方ないと思うぜ?イチカは新型だから嫌でも注目されるよ」
「そう言う、ものなのか?」
「そう言うもんだよ」
会話に夢中になっていると、食堂に着いていた。とりあえず食券を買い、できたものを受け取り席に着く。
「ウマいんけど…やっぱちょっと高いよなぁ…まだ訓練しかしてない俺にはちょっと辛いな」
「このご時世、食べる事が出来るだけでも感謝しないと」
「そうだよな、なあ、実戦にでるってどんな感じだった?やっぱり怖いとかってあった?」
「もちろんあったよ。けど頼りになる上官が一緒だったから訓練通りに行けたよ。後は戦場に出ると雰囲気も全然違ったな」
「へぇー、やっぱ実戦に出たやつの言ってることは説得力あるなぁ…なんか不安になってきた」
「大丈夫、コウタも訓練通りにやれば上手くいくはずさ」
「そうだな、サンキューなイチカ!」
コウタは実戦の空気というか雰囲気が気になるようだ。下手をすると死ぬかもしれない仕事なのだ。当然と言えば当然。
「そうだ、イチカってバガラリー知ってるか?」
「バガラリー?いや、知らない」
「マジか!?」
「あ、ああ」
目をを見開き驚くコウタ、そんなに驚く事なのだろうか
「バガラリーっていえば、過去に大人気だったアニメじゃねえか。ホントに知らないの!?」
「うん(この様子だと日本で放送されてたアニメか?有名なら俺の世界でも知ってたはずだし…文明は同じだけど、やっぱりない物がこっちにはあるって事か?年代もあるかもしれないけど…)」
イチカの世界にはISが存在しており、こちらには全てを喰らい尽くす怪物、アラガミの存在、年代もあるが同じ文明の世界とは変わりなく、こう言った違いもあると改めて感心を持つイチカ。
「ガクッ……まあいいや、知らないなら教えてやるよ。俺の部屋で一緒に観ないか?」
「そうだな……せっかくだし見てみるか」
「ホントか!後で俺の部屋に来てくれ、絶対に面白いから!」
そう言って、コウタは先に食事を済ませ、自分の部屋へ戻っていった。イチカも食事を終えてコウタの部屋に行きバガラリーを一緒に見るのだった。
翌日、通信端末にエントランスに来るようにとリンドウから連絡があり、指示に従い、エントランスまで行くことにした。
「(呼び出した本人がいない……まっ、リンドウさんだからな)」
呼び出したリンドウの姿が見当たらないが、イチカも慣れているので出撃ゲート前のソファで座って待つことにした。
「あら、あなた…噂の新型の新人さん?」
すると銀髪に眼帯をつけた細身の女性が隣に来た。
「隣、いいかしら?」
「はい、どうぞ…」
許可を得て隣に座ると、話しかけてきた。
「ジーナ・ディキンソンよ、よろしく」
「橘イチカです」
「あら、もしかしてサクヤさんの弟さん?そう言えば貴方、リンドウさんと出たんだってね?運がいいわね。」
「運がいい、とは?」
なんのことかよくわからず、首をかしげる。
「ここでは、リンドウさん程生き延びるのがうまい人はいないわ。多分、くっついてれば死ぬことはないでしょ…」
「確かに、いてくれるだけでも…不思議と安心感はあります」
「そうね、まだ来分からない事が沢山あるでしょう?何かあったらいつでも聞きに来なさい」
「わかりました。その時はよろしくお願いします、ジーナ先輩」
「先輩いらないわ。それじゃあまたね、可愛い新人さん…」
ジーナは離れていき、そうしているとリンドウがエントランスに来た。こちらに気づいて話しかけてきた。
「お、もう来てたのか?どうだ、少しはこの仕事に慣れたか?」
「リンドウさん、呼び出した本人が遅れてくるのはどうかと思いますけど……」
「わりぃな、こっちも色々忙しくてよ」
「まぁ、別に今回だけじゃないですからね、リンドウさんのこれは…」
「ははは!すまんな。今日はゴッドイーターになった祝いに飯にでも…と言いたいところだが…ま、例によってお仕事の話だ」
そう言うとリンドウはイチカを連れて受付に向かいながら任務の説明を始める。
「今度の任務では、サクヤと同行してもらう」
「サクヤ姉と?」
「ああ、姉弟での初の任務だ。準備ができたら、ヒバリのところで俺が発注したミッションを受けてくれ。いいな?」
「了解。サクヤ姉と任務か…」
「まっ、お前さん達なら問題はないだろうが、サクヤのこと、よろしく頼むぜ」
「わかった。って言うかそれ新人の俺に言います?」
「いーんだよ、一応お前さんには期待してるからな。んじゃ、お仕事頑張れよ」
説明が終わるとリンドウは離れていき、イチカはヒバリにミッションの発注をしてもらおうと思ったが、黒髪に赤いジャケットを着た男性がヒバリと話を続けている。
「今日も無事帰ってこれたよヒバリちゃん!だからデートしない?」
「(ナンパか?)」
「タツミさん、他の人の迷惑になりますのでこの話は終わりです。お待たせしました、ミッションの受注ですよね?」
こちらに気づいたヒバリが無理矢理話を終わらせてこちらに話しかける。そこまで言われてようやくタツミと呼ばれた人がこちらに気がついた。
「おっと、もしや新型の新人か!ちょっと先輩らしところも見せとくか!俺は大森タツミ、よろしくな!」
「橘イチカです、よろしくお願いします。大森先輩」
「よろしくなイチカ!後名前で構わないぜ?もう知ってると思うけど、ミッションを受けるときは、このカウンターで申請するんだ。無事にミッションを達成した後は清算されて、口座に報酬が振り込まれる。ま、ほどほどに頑張れよ!これからよろしくな!」
「はい!よろしくお願いします、タツミさん!」
「リンドウさんからの依頼で、サクヤさんとの合同ミッションが追加されています!姉弟初めての一緒の任務になりますね!」
「はい、足を引っ張らないようにしないと」
ミッションを受注するとそのまま現地に向かった。
嘆きの平原、巨大な竜巻を中心に、地面が大きくえぐり取られている平原についた。
竜巻の影響か、周囲一帯は分厚い雲が広がっており雨も降っている。少し離れた所にビルの残骸が残っており、旧時代ではビル街だったのだとわかる。待機ポイントにはすでにサクヤがいて、こちらに気づいて話かけてきた。
「来たわね……うふふ。いよいよ記念すべき姉弟一緒の任務ね」
「あはは、足を引っ張らないよう精一杯努めるよ」
「頼りにしてるわよ。それに、本当にバイティングエッジを扱うのね、あなた」
「うん、実戦でも感じたけど、やっぱこっちが一番扱いやすかったから…」
サクヤはイチカが少し力んでいると感じ、頭を撫で始め、おどけた雰囲気を出して落ち着かせる。
「もしかして緊張してる?肩の力抜かないと、いざと言うとき体が動かないわよ」
「ご、ごめん、もしかして顔に出てた?」
「顔に出てなくてもわかるわよ。あなたのお姉ちゃんなんだから…」
「ありがとう……後、頭撫でるのやめてくれないか?流石に恥ずかしい…」
「うふふ、ごめんなさいね」
『グオオオオォォォ……』
突如付近にアラガミの咆哮が響く。
「っ!この咆哮…」
「さっそくブリーフィングを始めるわよ」
そう言うとするとサクヤのおどけた雰囲気が消えて、真剣な表情になり作戦内容を伝える。
「今回の任務は君が前線で陽動、私が後方からバックアップします。遠距離型の神機使いとペアを組む場合、これが基本戦術だからよく覚えておいて。くれぐれも先行しすぎないように。後方支援の射程内で行動すること。OK?」
「了解!」
「うん!素直でよろしい。さあ、始めるわよ」
そう言って二人は待機ポイントから飛び降りた。平原の中心は竜巻と共に大きく反り立っている。
そのため、左右どちらかから迂回しなければならなず、ターゲットとなっている2体のコクーンメイデンを探すため、サクヤとイチカは左から迂回する。
目標を見つけ、コクーンメイデンがこちらに気づいて、オラクル弾を一度真上に飛ばし、一度停止した後、こちらに向かって飛んでくる。二人は射程外に身を隠しサクヤは対象の説明を始める。
「あれが今回のターゲット、コクーンメイデンよ。実物を見るのは初めてよね?コクーンメイデンは移動しないけど、こちらを正確に狙う射撃攻撃をしてくるわ。そして接近すると、体内にある針を伸ばして攻撃してくから気をつけて」
「了解、サクヤ姉」
「わたしは後方で援護するから、イチカは臨機応変に戦ってね?」
「了解…」
イチカはバイティングエッジを二刀流状態から薙刃状態へ変形させ、その瞬間にイチカはコクーンメイデンへと向かっていった。
「(ホント、リンドウの言った通りいい目をしてるわ……)」
イチカの行動に迷いはなく、初めて戦うアラガミだというのに……これにはサクヤも感心せざる得ない。
「ーっ!」
コクーンメイデンの頭部が開かれ、発射口から光弾が放たれる。それをステップして回避、すかさずもう一度地を蹴って間合いを詰める。柄を強く握り直し、そのまま切り裂こうとしようと構えた時。
「っ!(何か来る…)」
嫌な予感がし、イチカはコクーンメイデンの左横に回り込む。瞬間、今度は腹部が開き中から無数の針が一斉に飛び出した。
「(こんな感じに飛び出してくるのか……下手したら今ので串刺しにされてた)」
まともに受けていたらと思うとイチカはゾッとする。イチカは左腕のアラガミ化の原因で他のゴッドイーターと違い、ほぼゴッドイーターと同じ状態からゴッドイーターになったため、あらゆる感覚、身体能力も通常より強化されているのだ。
「はぁ!」
イチカは構え、相手の頭部に突きを叩き込む。切っ先が深く入り込み、即座に引き抜くと舞い散る鮮血、悲鳴を上げながらコクーンメイデンの動きが止まった。
「そこっ!!」
その隙を逃さず、サクヤは砲身を構え射撃を開始した。銃口から放たれたのは、属性を持つ弾丸。更に、間髪入れずにもう一発放ち、コクーンメイデンの身体に穴を開けていく。
「決める!」
イチカは二刀流に変形させ、コクーンメイデンを何度も斬りつける。あまりに早い剣撃にコクーンメイデンは針すら出す余裕もなく、血を辺りに撒き散らしながら絶命した。
「ふぅ……終わった。後はコアの回収」
絶命したのを確認し、神機を
「……コアの採取完了、終わったよサクヤ姉」
「お疲れ様イチカ、ホントに新人とは思えないくらいいい動きだったわよ。リンドウが誉めることだけはあるわ」
「いや、俺はまだまだだよ…」
「それでも充分凄いわよ…」
そう言って笑みを見せるサクヤ。
「さてと、これでこのミッションはおしまいよ、帰ってさっぱりしたいわね」
「確かに、雨も降ってるし、びしょびしょ。サクヤ姉は大丈夫かよ?」
「ええ、ゴッドイーターだから耐性はあるけど、それなりの不快感はあるわ」
「じゃあ、せめてこれ着て…」
イチカはサクヤにコートを羽織らせる。サクヤは突然の事にキョトンとする。
「いくらゴッドイーターだからって風邪は引くかもしれないだろ?ただでさえサクヤ姉その服装だから…」
「…ありがとねイチカ、遠慮なく使わせてもらうわ。そう言うところもリンドウも見習ってほしいわね」
そう言うと二人は会話をしながら帰還ポイントまで歩き出した。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる