……を手に入れろ……もっと……を
「……くそっ、またか」
頭に声が響き、頭を抑えるイチカ。痛みはないが頭の中から声が響くためどうしても不快感を感じ苛立ってしまう。
「(何を手に入れろって言うんだ?断片的でわからない…これが毎日となると流石にしんどいな)」
ここ最近イチカはこの声を聞く…一日一回あるかないかだが、ただこれが何を意味しているのかは未だ謎である。
「(体に異常は感じない、それにこの左腕は…未だ謎が多い)」
イチカの左腕はこの世界に来た当初に調べてもらっていたが、イチカの持つアラガミの細胞は未知の細胞と言われ、現状では断定は不可能と言われた。
「イチカ」
「ツバキさん……もしかして任務ですか?」
声を掛けられたのでそちらに振り向く、教官である雨宮ツバキに視線を向ける。彼女はリンドウの姉であるが……飄々とした軽い雰囲気のリンドウとは違い、常に威圧的で厳しい性格をしている。
イチカは初めて会った当初は千冬と重ねてしまっていた時期もあったが…彼女は千冬の悪い部分を取り除いた感じの人だと感じ、今では尊敬もしている。
しかし彼女を苦手としている者は多く、同期であるコウタも彼女が苦手らしい。
「そうだ。今日は鎮魂の廃寺でコウタと共にコンゴウ討伐に行ってもらう。ここまでお前はソーマと一緒に中型アラガミ、グボログボロと戦ったのだな?」
「はい」
「ならば今回はお前がコウタを引っ張っていけ、中型種との経験がある者が指揮を執るのは当然だ。だが油断するなよ?」
「了解」
「うむ、ならば良い。ミッションの受注はヒバリから依頼しろ」
「わかりました」
そう告げて、イチカから離れていくツバキ。イチカは受付に向かいオペレーターのヒバリに声を掛けた。
「ヒバリさん、コンゴウ討伐のミッションを発注をお願いしたいんですが…」
「はい、コウタさんと行くミッションですね?受注完了しました」
「ありがとうございます」
受注をすませエントランスに行くと既ににコウタが来ていた。
「コウタ」
「おっす!もしかして今回はお前と一緒の任務か?お互いここまで無事で何よりだね!命あってのこの商売だからねぇ。俺に何かあると、母さんも妹も路頭に迷っちゃうから、気を付けないとな…」
「……」
深刻な顔つきになる。自分にもしものことがあったら家族がどうなるか理解しているからだろう。それだけ家族が大切であり、それ故に心配になるのだろう。コウタは真っ直ぐなやつだ。
「(少し…羨ましいな)」
イチカはそんなコウタが少し羨ましかった。
「あ!そうだ!サクヤさんって知ってる…よね?もしかして仲いい?あの人ってなんかいいよね、美人だし、感じもいいし、強いしさ。戦うお姉さんって感じでさ…たまんないよなぁ!?」
「コウタ、その人……俺の姉」
「姉?言われてみればお前の苗字って橘……マジでか⁉︎」
「マジだよ、血の繋がりはないけど…」
「……そっか」
コウタはイチカの様子を見て察したのか追求することはなかった。
「よおおし!今回の任務、勝ってサクヤさんに一緒にいいところ見せてやろうぜ!」
「ああ、頼りにしてるぞコウタ」
拳をぶつけ合いそのまま2人で神機を受け取り、作戦地域に向かった。
鎮魂の廃寺……ここもアラガミにより壊滅的な被害を受け、今では入り組んだ地形に冷たい風と雪が降り注ぐ廃墟となっている。今は夜のため視界が限定される中、作戦地域にいたオウガテイルを討伐し、2人は現場にいる筈のコンゴウを探すために探索を開始した。
「へっくし!……さみぃな」
「当たり前だ。慣れてないのもあるし、いくら耐性があるからってそんな格好してたらな…」
サクヤほどではないが半袖にへそ出し、そんな軽装な格好では寒いのも当然だ。
「?イチカ、どうし」
「静かに」
イチカは壁に背を預けある場所へと視線を向ける。視線の先は御堂の中、そこにコンゴウが捕食活動をしていた。
「……あれが、コンゴウか」
「ああ…(猿?ゴリラ?みたいな見た目だな…)」
実物を見るのは初めてのコウタは若干の緊張を走らせ、イチカは動物の猿やゴリラを連想させた。
コンゴウは二人に気づいた様子はないが、下手に近づけば気づかれる可能性が高い。
「………コウタ、まずは銃撃で奇襲してダメージを与えよう。俺は接近しながら銃撃してその後は俺が前衛で戦う、コウタは後方で援護射撃をしてくれる?」
「おぅ、わかった」
「俺が飛び出したら合図だ。同時に行くぞ」
互いに頷き合い、そして。
「行くぞ!!」
二人は同時に飛び出し、コンゴウの背中に銃撃を浴びせる。
『ガェァッ!!』
背中に衝撃を受け、コンゴウがようやくイチカ達に気づく。イチカは銃から剣形態に神機を変形、地を蹴って踏み込み上段から二振の剣から斬撃を繰り出した。
刃がコンゴウの頭部に食い込む、だが、コンゴウは攻撃を受けながらも太い腕でを殴り飛ばそうと振るったが、イチカは即座にコンゴウから刃を抜き攻撃を回避する。
「コウタ、援護!!」
「了解!!」
イチカはコンゴウから離れ、イチカの指示に応えるようにコウタの神機の銃がコンゴウに火を噴き、全身に雷属性の弾丸が降り注ぎ、悲鳴が辺りに響き渡った。
その隙にイチカが接近しバイティングエッジを振るう。
「ふっ!!」
コンゴウに右足で大きく踏み込み、剣を振るう、その斬撃はコンゴウの皮膚結合を崩壊させる
《アラガミの結合崩壊を確認!》
「当たれぇ!!」
攻撃は止まらずコウタは神機の機関銃を連射し、体制を崩した。イチカはこの隙に捕食しバースト状態となる。
「神機解放!」
『ギィィヤァァァッ!!』
「はぁぁぁ!」
イチカは刀身にオラクルエネルギーを纏わせ舞うように斬撃を繰り出す。
ある程度切り刻み、イチカは飛び上がるとさらにコウタからの射撃で連射。コンゴウは残る力で衝撃波を放とうとするが、時間が掛かるため、隙ができる。
「これで!!」
飛び上がっていたイチカはバイティングエッジを構え、刀身に蒼いオラクルエネルギーを纏わせ、斬り下ろし攻撃を繰りだす。
この斬撃の威力が決定打となりコンゴウは倒れた。
《対象アラガミの討伐を確認。お疲れ様です!》
「ふぅ……」
コンゴウが絶命した連絡を受け、イチカは神機を捕喰形態に変形させ喰らいつく。
「コアの捕喰完了、終わったよコウタ」
「お疲れ!俺達スゲー息ぴったりだったじゃん!て言うかさっきの攻撃凄かったな!あれなんだったの!新型特有の能力ってやつか?」
「えっと…ごめん、俺にもよくわからないんだ」
イチカはそう言うことしかできず曖昧な返答となった。
「そうなの?まぁいいや、取り敢えずお疲れ!帰ろうぜ!」
「ああ」
こうしてコンゴウの討伐任務は終了した。
アナグラに帰投したとイチカとコウタはヒバリに報告を済ませ、ペイラーの講義に参加するように伝えられそのまま研究室に向かい、席につきペイラーによる講義が始まる。
「君たちはアーコロジーと言う言葉を知っているかい?アーコロジーとは、『それ単体で生産、消費活動が自己完結している建物』を指す言葉でね」
モニターの映像が切り替わり、極東支部が写し出されている。
「実はアナグラを中心としたフェンリル支部は、一種のアーコロジーだと言えるんだ。これって極端な話、ある支部を除いた全てのフェンリル組織が滅んでも、残った支部は単独で生産、消費活動を行い、今まで通り生き残ることが可能ってことなんだよ」
「………」
「(眠そうだな、コウタ)」
眠そうに目を細めているコウタ。再びモニターが切り替わり、アナグラ内の施設の説明用の画像が写し出される。
「アナグラは地下に向かって食糧や神機、各種物資の生産プラントがあり、外周部には対アラガミ装甲壁や、君たち優秀な神機使いをはじめとした、強固な防衛能力もある。それがフェンリルの支部であり、人類を守るために最適化されたアーコロジーなんだよ」
「ふぁ〜」
コウタが眠気と戦いながら抑えめに欠伸をする。
「ただ、そこにも問題はあって、それは収納可能な人口に限りがある事なんだ」
収納可能な人口に限りがあると聞いた途端コウタが真剣な目付きになる。しかしペイラーの説明を聞いているうち不安そうな表情になる。
「君たちも知っている通り、この極東支部の周囲には広大な外部居住区が形成されている。しかし彼ら全てを収容するだけの規模は、まだこの支部にもない。外周部に対アラガミ装甲壁を張り巡らせることが、今できる最大限の対処策なんだ」
「…本当にそれで大丈夫なのかな?現にアラガミは頻繁に外部居住区に出現してる筈じゃ…」
「だからそのためにゴッドイーターの防衛班も配備されている…いやすまない…コウタ君のご家族は外部居住区にいるんだったね…軽率な物言いを許してくれ…」
「(そうか…コウタの家族は外部居住区に)」
イチカもアナグラで過ごして何度かアラガミの襲撃があった。対アラガミ装甲壁は決して万能ではない。装甲が突破されれば、防衛班がいても外部居住区に住んでいる家族が危険にさらされるのだ。実際それで亡くなられている住民もいるため、不安になるのは当然の事だ。ペイラーはその事を失念していたのだ。
「いえ…俺はただ…」
「……」
「本当はアナグラを地下に向けて拡大して内部居住区を増やす計画もあったんだけどね…」
「でもその計画をより安全で完璧にしたのがエイジス計画なんだよね!」
コウタが先ほどとは違い、弾んだ口調になる。エイジス計画に大きな期待を持っている事は容易に想像できる。
「そうだね。現状、極東支部の地下プラントの多くの資源リソースはエイジス建設に割り当てられている。その話はまた今度にしようか」
ここで講義が終了した。少し遅くなったが2人で昼食に向かう。食堂についた後も、コンゴウ戦の時の事が忘れられないのか、色々話してくる。
「いや、あの時の俺とイチカの連携!息ピッタリだったよな?ってか最強コンビだろ!こりゃあ家帰ってノゾミに自慢できるぜ。地球の平和は俺が守る!ってさぁ!」
ノゾミとは先ほど言っていたコウタの家族の事だろう。
「……家族の事、大事にしてるんだな」
「あったり前だろ!」
「そうか…… 俺は、お前が羨ましいよ」
「ん?なんて?」
「なんでもない…気にするな」
何処か寂しげ…悲しそうな雰囲気にコウタは不思議そうな顔でイチカに視線を向ける。
「そうか?じゃあ今から何か食いに行こうぜ!!」
「そうだな。おれも少しお腹がすいたな…」
「よっしゃ、そうと決まれば善は急げだ!!」
「ははっ…元気だな」
元気の有り余ってるコウタに苦笑を浮かべつつ、後に続く。その後も家族の事やコウタが好きなアニメバガラリーの話をした。イチカはコウタのマシンガントークに全くついていけなかった。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる