「……」
贖罪の街には一人神機を携えたソーマがいた。周囲にアラガミが居ないか確認しつつ進んでいるので、構えを解かないまま移動している。
「ん…?」
教会の入り口付近に来ると、人が教会に入っていくように見えた。
「人影…か?」
周囲を警戒しながら教会に入っていく。中心まできて辺りを見回すが人影は見当たらない。
「気のせいか…」
教会に入れば侵入ルートは限定されるので構えを解いて通信を入れる。
「こちらソーマ。特務目標との接触はなし…索敵を続ける」
そして白い影がソーマの後ろ姿を見つめていることに気づかずに教会を出て行った。
「これで…ラスト!!」
現在イチカは中型アラガミ、コンゴウとグボログボロの討伐に出ており、その任務にはリンドウ、サクヤも同行していた。イチカはコンゴウ、リンドウがグボログボロ…サクヤが後方支援だ。
バースト中のイチカは倒れているコンゴウにステップで迫り二振り剣を強く叩きつけ斬撃を繰り出し、この一撃によりコンゴウは絶命した。
「コア回収、終わったかー?」
「はい、こっちも終わりました!」
「よし、そんじゃ帰るか!」
「2人とも、お疲れ様」
任務は問題無く終了し、コアの回収も終了したところだ。
任務を行う際、現地への移動方法は様々だ。近くであれば専用の車両で移動、遠方に赴く際にはヘリなどで移動する。
「前にチラッと話には聞いていたが、お前さんのあの攻撃は凄いな」
「ええ、確かバースト状態でないと使えない力なのよね?」
「うん、通常の状態じゃ全く使えないよ。キッカケは初めてソーマと任務に出た後のことだけど…」
「榊博士には聞いたけど…あなたの左腕がアラガミの欠片を吸収したって…ほんとに大丈夫なの?」
「うん、全然大丈夫。むしろ逆に調子がいいくらい」
イチカがバースト状態であの力を使えるようになったのはオウガテイルの欠片を吸収した事が原因だと推測している。
「そうか、だがちょっとでも違和感があれば博士にすぐに診てもらえ…いいな?」
「わかってます」
「よろしい。それより、イチカのその能力に名前はないのか?」
「名前?考えた事、なかったですね」
「折角だしこの際決めちゃいましょ!」
「おっ、そりぁいい」
三人は能力の名前を考えはじめる……するとリンドウが何か閃いたのか笑みを浮かべる。
「バーストアーツ……ってのはどうだ?」
「バーストアーツ?」
「へぇ、リンドウにしてはいいアイディアじゃない」
「俺にしてはって失礼な…まぁ単純にバースト状態でしか使えない技術って意味で、バーストアーツだ。どうだイチカ?」
「バーストアーツ…うん、しっくりきます!」
「おっ、気に入ってくれたみたいだな。おじさん嬉しいぜ」
「じゃあイチカのあの能力はバーストアーツで決定ね!」
イチカの能力はバーストアーツで決まり、三人はアナグラに向けて車を走らせた。
「おっと、忘れるところだった。イチカ、アナグラに戻って報告が済んだら後で俺の部屋に来てくれ」
「?はい。わかりました」
そう言われ、アナグラに戻った三人は報告を済ませ、イチカは先に部屋に戻ったリンドウの元に向かう。
特に呼び出される理由もないはず。色々考えたが、結局分からないままリンドウの部屋に着いた。
「おっ来たか…ちょっと頼み事があってな…」
「頼み事…ですか?」
「ああ…明日、新しい神機使いが配属されることになる。お前と同じ新型の適合者だ」
「……はい?」
新型が新しく配属になる。それがリンドウの言う頼み事にどう繋がるのかイマイチ理解できないイチカは首を傾げる。
「根拠は特に無いんだが…支部長は何か目的があってこの極東支部に新型神機使いを集めてる気がするんだよな…」
「支部長の目的…ですか?」
「ああ。そこで頼みと言うか相談なんだが…もし支部長がそのことに関して何か言ってたら、俺にも教えてくれないか?」
「構いませんけど…本人に直接聞くのはダメなんですか?」
「まぁそうなんだが…どうもあの人は苦手でなぁ…」
「へぇ…リンドウさんにも苦手な人がいたんだ」
「お前の中の俺はどんな人物になってるんだ?」
「頼れる兄貴?ですかね」
「なんでそこで疑問系なのかねお前は…」
「あはは…」
子どもっぽい理由に苦笑いをしつつ、リンドウの頼み事を引き受ける。
「ああ。別に強制する気は無いし、気が向いたらで構わない。機密事項ならむしろ言わなくていい。ちゃんと礼もするから、な?よろしく頼む」
「わかりました。その言葉忘れないでくださいよ?」
そして、イチカはリンドウの部屋を出ていった。
翌日、召集がかかるよりも前にエントランスに行くと、いかにも落ち込んでますと言わんばかりのオーラを出しているカノンがいた。
「あの…台場先輩、どうしたんですか?」
「あ…イチカさん。実は重包囲からの撤退戦を、ソーマさんに助けてもらったんです。それで、クッキー焼いて、お礼に行ったんですが…『そんな暇があるなら、訓練しろ』って追い返されちゃいました…」
「(…ソーマって確か甘い物苦手だったけ)」
イチカはまだカノンと任務に出た事がないので知らないが…カノンは戦闘中、豹変することもあり、すごく誤射するのだ。その誤射率は全支部でもNo.1を記録保持者だ。
「ソーマの言い方はともかく、確かに訓練が先だと思うのですが…」
「そ…そうですよね…」
思ったことを素直に言ってしまい、更にカノンを落ち込ませてしまった。それを見てイチカは慌ててフォーローをいれる。
「でも、時間があるときでよければ訓練のお手伝いとかしますよ?そんなに落ち込まないでください先輩!」
「いいんですか!?誤射のこともあって、誰も訓練に付き合ってくれないので、すごく助かります。ありがとうございます!」
そう言うとカノンは余程嬉しいのか、いい笑顔で礼を言った。
「(そんなに誤射が凄いのか?まだ一緒の任務に出た事がないからわからないが…)」
後にイチカは彼女の恐ろしさを知ることになるのは…まだ知らなかった。
1人で共用ソファーで待っているとソーマが現れた。珍しくソーマから話しかけてきた。
「…おいイチカ、お前任務中に誰か…人の気配を感じたことないか?」
「…人の気配?いや、ないとおも……」
イチカは一つの心当たりを思い出した…
「まさか、あるのか?」
「いや、単に偶然かわからないけど…俺の初陣に時…帰投する際に左腕が何かに反応する様に光った事があるんだ…ソーマのその人の気配と関係しているかどうかはわからないけど」
「そうか…わかった。邪魔したな」
「あ、ああ」
釈然としないまま会話が終わった。終わった後にソファーに座るとヘッドホンで音楽を聞き始めた。
次に現れたのは意外にもコウタだった。イチカを見つけると、テンション高めに話しかけてくる。
「なぁなぁ!ウロヴォロスって知ってる?」
「いや、まだ知らない」
「平原の覇者!超大型アラガミ!山のように巨大な体と、無数の触手と眼を持つ怪物!詳しいだろ?こないだのコア剥離で気になってさ『ノルン』で調べたんだぜ!」
コウタがどや顔になって自慢げに話す。そうしていると、放送で第一部隊に召集がかかり、サクヤとリンドウも集まった。。そこから5分程経った時、下階から話し声が聞こえてきた。
「聞いた?新型がまた配属されるって」
「あ、それ初耳だよ。ここにきて新型ラッシュだね。」
「ロシア支部から支部長が連れてきたらしいよ…あ、噂をすれば…」
出撃ゲートが開いてツバキが現れた。もう一人、赤いキャスケットにウェーブのかかった銀髪の美少女が後ろに続いて入ってきた。右腕には赤い腕輪を付けている。彼女が噂の新型神機使いだろう。
「紹介するぞ。今日からお前たちの仲間になる、新型の適合者だ。」
「はじめまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します。本日一二○○付けでロシア支部からこちらの支部に配属になりました。よろしくお願いします」
「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」
そんな美少女を前にしてコウタが黙っているわけもなく、そんな事を口走ると…
「よくそんな浮わついた考えで…ここまで生き長らえてきましたね…」
「…へ?」
「(あの雰囲気……前の世界の女を思い出すな)」
案の定、アリサは汚物でも見るような目でコウタを見て、辛辣な言葉をかける。コウタも呆気に取られて空返事を返した。イチカは前の世界の女性を思い出す。
「彼女は実戦経験は少ないが、演習で抜群の成績を残している。追い抜かれぬよう精進するんだな」
「り、了解です」
「アリサは以後、リンドウと共に行動するように。いいな?」
「了解しました」
「それと…イチカ」
「はい」
「お前はこちらではアリサよりも先輩の新型だ、しっかりと面倒を見てやるんだぞ?」
「…了解」
ツバキはイチカにしか聞こえない声量で個人的な指示を出し、イチカも了承する。
「リンドウ、資料等の引き継ぎをするので私と来るように。その他のものは持ち場に戻れ。以上だ」
ここでリンドウとツバキが一緒にエレベーターに入っていった。イチカ達はそれを見届けると、コウタが話しているアリサの方を見る。
「あ、アリサちゃん…だったよね?ロシアから来たって言ってたけど、あそこってすげぇ寒いって本当になの?あ!でも最近、異常気象で温度が高くなってきたったとか言ってたっけ…」
なんとか仲良くなろうとしているのだろう、対してアリサはつまらなさそうに毛先を弄っている。そんな中、アリサがため息をつきながらコウタの話を遮った。
「そんなことより、この支部の新型神機使いは…あなたですか?」
アリサはソーマを見て質問する。
「違う」
ソーマの返答に若干表情が変化する。次にいかにも嫌そうな顔をしてコウタの方に向く。
「まさか…あなたなんですか?」
「違うわ。この支部初の新型は彼よ、血は繋がってはいないけど、私の弟よ」
サクヤはイチカの肩に手を置く。
「……あなたが、この極東支部唯一の新型ですね?」
「ああ……橘イチカだ。よろしく」
自己紹介をしつつ、握手するために右手を差し出すイチカ、しかしその握手をアリサは交わすことはなかった。
「……まあ、そこの人よりは真面目そうでよかったですけど、足は引っ張らないでくださいよ?」
コウタに向かって暴言を吐きつつ、アリサはその場から離れる。
「(……俺、あの子苦手かも)」
コウタを馬鹿にされたことにイラッとしたものの、イチカはどうしても前の世界のことを思い出してしまい、アリサを苦手な人物と認識してしまった。
少し時間を遡り、リンドウとツバキがエレベーターに乗った直後、2人がアリサについて話している。
「期待の新人ですねぇ…レア物の新型が二つも揃ってる支部なんてここくらいじゃないですか?」
「ああ、そうだな。だが本部の意向で、今後は新型の適合者発掘が優先されていくらしい。ただ…彼女の場合、適合はしているものの、若干精神が不安定なようでな…定期的に主治医によるメンタルケアのプログラムを組まれているようだ…まあとにかく注意を払ってやってくれ」
「了解です姉上」
「リンドウ、二度とここで姉上と呼ぶな。いいな?」
リンドウはばつが悪そうに頭を掻いた。
「それからイチカの様子はどうだ?何か変化はあったか?」
「いえ、特にはありませんね。ただイチカにしかない何かが開花し始めているのは確かですぜ。アラガミ化した左腕でとはいえ、アラガミをぶん投げたり殴り飛ばすなんざ並のゴッドイーターの域を超えてますよ…おそらく、それを除いても今の世代にはイチカは当てはまらないかもですね」
「…そうか、今後何があったら榊博士に報告するように、いいな?」
「了解です姉うっ⁉︎」
リンドウは姉上と言う前にツバキにより鉄拳が下されてしまった。
先飛ばしてイチカにバースアーツ、デビルトリガー擬を使わせるか…
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バーストアーツ
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デビルトリガー擬
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両方
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必要ない
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作者に任せる