二次キャラ聖杯戦争OZ EFFECTIVE EARTH   作:yu sato

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登場キャラクター
遠坂凜&セイバー(ライカ)

場所
パラディウムシティ・言峰教会前

時間
開幕前


【オープニング】【prologue】第2話 Multiverse 遠坂凜&セイバー(ライカ)

「……何、これ……」

 教会から出た凛は街の光景を見て絶句した。

 建物は自分がいる停滞した世界より技術的に進んだ物だとわかる。

 3Dディスプレイや空中に直接映し出される立体映像も、空中を噴射孔も無しに悠々と浮遊する船も、確かに驚きには値するが、凛が絶句したのはそれらが理由ではない。

 街を歩く人間達だ。いや、彼らは人間と呼んでいいものなのか?

 とんがった長い耳や頭に羽が生えた者達は兎も角、ネコ科の獣と合体でもしたような容姿の者。丸っこく、茶色い肌でまるで動く岩のような者。

 人間の頭に鷲のような鼻、手が翼の者。全身が機械で、最早ロボットとしか言いようがないがそれにしては滑らかな動きで、顔は青白いが確かに人間の様な柔らかさを感じる者(物?)。

 それ以外の数々の異形の姿をした者達が、普通の人間達と一緒に作業し、話し合い、連れ添って歩いているのだ。

「見たか!? すげぇだろ、リン! この都市は無数にある並行宇宙、別宇宙から聖杯、それに値する願望器がある世界の人間達を再現して生活させているんだぜ!?」

 ライカは顔を紅潮させ、大声で叫んでいる。

「何か……あんた、随分興奮してるじゃあない……」

 逆に凛はライカの今までにない興奮ぶりに少し引いていた。

「当然だろ!? オレはこういう国が作りたかったんだ! 

 こんな風に色々新しいものや文化が活気よく出たり入ったりする国は絶対に古くなったり滅んだりしねえ!

 これがオレの理想だ! 夢だ! いつか必ず造る国だ!」

「分かった、分かったから大声出さないでよ! すごい目立ってるじゃない!」

 周囲からの視線が痛い。およそ人間とは思えない連中だから余計にそう感じる。

 凜はライカの肩をつかんで叫ぶのを止めた。

 

「ところで、この聖杯戦争で猶予期間が具体的にどのくらいか分かる?」

 凜の質問にライカは教会の方を振り向き、手を挙げ人差し指を伸ばした。

「あのバカでかい建物があるだろ? その上の数字が聖杯戦争が始まるまでの時間を教えているらしい」

 ライカが指さした方向にはひときわ高いビルがそびえたっていた。

 外壁は赤黒く、目のような模様がガラスに描かれている。

 上には巨大な目玉のような球体がガラスを透かして見える。はっきり言って不気味だ。

 そのビルの最上部にある巨大なパネルがあった。

 凜は端末を取り出し、拡大表示で見るとそこには【9:81:56:58】と表示されていた。

 そして1秒ごとに一番下の数字が減っていく。どうやらこれが聖杯戦争開始までのカウントタイマーのようだ。

「2番目の桁が100時間で繰上げだとすると……猶予期間は、大体一ヶ月半くらいか」

 凜は端末にあったヘルプを参照し、マップでビルの位置確認をした。

 このビルは『ビッグアイ』と命名されており、都市内の中央からやや北にあるようだ。

 

「リン、バイク調達してくれ」

「いきなり何よ」

 ライカの唐突な注文に、凜は目を細めて答えた。

「この世界に召喚された際、与えられた知識の中で思ったんだよ。こいつに乗ってみたいって」

 ライカは紅潮し、こぶしを握りしめた。

「いいじゃねえか、街の中見て回るにしても、聖杯戦争を戦うにしても乗り物は必要になるんだからよ」

「そりゃ、まあねェ……」

 確かに移動手段の確保は重要だ。端末のマップを見る限りこの都市はどうやらかなり広いらしい。

「その前に少し待って。今端末の使い方を覚えるから」

 そう言って凜は、ヘルプを見て端末を空中に刺すようにして放す。

 当然地面に落下するはずの端末は、空中で固定され、代わりに凜の周囲に複数のディスプレイとキーボードが表示された。

「こうすれば、空間投影ディスプレイが表示されるのか……。電脳空間と大差ないわね」

 複数の画面を表示し、キーボードで一度の複数の操作を実行する。

「結構使いづらいわね。私好みに作り替えてっと……」

 凜がキーボードを叩く度に画面が消え、現れ、画面が変更されていく。

 まるで指揮者のタクトに合わせて奏者が演奏するかのごとく。

 それを見ていたライカは、凜のやっている内容は不明でもその凄さだけは理解した。

 

 端末の改造を進めていた凜は、マップを見てわずかに動きを止めた。

 だがそれも一瞬。再び高速で手を動かし、そして端末を空中から取り上げた。

「待たせたわね。バイクだけど分かった。買ってあげる」

「おお! ありがとな!」

 礼を言うライカに対し、凜は手首のリングに命じた。

「マップ表示。検索『バイクショップ』『高い評判』」

 現れたディスプレイには、教会から離れた場所に赤点が表示された。

 凜とライカは共にそこに向かい歩き出した。

 

 歩いて30分ほどか、ようやくついたバイクショップは

 ガラスの外壁から見える内部によると店内で商品を置いているらしい。

 凜とライカは自動ドアをくぐって中に入った。

「いらっしゃいませ。よかったら店内の商品をご案内差し上げます」

 入り口近くにいた女性が凜とライカに話しかけた。

 二人は案内を頼み、色々見て回るうち、凛とライカは一台のバイクの前で足を止めた。それは全身が真紅に染められたフルカウルモデルのバイクだ。

 ライカは騎士が名馬でも見るかのように、微笑みを浮かべ撫でている。

「お気に召しましたか?」

「ああ、オレはこいつが気に入った」

「こちらはE100を使用可能なエンジンで発電し、両輪のコイルを回転させるシリーズ式ハイブリッド二輪車です。

 出力200馬力で最高速度300km/hに達するまでわずか10秒。急ブレーキ時には搭載された電子制御ABSで、滑走発生を低減します」

「よし、これくれ」

「勝手に決めるな!」

 自分を無視した流れるような購入のやり取りに、凛は怒鳴った。

「はーい、ありがとうですも!」

 店の奥から身長3、40cm程の生き物が飛び出してきた。

「なんかこいつキモかわいいけど、マスコット?」

「いえ、こちらは店長です。私は店員」

 凛は玉ねぎのような体形で羽のような手を持つ――彼らはノポン族と呼ばれる――店長と、人間の店員を見比べ、自分の常識などここでは意味のないことを改めて思い知った。

「あ、忘れてた。ライカ、そういえばお金ってどうなってるの?

「軍資金として、1000万QPとやらが入っているはずだぜ」

「ああ、あれがここでのお金の単位ね」

 凜は先ほど端末の調整をした時、確認していた。

「で、これいくらするの?」

「250万QPですも」

 凜は唸った。う、意外と高い。2台買うと軍資金の半分が吹っ飛ぶ。

 だが、この性能なら意外な出物かもしれない。

「あーもう、分かったわよ。私の分も含めて2台頂戴!」

 崖から飛び降りる覚悟で凜は購入を決めた。

「ありがとうですも。それではこちらに住所、名前、免許証の表示を願いますも」

 凜は戸惑った。この世界でそんなもの持っているはずがない。

「端末の画面を見せてみな」

 手足が止まった凜に対し、ライカは凜にとって意味不明な言葉を言った。

 意味不明だが、ただ突っ立っているよりはましと考えた凜は、端末の起動画面を店長に見せた。

 店長はバーコードスキャナーを取り出し、端末の画面の隅にあったQRコードを読み取った。

「はい、かしこまりましたですも。名前、住所、免許、保険その他の確認が完了しましたので、そのまま乗っていっていいですも」

 凜はあっけにとられた。こんな簡単に免許とかの確認とか出来ていいのか?

「その端末の画面のそれは、あらゆる場面で許可が取れるパス、ってやつらしいぜ」

 色々煩雑な手続きを簡単にして、マスター達が戦いやすくするためか。凜はそう解釈した。

 

「それで、どこへ行く? オレは適当にこの街を見て回りたいが」

 二人共どもバイクに乗り、ライカの質問に対し、凜は怒鳴るように返答した。

「目的地はもう決まっているわ。私をここに誘い込んだ張本人、ミザリィの店よ!」

 

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