二次キャラ聖杯戦争OZ EFFECTIVE EARTH   作:yu sato

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作者 yu sato
この聖杯戦争のプロット、先の展開の道しるべとなる一つの作品を投下します。


Interlude 楽園・天輪聖王

 そこは荘厳な空間だった。

 

 地はまるでクリスタルグラスの切子の如く、蒼い光が走った透明な空間。

 天はまるで幾重にもステンドグラスを重ねたが如く、光の線が走った大輪が囲う。

 

 そこには二人の人物がいた。否、二人で一人というべきか。

 その二人が欠けた半身を互いに補い合っていたからだ。

 一人は老人で左半身、一人は青年で右半身。

 一人は半裸で一人は白衣を纏う。

 互いの瞳に共通していたのは深い絶望と諦念の感情だった。

 無言のまま、二人は空間ディスプレイとキーボードで何らかの作業をしている。

 

 その空間の中に、一つの卵状をした宇宙船のごとき物体が下方から現れた。

 扉が開き、二人の男女が姿を見せる。

 一人は聖杯戦争の案内役であり、マスターでもあるミザリィ。

 もう一人は聖杯戦争の管理人であるルーラー・アルヴィースだった。

 

『中間報告に来たわよ』

 キーボードのタッチ音だけが鳴る空間に、ミザリィの声が響く。

『星晶石でこの世界に召喚されたマスター達は、順調にこの世界になじんでいるわ。

 この分だと、戦いの中で自らの『理』を見出すでしょう』

 ミザリィに対し、二人は動きを止めず、返答もしない。

『最も、願いを叶えられるのはここまで来ることができればだけど』

 ミザリィはただ二人の背中に言葉を投げかける。

「やはり全ての宇宙を滅ぼす気なのかい、君たちは?」

 アルヴィースの問いに、作業を止めることなくだが、ようやく彼らは口を開いた。

「勘違いするな、我々が滅ぼすのは知的生命体だけだ」

「我々は全ての並行世界、多元宇宙の運営を停止させる。知的生命体全ての緩やかな終わりを迎えさせる」

 その声は静かで、念だけが強く籠っていた。

『もう、あなたたちはここにたどり着けるマスターでしか止められないの?』

 少し寂しそうに、ミザリィは問いかけた。

「『どうせ諦めたのならもう一度だけ試してみない?』 そう我々に言ったのはミザリィ、お前だ」

「その不敵な態度に免じ、我々は今一度人間の価値を見定めようと、ヘルメス・トリスメギストスが企画した聖杯戦争を改変した」

「大地を造り、都市を造り、住民を造り、技術を持ち寄り、マスター達が自らの『理』を定めやすくする環境を整えた」

『まさかこれほど大規模になるなんて思いもよらなかったけどね』

 ミザリィは肩をすくめた。

「我々は人間という種につくづく愛想が尽きた」

「だが、我々と違う結論、違う可能性、そう『理』が示せるのならば、聖杯を託すに否はない」

 作業を続行する二人に、ミザリィとアルヴィースは、踵を返しポットへ向かった。

「また、来るよ」

 そう言うアルヴィースはいつもの笑みではなく、少し悲しげな表情をしていた。

 

 ポットの中は外観よりはるかに広く空間が拡張されており、豪奢なソファーやテーブル、椅子、バス、トイレ、キッチンまである。

 その中で二人は絨毯の上で佇んでいた。

 

『ねえ』

 ミザリィが静寂を破った。

『貴方なら片方は倒せるでしょ? でももう片方は無理ね』

「当然だ。彼は僕の神(父)だ。神は僕では殺せない。

 君こそ僕の神を殺せても、同じ科学者だった彼は倒せないだろう?」

『そうね、私のサーヴァントを連れてきても厳しいでしょうね。

 だから私たち協力する必要があるんじゃない?』

 ミザリィはアルヴィースの方へ近づいた。

『二人とも生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報『死相(デッドフェイス)』。

 一人は自らの理想の体現者に勝利してしまった事で人間に諦念し、一人は新たな生命の輪廻を生み出しても人間は何も変わらないと諦観した。

 だけど死者に生者の世界をどうこうさせるわけにはいかないわ』

「その点については僕も同じだ」

『だけど』

 と、ミザリィはアルヴィースの瞳を覗き込んだ。

「そう、だけどだ」

 アルヴィースもミザリィを見返す。

『あの二人の死者をこのヘルメス・トリスメギストスが召喚したとはどうしても思えないのよ。

 だって、並行世界、多元宇宙の全ての運営が停止したら自身も維持できなくなるでしょう? 自身の存在を上書きするためにマスター達の『理』を導き出す、それがヘルメス・トリスメギストスの意志なんだから。

 何か裏で私達さえ知らない何者かがいるとしか思えないのよ』

「真実の奥の更なる真実……か。聖杯自体が汚染されている可能性は僕も考えた。

 だが、今のところガラクシア達以外の兆候は見られない」

『確かパラディウムシティにいるデッドフェイス達は悪しき願い、汚染された願望器、半壊した願望器の影響だったわね』

「そう、それらを一点に集中させることで、聖杯全体の汚染を防いでいる。これは彼らがやっていることだ」

『聖杯自体の意志は? それはどうなっているの?』

『それこそ自らが所属する世界を破壊しようとは考えないだろう、数ある願望器にそんな自殺志願があるとは思えないな」

『とりあえず、聖杯にエラーが出たらマスターやサーヴァントに何らかの形で影響が出るだろうから、そこから探るしかないわね。

 聖杯は現状、実質あの二人が管理しているわけだから』

「……ミザリィ」

『何?』

「僕はある宇宙の管理者だったものとして、彼らに宇宙を閉塞させるわけにはいかない。何より僕は人の中にある光を信じている。

 君はなぜ、彼らを止めようとする?」

『人類を諦めた短慮な連中に、勝手に人類の行き先を決めさせるわけにはいかない。それじゃつまらなさすぎるじゃない。

 私はアウターゾーンの案内人として、何の能力もない人間が超常的な存在に打ち勝ってきた姿を何度も見てきたわ。

 だから、今度もマスター達には期待しているのよ。願いを叶え、主催者の二人を止め、黒幕も突き止めて倒す。そんな贅沢な結末をね』

 それを聞いたアルヴィースはミザリィに対し微笑んだ。

「それは……僕もぜひ見てみたいものだ」

 ミザリィはアルヴィースに対し微笑み返した。

 

 

【主催者】■■■■(デッドフェイス)

【マスターとしての願い】

 全並行世界、多元宇宙から知的生命体を緩やかに死滅させる。

【能力・技能】

 死相(デッドフェイス)

 生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報。これまでに死亡した死者の怨念が自身の霊基に取り込まれており、その力を引き出せる。

 ■■■■の場合、残された宝具『天輪聖王』を自在に操ることができる。

 天輪聖王

 かつて■■■■が召喚したサーヴァントが残した宝具。

 大輪と小輪に分かれており、大輪は直径70kmのリング、小輪は直径7㎞のリングと武の王「転輪聖王」が持つとされる七つの具足を模したバンカーバスターで構成されている。

【weapon】

 天輪聖王

【人物背景】

 戦争を憎み、戦争から多くの功績を残してきた偉人。表向きはそうだったが実際は彼は戦争に対し常軌を逸した憎悪や苦しみを感じ、その痛みを和らげるため戦場へと赴いていた。

 その最後はテロに巻き込まれるというものだったが、その死の寸前で彼は戦争による功績をだれよりも否定できなかった事を実感する。

 死亡した彼は別の聖杯戦争で自我あるNPCとして再現され、聖杯戦争のマスターとして数十回の敗北から這い上がり、聖杯へと至る。

 だが、NPCの自身では聖杯は使えない。だから自身の理想の体現者を聖杯の近くで待ち続けた。

 戦争は欠落をもたらすが、だからこそ欠落以上の成果をもたらすし、もたらさなければならない。

 然るに今の停滞した世界はどうか?それまでに積み重ねた欠落に見合うほどの成果を得られていないではないか。

 そして欠落を埋めるほどの成果を得られないならば、更なる欠落をもって、更なる成果を生み出さなければならない。

 争いこそが進化の道。この星を枯らすのならこの星を離れ宇宙へ広がれ。それが彼の理想だった。

 その結論で聖杯の力で正しく行動すれば誰もが生き残れる、全人類規模の戦争を起こすことで人類を成長させ、現在の世界の停滞を打破しようという考えに至る。

 だが、彼はどこかで間違えた。自身の理想に勝利してしまった。

 その果てに人類全てに諦念した彼は、自分の消滅と引き換えに、聖杯に“人類の死を認めよ。この文明の終わりを看取れ”と入力した。

 

【主催者】■■■■(デッドフェイス)

【マスターとしての願い】

 全並行世界、多元宇宙から知的生命体を緩やかに死滅させる。

【能力・技能】

 死相(デッドフェイス)

 生きながら死に囚われた、何も生み出さない悪性情報。これまでに死亡した死者の怨念が自身の霊基に取り込まれており、その力を引き出せる。

 ■■■■の場合、進化を続けた生命の能力を自在に引き出す。

 未来視(ヴィジョン)

 因果律予測による未来を垣間見る力。

【weapon】

 無し

【人物背景】

 全世界の戦争で地球全体が破壊されそうになっている世界。その中で彼はあるプロジェクトを実行しようとしていた。

 ほんのわずかな好奇心と、実験により人類全てが新たなステージへと進化し、戦争を止められると信じて。

 そのプロジェクト――相転移実験は失敗に終わり、自身の半身、地球に残っていた人々や生命体の殆どが別の平行世界に飛ばされてしまったことで、地球はまさしく死の世界となってしまった。

 彼は、これを罰として受け入れ、贖罪するべく新たな世界再生計画を始動する。手始めに雲海という「物質再生能力」を持った分子を撒いて地上の建造物を分解・再構成し、続けてコアクリスタルを雲海に撒いた。

 雲海とコアクリスタルが結合することで新たな生命核を生み出し、それはやがて巨神獣となり、そこから知的生命体が生まれ進化を重ねていった。

 新しい生命には自分たちとは異なる精神構造を持つ種族になることを期待してたようだが、どれだけ時間が経っても人間の本質が結局愚かだった自分達と何も変わらないことに諦観と失望を抱く。

 かつての自分たちから何一つ変わっていないこと、もともと彼は人間という種自体に絶望していたこともあり、いつしか世界を放置し、自身の消滅を願うようになった。

 

 




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