男幹部くんと百合っぽい組織と世界 作:まーじなる
「紅蓮烈火剣、一閃!」
真っ赤な光を放ち、剣の一撃が俺の肉体を斬り裂く。人ならばこれまた赤い血を出して死ぬんだろうが、俺は怪物…怪人。血の代わりに火花を噴き出してその命を終えようとしている。だが、それだけで終わってはならない。俺には俺のやらなきゃいけないことが、倒されても仕方のない悪である誇りがある。
「ここで……俺は死ぬ。だが、貴様も道連れだ!」
赤いスーツのヒーローにしがみつく。残された命を振り絞って、少しでも多く組織の敵を葬らんと戦う。
「超破壊爆弾で一緒に死ねェ!ハハハハハハハハハハ!」
身体が内側から弾ける。ざまあみろ、ヒーロー……お前はボスと相対することなく死ぬのだ。
……だが、願わくば俺はお前らに勝ちたかった。悪の勝利した光景を見たかった。さらば、ボス……我らシャップルに栄光あれ!
この日、俺という一人の男が消えた。世界を支配せんと暗躍する秘密結社『シャップル』の大幹部たる俺の死は、世間にとってきっと朗報だったろう。正直、あの時戦ったヒーローを本当に道連れにできたなんてわからない。だけど、何処か駄目だったという確信がある。物語とはそういうものだ、自爆で道連れにできるのは黄色いのかサブキャラくらいと相場は決まってる。
そして俺という悪の出番はここで終わり、俺の物語はここで終わり……その筈だった。
「それじゃ、半殺しにして連れて帰ってくれたらそれでいいから」
その筈だったけど、また悪の幹部やってます。
第一話『半殺しの標的、姉を追う』
アンチノイド、人の負の感情から誕生した高次元よりの来訪者。まあマイナスエネルギー的なあれこれのやつが今の俺の種族らしい。ちなみに前世は改造人間でしたまる。
目的は人類を滅ぼすこと、前世の職場だったシャップルは人の組織で世界征服が目的だったので、色々と対照的で驚いております。
でもなんやかんやで一番驚いたは、昭和の次の元号は平成でその次が令和ということ。しかも俺の生きてた時代から100年もたってないのに発展がすげぇ。
おっと、話を戻しますと俺はそんなアンチノイドの幹部として、他の奴等よりも遅く生まれたらしい。だからか他の幹部は全員女、敵のヒーローも調べでは女。
街中を歩けば女、しかもいちゃついてる。
「これは百合なのでは?」
あるいはエスというやつ。ちなみに百合の語源は1970年代であり、それ以前に使われていたエスという言葉は1910年代という。だから俺が百合という単語を知っていても問題はない!!ないったらないのだ。
兎も角、今はそんな感じの時代か世界なんだろ多分。そういう世界だと気づいた俺は、ネットという便利ツールで百合について詳しく調べた。どうやら挟まることは大罪らしいから、百合っぽい幹部二人……メルト・アウト博士とキョーカ・スイゲツ先輩のお二方の邪魔はしないようにしよう。
しかし……業務連絡の時にクール・ダウン殿が凄い目で俺の事見てた理由が分かった気がする。後で菓子折り持っていかないとな……
さて、クール・ダウン殿はどうやら見守る側みたいだから残る百合はあと一つ……首領のX様と女幹部のハニィ・トラップさん。ここをくっつければ俺が挟まる可能性は消える。
その筈なんだけど、おもっくそX様が空回りしてる。所謂『好きな子には意地悪したくなる』タイプなんだろうけど、ただでさえ現在ではブラックと認定されるであろう職場体制と相まって日に日にハニィさんの目が濁っている。……ぶっちゃけ内輪で仲間割れしまくったり、首領に少しでも失礼を働いた瞬間に処刑されてたからシャップルよりはマシなんだけどな。
「それじゃ、半殺しにして連れて帰ってくれたらそれでいいから」
だからそれとなーく俺は好意はストレートに伝えるべきとか、好きな相手には優しくすべきとは言ったんだけどな。俺の給料を犠牲にしてまで進言したんだけどな。
冗談でクビ宣言した挙句連れて帰ってこい、ですって奥さん。
「首領……」
「だってしょうがないじゃん!やっとヒーローを始末できると思ったら一目ぼれして、挙句惚気られるとか思うわけないじゃん!!」
「いやまあ花占いしてるところ見た時は俺もなんだこいつって思いましたけど、たぶんガチでクビと思ってるやつですよ」
「それ初耳なんだけど、そんなことまでしてたのハニィちゃん!?」
いやまあ百合組織としてはそれでいいんだろうけど、確かに悪の組織としてはアウトだからセーフか。微妙なラインだけど今回ばっかりはハニィさんにも悪い所が……いや、どうせ今までの負の積み上げがあるからなあ。
「とにかくジャフトちゃん、早く連れ戻してきてぇ!」
「あー、はいはいわかりました。ジャフト=ツィーブ任務開始しまーす」
何か無理そうな気がするなあ……、あと一応男だからちゃんはやめてほしい。
男主人公にするか、TS主人公にするか迷ったけど男主人公の方が百合の間に挟まる可能性は少ないかなと思い男主人公を選びました。
だが私は謝らない、絶対に挟まないと決めているから
書き方について
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視点ごとに細かく分けて書く
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一話分丸ごと