男幹部くんと百合っぽい組織と世界   作:まーじなる

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なんか百合に関する怪文書みたいな話になってしまった……


二話『ヒーローを破壊せよ!破壊せよ!重要なことなので二回言いました。』その1(三人称視点)

 

 

ある日の朝……ハニィ・トラップは一目惚れした相手、本城颯の顔を起き抜けに見て死にかけるもなんとか生きていた。

そして、颯に頼まれてアンチノイドの組織についての説明をしていた。そうして説明が段々雑になってきた頃……

 

「ああ……話す必要があるかはわかりませんがあと一人幹部がいましたわ。」

 

「あと一人……?」

 

最も、生きているかはわかりませんが……とハニィは付け加える。苦々しく拳を握る姿に颯はハニィと何らかの因縁がある相手なのだと推測した。

 

「ジャフト=ツィーブ。私達の後に生まれた唯一の男性型アンチノイド。」

 

「男の人……なんですか?」

 

「最も、見た目では殆ど女にしか見えませんわ」

 

フフンと嘲るように笑う。颯は知らないがハニィはジャフトが人間体の外見について気にしてることは知っていた。

憎いやつの弱みを握っている優位性ににやにやと笑うが、颯に悪い笑みを浮かべてると思われているとは知らぬが仏だろう。

 

「私と同じく戦闘と彼の場合は参謀もやっておりましたわね……しかもいちいち過激な作戦をとるんですのよ」

 

毒ガスとか、バスジャックとか毒ガスとか……と述べていくハニィ。毒ガス好きなんですね……と楓は引きつつ表情が強張る。

 

「私に向けられた刺客がこのジャフト……ほぼ相討ちのような形になったので倒せたかどうかは不明ですわね」

 

「えっ、じゃあ……」

 

颯は訪ねる。自分がハニィを助けた時の傷はその時のものなのか……と。

ハニィはそれに頷き、もし生きてたら今度はギッタンギタンにしてやりますわ!とシャドーボクシングのジェスチャーをする。

因みにそのあとボスはボロクソに言われた。

 

それから、少しして二人が話していると颯の腕輪からアラームがなる。近くに怪人が現れた証拠だった。

走り出す颯の心に、少しだけもやつくものがあったが……それがなんなのかはまだ誰にもわからない。

 

 

 

 

「でゃっくしょいっ!」

 

一方その頃、アンチノイドの拠点にくしゃみが響く。首領のいる部屋とは異なる場所……そこでジャフトはある人物と待ち合わせをしていた。

 

「すごいくしゃみだね、待たせてしまったかい?」

 

背後から声がかかる、ジャフトが振り替えると軍服姿の宝塚っぽい女性……同じアンチノイド幹部のクール・ダウンだ。優しげな口調とは裏腹に彼を見る目は、あまり好意的なものではない。

 

「クール・ダウン殿か、俺も今来たところだ」

 

ジャフトの返答を聞きクール・ダウンは警戒よりも驚きを感じる。これまで、ジャフトは何処か胡散臭く、取り繕ったような敬語口調で話していた。だが、今の彼はなんだ……こっちが本来の物なのか少し粗暴で興奮と殺気が隠し切れない気配を出している。

 

「なるほど、それが本当の君ということか」

 

「ああ……もう取り繕う必要がなくなったからな。」

 

言葉の真意を聞く前にジャフトはクールの前まで近づくと一冊の本を差し出す。タイトルは『コミック百合娘』……クールがいつも愛読している雑誌。

 

「共鳴が分かった、その先達であるお前に聞きたいことがある」

 

「なるほど……百合に興味があるんだね。いいだろう、なんでも聞きたまえ」

 

ふっと表情が柔らかくなる。百合好きとしては沼に引きずり込むチャンスであると同時に間に挟まりかねない存在が一つ減ることになると……クールは新たな同士を産むチャンスを逃すまいと耳を傾ける。

 

「今この世界では二つの百合を巡る戦いが始まっている。」

 

「……?」

 

「X様は子供みたいに好きな子をいじめる形だけど……ハニィさんに好意を抱いていた。一方そのハニィさんはよりにもよってヒーローに一目ぼれしてしまった。」

 

ここまで言えば分かるだろうとジャフトはクールを見る。その意図をクールは理解した……ジャフトは二つの百合の狭間で迷っている。

 

「成程……ヒーロー×ハニィくんかX×ハニィくんか」

 

クールは内心ガッツポーズを取った。ハニィに百合の素質があると以前から感じていたクールはついにその時が来たかと、心の中の拳を握り新たなカップリングの誕生に歓喜していた。

だが……ことはそう簡単なことではなかった。

 

「ハニィさんが受けたヒーロー抹殺を俺が引き継いだ。そしてそれ以上に俺は、ヒーローを倒したい……正義を倒し悪ここに蔓延らんと声高々に叫びたい。」

 

己の譲れないもの……クールにとっての百合だとジャフトは答える。Xとハニィがくっつくのなら何の問題も無かったが、ヒーローとハニィがくっつくのなら話が違うと。

 

「俺は、この世界は百合なんだと思ってる。こいつに乗ってることがあまりにありふれている……生物のXYとXXを超えた超法則が起きている。」

 

正義と悪が一目ぼれで愛し合うなど……まるで運命ではないか。物語の主人公のよう、そんな存在を待ちわびていたわけだが引き裂かれるのが憚れる関係を持つ者だとは思わなかった。だからジャフトはクールに問いかける。自分はどうしていいと、尋ねる。

クールは少し目を瞑り考える。そしてふっと不敵にやさしく笑いかける。

 

「簡単なことだよジャフトくん、君は好きにやればいい。だって……百合が君に負けるわけないだろう?」

 

その答えはあまりに当然といった態度で、ジャフト自身納得するところがあった。彼にとって認めることは認めることはできないが、ある種正しいと思った。

だからこそ、それを打倒せんとするのが悪だともわかっていた。

 

「言ってろ。あ……それはそれとしてこの雑誌に載ってるこれとこれにおける恋愛観の対比についての解釈も聞きたいんだが」

 

「いいとも!」

 

然し、それとは関係なくそこからは長い長い百合談議が始まるのだった。

 

 

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