男幹部くんと百合っぽい組織と世界 作:まーじなる
その日も……R.Rリングからアラームが鳴り響きました。でも、それと同時に爆発音が私の耳に入り思わずその方向を見る。見てしまう。
火柱と黒い煙が立ち上ぼる光景、現場に近づけば近づくほど悲鳴が強く聞こえる。変身してたどり着いた頃に広がっていたのは火の海で、その中心に一体の怪人が立っていた。
「ジャマァ━━ッ!」
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ショートアンチノイド
手で触った機械をショートさせてしまうぞ!
因みに機械音痴だ!
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怪人がガソリンスタンドの機械に触れる。マシンの電気がショートし熱と火花を散らしてガソリンに引火、大爆発を起こす。
周囲は怪人の起こした爆発の影響で、炎が燃え広がっている。駆けつけた消防車もまた怪人によってショートされて爆発したのか、火の手は広がるばかり。
「この異様に物騒な作戦……まさか!」
「ああ、お前の想像通りだ」
怪人と私達の間にガンメタルグレーの異形が降り立つ。
この怪人がハニィさんの言ってた……
「ジャフト・ツィーブ……!」
ジャフトと呼ばれたその怪人は、ハニィさんに名前を呼ばれて一瞥し……私を正面に見据えてくる。
瞬間、凄まじい程の威圧感が襲ってきて、私はほぼ反射的に構える。その対処は正解で右手に構えた銃……ハニィさんの使っているものに似た武器から弾丸を放ちながら接近してくる。
「くっ……!?」
腕の装甲で受け止めるけど、ハニィさんのものより一発の威力が大きい。ガードの隙間から覗くと薬莢を落とし、エネルギーから弾丸を生成して装填している姿が見える。
多分威力が高い分、弾数と連射速度に制限がある。なら、出来るだけかわしてリロードの隙を突く……!
「砕けなっ!」
銃撃をかわし、至近距離までにジャフトが迫っている。リロードをせずに銃を持たない手で殴りかかってくる……地面を転がり回避すればその拳はアスファルトを砕きちょっとしたクレーターを作り出す。
怪人とは一線を画するパワー……これが幹部の実力。だけど、スピードなら私の方が上で……攻撃も大振りでハニィさんと違って隙が大きい。背後をとった、これなら……
「いけませんわ颯さん!」
ハニィさんの声ではっと気づく、それは痛みもなく……先程までの此方を打ち砕かんとする破壊もなく。
いや、それはきっとハニィさんのお陰でなんとか回避が間に合ったから。事実私は今少しだけ顔に擦れただけで視界が真っ白になっている。思考がまとまらない、脳を揺らされた。だけど敵は背中を見せたまま……何をした、何をされた。
曇り行く脳を動かしてどうにか答えをまとめようとする。しかし、その答えを私はすぐに思い知る。
ニ撃目、足を払われる。その時点ではまだ見えない。
三撃目、正面からの打ち下ろし。やっと見えた、鞭にしては太く棒にしては余りにもしなっている。
四撃目、頭部への巻き付き。それが尻尾……正確には腰より高く背中に生えているような形だとわかる。
そして、強く締め上げられる。地面に足がつかない程の高さに持ち上げられて、跳躍して無理矢理引き剥がすこともできない。
「ジャマァーッ!?」
「颯さん!今助けますわ!」
怪人を倒したハニィさんの声が、銃声が聞こえる。しかし、顔に巻き付く尻尾の力は緩まず……マスクに皹が入る音がする。そして振り回されて、投げられて……ハニィさんにぶつけられる。
「俺はハニィさんとは違う。本気で来ないと……死ぬぞ?」
目の前にしゃがみ込みこちらを除いてくるジャフト、生物的な外見のハニィさんとは違いとことんにまで非人的な形状……正真正銘の怪物。そいつはハニィさんが立ち上がりながら発砲することで飛びのき、撃ち合いが始まる。
「それともこう言えばいいか……」
銃声に紛れてこちらに聞こえるように叫ばれた嘲るような声、挑発的な態度。だけど、そこから思った感情は次の言葉で吹き飛んだ。
「また守れないぞ?」
「貴方が……!」
心にあった疑念が形になった気がした。思わず立ち上がり、掴みかかる。脚力とスピードを活かして、相手がその力を振るう隙すら与えずに殴りぬく。硬い装甲にぶつかって拳に痛みが走るけど、それがなんて事のないように感じるくらいに頭が真っ白になった。
この人は……この怪人は……!
「そうだ、お前の思っている通りだ!まさかあの時の小娘がヒーローになっていたとはなぁ!」
この怪人だけは、絶対に倒さなくちゃいけない。また、あの時みたいなことになるのは嫌だ……私が、私たちがやらなきゃいけないんだ。アンチノイドの起こした事件は記録にも記憶にも残らない。戦えるのは、私達だけなんだ……!
何度も、何度も拳を叩きつけて……ハニィさんの援護で攻撃をかわしながら攻めていく。そして、ラピッドスタンプとラビットスマッシュを連続で叩き込み後退させる。
「ハニィさん!」
『Final step!!』
「わかりましたわ!」
私の全速力……ラピッドラビットストームとハニィさんのヘイズショットを合わせる。体勢を大きく崩している今なら回避されることは無い。これで、終わりだ!
「これがアイツの言っていた共鳴の生み出すエネルギーか……だが!」
身体を回転させて尻尾が振るわれる。私のキックとハニィさんの弾丸がぶつかり拮抗する。だが、徐々にこちらが押していき尾の装甲から罅が入っていく。
膨大なエネルギーと光が迸り、爆発する。ハニィさんの隣に着地して、限界まで振り絞ったためか糸が切れたように力が抜けて膝をつく。変身が解けて、余波で砕けたアスファルトの上に拳から血が流れ落ちる。
「やった……の?」
「いえ……!」
攻撃の痕に広がっていた煙が晴れる。そこに立っていたのは、無傷とは言えないものの五体満足で立っている怪人……ジャフトの姿。
「相ッ変わらずしぶといですわね……まさか、自分から尻尾を千切って身代わりにするとは」
そう、五体満足ではあるが……四肢以上の武器として振るわれていた背中の尻尾が根元から千切れていた。ハニィさんの言う通り無理矢理ちぎったのか、オイルか血のようなものが流れ出ている。だけど……私たちの全力で倒し切ることができなかった。
「さて……ここからハニィさんと戦うのはきついな」
「逃がすと思いまして……?」
今が倒すチャンスだとハニィさんがアンチディバスターを構える。それと同時にジャフトもハニィさんに銃を構える。……そして、少しの間沈黙が流れる。さっき以上に緊張した空気、だけど今の私には何もできることは無くて。どうしようかと思っていると突然ジャフトが笑い出す。
「ハハハハハ!お前だってそいつを庇いながらではかわせまい、尾がなくとも撃ち合いならこちらの方が有利だぞ?」
笑う、笑い声を上げる。見逃されるのではなく、自分が見逃す側なのだと高らかに勝ち誇る。悔しいことに、それは本当のことで……私がハニィさんの足手まといになっていた。
だけど、そうやって笑うたびに尻尾のあったところからめちゃくちゃ何かが出てるのが見える。よく見たら膝もガクガク震えている。もしかして自分でやったはいいけど思ったより痛かったのかな。ハニィさんも気づいたのか何だか微妙な顔をしている。
「ふっ……アッイタイ。今日はこのへんにしといたるわ、覚えとけや!」
唐突な関西弁にハニィさんがずっこける。背中をさすりながらふらふらと帰っていくジャフト・ツィーブ……さっきまでの威圧感はあんまりなくて、情けない雰囲気が漂っていた。
「はぁ……なんかキャラ変わってませんの?」
ハニィさんの溜息と独り言が空へと消える。私たちにとって、初めての幹部戦は凄く凄惨だったのに……なんとなく締まらないオチで終わりを迎えました。
裏話
ジャフトのキャラ構想なのですが、颯が最初に変身したときの事件の作戦をしていた者……明言されてないけどXっぽい?としたらカルマ値的にどうなるんだろう?
というのとハニィさんに差し向けられた刺客は一体何者か……というところから始めました。
その内原作の巻末みたいな感じでキャラ設定をまとめる予定です。
書き方について
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視点ごとに細かく分けて書く
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一話分丸ごと