機動武闘伝Gガンダムヴァンドレッド   作: ノーリ

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おはようございます。前回の続き、原作第七話の前半部分です。今年の投稿はこれで最後になります。

書いてみての感想なのですが、最初にオリジナル展開を入れたものの、この原作七話パートはいつも以上に原作準拠になっています。つまり、いつも以上に兄さんの絡む余地がない、本当にほぼ原作をなぞっているような形です。なので、原作見たことがある方にとっては目新しいところはないかと思いますが、私の技量ではこれが精一杯でした。そちら、ご了承ください。

ですので、いつも以上に気楽に読んでいただければと思います。

本年もお世話になりました。また来年も本作品を御贔屓に楽しんでいただければと思います。

では、どうぞ。


NO.12 すれ違い

「遅くなりました」

 

某日。作戦室に呼び出されたメイアの姿があった。

 

「すまなかったな、忙しいところ」

「いえ」

 

声をかけてきたブザムに軽く一礼してメイアが答える。そこにはブザムの他に、マグノ、ガスコーニュ、パルフェの姿があった。

 

「全員集まったね、それじゃ始めようか。パルフェ」

「はいはーい」

 

マグノに促されたパルフェが照明を落としてある映像をスクリーンに出す。それは格納庫の映像だった。時間はと言うと、先日の戦闘のときのものである。

 

「それじゃ、頭っからおさらいしようか。先日の戦闘であの坊やが考えた作戦でカリトリの連中を半壊させたところからだ」

「そこまでは良かったんだけどね。残念ながら壊滅に追い込むにはちょっと足りなかった…と」

「ああ。普通に考えればカリトリの手痛い逆襲にあっても仕方ない。しかし」

「これ…ですね」

 

パルフェが映像を切り替えた。そこには、謎の攻撃によって撃墜され、壊滅していく無数のカリトリの機体の姿があった。

 

「これは…」

 

伝聞では聞いていたが、実際にその映像を目にしたメイアがその圧倒的な破壊力に驚いていた。

 

「さて、この不思議な攻撃によって辛くもあたしらは難を逃れたわけだが、気になるのはこの攻撃の出どころだ」

「オペレーターたちも突然のことにデータを取ることを失念し、お頭から指摘されたときにはほぼ攻撃が終わったときだった。データを収集する暇もなかった」

「気持ち悪いところだけど、本来ならデータ収集できなかったことで打つ手がないから仕方なしとするところだけど、面白いもんが映ってたんだよな」

「そーゆーこと」

 

ガスコーニュが促したのに応えるかのようにパルフェが再び格納庫の様子を映し出した。そこには、ひっそりと格納庫を出ていくガンダムシュピーゲルの姿があった。

 

「あの男が出ていって少しした後、あの攻撃があった。そして、あの攻撃が終わって少しした後、何食わぬ顔で戻ってきた」

 

マグノが今言った通り、時系列はそのままガンダムシュピーゲルが格納庫から出ていって戻ってきていた。

 

「前後関係からあの攻撃をシュバルツが行ったのは間違いないかと」

「だろうね。ただ、肝心のその姿は捉えられなかった」

「捉えられなかった? どういうことです?」

「言葉通りさ。何もない空間からあの攻撃がされたんだ。パルフェ」

「はいはい」

 

ガスコーニュに指名されたパルフェが当時の外部映像を表示させる。そこには、ガスコーニュの言葉通り、何もない空間から突然ビーム砲が乱射された映像のみ映っていた。

 

「確かに、何もありませんね」

「だろ? 辿っていけばどの地点からの攻撃かはわかるけど、そこには何もない。ただの宇宙空間があるだけさ。とは言え、実はうちらも面白い情報を持っててね」

「面白い情報?」

 

ガスコーニュの言った『面白い情報』という言葉にメイアが首を傾げる。

 

「ああ。実はあの坊やが攻撃を始める少し前に、あたしとパルフェのところにシュバルツから通信がきたのさ。ジュラの設定したビームのパターンのデータを流してくれってね」

「そーゆーこと」

「そういう重要な情報はもう少し早く報告してもらいたかったが…」

 

ブザムが顔を顰めた。このことを聞いたのはこの会議の始まる少し前だったから渋面を作るのも当然と言えば当然である。

 

「すみません、副長。何しろあの攻撃にみんな呆気に取られてたもんで」

「綺麗さっぱり忘れちまったのさ」

「まあ、気持ちはわかる。だから今回はこれ以上は追及しないが、今後は気をつけてくれ」

「へいへい」

「わかりました」

 

ガスコーニュとパルフェ、それぞれのらしい返事をとったブザムが話を戻す。

 

「ということで、今までの動きからシュバルツが何かをやったのだろう。だが」

「その『何か』が、わからない。それが現状だよ」

 

そこで映像を終了させ、作戦室の照明を元に戻す。

 

「あたしらとしては、あの男がやった『何か』を是非とも知りたいところだ。だがそうなると、どうやって? っていう話になる」

「正面から正攻法で尋ねたところで…」

「無理だろうね。何もしてないってすっとぼけたぐらいなんだから。最初から口を割る気はないだろうよ」

「ですねぇ…」

 

マグノ、ブザム、ガスコーニュ、パルフェがそれぞれ各々の意見を突き合わせるものの、結論としては全員同じ意見だった。

 

「強権を発動して無理やり口を割らせる手段がないでもないが…」

「まあ、現実的じゃないね。大体、どうやって口を割らせるのさって話だし」

「拷問…?」

「本気で言ってるのかい、メイア?」

「いえ」

 

マグノに指摘されたメイアが首を左右に振って答えた。

 

「情けない話ではありますが、我々では実力行使に及んだところで敵わないかと」

「へえ…何があったか知らないけど、噛みつくだけじゃなくなったみたいだね」

 

冷静な意見を述べたメイアをガスコーニュが揶揄した。

 

「ガスコさん、人を狂犬扱いしないでください」

「はいはい。後、ガスコじゃなくってガスコーニュ!」

 

いつも通りのツッコミだったが、いつも通りなので特にメイアも反論せずに軽く頭を下げていなした。

 

「ま、それはそれとして、私も個人的には強権に訴えるのはいやですね」

 

パルフェも賛同の意見を述べた。

 

「何故だ?」

 

ブザムが尋ねる。

 

「だってあの人、うちのクルーを何度となく救ってくれたじゃないですか。実際問題、あの人が助けてくれたおかげで死ななかったクルーは相当数いますし、それに気づいてます? 戦闘でドレッドの小破・大破はあってもあの人が加わってから戦死者は一名もいないんですよ」

「そう言えばそうだったね」

 

パルフェに指摘されてそのことに思い至ったマグノが声を上げた。

 

「私たちは海賊ですし、相手は男。それはよくわかってます。でもだからって、曲げちゃいけない筋ってのもあると思ってるんですよ」

「それが、今回の件だと?」

「個人的には。それに何より、結論は出てるようなものですけど口を割らせる手段がないじゃないですか」

「確かにね。ああいうタイプは強権を発動しても絶対に口は割らないだろうし、何よりうちらがどうこうできるような相手じゃない」

「ええ。まだ正面から素直に問いただした方が可能性はあるかと。ですが…」

「それで口を割ってくれる可能性もほぼないようなものだな」

「はい。現状は」

「八方塞がりってわけかい」

「はい」

「やれやれ、困ったね」

 

マグノが溜め息をつくが、現状どうしようもないのはマグノ自身もよくわかっているのでこれ以上は言わない。

 

「いずれは種は明かしてもらいます。ですが、今はどうしようもないかと」

「仕方ないね」

「しっかし…」

 

ガスコーニュがもう一度先ほどの攻撃映像を再生した。

 

「凄い攻撃力だね」

「ホント。敵じゃなくてよかったですよ」

「かと言って完全なる味方というわけでもないからな。くれぐれもこの力がこちらに向かないようにはしなければ…」

「何はともあれ、あの男の扱いは注意しな。同じ男でも、他の三人の男とはまた違う存在だということをくれぐれも肝に銘じておくんだ」

『はい』

 

全員の返事を聞き、マグノが満足そうに頷いた。

 

「さて、メイア」

「はい、お頭」

「この前の件、話してもらおうか」

「お頭、この前の件…というのは?」

 

初耳なのだろう、ブザムが不審げな表情になる。

 

「今話題に出ただろう? あの男のことさ」

「あの件ですね」

「ああ」

「何だい? 何かいい情報でも握ったのかい?」

「いい情報かどうかは、正直わかりかねます。ですが、あの男の一端を知る足掛かりになれば、と。とは言え、実際意味のある情報になるのかどうかは判断しかねますが」

「? どうも要領を得ないわね」

「言うな。私とて、これが有効な情報かどうかはわからないのだから」

「ま、そこらへんは各自が判断すりゃいいさ。話しな」

「はい。では…」

 

軽く一礼すると、メイアはこの前の一件を話した。死線を彷徨っていたあのときに最後に聞こえたあの会話のことを。

 

「成る程ねぇ…」

 

メイアの話を聞き終え、最初に口を開いたのはガスコーニュだった。

 

「キョウジ…か。間違いないのだな?」

「はい」

 

ブザムの指摘にメイアが頷いた。

 

「でも会話の内容だけじゃ、何とも判断できないわね」

「ああ。だから話す前に言っただろう? 有効な情報、意味のある情報なのかはわからないと」

「確かにね。けど、全くの無意味な情報ってわけじゃなさそうだよ」

「お頭、それは?」

 

ブザムがマグノに尋ねた。

 

「メイア、お前さんは気付いたかい? あのとき、お前さんがあの男に向かって『キョウジ』って言ったときに、あの男の雰囲気が一瞬だけど変化したのを」

「はい、お頭」

 

マグノの問いかけに、メイアが再度頷いて答える。

 

「一瞬、それもほんのわずかですが確かに雰囲気が変わりました」

「ああ。あの男が本当に何も知らないんだったらあんな反応をするわけはないさ。だが実際は間違いなく反応を見せた。だったら、何かがあるのは明白ってもんさ」

「成る程…」

 

パルフェが顎に手をかけて頷いた。

 

「でも、それだけじゃ正直雲を掴むような話ですね」

「そうだな。だがそれでも、確かに足掛かりにはなるかもしれん」

「だね」

 

ブザムの指摘にガスコーニュが同意する。

 

「どちらにせよ、これは貴重な情報となるかもしれない。そして、使うとしたら使いどころを間違わないことだ。今まで以上にあの男の行動には注意すること。わかったね?」

『はい』

「よし、じゃあ解散だ。皆持ち場に戻りな、ご苦労だったね」

 

マグノの解散宣言に、三々五々出席者は作戦室から散っていった。艦内でそんな談合があったのとほぼ同時刻。

 

 

 

 

 

「痛った!」

 

ディータが自室で顔を顰めた。何故か、針仕事をしていて誤って自分の指を指してしまったからだ。そしてその針仕事のターゲットはクッションだった。ピンクの下地に、真ん中にステレオタイプなタコをモチーフにした感じの宇宙人をデフォルメしたような模様が刺繍されている。

 

「痛ったーい!」

 

涙目になりながら僅かに血の滲む自分の指に目をやるディータ。と、

 

「ねえ、それ、男にあげるの?」

 

ディータの私室に遊びに来ていたパイウェイがテーブルに頬杖を着きながら尋ねた。

 

「えへへ…」

 

ディータはパイウェイの質問に頬を赤らめ、照れ臭そうに微笑んだ。が、

 

「だったらあたしに頂戴!」

 

パイウェイが突然そんなことを口に出す。しかし、

 

「ダーメ。宇宙人さんにあげるんだもーん」

 

ディータは嬉しそうにそう言ってパイウェイからの申し出を拒否した。

 

「ゲロゲローン…」

 

その返答を聞いたパイウェイがいつも通り、蛙のぬいぐるみで腹話術を行う。顔に縦線が入っているあたり、多少なりとも不満なのだろう。しかし、こんな平穏な時間が過ごせているのも平和だからこそ。それを証明するかのように、ブリッジも平和な様子だった。

 

「でね! すっごく大きくて!」

「それで?」

「ZZZ…」

 

アマローネとベルデウェールがおしゃべりに興じ、その横ではエズラが自席に座ったままうつらうつらして静かな寝息を立てている。

 

「全く…敵襲がないのも考え物です…」

 

作戦室からマグノと共に戻ってきたブザムが、緩い空気に支配されたブリッジに顔をしかめた。対照的に、

 

「あんた、いつから軍隊に成り下がったんだい?」

 

マグノは涼しい表情である。ここらは年季の差というやつだろうか。

 

「しかし、クルーの士気が…」

 

それでも苦言を呈して食い下がるブザムに、

 

「あたしらの稼業は海賊だろ?」

 

マグノは再び諭した。とは言え、

 

「それは、そうですが…」

 

と、ブザムもすんなり納得はしない。ブリッジがそんな状態の中、ディータは息せき切らしながら格納庫に走っていた。その手には、完成したクッションが握られている。

 

「見て見て見てーっ!」

 

満面の笑顔でクッションを掲げるディータ。しかし、

 

「ん? あれぇ…?」

 

そこには、いると思っていたヒビキの姿はなかった。

 

「宇宙人さーん!? いないのーっ!?」

 

格納庫内を軽く捜索するディータ。しかし、ヒビキの姿は見えない。

 

「おっかしいなー、ここにいるって聞いたのに…」

 

当てが外れ、残念そうな声を上げながらディータはクッションを抱えたまま格納庫を去っていった。直後、

 

「…ったく、ウゼえ…んだよ…」

 

苦しそうにヒビキが呟く。それもそのはず、コックピット内の天井に張り付き、両手足を突っ張らせて落ちないように、見つからないように頑張っていたからだ。当然、無理な体勢をすることになるため、言葉が苦しそうになるのは仕方がない。が、苦労の甲斐あってディータをやり過ごすことに成功したヒビキはニヤリと笑った。しかし、

 

「うわあっ!」

 

ディータをやり過ごしたことで張っていた気が緩んだからか手が滑り、直後にコックピットに落下したのだった。

 

 

 

 

 

「あ」

「ん?」

 

見事にヒビキにやり過ごされ、格納庫からとある場所へ向かう道すがら、ディータはとある人物を見つけて声を上げた。それに気づいたその人物も軽く声を上げて振り返る。

 

「おっきい宇宙人さん!」

 

そしてディータがタタタと彼女が言うところのそのおっきい宇宙人…シュバルツに駆け寄ってきた。その一方で、

 

(その呼び方は止めろと言っているのだがな…)

 

何度か指摘したはずだが、それでも効果がないことに内心で溜め息をつきながらシュバルツがディータを迎える。ディータには他意や悪意がないのはわかっているので咎めるのも気が引けるのだ。

 

(それに、何度言っても直らないのであれば今後も直るまい)

 

ある意味達観したシュバルツが諦め、

 

「どうした?」

 

と、ディータに話しかけた。

 

「ねえ、宇宙人さん何処にいるか知らない?」

「ヒビキか?」

 

シュバルツの指摘にディータがコクンと頷く。

 

「知らんな」

「そっかぁ…」

 

シュバルツの返答に、ディータがガックリと肩を落とした。

 

「格納庫にはいなかったのか?」

「さっき行ってきたんだけど、いなかったの」

「成る程」

 

状況を理解したシュバルツがディータの抱えているものに目を移す。

 

「用件はそれか?」

「うん! 宇宙人さんにプレゼントしようと思って!」

「プレゼントか」

 

微笑ましい言動ではあるのだが、しかしその対象があのヒビキということであれば、

 

(素直に受け取るとも思えないが…)

 

シュバルツはそう思っていた。とは言え、ニコニコのディータにそれをわざわざ指摘するのも野暮というもの。なので、

 

「そうか」

 

と言うだけに留めておいた。

 

「受け取ってくれるといいな」

「うん! それじゃあ私、宇宙人さんのお部屋に行ってみるね!」

「ああ」

 

シュバルツが頷いた後、ディータは軽く手を振るとそのままヒビキの部屋に向かって駆け出した。ここだけ見れば微笑ましい光景ではあるのだが…

 

(まあ、部外者が口を挟むのも違うか…)

 

色々と思うところがないわけではないのだが、それは所詮自分とは関係ないことである。人間関係など、第三者が首を突っ込むと余計に複雑になることがほとんどだ。

 

(所詮は当事者間でどうするしかあるまい)

 

そう考え、シュバルツもまたその場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

「わ!」

 

ヒビキの部屋までやってきたディータが寝床の毛布をめくる。が、当然そこにはヒビキの姿はない。

 

「いないなぁ…。わ!」

 

今度は便器の蓋を開けた。普通に考えればそんなところにいるわけはないのだが、よっぽど会ってお手製のクッションをプレゼントしたいのだろう。

 

「ちぇ…」

 

隅々まで探してもヒビキの姿がないことにディータががっかりした表情になる。そして、今一度室内を見渡した。色々なものが転がっている雑然とした室内はお世辞にも整っているとはいいがたい状態だった。それに気づいたディータは、

 

「えへへ」

 

にやりと微笑むと、何処に持っていたのか割烹着を身にまとう。そして、ヒビキの部屋を整理整頓、掃除し始めたのだった。勿論、家主であるヒビキには無断で…である。そしてそれが一段落着いたところで、

 

「これでよし…と」

 

と、件のクッションを枕元と思われる部分に置いたのだった。

 

 

 

「なあああああっ!?」

 

ディータが(勝手に)ヒビキの部屋を掃除してから暫く後、相棒であるヴァンガードの整備を終えたヒビキが自室に戻ってきた。その第一声がこれである。しかしその矛先は部屋が綺麗にされていることではない。いや、多少なりともそれはあるかもしれないが、それよりも天井から紐に吊るされているいくつものインテリアの存在だった。しかも、大半が宇宙人やUFOをモデルとしている訳の分からないデザインのものである。そして室内の隅にはこれまた宇宙人モチーフのぬいぐるみが数点。

 

「な、何だ、こりゃ…」

 

工具箱を落として愕然としているヒビキの耳に、不意に寝息が聞こえてきた。その発生源に目をやると、そこにはヒビキの寝床で幸せそうな顔をして寝ているディータの姿があった。

 

「こっ…この、起きろ!」

 

ヒビキが怒り顔でディータに向けて怒鳴った。

 

「うーん…あ!」

 

その怒鳴り声に睡眠を邪魔されたディータが不機嫌そうな顔になって目を開く。が、そこにいるのがヒビキだとわかって即座に表情を明るくした。

 

「おかえり!」

「おかえりじゃねえ! 人の部屋で何やってやがんだ!」

「ん?」

 

ヒビキの怒りは収まらないが、ディータの方も何故ヒビキが起こっているのかわからない様子であった。なので、

 

「ねえ、見て見て見て! 綺麗になったでしょう!?」

 

寝床から抜け出すとダンスでも踊っているかのようにクルクル回りながら大仰に腕を開いて室内を披露する。が、

 

「綺麗…? これのどこが…」

 

ヒビキが怒りをこらえながら呟いた。以前の部屋も物が雑然と積まれているような配置だったのでお世辞にも片付いているとは言えないが、勝手にインテリアやぬいぐるみを配置されている今の状況も混雑具合で言えば似たり寄ったりである。しかし、

 

「あ、そうだ!」

 

何かを思い出したディータがピンと人差し指を伸ばした。鈍感なのかそれとも本当に気づいていないのかはわからないが、ヒビキの怒りは華麗に受け流している。そして、寝床のある物を手に取った。

 

「人の話を「はい!」」

 

そのある物…お手製のクッションをヒビキに差し出したのがスイッチとなり、

 

「出てけーっ!」

 

ヒビキの怒りが爆発し、無数のインテリア、ぬいぐるみと共にディータは部屋を追い出されたのだった。

 

 

 

 

 

「……」

 

ブリーフィングルーム。メイアがシステムを操作しながらフォーメーションパターンを考察している。こういったところからもメイアの真面目さが見て取れた。と、その耳にドアの開く音が届いた。

 

「ん?」

 

メイアが顔を上げると、そこにはしょんぼりとした表情で肩を落としているディータの姿があった。

 

「ディータ」

「あ、リーダー…」

 

その様子から何しらをか感じ取ったメイアがディータを中に招き入れた。

 

 

 

「それでね、邪魔だ、出てけって言われちゃったんです…」

 

一体何があったのかをディータに尋ねたメイア。予想通り、ヒビキ絡みだったのではあるが、それでも無下にすることはなくメイアはディータの話に耳を傾けていた。

 

「ディータ、宇宙人さんに喜んでほしかっただけなのに、いつも怒らせちゃう」

「ディータ…」

 

そこまで聞き、メイアが口を開いた。

 

「はい」

「上手く言えないが、好奇心を否定する気はない。だが」

「何です?」

「不用意に他人の心に入り込もうとするのはどうかと思う」

「そうですよね…」

 

メイアに諭されたディータががっくりと肩を落とした。とは言え、それで納得できるかはまた別物。

 

 

 

「何で、何で、何で、何で!」

 

艦内テラスに場所を移したディータが鬱屈を晴らすかのように小川に石を幾つも投げ込んでいる。そして、それを何度か繰り返した後、その場にへたり込んでしまった。

 

「もっと宇宙人さんのこと、知りたいだけなのに…」

 

そこに突然、にゅっと腕が伸びてきてあるものを見せられた。そこには、へたり込んでいる自分の姿と、その周囲にまとわりつくように渦巻いている黒い靄のようなものが映っていた。

 

「パルフェが造ってくれたオーラカメラで映したの」

 

声をかけてきたのはパイウェイだ。

 

「ディータ今落ち込んでない?」

「見てわかるでしょ」

 

不満げにディータが返す。会話の内容から、映っていたディータの周りのまとわりつくような黒い靄は負のオーラだったらしい。はあっと大きく溜め息をつくと、

 

「昔飼っていた青い鳥が死んじゃった時と同じ気分…」

 

と、呟いたのだった。

 

「青い鳥?」

「うん。青い鳥なんて初めてだったの。だから嬉しくて、毎日毎日触ってたらだんだん元気がなくなって死んじゃった」

「んー、その鳥疲れちゃったんじゃない? ディータが構いすぎたから」

「!」

 

その言葉に何か思い至ったのか、ディータはパイウェイの方にずずいと身を乗り出した。

 

「宇宙人さんも、宇宙人さんも疲れるのかな!?」

「ちょ、ちょっと…」

「ディータといるの疲れるのかな!?」

 

ずずいと迫ってきたたディータにパイウェイは若干引き気味である。おまけに、自分の言葉は耳に届いてないようだ。そして苦し紛れに、

 

「そ、そう言えば、ヒビキはディータといると疲れるって言ってたケロ~」

 

と、いつものように蛙のぬいぐるみで腹話術しながらそう返したのだった。しかし、その一言は今のディータをノックアウトするには効果覿面だった。

 

「そんなぁ…」

 

瞳を潤ませながら、がっくりと肩を落としてディータが再びへたり込んだ。

 

「ディータ…?」

 

パイウェイが膝を追って覗き込むと、

 

「そっか…やっぱり迷惑なんだ…ディータのこと」

「や、そこまでは言ってないけど…」

 

予想外の反応に慌ててパイウェイがフォローするも後の祭り。

 

「ディータ、冗談だよ。わかってるよね? ケロケロ、ケロケロ」

 

しょんぼりしたディータはその後顔を上げることはなかったのだった。

 

 

 

 

 

『お頭、今のうちにドレッドのフォーメーションを固めておきたいのですが…』

 

テラスでそんなことがあったのと前後して、ブリッジではメイアからの通信が入っていた。

 

「あんたといい、BCといい、たまにゃ休んだらどうだい」

 

二人の姿勢に諭すように苦言を呈するマグノ。が、

 

『お言葉ですが、カリトリの日は刻一刻と迫っています。今の我々に休んでる暇はないと思いますが』

 

と、反論する。その姿にマグノはふぅ…と溜め息をつくと、

 

「固いね、相変わらず…」

 

と呆れたように呟くしかできなかったのだった。だが、結局は状況を鑑みて否定することはせず、メイアの要望を通したのだった。そして、パイロットがブリーフィングルームに集められる。

 

 

 

「遅いぞ」

「ハッ」

 

メイアからの注意に不満げに鼻を鳴らしてブリーフィングルームに入ってきたのはヒビキ。そして、

 

「ん?」

「ディータは?」

 

ヒビキ一人だけの登場に思わずジュラとバーネットが尋ねた。

 

「! 知るか! 俺はあいつのお守りじゃねえ!」

 

それに対し、ヒビキは犬歯を剥き出しにして噛みつく。

 

「あらぁ?」

「フッ、大方痴話喧嘩ってとこかね」

「! 冗談じゃねえ、なんで俺が…」

 

ガスコーニュの指摘に反論しようとしたところで再びドアの開く音がし、

 

「遅くなりました…」

 

ディータがどんよりとした雰囲気を纏いながら入ってきたのだった。そしてそのままトボトボと歩いて適当な席に腰を下ろす。そして、

 

(ふむ…)

 

壁に背を預けながら遠巻きにその一連の様子をシュバルツも見ていた。そして、

 

(予想通り…といったところか)

 

ヒビキとディータの様子から、先ほどの危惧通りになったことに内心で溜め息をついた。

 

(人間関係に対するスタンスが違う者同士での人間関係の構築は骨が折れるものだからな)

 

そして構図としても予想通りだった。即ち、ディータがヒビキに拒絶されてヘコむという形である。

 

(とは言えやはり、部外者が口を挟むのは余計なお世話というもの。当事者の人間関係を他人が強いるというのもまた筋の通らない話だし、余計に拗れるというものだ)

 

そう思っているため、シュバルツはこの件に関しては積極的に関わろうとは思ってはいなかった。当事者に相談されればアドバイスぐらいは送るつもりではあるが、そうでなければ余計な真似をして引っ掻き回すのは藪蛇になるというものだ。

 

「全員揃ったな」

 

シュバルツがそう考えをまとめたところで、メイアが口を開く。

 

「では、今回のシミュレーションについて説明する。まず、ディータが合体したときのフォーメーションだが「いいんです」」

 

途中で話を遮られ、メイアのみならず全員の視線がディータに集中する。

 

「いいんです…もう合体しないから…」

 

その一言を聞いたヒビキがいっ!? という顔をし、他のクルーはえ? という表情になった。そして、

 

(これは重症だな…)

 

シュバルツは内心で首を左右に振ったのだった。

 

「ふーん…わかった。あんたもう、宇宙人のこと飽きちゃったんでしょう?」

 

揶揄するようにジュラが指摘すると、ディータは首を左右に振った。そして、

 

「宇宙人さん、ディータとじゃダメなんだって。だから次は、ジュラが合体してね」

「え…」

 

今までのディータだったらまず言わないようなセリフにジュラが表情を固まり、ヒビキが、どうすんだよおい…みたいな表情でディータとジュラの顔を交互に見ている。が、

 

「ディータ、公私混同をしたような発言は認められない。これは、遊びではない」

 

すぐにメイアから追及されることになったのだった。まあ、当然と言えば当然である。

 

「すみません…」

 

そのため、ディータも謝罪して従うほかはなかった。そして、実際のシミュレータでテストを開始する。

 

 

 

『バーネット、シミュレータのリンク完了』

『ジュラもOK。メイア、聞こえる?』

「ああ、聞こえている。…ディータ、どうした? ディータ!」

『! は、はい、すみません!』

 

完了報告がなかったディータにメイアが言及し、やっとディータからの返信があった。その一連の会話の内容を、ヒビキは同じようにシミュレータの中で聞くことになった。

 

「……」

 

腕を組み、人差し指をトントンとやりながら仏頂面でその通信を着ているヒビキ。と、その目の端に何かが止まった。何の気なしに目を向けると、それは以前ディータが作って自分にプレゼントした(押し付けた?)UFO型のお手製マスコットだった。

 

「!」

 

それを取り外して慌てて捨てようとしたヒビキだったが、手にした瞬間に色々と思うところがあったのか少し沈んだ表情になる。と、

 

『準備OKよ』

 

不意に通信が入ってきた。ヒビキが顔を上げると、

 

『こっちはいつでもウエルカムよ♪』

 

というジュラの姿があった。その姿にヒビキはげんなりし、

 

(こいつらはホントに…俺を手軽にパワーアップできるパーツか何かだとしか思ってねえんじゃねえのか…?)

 

と、うんざりするしかなかったのだった。そこに、

 

「各機、指定座標をチェック。急げ」

 

メイアから通信が入る。

 

『ヒビキ、確認』

『バーネット、OK』

「ディータ、どうした?」

『は、はい!』

 

心ここにあらず状態のディータは常に反応が遅れ、それはシミュレータの結果にも如実に表れた。

 

「ディータ、レスポンスが落ちている。集中しろ」

『ごめんなさい…』

「ダメだねありゃ。心ここにあらず、だよ」

 

ガスコーニュの呆れ顔にも、メイアは続けて指示を出す。その一方で、

 

「パイ、チェ~ック」

 

ある意味ディータを更にへこませた張本人であるパイウェイは平常運転だった。ブリーフィングルームがそんな状況の中、ブリッジでは先ほどマグノに名前を上げられたもう一人であるブザムが、これまたメイアと同じように真面目に任務に取り組んで指示を飛ばしていた。

 

「この宙域に、敵はいないのだな?」

「間違いありません」

「では、長距離スキャンをかけてみてくれ」

「はい」

 

アマローネがブザムの命令通りの行動に移る。と、

 

「そう心配しないで。副長もゆっくりなされば?」

 

一人おやつタイムのエズラが、いつも通りのんびりほんわかした雰囲気でブザムに声をかけた。そして、

 

「これ食べます?」

 

と、半分ほど自分が食べたショートケーキをブザムに差し出した。

 

「ふふ、最近、食べても食べてもお腹空いちゃうんです」

「食べすぎですよ、奥さん」

 

今はここにいるピョロがジト目でそんなエズラに突っ込む。そして、

 

「ふぅ…居眠りの次はマタニティハイか…」

 

ブザムもまた、呆れた表情になったのだった。おやつには早いが、時刻は食事時ということもあり食堂…トラぺザ。シミュレータでのシミュレーションを終えたパイロット一同はトラぺザに場を移していた。

 

「ねえあの二人、やっぱりおかしいわ」

「え?」

 

ジュラの指摘に料理が流れてくるコンベアを眺めていたバーネットが首を捻る。そこには、違う席でそれぞれ食事をしているヒビキとディータの姿があった。確かにいつもなら同じ席でディータを鬱陶しそうにしながらヒビキが食事するのだが、今日はヒビキは一人。そして、ディータはメイアと同席していた。

 

「確かに」

 

バーネットが短い感想を述べると、ジュラが、

 

「でしょ、でしょ!? チャンスだと思わない?」

 

と、表情を輝かせた。

 

「ああ…うん…」

「えっへへへ…」

 

戸惑いながら無難な返事をするバーネットに、ジュラは下品な表情になって口を抑えて笑ったのだった。

 

(そこまでこだわることかしら…)

 

その姿に、バーネットが若干引いていたのはご愛敬というものである。と、ヒビキの許に同席者が一人。ドゥエロだ。ドゥエロは一度ヒビキの正面に自分のトレーを置いたが、ややあって斜め向かいに移動した。

 

「? 何だよ、前に座りゃいいじゃねえか」

 

ドゥエロの行動の意味がわからず、ヒビキが首を傾げる。と、

 

「そこはディータの指定席じゃなかったのか?」

 

何の気なしかわざとかはわからないが、ドゥエロがそう指摘したのである。

 

「! んなの、誰が決めたんだよ! ったく…」

 

その言葉を聞いて面白くなさそうに顔を逸らすヒビキに、

 

「カルシウム、摂ったほうがいい」

「でっけえお世話だ」

 

医者の観点からそう忠告したドゥエロに、ヒビキが悪態をつく。そんなヒビキを余所にドゥエロが食事を始めた。ドゥエロがここで食事をしているということは、メジェールの食糧事情、女たちの食べ物を正しく理解したということなのだろう。ここにバートの姿が見えないのは、まだ彼だけは誤解したままなのかもしれないが。

 

「食べないのか?」

 

そんな二人から少し離れたテーブルにて、ディータと同席しているメイアが尋ねる。その指摘通り、ディータは自分の食事に箸をつけていなかった。

 

「ディータ、変わるって決めたんです。今のままだと、宇宙人さんに悪いから…」

 

そう返答するディータ。変わると決めたのはまあいいとして、それが何故食事を摂らないことに繋がるかはわからないのだが。ともあれ、何か思うことがあるのだろう。そうは言うもののやはり気になるのか、自然とヒビキに目を向けるディータ。と、何故かディータを見ていたヒビキと目が合ってしまった。が、目を合わせてしまったヒビキは慌てて視線を逸らすと、再び食事にがっつき始めたのだった。

 

「あ…」

 

その態度に、ディータは悲しそうになるのだった。そして、その様子を見ている者は他にも。

 

(やれやれ…)

 

また違う席で同じように食事をしながら二人の間に流れる微妙な空気にシュバルツも内心で嘆息していた。自分が先ほど感じ、図らずも現実になってしまった危惧に渋面を作っていたのだ。

 

(ままならんものだな)

 

そう思う。とかく人間関係というのは繊細でややこしいものなので仕方ないとも言えるが、それにしてもここまで予想通りとはな…と、シュバルツは再度嘆息せざるを得なかった。と、

 

「なーに難しい顔してんだよ」

「や」

 

不意に声をかけられ顔を上げる。そこには、先日少しやり取りのあったガスコーニュとパルフェの姿があった。

 

「お前たちか」

 

何の気なしに呟いたシュバルツのその一言に、

 

「おや、ご挨拶じゃないか」

「何よ、不満?」

 

ガスコーニュは楽しそうににやりと笑い、パルフェは少しだけ頬を膨らませた。

 

「いや」

「そうかい」

「んじゃ、失礼するね」

 

シュバルツの短い返答を聞いた二人が当然のようにそのまま同じテーブルに腰を下ろす。そして、同じように食事をとり始めた。

 

「で?」

「ん?」

 

ガスコーニュの発言の意味がわからず、シュバルツが首を傾げる。

 

「何だ?」

「どうかしたのかい?」

「何がだ?」

「いや、あんたにしちゃ珍しく、あたしらのことに気付いてなかったようだったからさ」

「そうなんだ。どうかしたの?」

 

首を傾げて尋ねてきたパルフェに、シュバルツがある方向を指差した。二人がその方向に顔を向けると、そこにはぎこちないヒビキとディータの姿があった。

 

「あー…」

 

それだけでシュバルツが何を言いたいのか、ガスコーニュはわかったようだった。

 

「とかく人間関係はままならんものだと思っただけだ」

「まーね」

「仕方ないとは思うけど…」

 

ガスコーニュとパルフェの二人も同意する。

 

「だがな、ガスコーニュ」

 

だが直後、シュバルツの声色が少し鋭くなった。

 

「何だい?」

「お前にもああなった原因の一旦はあるのだぞ」

「あたしが?」

 

自分を指差したガスコーニュに、シュバルツが頷いた。

 

「何やったのよ?」

「さて…?」

 

パルフェに突っ込まれてガスコーニュが顎に手を当てて考えるが、思い当たる節がないのか難しい顔をしている。その様子に、シュバルツがふぅ…と溜め息をついた。

 

「さっきヒビキがブリーフィングルームに入ってきた時に、『痴話喧嘩』と揶揄しただろう」

「ああ…」

 

その一言でようやく理解したガスコーニュがポンと手を叩いた。

 

「あれが面倒な性格の猪なのはわかっているだろうに、あんなことを言えば余計に臍を曲げるに決まっている。そんな人間の人間関係に当事者でない部外者が首を突っ込むと碌なことにならないのは少し考えればわかるだろう」

「いや、確かにそうだね…」

 

面目ないという表情になってガスコーニュがポリポリと頬を掻く。

 

「良かれと思ってやったのかもしれないが、結果はこれだ。無責任な言動は慎むのだな」

「ああ、わかったよ」

「へー…」

 

と、二人のやり取りを見ていたパルフェが珍しそうな声を上げた。

 

「何だよ、パルフェ」

「どうした?」

「いやー、珍しいもん見たと思ってさ」

「は?」

「?」

 

パルフェの指摘の意味がわからず、ガスコーニュとシュバルツが頭上に“?”を浮かべる。

 

「何のことだ」

「いやあ、ガスコがこんな風に諭されるっていうかやり込められることなんてほぼないからさ」

「ほう?」

 

面白そうな表情になり、シュバルツがガスコーニュに視線を向ける。

 

「おいおい、そんな言い方はないだろう?」

「だってホントのことじゃん。素直に忠告に耳を貸すなんて、明日は雪でも振るんじゃないの?」

「…いい度胸してるじゃないか、パルフェ」

 

遠慮会釈のないパルフェの言い様にこめかみをヒク付かせながらガスコーニュが拳を握って骨を鳴らす。なにせガスコーニュはマグノ海賊団の中でもガタイは恵まれている方なので、こうするとえも言われぬ迫力が出るのだ。

 

「わわっ、暴力反対!」

「うるさいよ! 後、ガスコじゃなくってガスコーニュ!」

 

目の前のドタバタにシュバルツは周囲からわからぬほどに軽く微笑んだ。一見凸凹コンビに見えるのだが、どうもこの二人は相性がいいらしい。

 

(あの二人も、ここまでとは言わないがこの半分ぐらいの関係性になってくれればな…。いや、これも余計なお世話というものか…)

 

既にトラぺザを後にしたヒビキとディータに思いを馳せながら、シュバルツは目の前の、それこそ痴話(?)喧嘩をのんびりと眺めたのだった。

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