昏の皇子<KURA NO MIKO>   作:水奈川葵

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第百八十四話 いざ、レーゲンブルトへ!

 ペトラの突然の死から十日が経った頃、思わぬ客がアールリンデンにやって来た。

 

「久しぶりだな、オヅマ」

 

 レオシュと一緒に、ティアのところに食料を持って行く途中で声をかけてきたのは、マッケネンだった。

 

「え…マッケネン…さん……?」

 

 まさか帝都にいるとばかり思っていたマッケネンの登場に、オヅマは驚きを通り越して白昼夢でも見ているのかと思った。ボーッと見上げていると、マッケネンがいきなり頬っぺたをつねってくる。

 

「い……イテテテ、テテッ! 痛ェッ! 痛ってェてのッ!!」

 

 オヅマが情けなくわめくと、マッケネンはカラカラ笑って手を離した。

 

「ハハッ! 驚いた白狸の子みたいな顔するからだ」

「なんだよ、それ……」

 

 オヅマは頬を撫でさすっていたが、ハッと横から自分を見るレオシュに気付くと、すぐに手を下ろした。

 

「あ、レオシュ。この人、俺と同じレーゲンブルトの騎士だよ。優しい顔してっけど、けっこう言いたいこと言うし、稽古に関しちゃ鬼みたいな人だ」

「お前に言いたいこと言うとか言われたくないんだけどな……レオシュっていうのか。オヅマが世話になってるみたいだな。よろしくな」

 

 マッケネンが朗らかに声をかけると、レオシュは戸惑いつつもペコリと頭を下げた。固くなるレオシュを見て、オヅマがククッと笑う。

 

「緊張しちゃってるよ、コイツ」

「う、うるさいな」

 

 レオシュは少し頬を赤らめたが、マッケネンの前であるので、すぐに口を噤んだ。

 本来ならば、自分のような身分の人間が、オヅマという貴族の息子相手に対等の口をきくなんてことはあり得ない。下手をすれば、貴族への侮辱罪で問答無用で牢屋に叩き込まれてもおかしくないのだ。

 だがもちろん、マッケネンがレオシュの口の利き方を(とが)めることはなかった。むしろ、負けん気の強い、やや意地っ張りの弟分と友達になってくれていることが、有難いくらいだ。

 

「お前たち、どこかに行くのか?」

 

 マッケネンの問いに、オヅマは少しだけ目を泳がせた。

 

「あーあの……まぁ、ちょっと。マッケネンさんは? どうしてまた今頃……もしかして、もう帰ってきたのか?」

「まさか。今回は、ちょっと……まぁ護衛と説明係みたいなもんだ」

「護衛? 説明係?」

 

 マッケネンはそれ以上は言わず、チラとレオシュを見た。

 

「すまないが、ちょっとオヅマに用があるんだ。いいか?」

 

 レオシュは素直に頷くと、オヅマに言った。

 

「ティアに持ってくだけだから、俺一人でも大丈夫だ」

「あ……うん。じゃあ、頼まぁ」

「おう。じゃあな」

 

 レオシュは邪魔をしないようにと、さっさと走っていった。

 マッケネンが去って行くレオシュを見ながら、オヅマに問いかける。

 

「あの子……孤児だろ?」

「えっ? そうだけど……」

「やっぱりな」

「なんでわかったんだ?」

「なんとなく…な。俺も親を亡くして、一時的に孤児院にいたことがあるから……わかるんだ。あの目……」

 

 マッケネンは言いかけて、ゆっくりと口を閉じる。雑踏に去ったレオシュを見送って、くるりとオヅマに向き直った。

 

「悪いが、ちょっとついてきてもらっていいか? そう遠くない」

「あぁ。もちろん」

 

 オヅマは即答して、マッケネンの後に従った。

 中心街からは少し離れた、小さな宿屋の二階。そこでオヅマを待っていたのは、キャレによく似たルビー色の髪の娘と、ルーカスの妹であるハンネ・ベントソンだった。

 

 

***

 

 

「……ん?」

 

 オヅマが部屋に入ったとき、椅子に座っている二人の令嬢のうち、一人についてはすぐにわかった。公爵邸内にあるルーカスの私室を訪ねたときに、何度か会ったことがあり、ルーカスからも「妹だ」と紹介されていたからだ。

 

「久しぶりね、オヅマ。また大きくなったんじゃない?」

 

 ハンネは相変わらずだった。いつも会うたびに同じことを言っては、オヅマの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「やめろって。なんで? なんで、ハンネさんがここに?」

「私は、まぁ一応、付き添いよ。名分としては」

「名分?」

 

 オヅマは聞き返しながら、ハンネの隣に座っている赤い髪の令嬢を見やる。

 ニンマリとハンネが笑った。

 

「どうしたのー? オヅマ」

「あ、いや……なんか知り合いに似てて」

「あらー? どの知り合い?」

「近侍のキャレ・オルグレンっていう……」

 

 途端にパチパチとハンネが拍手する。

 オヅマはきょとんとして、ハンネとそこに座ったルビー色の髪の娘を交互に見た。

 

「え? なに? え……まさか」

「そのまさかよ。はい、じゃ一応ご挨拶しましょうか。カーリン」

 

 ハンネが声をかけると、カーリンはおずおずと立ち上がって、どこか決まり悪そうに自己紹介をした。

 

「その……お久しぶりです。オヅマ……公子。私は、あの……カーリン・オルグレンです」

「カーリン?」

「ごめんなさい!」

 

 カーリンはいきなり叫ぶように謝って、深々と頭を下げてくる。

 オヅマは狐につままれたように、ボケっとなった。

 ハンネが扉脇に立って様子を見ていたマッケネンに声をかける。

 

「どうやら説明が必要なようよ、説明係さん」

「承知しました。さ、そろそろいいか? オヅマ」

 

 マッケネンに声をかけられ、オヅマは困惑した。

 

「どういうことなんだよ?」

「だから、それを今から説明するんだ。ま、ともかく座ろうか。ハンネ嬢とカーリン嬢も」

 

 マッケネンはオヅマの肩を押すようにして椅子に座らせると、ここに来た経緯を話し始めた。

 すべてを聞き終わったとき、オヅマはしばらく自分の中で、この異常事態を反芻した。つまりは女のカーリンが男のキャレだと偽っていた……ということだ。

 ムゥと眉間に皺を寄せて腕を組み、ジロリとカーリンを睨みつける。

 

「…………で、お前、今まで騙してたわけ? 俺らを?」

「……すみません」

 

 カーリンは座ったまま、また頭を下げ、もう一度言った。「本当に、すみません」

 

 オヅマはじーっとカーリンを見てから、ブハッと吹き出した。大声で笑い始めると、自分でもなかなか止められない。

 

「マジかよ! やってくれてんな! あーっ、そうか。そうだよなー。お前、ほんっとに力ないし、走るのも遅いし、いーっつもなんかビクビクしてたもんなーっ」

 

 あっけらかんとしたオヅマの態度に、戸惑ったのはカーリンだった。

 

「あ、あの……オヅマ公子、怒ってないのですか?」

「怒る? んー……こりゃ、怒るっていう問題じゃねぇな。どっちかっつーと、一杯食わされたというか、まんまと騙されたというか……ま、どっちみちお前、バレちゃったんだろ? あ、そうだ。アドルは? アイツ、どんな顔してた?」

 

 アドリアンのことを聞かれて、カーリンは途端にうつむいた。

 ひどく暗い表情を見て、オヅマは首をかしげる。

 ややあって、カーリンがポツリとつぶやいた。

 

「小公爵様は……怒っておられました」

「あー……」

 

 オヅマは前髪をかき上げて、ポリポリ掻いた。

 なんとなく想像がついた。

 アドリアンは優しいのだが、あれでやっぱり大貴族のお坊ちゃんなので、めっぽうプライドが高い。特に自分を馬鹿にされることには、ひどく矜持(きょうじ)が傷つくようだ。

 オヅマは泣きそうになりながら、スカートをギュッと掴んでいるカーリンを見て、軽く肩をすくめた。

 

「ま、仕方ないよな。お前が悪いし。色々事情はあるんだろうけど。正直に打ち明ければ、アドルはちゃんと考えてくれたさ。だいたいお前には甘かったろ? お前が実家であんまりいい待遇じゃないからって、気にかけてたみたいだし」

「……はい」

「先にお前がアドルを信じなかったんだから、今、アドルがお前のことを信じられなくなっても仕方ない。しばらくはあきらめとけ」

 

 あっさりとオヅマが言うと、ハンネが優しくカーリンの背をなでた。

 

「そうよ。カーリン。一生、許してくれないと決まったわけではないわ。いずれ小公爵様も、あなたの気持ちをわかってくれるわよ」

 

 カーリンはスンと(はな)をすすってから、プルプルと首を振った。

 

「私なんて……許されなくて当然です」

「あーっ! そういうの、やめろって。見てるこっちが陰気になる」

 

 オヅマが面倒そうに言うと、マッケネンがコツリと頭を叩いた。

 

「言い過ぎだぞ、お嬢様なんだからな、カーリン嬢は。もう『近侍のキャレ』じゃない」

「へぇへぇ。で、このままレーゲンブルトに行くってこと?」

 

 オヅマはメソメソするカーリンが鬱陶しくて、マッケネンへと向き直る。マッケネンは神妙な顔になって頷いた。

 

「あぁ。ともかくはオルグレン家から離す必要があるということだ。その間にベントソン卿が手立てを考えてくれるだろう」

「ふぅん。いいねぇ。俺もしばらくぶりに帰りたいや」

「うん? お前も行くんだぞ」

「は?」

「言わなかったか? 今回、カーリン嬢をレーゲンブルトに連れて行くにあたって、お前も一緒に行って、ミーナ殿をはじめとするご領主様一家に紹介してもらうことになってる」

「いやいやいや。さっきの説明、そこ抜かしてますけど!」

「あ、悪い。なんかもうお前の顔見たら、行くもんだと思って」

 

 とぼけた顔のマッケネンを睨みつけてから、オヅマは思案した。

 

 ティアのことはジェイに頼んでいるとはいえ、さすがにアールリンデンからオヅマがいなくなると、心細い思いをすることになるだろう。

 あの日和見主義の役人(サルシム)は、どうも信用できない。

 ペトラの葬式からこのかた、一度もティアの住む館に姿を見せたことがないし、役所を訪ねても忙しげに対応して、まともに話も聞かない。一度、オヅマがちゃんとルンビックに報告したのか確認すると、ひどく怒って、それからはオヅマが訪ねても、姿を見せないようになった。

 あからさまに避けている。どうも怪しい。

 

 サルシムだけのことではない。

 元々、ティアの母親はハヴェルの実母に利用されていたのだから、その死を知った『女狐(めぎつね)』とやらが、今度はティアを利用しようと企むかもしれない。

 エラルドジェイは強盗や人攫(ひとさら)いからはティアを守ってくれるだろうが、貴族相手の交渉事は不向きだ。それにもうすぐ仕事で遠方に行くと言っていたし……。

 

「なんだ? 難しい顔して」

 

 マッケネンが問うてきて、オヅマはジロリと見上げた。

 

「レーゲンブルトに行くときに、友達を一人連れて行く」

「友達?」

「あぁ。別にいいだろ。自分の家に友達を連れて行くぐらい」

「それはまぁ……いいと思うが。なんだ? さっきの子か?」

「レオシュは違う。女の子だ」

「はあぁぁ?」

 

 マッケネンは思わず大声で聞き返し、ハンネは「まぁ!」と面白そうに手を打つ。カーリンは呆気にとられたようにオヅマを見た。

 

「なに、なに? オヅマのガールフレンド?」

 

 ウキウキしたように尋ねてくるハンネに、オヅマは軽く眉を寄せた。

 

「そーいうことじゃないから。最近、母親が死んで一人ぼっちなんだよ。どうせだったら、一緒に行けばいいだろ。マリーと年も近いし」

「あらー! いいじゃないのー。ねぇ、カーリン。マリー嬢と、その子と、三人で遊べるわよ」

 

 ハンネに言われても、カーリンは戸惑うだけだった。

 こうして女に戻って、レーゲンブルトという未知の土地に行くことも不安だらけなのに、その先で遊ぶなんて悠長なことはとても考えられない。

 

 

 さて、そこから馬車の点検・修理とあれやこれやの準備に二日を経て、レーゲンブルトへ向かうカーリンらの前に、オヅマが(くだん)の女の子を連れて現れた。

 おそらくお下がりであろう、子供にはやや大きめのボンネットを被り、女の子は不安そうにオヅマの斜め後ろに立っている。左手には小さな鞄を持ち、右手はしっかりとオヅマの手を掴んでいた。

 ボンネットから長く垂れた髪が、ふわりと風に揺れるのを見た途端、ハンネが駆け寄って声を上げた。

 

「あらぁ、可愛い子! 鴇色(ときいろ)の髪なんて、リーディエ様と同じだわ。お嬢ちゃん、お名前は?」

「あ……あ、あの……」

 

 戸惑ってオヅマの背に隠れようとする女の子に、オヅマがやさしく声をかけた。

 

「一応、旅の道連れだからな。ちゃんと挨拶しろよ」

「うわー、やさしーのー」

 

 ハンネがからかうと、オヅマはムッとしたように女の子を前へと(うなが)し、手を離した。

 女の子はおずおずとハンネらの前に立つと、ギュッと胸元のリボンを握りしめ、はっきりと名乗った。

 

「サラ=クリスティア・アベニウスです」

「サラ=クリスティア……アベニウス?」

 

 聞き返してハンネは首をひねる。「なんか、どこかで聞いた気がするんだけど……」

 

 いち早く、少女の正体に思い至ったのはマッケネンだった。まじまじとティアを見た後、ゆっくりと顔を強張らせながらオヅマに尋ねた。

 

「お、お前……まさかと思うが、その子……」

「あぁ。アドルの妹だよ。母親は違うみたいだけど」

 

 ハンネはあっと息を呑み、マッケネンは天を仰いだ。少し離れた場所から見ていたカーリンもあんぐりと口を開ける。

 

「おい……おいおい……ちょっと待て。ちょっと待て」

 

 マッケネンは眩暈(めまい)がしそうになって、(ひたい)を押さえる。やや乱暴にオヅマの肩を掴むと、無理矢理ティアに背を向け、小声でわめき立てた。

 

「おい! どういうつもりだ?! こんな……なんだって、お前がアベニウスの娘と知り合いなんだ!?」

「まぁ、そこは追々話すからさ。とりあえず出発しようよ。早くしないと朝市の荷車で混むぜ」

「そういうわけにいくか。家令殿の許可は? もしかしてベントソン卿からの指示とか、そういうことか?」

「違うけど、大丈夫だろ。どうせこれまで放ったらかしてたんだし」

 

 オヅマがムッとしたようにつぶやくと、マッケネンはハーッと息を吐いてから諭した。

 

「お前な……アベニウス夫人は罪人なんだぞ……」

「知ってるよ。でも、あのおばさんなら、もう死んじまったし。ティアに罪はない。だろ?」

「……そうは言っても」

「責任者みたいなオッサンがいるにはいるけど、アテにならないんだよ。たった一人の身寄り亡くしてティアは一人っきりだってのに、指示がないと動けないとかなんとか言ってさー。様子も見に来やしねぇ。心配しなくても、一応手紙書いて、ルンビックの爺さんに届けてくれるように頼んである。まぁ、事後承諾になっちまうけど……仕方ないだろ」

「うーん……」

 

 マッケネンはうなりながら、背後で不安げに佇んでいる少女を見た。

 フワリとゆるやかにうねる薄いピンクの髪に、かつて一度だけ見たことのある公爵夫人の肖像画が思い浮かぶ。だが今、オヅマを見つめるその瞳は、父や兄と同じ(とび)色であった。紛れもないグレヴィリウスの血が、目の前の少女にも受け継がれている。

 

 結局、マッケネンはオヅマの選択に同意した。

 まるでたった一つの頼みの綱であるかのように、少女はオヅマを見つめている。この二人を引き離すのは、さすがに酷だ。オヅマも残してはいけないと考えたからこそ、連れて行くと決めたのだろう。

 

 マッケネンの了承を得ると、オヅマはカーリンにもティアを紹介した。

 

「おう、キャレ。じゃないな、えーとカーリンだったっけ? この子、アドルの妹な」

「あ……はぁ……」

 

 カーリンは曖昧に返事した。何を言えばいいのか、わからなかった。 

 目の前でおずおずと自己紹介するティアを呆然と見つめる。

 前に一度だけアドリアンが言っていた「会ったことのない妹」。

 公爵邸から母子共に追放されたとはいえ、歴とした公爵家の姫君である。ようやくそのことに気付くと、カーリンはあわてて頭を下げた。

 

「いえ、あの私は……そんな頭を下げられるような、そんな……そんな人間じゃないですから」

 

 カーリンは畏れ多くて、ひたすら恐縮したが、ティアは初めて会ったカーリンの事情など知らない。小首をかしげるティアに、オヅマがまた屈託なくカーリンの紹介をする。

 

「あ、ティア。こいつ……って言ったら駄目なんだった。えーと、なんだ……この…子は、カーリン・オルグレン。元々はキャレって名前で、俺と同じ近侍だったんだけどさ、女だってのがバレて、大目玉くらって追い出されたんだと」

「……え……あ、は、はい」

 

 ティアは一応返事したものの、オヅマがさらりと語った内容が突飛すぎて、すぐに頭に入ってこなかった。

 背後でマッケネンが大きなため息をついた一方で、大笑いしたのはハンネ・ベントソンだった。

 

「まぁまぁ、まったく。オヅマにかかったら、お家の一大事も巷談(こうだん)弁士(べんし)辻話(つじばなし)になってしまうわね」

 

 巷談弁士というのは、最近になって帝都に現れ始めた辻芸人の一種だ。

 名前通り、ちまたで噂となった事件や、時には貴族間の権力闘争まで面白おかしく、巧みな(たと)えを交えて人々の前で披露する。

 今までにもこうした風聞を詩に混ぜて各地を歌い歩く吟遊詩人などはいたが、彼らの多くが悲劇的で、叙情味あふれるものであるのに対し、巷談弁士の語りは軽妙、滑稽味がウリとされた。

 というのは……さておき。

 

「ねぇ、カーリン嬢。深刻に考えるのが馬鹿らしくなってこない?」

 

 ハンネはずっと暗い顔のままのカーリンに声をかける。

 カーリンはそれでもそう簡単に切り替えることなどできなかったが、あまりにもカラリと受け流すオヅマの態度に救われたのは間違いなかった。ようやく少しだけ笑みを浮かべ、チラリとティアを見る。

 ティアもまたオヅマの明るさに救われているのであろう。ニコニコと笑っていた。その笑顔にアドリアンの面影を見出(みいだ)して、カーリンはティアに少しだけ親近感が湧いた。

 

 少女二人に笑顔が戻ると、ハンネはまとめるようにパンパンと手を打った。

 

「さぁさ。尽きないおしゃべりは馬車の中でするとして。とりあえず出発しましょう。いざ、レーゲンブルトへ!」

 

 




次回は2024.03.31.更新予定です。
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