「サンブレイクの次」をイメージしたけど書くより公式で出るのが早そうなモンハン二次のネタ   作:いもむしの熊

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フロンティアシリーズはメゼポルタが頓挫、
クロスシリーズは狩技やモンスターの生息地を史実ではないとし、カムラ生まれのハンター(RISEハンターではなく、それ以前の)が龍歴院で四天王やらバルファルクやらを色々やったことになってます。旧大陸最強が4ハンター、新大陸最強が青い星です。


一話だったもの

西竜洋の空は未踏であった。

そもそも飛空船の歴史は日が浅い。数年前、龍歴院が秘境の出身とも噂される奇っ怪なハンターを伴って遺群嶺に到達したことは記憶にまだ新しい。ノウハウの…決して貧弱な訳では無かったが、この航海においては…乏しい中で、未知の西竜洋の空を行くためには導べが必要だった。水上を行く船である。かつてこの空を行くのと同じく、古龍の導き無しに向かうことは叶わなかった新大陸への航路は、ゾラ・マグダラオス撃退戦に際し開かれたとされる。

地上に引かれた、眩鳥の発光膜の下で一際輝く大雷光虫の光跡を辿りながら、天上でそれに負けず煌々と輝く星を記録し…

 

「西に進路を取りはや…」

 

日が落ちた暗闇の空を切る飛空船の甲板の上で、日誌を書き留める少女が居た。銀色の三つ編みが風に揺れる。傍らに焦げ茶色の毛並みをしたガルクが寄ってくる。

 

「あら、セム」

 

下顎に手を添え撫でると、クルルと鳴いた。燭台の光で日誌を読み返す。

 

「タンジアを出てもうそんなに経つのね」

 

少女は道程を一つ一つ辿っていく。ロックラック付近の中でも西部地域に生まれた少女は、幼い頃からモンスターの探究に没頭し、若くしてメルチッタ留学の切符を手にした。そこで新大陸に向かわんとする五期団の一団の出発に立ち会った彼女は、いつの日か編纂者として新大陸へ渡ることを夢見た。

 

「ひぃ~~~っく!外は冷えるぞぉ~カイニアぁ」

 

背後から無茶苦茶な千鳥足で迫る足音。カイニアは端正な顔を不快感で歪ませる。

 

「うーわ。酔っ払い」

 

「んだよこっちは兄貴らしく心配してんだぜぇ~」

 

「兄さんの血色が悪かったら兄さんを見た私の気色も悪くなります。顔でも洗ってきてください」

 

カイニアは泥酔したハンターを追い返そうと手を払う。どうしてこうもと後悔が募るも、兄…アベリオが彼女とコンビを組むハンターとなることは、本来現大陸でキャリアを約束された彼女に親戚筋が要求した必須条件だった。思えば留学にもアベリオはついてきていた。勿論アベリオはハンターとして現地で相当な働きをし、おかげでカイニアは研究に没頭できた。ただ、アベリオがカイニアの為すことにあれこれ口を挟む家族の象徴となり、しばしば反抗の対象となることは避けられなかった。それを差し引いても泥酔されるのはカイニアも勘弁願うが。

その時、突然緊急事態を知らせる警鐘が鳴らされた。

 

「アベリオさん!左舷後方方向からなにか来て…うおっ!」

 

強風に煽られて、乗組員はよろめいた。カイニアは近づく何かを捉えんと左舷のあちこちに目まぐるしく視線を動かす。

 

「…あれは…翼竜?こんな大きい個体が居たの!?」

 

闇夜の広がる空に目を凝らすと、その浮かび上がったシルエットにカイニアはたじろぐ。

 

「ンン!下がれカイニア!」

 

カイニアの視界がグラリと揺らいだ。アベリオがカイニアを屋内へ引き込んだらしい。代わりにアベリオが甲板の中央に躍り出る。

 

「兄さん!?」

 

つい先程の酔いがどこかに行ってしまったのかアベリオは冷静であった。しかし同時にアベリオは翼竜としては尋常ではない大きさをもつこのモンスターに、何か特有の予感を感じ取り警戒していた。その羽撃きの挙動は不審であり、咆哮はしゃがれ、苦しみを湛えていた。

 

間髪入れず、空の弾丸がアベリオを襲う。気体がアベリオの身体に衝撃波を与えた時妙にまとわりつく。それはアベリオの記憶から水属性ブレスの感覚を想起させた。だがアベリオが見たものはもっと強烈なものだった。

仄かに光る暗い、生物のようで非生物的な、古龍の幼体の末端。

 

「下がれ!狂竜症だ!!!!!」

 

甲板に未だ残る気鋭の学者たちに叫ぶアベリオの脳裏に、故郷の惨劇が浮かぶ。シャガルマガラの廻りの末端に位置した兄妹の村をかつて襲った狂竜症の流行、守れなかった村民、そしてハンターであった父の死が駆け巡る。まだ3つの、傷を負わずとも夢を抱けた妹と異なり、兄にはその体験が深く突き刺さっていた。

アベリオは腰に差し込んだ二つの石のうち、ざらついた砥石ではなく、使用形跡の無い石を取り出し刃に擦り下ろす。

 

(追っ払うだけだ!一気に行く!)

 

アベリオの腕に取り付けられたスリンガーからクラッチクローが射出される。「空色の光」を握りこんだクローは大翼竜の顔面に突き刺さる。アベリオはロープを巻き一気に接近した瞬間、双剣を抜刀し頭部、頸部を切り裂く。同時にロープの回収機構を停止、拘束もなく勢いのままに伸びるロープに合わせ、背と羽の根、尾へと斬り進む。病める大翼竜は堪らず頭を振り切り、クラッチクローを払う。アベリオはロープを再び巻き戻す。しかしクラッチクローは旧来同様力無く垂れることなく、払われたその勢いを殺し空中に静止する。鉄蟲糸ではなくクラッチクローを背負う「翔蟲」の機動力は健在であった。

 

大翼竜はその場で追跡を緩め、船から離れ、そのうち旋回する。

 

「やったか!?」

 

船内の人員たちがおっかなびっくりに外を覗く。

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