暁美ほむらの能力(上位互換)でまどマギ転生   作:〆鯖缶太郎

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 何か新章が始まりそうな雰囲気を感じるかもしれませんが、続きは一切ないです。
 取り敢えず書いたものを不法投棄しただけ。


その後

「私……ここで死ぬんだ……」

 

 魔法少女。

 その存在に憧れていた時期が私にはあった。

 でもそれは、あくまでもテレビの中の世界。女の子がひょんなことから魔法少女となり、仲間を増やし、時に強敵と戦いながら、最後にはハッピーエンドで終わる子供向けのアニメ。

 だが、現実はどうだろうか?

 

 ――僕と契約して、魔法少女になってよ!

 

 全ての始まり。突如として現れたキュゥべえという未知の存在。

 なんでも一つ願いを叶えてあげるという虫が良すぎる話に一切の疑問を持つことなく、私は契約した。

 我ながらバカだと思う。

 別に不自由な生活をしていたわけではなかった。ただただ普通に、何でもない暮らしを謳歌していたのだ。それ以上を求める必要など、何一つとしてなかったのに。

 

「ほんと……何してんだよ。あの時の私」

 

 魔女。

 キュゥべえと契約し、魔法少女となった私は、その存在と戦う日々を強いられた。

 契約と同時に手に入れたソウルジェム。魔法を使わずとも日に日に穢れていくそれを浄化するために、魔女を倒した時に落とすグリーフシードが必要だった。

 初めて魔女と戦った時のことは、今でも覚えている。

 人生で初めて、死の恐怖を味わった。

 そして今――私はその死を受け入れようとしている。

 

「でもやっぱり、死にたくないよ……」

 

 魔力の消費と負の感情によって、ソウルジェムが穢れていくのを感じる。

 必死に強がって、奮い立たせようとしているのに、どうやら私の心は完全に折れてしまったようだ。

 立ち上がる気力すら湧いてこない。もう魔女がそこまで迫っているのに、ただ無防備に己の身を晒すことしかできない。

 そしていよいよ、魔女の攻撃によって死を直感した瞬間。

 

 目の前に――見知らぬ魔法少女が立っていた。

 彼女の背後では、数瞬前まで私を殺そうとしていた魔女が悲鳴を上げ、四肢と胴体を切断されて消えていく。

 

「あなたは……?」

 

 すると彼女は、私のソウルジェムに何の躊躇(ためら)いもなくグリーフシードを押し当てた。

 魔女と命がけで戦って手に入れることのできる報酬。それを平然と他人のために使うなど、普通ではない。

 それは魔法少女として生きていく中で、最初に実感したことだった。

 魔法少女の世界は弱肉強食。

 それぞれが縄張りを持って魔女を狩り、弱い者は死を待つことしかできない。

 中には徒党を組む者もいるらしいが、少なくとも私の地域でそれはなかった。

 

 私のソウルジェムの穢れが完全になくなった事を彼女は見届けると、(おもむろ)に一枚の紙を渡してくる。

 その紙を私が受け取ると、いつの間にか彼女はいなくなっていた。

 

 

 

〆〆〆〆〆

 

 

 

「……ここ、だよね?」

 

 紙に記されていた住所。

 その家の前まで辿り着き、私は恐る恐るインターホンを押す。

 しばらくすると、元気の良いハキハキとした女の子の声が返ってきた。

 

『はーい! どちら様ですか?』

「えっと、あの。名前は分からないんですけど、魔法少女の人に紹介されてここに……」

『りょーかいです! ドアは開けたから、入ってきていいよー』

 

 言葉の通りガチャリと音がなり、軽やかにドアが開いた。

 中を覗くと、家の外観からは考えられないほど広々とした玄関。足元や靴箱には、多くの靴が並べられている。

 そのどれもが普段から使用された形跡があり、大小バラバラではあるが、女の子向けのものが多かった。

 

「やーやーやー。いらっしゃい。取り敢えず、上がっちゃって」

 

 自分よりも遥かに幼い少女が迎えてくれる。

 声からして、先ほど対応してくれた子だろう。

 

「あの……ここは?」

 

 率直に思った疑問が出る。

 私の言葉にその子は口元に指をあて、少し考えた素振りを見せた後、笑顔で答えた。

 

「んー。人によって呼び方は色々あるけどー。私はやっぱ『憩いの場』だね!」

 

 この家には二つルールがあるらしい。

 

 一つ目は自己紹介をしないし名前も呼び合わないこと。

 これは単純にこの家を利用する人が多すぎて、やっていたら切りがないし覚えられないのだとか。加えてここを使うのは全員が魔法少女のようだ。

 あの靴の量で全員が魔法少女だと、グリーフシードの取り合いなど大丈夫なのだろうか?

 

 そして二つ目のルールが、この家の存在を公にしないこと。しかもこのような家が他にもあるらしい。

 もし公にしてしまったら、あの方の面倒ごとが増えてしまうと言われた。

 あの方とは誰だろうか?

 

「グリーフシードに関しては問題ないよー。元々この家を利用してるのは、魔女と戦う力がなかったり、戦うのが苦手な魔法少女が多いからね。そういう人のために設計されてるの。あの方っていうのはーあの方だよー。ほら、あなたも助けてもらっただろう人」

「その……あの方? も、名前は出せないの?」

「いやー? まっ、どーせ誰かが言うだろうし、先に言っちゃうか。有名っちゃ有名な人だしね。何だったら、あなたも聞いたことぐらいあるんじゃないかな?」

 

 少女はそう勿体ぶりながら前置きすると、ようやく名前を口にする。

 

「星風しおり」

 

 私は、その名前を知っていた。

 日本に住む魔法少女であれば、余程の新参でもない限り一度は聞いたことがある名前。

 

 曰く――世界最強の魔法少女。

 

 あの見滝原市に浮かぶ最悪の魔女、舞台装置の魔女(ワルプルギスの夜)を彼女一人で封印したというのはあまりにも有名な話だ。

 そして彼女自身はワルプルギスの夜を倒すことを目的としているらしいが、その計画は未だ立っていない。

 というのも、それは現在の見滝原市を見てみれば当然とも言える。

 

 まず彼女はワルプルギスの夜を封印した後、見滝原市に住む全市民を避難させた。

 一体どのようにして市民全員の賛同を得たかは定かではないが、事実それが行われたのは確かだ。

 そして次に、空いた居住区に魔法少女を集めた。

 それほどの魔法少女を賄えるグリーフシードがあるわけがないと、普通は考える。

 しかし見滝原市の上空に浮かぶワルプルギスの夜。その存在から漏れ出る瘴気によって、見滝原市には大量の魔女が発生していたのだ。

 しかもその負のエネルギーはとてつもなく、使い魔が人を触媒とせずとも魔女に成長できるほどに。故に魔女を倒せばグリーフシードが複数落ちることも珍しくないのだとか。

 当然魔女は他と比べても強いことが多い。

 けれども狩場の争いをすることもなく、継続的に魔女を狩れるということもあって、日本中……いや、世界中から腕に覚えがある魔法少女が集まったのだ。

 その魔法少女たちは徒党を組み、見滝原市はいつしか独自の法と秩序が形成され、魔法少女都市となった。

 世界で最も死が間近にありながら、魔法少女にとって最も安全な場所。そう呼ばれるほどに。

 

 彼女らを集めた星風しおりの狙いは、その集まった魔法少女と協力し、一斉砲撃でワルプルギスの夜を討伐することにあった。

 だが、集まった魔法少女の多くはワルプルギスの夜を倒すことに否定的だ。

 何故なら今彼女らが生活できているのは、ワルプルギスの夜がいるから。もし仮に討伐してしまえば、魔女の湧きも収まるだろう。

 そうなれば当然、そこに住む魔法少女が行き場を失うことになる。

 魔法少女同士で争いが起こるのは目に見えていた。

 そのような理由から今に至るまで、ワルプルギスの夜は上空に浮かび続けている。

 

 私も一度だけ、興味本位で見滝原市に行ったことがある。

 果たして、最悪の魔女と恐れられるワルプルギスの夜がどんなものであるのかと。

 たった一人の魔法少女に封印され続けているのだ。だから噂ほど大したことはないだろう。

 

 そして、思い知らされた。

 あれは私の敵う相手ではない。大丈夫だと分かっている。殺されることはないと分かっている。それでも、本能が言っていた。今すぐ逃げなければ死ぬと。

 そう錯覚してしまうほどの魔女を、星風しおりはたった一人で封印している。

 そして、そんな環境で魔女狩りをできる魔法少女がここには集まっているという事実。

 私は未だに、信じることができないでいた。

 




 続きは本当にないです。
 本編から何年も経った後の世界の話とだけ言っておきます。
 どういった世界観なのかは読者様の想像にお任せします。

 ではまた、どこかでお会いしましょう。
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