・さやか登場
・トランプマジック
・先生は報われない
「魔法少女さやかちゃんの登場だよー!」
「わー。さやかちゃん可愛い」
そう言ってノリノリで教室のドアから出てきたのは、魔法少女を模した衣服を身にまとったさやかだ。
幼稚園のお遊戯会で使うにしては、かなりクオリティが高い。
そして同じく魔法少女っぽい衣服を身にまとったのは、この世界の主人公であるまどかだ。
まどかはピンク、さやかは水色を基調としており、彼女らの魔法少女の姿を知っている私からすればイメージにピッタリと当てはまっている。
そして何を隠そう、今回のお遊戯会の主役である魔法少女役に私も選ばれた。いや、選ばれてしまったのだが……。
「しおりちゃんも可愛い」
「うんうん。似合ってる似合ってる」
何でほむほむの衣装なんですかねぇ!
いや、確かに私の能力はほむほむと被ってるし、何なら上位互換と言っても差し支えないよ?
だからって魔法少女の服装まで被せたら、もうほむほむの立つ瀬がないよ! あんまりやりすぎたら絶望して魔女になっちゃうよ!
しかも何この台本!?
――まどかとさやか、二人のピンチに謎の魔法少女しおりが何もない空間から突如として現れる。
何もない空間ってなに!?
もしかして私の時を操る能力、バレちゃったの!?
いや、さすがに言葉のあやだよね? そう言った演出的な何かがあるんだよね? もしかして、この世界では人の転送ができたりするの?
教えて先生!
「大丈夫。しおりちゃんなら何だってできるわ」
さすがの私にも限度があるよ!!
いや、確かにできるけどできないよ!
ダメだ、先生はもう完全に諦めた顔をしている。
確かにあれからも先生が突っかかってくるから、マジックですと言い張って能力を使って色々やってきたけども!
他の子の親とかもくるし、お遊戯会を潰すわけにもいかないし……。
まっ、まぁ……さすがに大丈夫、大丈夫だよね?
これから練習もしなきゃだし、その過程でこの台本がおかしいって皆気付いてくれるよね?
「それじゃあ次は、まどかちゃんとさやかちゃんが敵にやられて、しおりちゃんが何もない空間から突如として現れるまで。3・2・1」
「大丈夫、さやかちゃん?」
「まどか……私たちの力じゃ、もう……」
そして私はダッシュでステージ裏から躍り出る。
よし、これで――。
「えっ。しおりちゃん、何で走ってきたの?」
お遊戯会本番。
外部からの光が一切遮断された会場。そのステージの上で、ピンチに陥った二人の魔法少女の姿があった。
「大丈夫、さやかちゃん?」
「まどか……私たちの力じゃ、もう……」
ライトが消え、突如として暗転する会場。
一秒にも満たないその瞬間、一メートル先すら見えない景色が晴れた時、三人目の魔法少女はステージに立っていた。
――