・お遊戯会
・何もない空間
・瞬間移動マジック
いよいよ卒園の日がやってきた。
最初は精神的に苦痛に感じる事もあるかもと不安に思っていたがそれもなく、存外に楽しめた。
何よりも、まどマギの主要人物であるまどかとさやかに出会えたのが大きかったのだろう。
色々とあったが、今では大の仲良しだ。
……いや、思い返せば本当に色々とあったな。
下の園児達は私との別れを惜しみ、泣きながら「必ず星風しおりの名を後世に語り継いでいきます」と言ってきた。
普通に止めて欲しいんだが?
それと《星風しおり伝説》って何だよ。
『運動会当日、ピストルの音と共に中央レーンを歩き出した星風しおりはしかし、一着でゴールした。彼女の背後にはまるで、女帝に付き従う主君のように堂々と歩く四人の園児達の姿があった』
事実なんだが?
いやね。私が普通に走ったら速すぎるから、出遅れて後ろに付いていこうと思ったの。
そしたら皆スタートせずに私だけ前に踏み出しちゃったから、何かもう収拾がつかなくなったよね、うん。
因みに両親には一着になったことを褒められました。ちょっと親バカが過ぎるんじゃないかな?
他にも色々と伝説なるものがあるが、そのどれもが事実だったりやろうと思えばやれることばかりだった。
「しおりちゃーん」
「しおりー」
下の園児達に
私が特に仲良くしていた影響か、今では三人の邪魔をしてはならないという謎のルールにより、周囲から一瞬で人の気配が消える。
視線を戻せば、いつの間にか園児達はいなくなっていた。
「小学校でも同じクラスになれるといいね」
「だねー」
二人の適応力も中々のものだ。いや、まだ常識を知らないからこそ受け入れられたのか?
会話に適当に相槌を打っていると、何かと関りの深い先生もやってきた。
「三人とも、卒園おめでとう。特にしおりちゃん。あなたにはいつも驚かされてばかりだったわ。将来は間違いなく、世界一のマジシャンね」
うん、先生には本当に申し訳ないと思っている。
でも少なからず先生にも非はあるからね?
「ごめんなさい。“将来は”じゃなくて、あなたはもう世界一のマジシャンよ。自信を持って」
いや、別にそこには怒ってないんだけど、もう面倒だしそれでいいや。
「そうだ。しおりちゃん、ちょっとこっちに来て」
そう言って先生に連れてこられたのは、誰もいない教室だった。
ガラガラとドアを閉め、私と向かい合う先生。
もしや何か良からぬ事を企んでいるかと思ったその瞬間。
「えい!」
パンッ! と私の目の前で突然先生が手を叩き、反射で思わず目を閉じる。
次に目を開けた時には、そこに先生の姿はなかった。
そして音を立ててドアが開いたかと思えば。
「どうかしら? まだまだあなたには敵わないけど、瞬間移動マジック。上手にできたかしら?」
先生……もうあんたが世界一のマジシャンだよ。