レナトゥス!~にじさんじ妄想トーナメント~   作:くろぷり

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トーナメント直前!

「リゼ、トーナメントの組み合わせ見た? なんか、悪意に満ちてる感じだよなぁ」

 

「私も思った! 初戦がトコちゃんとで、勝っても次はアンジュとでしょ? さんばかで潰し合うように、トーナメント作ったとしか思えない」

 

 貼り出されたトーナメント表を見ながら、さんばかと呼ばれるリゼ、アンジュ、戌亥は呆然と立ち尽くしていた。

 

 さんばか組の3人は、とても仲が良い。

 

 偶然だとしても、仲の良い3人が初戦で戦う……こんな綺麗にトーナメントに組み込まれる事なんてあるのだろうか? 

 

「ィゼ……多分主催側は分かっててやっとるで。社長とはかちぇ、アルスとエビ男、郡道先生と神田さん、そでを先輩とサラちゃん……親しい人同士で戦うようにトーナメントされてる気がするな」

 

 その疑問が、戌亥の言葉で核心に変わる。

 

「仲良し同士を初戦で戦わせて、視聴率を高めようって魂胆か? 全く、悪趣味だわ」

 

「そうか? わたしは少し楽しみやけどな。ィゼの本気……一度見てみたいと思っとったし……ヘルエスタ・セイバー、持って来とるんやろ?」

 

 戌亥は、悪戯な笑みを浮かべてリゼの瞳を見た。

 

「ちょっと……トコちゃん本気? トコちゃん相手に、ヘルエスタ・セイバーを使える訳ないでしょ?」

 

「ィゼ……戌亥は、にじさんじ公式つよつよケルベロスや。本気でやらんとケガするで」

 

「ちょっとー、やめてよー。本気で戦ったところで、わたしがトコちゃんに勝てる訳ないじゃん!」

 

 リゼは大きめな冷や汗を垂らしながら、一歩だけ後退りする。

 

「いにゅい……リゼは結構本気にするんだから、あまり揶揄わないであげて! リゼも、冗談を真に受けないの!」

 

「だってー」

 

 若干、泣きそうな声を上げたリゼに向けて、アンジュと戌亥の笑い声が響いた。

 

 

「さて……神田くん。仕込みの方はどうかな? エクスくんは信じてくれたかい?」

 

「アルスの事になったら、エクスの食い付きはいいからな。だが、半信半疑だ。アルスがCZAの手の平で踊ってるって言っても、信じる事は難しいだろう。後は、戦闘中に上手くいってくれる事を願うだけだが……」

 

 神田の答えに、叶は髪の毛をいじりながら考え込む。

 

「アルスさんに、もう少しプッシュしてみるか? 正義感の強いアルスさんの事だ……もう少し情報を与えてあげれば、必死でエクスくんを止めてくれる筈だ。そうなれば、エクスくんも本気で戦わざるを得ないだろう。お互いに、引けない戦いになる……」

 

「しかし、嫌なもんだな。仲間同士で戦わせなきゃならんってのは……」

 

 2人の間を、微かな風が吹き抜けた。

 

 その風の先を、2人は見詰める。

 

 2人の視線は、トーナメントの先にある未来に向けられている様にも見えた……

 

 

「エリーさん、無理だけはしないで下さいね。私の望む未来に、エリーさんが付き合う必要は無いんですから……」

 

「エヘヘッ! 大丈夫ですよー。姫様の望んでいる未来は、姫様だけの望んでいる未来じゃない。私達ライバーが犯した罪は、責任を持って私が止めてみせます」

 

 ホワイト・ベルベットは、エリー・コニファーの言葉を聞いて首を横に振る。

 

「エリーさん、お仲間同士で戦う事になるのです。お身体も心配てすが、その心も……精神的にも、大きなダメージを負う事になります。私や私の子供達の為に、エリーさんが背負う必要はありません。今からでも……」

 

「そこまでだよ、姫様!」

 

 シーッと……立てられたエリー・コニファーの細く綺麗な人指し指が、ホワイト・ベルベットの口の動きを止めた。

 

「私が決めて、私が戦うの……必ず、姫様の望む未来を掴み取って戻って来ます」

 

「エリーさん……とても嬉しいけど、本当は私一人でやらなくてはいけなかった事……本当に、無理だけはしないで……」

 

 エリーは笑顔で頷くと、紫の花の紋章……ホワイト・ベルベットが描かれたお盆を持つ。

 

 その後ろ姿を、白き髪の女性は心配そうに見詰めていた……

 

 

「美大生、本当にトーナメントに参加するのか? 辞めた方がいいと思うけどなー」

 

「あら、でび様……心配してくれてるんですか?」

 

「心配なんかしてねーよ! ただその……美大生がケガしたら、コラボとか出来なくなって困るからさぁー」

 

 鈴原ルルの肩に乗って会場入りした悪魔でびでびでびるは、口では否定しながらも鈴原ルルの事を本気で心配していた。

 

 悪魔ながらも可愛い顔が恥ずかしさから赤くなり、更に可愛いさを増してしまう。

 

 その顔を見て、ルルは悪魔的な笑い顔をでびでびでびるに向ける。

 

「美大生! なんなんだよ、その顔! 怒るよ!」

 

「でび様、ありがとうございます。そして、ごめんなさい。いっぱい心配させちゃってる事……分かってる。でも、本気で皆と戦える……こんな機会、逃したくない……」

 

 ルルはそう言うと、でびでびでびるから貰った髪留めを見せた。

 

 その髪留めを確認し、でびでびでびるはルルの肩から浮き上がる。

 

 ルルと手を振り合った後、その後ろ姿を見ながらでびでびでびるは呟いた。

 

 だから、心配なんだよ……と

 

 

 

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