凌辱エロゲで竿役の家のガキに転生したら女主人公の母親と結婚することになった件 作:胡椒こしょこしょ
時刻は深夜。
誰もが寝静まるような夜、外では虫の鳴き声が聞こえてくる。
....こうやって虫の声を聞いても風流だと感じないのは、ここが蟲波見の館であるからだろう。
どんな虫か分かったものじゃない。
膝にはやわらかなマットレスの感覚。
身にまとっているのは憎き老獪が用意したであろう薄ピンクに丈の短いスリットの入ったナース服。
そして目の前には憎き怨敵の血を引く少年が一人座っている。
蟲波見統一郎。
業腹にも私の旦那などというものに現状なっている子供だ。
彼は、私を真っ直ぐ見つめた後に口を開いた。
そんな彼の様子に私は別段声を掛けることもしない。
それはいつもの光景。
この屋敷に来て、彼と暫く接してくる内に生まれた日課であるからだ。
「それじゃ....行きますよ。」
「....。」
私は返事をしない。
半ば億劫にもなってるその作業。
しかし、彼は律儀にも一度深呼吸すると部屋の扉に向かって声を上げた。
「オラァ!!!夜霧、俺のケツの穴舐めろッッッ!!!」
大きく響くその声は下品にも夜の静寂を切り裂く。
そしてその言葉を言った後に彼はこちらの顔をチラチラと伺った。
顔色を伺っているのだろう。
私は特段反応しない。
「アンアン、オシリノアナハーカンベンシテ-。」
示し合わせていた言葉を口から述べる。
すると、目の前の蟲波見は露骨に慌てる。
「ちょっ、何してるんすか夜霧せんせ、バレちゃいますって!もっと感情籠めないと。」
初めてこの部屋で邂逅してから数週間。
術について教え始めてから彼は私の事を先生と呼ぶようになった。
なんでも目上の人に教わる側としての礼儀だとか。
蟲波見の男とは思えない見上げた思考である。
....だからと言って彼が蟲波見の人間であることに変わりはないのだが。
彼は術の修練に対してかなり真摯に取り組んでいる。
.....だからといって成果は出ないのだが。
当たり前だ。
私が教えられるのは私が知っている周囲の霊力や力場を利用した術。
言うなれば属性術式を用いる物。
周囲の自然から霊力を取り込んで自分の霊力と合わせることが基本理念にある。
その点、外道の一つである蟲波見は私達正道を歩む術師とは反対の方向に進化している。
自身の霊力に対して重きを置いており、自分の霊力特性である『使役・抑圧』を活かして本来は退けるべき自然霊や悪霊などの怪異を縛り付けて使役する術に特化している。
だからこそ、私自身が言うがままにされるまで抑圧されて束縛されているのだ。
周囲の自然から構成霊素を感知して取り込むことが出来ても、使うことが出来ていない。
というより取り込める要素の許容量が極端に低いのかもしれない。
火は種火レベルの物しか出なくてすぐに消える。
木は中身がからっぽで自分から自壊する。
土はパラパラと生命力を感じさせない砂が一握現れるのみ。
風や水に至っては自分の手中に収めることすら出来ていない。
もはや習いたての人間にすら負ける有様だ。
...正直、才能がない。
それは彼にも伝えている。
しかし、彼はやめようとしない。
なんでも、やっと術がなんたるかを知ることが出来たからとかなんとか。
...断腸の思いだが、私はそんな彼のある種愚かにも見える粘り強さだけは評価していた。
まぁ....ある日の娘と被る所もあったのだ。
見た目は幼いから....蟲波見の男である以上は油断など出来ないのだが。
...まぁ、でも彼に頑なに術を教えてくれないというあの翁からはきな臭さを感じる。
地下で見たあの光景に、自分の後継者であるはずの彼には何もそのような退魔師としての教育を施していないということの不自然さ。
何か....引っかかる。
まるで彼自身をあてにしていないような...でも、彼が言うには自分を後継者にしようとしてると言っているわけだし....。
「あ、あっ...んぅ....はぁ....んんっ!....これでいいのかしら...?」
思案している間にも、目の前の彼があんまりにも取り乱す物だから私は言葉を口に出す。
正直喘ぎだなんて他人の物を聞いたことないので自分のを思い出す。
本当に情けない...貴方、ごめんなさい。
夫との情事をこうして態々思い出して、自分よりも一回りも二回りも年下の男の子の前で声を真似してみせるという行為自体に恥ずかしさを覚えるも、顔には出さないようにする。
蟲波見の前では弱みは見せられない。
もし、彼が蟲波見としての持ち前の鬼畜さを開花させるか分からないから。
現状人畜無害でも、それを信頼できる要素だと断じるのは早計が過ぎる。
「ま、まぁ...多分大丈夫?なんか大人しめな気がするけど....それじゃ、流石にケツ舐める音は出せませんよね。」
「当たり前じゃない。お尻を舐めるなんて不浄な行為、したことも見たこともありません。寧ろ幼い貴方からその言葉が出てきたこと自体に私はおぞましさを感じています。流石は蟲波見、将来有望ですね。」
「あ、あはは....まぁですよね。だったら、俺に任せてください!」
私の皮肉に気まずそうに眼を泳がせるも、彼は私にそう言い切る。
そして腕を口元に付けると、目つきが変わる。
それはなんというか....虚無といった言葉が似合うようなそんな目つきだった。
「すぅ~...じゅばばばっ!!ずろろろっ!ちゅぱっ、ちゅっ...ぱっ❤レロレロレロ....ぢゅ~~~~っぷはぁ...ちろちろちろ....ジュパッジュッパジュパッ!!!!」
一心不乱に自分の手を吸ったり舐めたりしている。
その目は無心。
一生懸命さが伺えた。
「ぢゅ~~~~ぱっ...おほぉ!...中々やるじゃないか。躾けの賜物だな!お、イクッ!今日はこの程度にしてやる。ケツ舐めた口のまま寝ろよ!ドスメロが!!」
手から口を話すと、急に饒舌に話し始める彼。
多分お尻を舐められた後の反応をしているのだろう。
そう言った後にチラチラとこちらの目を見た。
何か返事しろということらしい。
そうは言われても何も思いつかない。
「承知しました。」
結局無難な返事を返すと、彼は緊張の糸が切れたのかほっと息を吐く。
「はぁ.....多分これで大丈夫と思います。ほら、お尻の穴を舐めるなんてすっごいアブノーマルじゃないですか。だからもし何か言われても爺さんに対して言い返す材料になりますよ。一安心です、せんせ!」
彼は笑顔で私にそう言う。
私と彼は、エッチしてる風な声をわざと上げていた。
それは彼が怪翁、蟲波見源五郎に自身の調教結果と最近の私との性交渉について質問されたらしい。
彼に術式を教える代わりに、性交渉を行わない。
利害の一致からそんな取引をしていた私たちの間には当然肉体関係なんかあるわけがない。
だからこそ、目の前の彼はもしかしたら何かしらの手段でこちらの様子をあの翁が伺っていて私たちの間に何の関係もないことに感づいてるのかもしれないと疑念を抱いていたのだった。
そして彼の提案によって、こんな芝居を夜遅くに打つ羽目になったのである。
声だけであるが、行為をしている風にしてもし質問されても言い逃れできるようにしているという。
これを始めて数日、効果が出ているのか分からないが念には念を入れる姿勢自体には私は賛同していた。
「そうですか。....なら、もう寝てしまいましょう。」
「そうですね、...疲れましたし。」
彼はそう言うとそのまま布団に潜り込む。
私はそんな彼を包み込むように抱きしめながら横になって同衾する。
私がやりたいからやったわけじゃない。
盟約術式によって私は多くの縛りをあの糞爺から課せられている。
それによって私は全身が蟲波見の血縁者と密着していなければ眠ることが出来ないのだ。
私は目の前の彼に差し出されたので目の前の彼はさておき、血縁者と範囲が広いことから自分も同衾する気なのかと思うと鳥肌が立つ。
つまり否応なしに私は彼を抱きしめて寝なければいけないのである。
憎き仇敵の血筋の子をまるで幼い頃の我が子にやったように抱く羽目になるなんて....。
なんの因果か、前世での宿業のせいか。
彼自身も最初は何やら一緒に寝るのはまずいなどと言っていて渋っていたが今では何も言わずに応じるようになっていた。
...断じて私がその態度に嫌でもやらなければ寝れない私が渋るのは分かるがなぜそちらから私が望んだわけでもないのにそんな態度を取られなければいけないのかと声を荒げてしまったからではない。
うん、断じてそんなことはないと思う。
....あの時は、ちょっと悪いことをしたとは思った。
いくら蟲波見の子供とはいえ、彼自身も私を望んだわけではないのだから。
正直言うと....悪いのはあの爺一人だ。
彼は抵抗もせず私の腕の中に居る。
しかしどこか身体が強張っていた。
余計な動きをしないように固まっている。
緊張しているようだった。
しかしそんな中でも、時が経てば睡魔に負けて眠りに就く。
だけれど、それが私にとって安らぎではなく苦難の始まりでしかなかった。
視界の端で、胸元の紋様が淡く光り出す。
それと同時に身体が徐々に熱を発しだす。
痒みにも似た甘い疼き。
それは腰を含む下半身を中心に徐々に強くなっていった。
腕の中に居る幼い少年。
布団の中に包まれているからこそ、寝汗を搔いている。
まるで肌に直に触れているように体温を感じて、さっきまで感じることもなかったモワッとした匂いが鼻を突く。
彼の黒髪に、目が吸い寄せられていく。
「っ....下衆が。」
そんな自分の状況に悪態を吐き捨てる。
私は、今目の前の少年に欲情している。
いや、欲情“させられている”。
蟲波見源五郎は私の体に処置を施した。
その中の一つがこれだ。
私は名目上、あの鬼畜が目の前の彼に宛がう孕み袋である。
だからこそ、特定の時間帯に性的興奮を意図的に促進して蟲波見の遺伝子に対する欲求を想起させる術式を仕込んだのだろう。
意図が透けて見えて、怖気が走る。
これほどまでに身を焦がすほどの衝動を覚えたことはあの人が生きていた時分でもなかった。
なんともおぞましい術式である。
「っ....!」
歯噛みをして、自身の湧き上がる衝動を歯噛みして抑える。
この私が...こんな子供に欲情するなんて....。
改めて、蟲波見の術式は下賤であると思わせられる。
眼を閉じると、息を整える。
眠ってしまおう。
眠ってしまえば、衝動に悩まされることもない。
眼を閉じて、息を整えようとする。
しかし早まる鼓動と荒い息が私の睡眠を阻害して、着々と私の精神を削って行くのだった。
◇
夜霧先生との取引を終えてから数週間が経った。
術について教えてもらえることになったものの、如何せん才能がないのか習得は難航していた。
「はーぁ、才能ないって初めから言われちゃったしなぁ....。」
どうやら俺の血筋である蟲波見と夜霧先生の扱う術式は全くと言って良いほど交わるところのない分野で教えろと言われても....といった感じなのである。
言うなれば俺がやっていることは社会科の先生に数学について質問しているような物。
そりゃ問題集やれば?みたいな感じでずっと基礎の修練をやらされるはずである。
しかもその基礎も満足にできていないのだから猶更だ。
ただ、まぁ今日一日の修練の成果とやらを夜霧先生に見せに行くわけだが。
「夜霧先生、見てくださいよこれ。」
庭の掃除をやらされていた夜霧先生に声を掛ける。
夜霧先生は相も変わらず爺さんがその日用意した衣装を着て作業をしていた。
今では、正直言って慣れてしまったと言った様子だが。
今日はアメスク姿で作業をしていた。
まぁ長い黒髪をツインテールに結っていて一般的に言えばいくら綺麗と言えどもきつさは出ているだろう。
まぁ、普段の恰好であればなんとも思わないのだが正直今回はまずい。
俺は生前から綺麗だけど痛い女の子が割と好きなのである。
だから今回のはなんの偶然か、ちょっとエッチだなとか思ってしまったのだ。
そういうの察されると、せっかく割と軟化の兆しを見せている先生の態度がまた警戒と嫌悪に変わってしまうかもしれない。
俺はなんとか先生の服を見ないようにして声を掛けた。
「ん...?これは、土で出来たひよこの像....かしら?」
俺が掌に載せている物を見て、そう聞いてくる。
その質問に対して、俺は頷いた。
「そうっスよ。なんとか土の霊素を感じ取って術式で纏めて作ったんすよ。...まぁ、今の俺にはこれくらいの土の量しか扱えませんけど。」
まぁ、正直基礎が少しできたくらいである。
なんでも先生が同じくらいの歳だったら土の霊素だけでなく水とも組み合わせて龍の形を作って敵を襲わせていたそうだ。
次元違ってて笑っちゃうんだよね....。
すると、先生はそんな俺から目線を逸らすとそのまま口を開く。
「規模は話になりませんが....今までは霊素を纏めて土を何かの形にすること自体が出来ていなかった。...そう考えると成長していると言えるわ。....頑張ったのね。」
「!...はいっ!ありがとうございます!!いや~頑張って練習してきた甲斐ありましたよ~。次は火とか扱えるようになりたいですね!!」
「そう....。」
先生は聞こえるか聞こえないかの声で俺を褒める。
なんか俺の努力が認められた気がして喜んだら途端に素っ気なくなった。
まぁ多分褒めるところは褒めただけなのだろう。
まぁ、こんな感じで耶蘇正道っていう流派?の基礎練習について教えてもらってからは爺さんから宛がわれた妻やら孕み袋やらの肩書なしで話すことも多くなっているので何とはなしに当初よりも打ち解けてはいると思う。
皮肉やらを飛ばされることはあれど、前みたいに睨まれたりすることは減った。
それに爺さんが居ない時は敬語からどこか砕けた口調になっていた。
まぁなんかいつまでもこう...おのれ蟲波見めぇ!!みたいなスタンスで入られても、俺には蟲波見としての自覚なんてまったくないし、そもそも能動的に先生をお嫁さんにする~みたいに働きかけたわけでもないので敵視されても困ってしまうのである。
だからこそ、こうして態度が軟化したのであればホッと胸を撫で下ろす思いである。
「それで、今日帰り際の土手にセイタカアワダチソウ?っぽい奴見つけたんですよね。なんか植えた人でも居るんすかね?絶対あそこの環境あの草しかなくなる奴ですよ~。」
「....外に出れて、大層楽しそうね...。」
「あっ....あ、あははは....いや、そういうつもりじゃなくてですねぇ~....。」
バルコニーの机にひよこの像を一旦おいて先生に今日帰り路に見た物を話す。
表情を変えることなく俺の話を聞く夜霧先生。
皮肉を言われて一瞬肝が冷えたが、どうやらそこまで気にしては居ないようである。
すると、夜霧先生の表情が突然強張る。
何事かと思って、彼女が向けている視線の先へと目を向けた。
するとそこにはいつの間に帰ってきたのか爺さんが杖を突いて立っていた。
「な、なんだよ爺さん。帰ってきたなら一言言ってくれよ。」
「なんじゃ?今からおっぱじめるつもりじゃったんか?それは悪かったのぅ....。」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、すげぇ直接的にブッ込んでくる。
そんな爺さんの声に一瞬先生は眉根をぴくつかせた。
うわぁ.....メッチャ苛立ち我慢してる....。
この後、夜に延々皮肉祭りされると考えるとげんなりする。
「別にそんなんじゃねぇよ。どーせ夜に出来るわけだし。そんで、その会合ってのはどうだったんだよ。」
夜にやるわけではないのだが、まぁ今日もどうせ偽装するのだからそう言っておく。
それよりも会合というのが気になった。
普段は蔵に籠り切りな爺さんが突然、今日の午前中は他の退魔師の連中と会合があると言って家の外に出たのだから。
他の退魔師って誰なんだろう。
俺の家みたいな明らか夜霧先生にとっての敵勢力の集まりなのだろうか?
それとも実は俺の家は未だグレーな立ち位置に立っていて、夜霧先生の家など色んな退魔師が居る中での会合か?
後者だとしたらやることと言えば、自分が夜霧先生を拉致したということを隠すために工作をしたとも考えられる。
正直、自分の立ち位置が今まで分かっていなかったので今の質問で少しでもそれを掴みたかった。
「お主が気にする必要はない。儂がしくじることはない、安心せい。逆にお前たちの方こそ首尾はどうなんだ?心の準備は済ませておいたのか?」
「....準備??俺も???なんのだよ。」
なんのことをこの爺さんは言っているのだろう?
そんな準備するようなこと言われてはいないと思うのだが。
「なんじゃ...まさか儂、言っておらんかったんか?」
爺さんはまるで惚けるような口調で言葉を吐く。
そして、俺と夜霧先生を交互に見て笑みを浮かべると口を開いた。
「結納じゃよ....嫁を迎えたのならやらねばなるまい?その心の準備をしておけと言っておこうと思ったんじゃがな....。」
「....っっ!?!」
結納!?
驚く俺の横で目を見開いて俯く夜霧先生。
結納なんか挙げてしまった日には明確に旦那さんへの裏切りになっちゃうもんね....。
心中を察して余りある反応だった。
だとしたら...抗うのは俺の役目という物だろう。
俺もこの年でいくら綺麗な人相手でも所帯持ちにはなりたくない!!
「いやぁ~流石にそれは良いんじゃない?ほら、俺だってもっと遊びたいしさ。ちょっと早すぎるような....。」
「早い...だと?次代の子を作るという大役以上に優先されることなどないのだ。....腑抜けたこと言いおって、少し甘やかしすぎたかの?」
諫めるような口調。
しかし、その目には有無を言わさぬ迫力があった。
あたかも従わないのならどうなるか分からない言外に示しているかのような視線。
情けないことに、気圧されてしまった。
「いや!それは分かってんだよ!ただ分かってんだけどちょっと張本人である俺になにも知らされていないのに準備がどうこう言われても困るというか....。」
「貴様が言おうが儂が決めたこと。どんな異論があろうが家長である儂に従ってもらうぞ。...それとも何か?何かそこの雌豚と結ばれて困ることでもあるのかのう?...遊ぶならそこな豚などに気負いすることなく種を各地にばらまけばいいことだ。」
こちらを伺うような笑みを浮かべられる。
それを言われるともう何も言えない。
言われた通り、お互い望むべくもない形式だけの繋がりなら特段まだまだ遊びたいという欲求の妨げにはならない。
だからこそ、結納を断る理由にはなり得ないだろう。
...もし、俺が彼女を奴隷としてではなく一人の人間であると思っている場合を除けば。
その場合、先生個人の人格を尊重しているからこそ夫を裏切るような真似をさせたくはないと思っていること。
それを見抜かれればどうなるのだろうか?
僕も消えた母みたいになんかされるのか。
それとも先生を僕に任せると悪影響だと自分の手の内から出さなくなるのか。
どちらにせよ、夜霧先生は碌な目に遭わないだろう。
そう考えると、不用意な言葉は出てこなかった。
「...分かってもらえたようじゃのう。それじゃ...結納を迎える前に....たっぷりと身体に蟲波見の精を嫁御に染みつかせておかんとなぁ....?でないと式に支障が出る。」
そう言うと、爺さんは杖で地面を突く。
「っっっ!!!?」
その瞬間、横で苦悶にも似たような声が聞こえる。
視線を向けると、夜霧先生が胸を抑えて苦し気な表情を浮かべている。
胸元の紋様は一際桃色の光を強く放っていた。
顔色もどこか紅潮しているように見えた。
「貴様....まさか...っ....!」
「何を睨んでおる?事に及び易くしてやっただけのこと。今これだけ昂っておるのに、夜を迎えたらどうなるか見物よ....。」
ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべる爺さん。
荒い息で苦悶の声を漏らす夜霧先生。
そんな彼女から視線を逸らすと爺さんは踵を返してその場を立ち去ろうとする。
しかし、ふと何を思ったのか少しだけ振り返って俺を見た。
「お前は特に心の準備をしておけ統一郎。...結納は、貴様にとっても『節目』となるからな....カカッ....。」
そう言って嗤う。
その瞳からは、今までとは違った...どこか何か別の物を見ているような....そんな底知れなさを感じさせた。
俺の返事を待つことなく、再度歩みを始めその場を去っていく。
「なんなんだよ....、夜霧せん....夜霧!」
爺さんの真意が分からなくて戸惑いながらも、視界の端で胸を抑えている夜霧先生の方が重要だと思って駆け寄る。
一応去ってはいるも爺さんがさっきまで居たということは事実なので、一応呼び捨てで呼ぶ。
先生は相変わらず苦し気に表情を歪めている。
「ちょっ...先生、どうしたんすか?大丈夫ですか?」
小声でそう尋ねながら遂には膝を突いてしまった先生に肩を貸そうとする。
「っ!やめなさいっ!」
しかし、先生は声を上げると俺の手を払った。
えぇ...!?な、なんなんだよ....。
紋様の光はさっきよりも強くなってる。
...爺さん、一体何したんだ....。
....絶対、碌なことじゃないのは分かる。
「....ごめんなさい、少し放っておいてもらえるかしら....。」
「あ...あぁ...はい.....。」
目が合うと、サッと視線を逸らされる。
そして先生も俯いたまま足早に屋敷の中へと入っていった。
今の自分を取り巻く状況が情報が少なすぎて分からない。
それでも俺だけが、何が起きているのか分かっていないことは分かった。
「これが無知の知....って奴かな。」
気分を紛らわせるように感じたことをそのまま口に出す。
そして不意に目に着いたひよこの土くれを花壇の傍へと置いた。
毒々しい色の草花には似つかわしくない不格好なひよこ。
それはぽつんと一人、寄り添う寄る辺もなく鎮座していた。
夜霧目線ではせんせって呼ばれてるけど、主人公自身は先生って呼んでる。
この認識の違いって言う奴がおねショタ、ママショタにおける一番気持ちいい所だと僕は思ってます、そう信じてる。
その後の夜のパートはまぁ重要かどうかと言われるとギリギリ重要ではないので書きません。
というか書けません。
R18になってしまうので。
なので、なんか望まれたらその場面をエロゲの回想シーン的な感じでR18小説に別途投稿します。