ナルトTS逆行伝 作:逆行物増えろ
そして翌日、サバイバル演習当日。
「朝飯どうしようってばよ……」
ナルトは悩んでいた。
この試験はナルトにとっては二回目であり、内容についてよく知っていた。朝食を抜いてこいと言ったカカシ本人が大遅刻をかます事を。
アカデミーを卒業したばかりの幼気な少年少女を上官である大の大人が率先して騙すのは流石に酷すぎると思うのだ。
……一応解ってはいるつもりだ、これから忍びの世界で生き延びていくために必要な、愛のムチだという事は。
(まぁ、それにしたって酷いのだけれど……)
そういう事でナルトとしては朝飯を食べていきたいのだが、自分だけが食べていくのはフェアじゃないとも思うのだ。なんだかズルをしているみたいに感じてしまう。
(うーむ……)
腕を組み、うんうんと悩むナルト。
「よしっ!」
しばらくして唐突に立ち上がったナルトは何かを決心したのか、そう叫んだのだった。
……………………
…………
……
そして集合時刻からそこそこの時間が流れた頃。
「サクラちゃんおはよー!」
「ナルト!? ちょっとアンタ遅いわよ!?」
「チッ、ウスラトンカチが……」
「いやー、悪いってばよ。朝飯抜いてきたらお途中で腹空いちゃって……ついつい五平餅買っちゃったんだってばよ。あっ、サクラちゃんもどうだってばよ? ……ついでサスケも」
自分の分だけではなく、他の二人の分も一緒にちょっと摘まむ程度の軽食を持参する。これが悩んだ末、ナルトが出した結論だった。
「カカシ先生が朝食は抜いてこいって言ってたじゃない! 吐いても知らないわよ!?」
「うーん……結局、要らないのかってばよ?」
「……いただくわ」
サクラが受け取ったのを確認し、その流れでサスケにも押し付ける。
「フンッ……」
「おお……」
男と女ということで授業が別だったせいか、サスケとの仲も前世の時ほど悪くなってはおらず、思っていたよりもすんなりと受け取ってもらえた。
(あの教室での悲劇も無かったみたいだしな……)
そんな事に感動しつつも、ナルトは五平餅を頬張る二人の事を窺っていた。
(……懐かしいってばよ)
二人の幼い容姿、それにこんなちょっとしたやり取りの懐かしさから、ナルトはセンチメンタルな気分に浸ってしまっていた。
「……なによ、コッチばかり見て」
「なんか懐かしいなって……」
「……? 懐かしいって、私とアンタでこんな事した事あったっけ?」
(しまったってばよ……! 何とか誤魔化さないと……!)
「あー、いやえっと……そういえばカカシ先生はどうしたんだってばよ!?」
どういう状況なのかは知りつつも、話題を変えるためにカカシについての話を振ってみるナルト。
「それがまだ来てないの、どうしちゃったのかな……?」
「ふーん……寝坊でもしてんのかな? 何にせよ居ないんだったらしょうがねーし、これ食いながらゆっくりしてよーぜ」
「はぁ……アンタ本当にのん気ね、カカシ先生が時間通りに来てたら試験受ける前に失格になってたわよ?」
「あははは……」
(セーフだってばよ……)
――それから更に時間は過ぎてゆき、現在11時過ぎ。
「やーー、諸君おはよう!」
「「おっそーーーい!!」」
ある意味時間通りに現れたカカシは悪びれもなく挨拶すると、ナルトの記憶通りの説明をしていく。
(今思うとこの説明も、酷いミスリードだってばよ……)
……………………
…………
……
「あ、それと昼までに鈴を奪えなかった奴は弁当抜きだから」
粗方説明が終わった後に思い出したかの様にカカシが言う。
その言葉に全員から抗議の視線が注がれるが、それを華麗にスルーしつつチラリとナルトの方を見るカカシ。
「言いつけを守れなかった悪いコもいたみたいだが……まっ、いいだろう」
「じゃ、始めるぞ! よーい……スタート!!」
カカシの号令と同時に散っていく班員達。仮にも上忍、普通に戦っては勝ち目が無い事を理解しているのだろう。自分が有利になれる場を作るため、各自隙を窺っていた……ただ一人を除いて。
「忍びたるもの――基本は気配を消し隠れるべし……なんだけどなァ」
「いざ! 尋常に勝負!!」
ナルトは他の班員達の様に隠れる事はせず、広場の真ん中に陣取ってみせたのだ。
(あのウスラトンカチ……)
(何やってるのよもう!)
そんなナルトの無謀っぷりにサスケもサクラも頭を抱えていた。
実のところ、ナルトとしても現時点でカカシに勝つつもりはサラサラ無かった。では何故こんな事をしているかと言えばヒナタとの取り決めによるものだ。
――それは基本的に前世と同じ行動を取るということ。
ナルトとヒナタは前世での悲劇を何とか回避しようと思っていた。そしてそのためにはできる限りイレギュラーな事は起きない方がいいのだ。
つまりは、今回も前回と同じ様な行動を取ってこれから起こる事をコントロールしつつ、その流れの中で決定的な事が起きない様に立ち回る。
ナルトとヒナタは議論の末、その様に結論付けたのだった。
そしてナルトのこの行動は、その計画に沿ったモノなのである。
「さあ! いくってばよカカシ先生!!」